ユウリ、キバナさんと鎧島行く、の巻
パシャ!
「んー、綺麗な景色だねー!」
ようやく使いこなし始めたスマホロトムのカメラ機能。
それを使い、この島から臨む大海原という名の絶景を写真に収めた。
「キバナさんに送ろっかな」
あの人いつも写真撮ってるもんね。
きっと写真撮るの好きなんだろうから、こういうの送ったらきっと喜ぶ。
ちなみにキバナが好きなのは自撮りと、愛するユウリの盗撮だ。もう一度いう。盗撮だ。
ついでにバトルの研究のためと、バトルの動画も撮ったりしているが……最近こちらはついでだ。
砂浜と草原の境目という緩やかな傾斜の上に寝転がり、今し方撮った青い海、青い空、そしてここからぽつんと見える水の塔という建造物の写る写真を眺める。
うん、鎧島が写っていていい写真だ。
と、スマホの写真を隣から覗くものが。
「べあ?」
小さな灰色の体に、つぶらな瞳。ちょっぴり渋い口元。
この鎧島で新しく仲間になったダクマだ。
引っ込み思案で、照れ屋な性格の彼だが、連れ歩き移動はもちろん、寝食をともにしていたら私にべったりの甘えん坊になってしまった。
はじめは微笑ましく見てくれていた他の子からの視線は、今は少し痛いものになった。主に甘えん坊のオンバーンちゃんから。
私の腕の中に潜り込んだダクマが、不思議そうな顔をする。
キバナって?と、言っているのかな。
「キバナさんはドラゴンタイプのジムリーダーだよ。すっごく強いの。
いつも写真撮ってるんだけど、バトル中まで写真撮っててそれをSNSっていうみんなが見れるところに載せるのが趣味?なのかな、そういう人」
キバナの事を考えると、随分前に唇に『かじりつく』を受けた時の事を思い出す。
あれはかなり恥ずかしかった。
キバナさんの唇、私の唇と違って分厚くて包まれるようで……でも意外と柔らかくて。
あのあとも話をするたびに思い出してちょっぴりドキドキしちゃうから、しばらく会いに行けなかったっけ。まあ、1ヶ月くらいだけどね。
私の様子がおかしいからと心配してくれたダンデさんに話したら「それはポケモンバトルのかじりつくと同じだ!深い意味はないから忘れなさい!」って必死の形相で言われたなぁ。
今でもあの形相忘れられない。素早さぐーんと下がったもん。
ボロボロになったキバナさんを連れていたけど、その時のダンデさん、すっきりした顔してた。
キバナさんに一体なにがあったんだろう。
キバナのSNSページを開くよう、スマホロトムにお願いしておく。
電子音のような声のような軽い音とともに、次々に開かれるURL。
「海の写真見せたら、喜ぶかもしれないと思ったの。綺麗な写真って……なんだっけ、映える?らしいよ」
「べあーま?」
「よくわからないよね、ごめんね」
私もよくわかってないから上手く説明できないや。
離れ島海域で、一本だけ木の生えた特徴的な島。
エースバーンに炎を借り、作り途中だったカレーをじっくりコトコト煮込みながら彼のSNSを覗いてみる。
弱火とはいえ寝転がってたから、あやうく焦がすところだった。
ありがとうサーナイト。貴女が教えてくれなかったら確実にドガース級のカレーができてたよ。
「あ、これこれ。この男の人がキバナさんだよ!」
最後のひと混ぜを終えると、SNSのタイムラインにちょうど流れてきたキバナの投稿をダクマに見せた。
「あ、見覚えのないポケモンのたまごだー!」
キバナはどこからかポケモンのたまごを手に入れたらしく、笑顔でたまごを抱える姿の写真がメッセージとともに投稿されている。
そこには『なかなか孵らないけど生まれるのが楽しみだ』と、そう綴られていた。
キバナの写真を見てダクマの目が鋭くなった事は、偶然それを目撃したサーナイトだけが知っている。
「んー、綺麗な景色だねー!」
ようやく使いこなし始めたスマホロトムのカメラ機能。
それを使い、この島から臨む大海原という名の絶景を写真に収めた。
「キバナさんに送ろっかな」
あの人いつも写真撮ってるもんね。
きっと写真撮るの好きなんだろうから、こういうの送ったらきっと喜ぶ。
ちなみにキバナが好きなのは自撮りと、愛するユウリの盗撮だ。もう一度いう。盗撮だ。
ついでにバトルの研究のためと、バトルの動画も撮ったりしているが……最近こちらはついでだ。
砂浜と草原の境目という緩やかな傾斜の上に寝転がり、今し方撮った青い海、青い空、そしてここからぽつんと見える水の塔という建造物の写る写真を眺める。
うん、鎧島が写っていていい写真だ。
と、スマホの写真を隣から覗くものが。
「べあ?」
小さな灰色の体に、つぶらな瞳。ちょっぴり渋い口元。
この鎧島で新しく仲間になったダクマだ。
引っ込み思案で、照れ屋な性格の彼だが、連れ歩き移動はもちろん、寝食をともにしていたら私にべったりの甘えん坊になってしまった。
はじめは微笑ましく見てくれていた他の子からの視線は、今は少し痛いものになった。主に甘えん坊のオンバーンちゃんから。
私の腕の中に潜り込んだダクマが、不思議そうな顔をする。
キバナって?と、言っているのかな。
「キバナさんはドラゴンタイプのジムリーダーだよ。すっごく強いの。
いつも写真撮ってるんだけど、バトル中まで写真撮っててそれをSNSっていうみんなが見れるところに載せるのが趣味?なのかな、そういう人」
キバナの事を考えると、随分前に唇に『かじりつく』を受けた時の事を思い出す。
あれはかなり恥ずかしかった。
キバナさんの唇、私の唇と違って分厚くて包まれるようで……でも意外と柔らかくて。
あのあとも話をするたびに思い出してちょっぴりドキドキしちゃうから、しばらく会いに行けなかったっけ。まあ、1ヶ月くらいだけどね。
私の様子がおかしいからと心配してくれたダンデさんに話したら「それはポケモンバトルのかじりつくと同じだ!深い意味はないから忘れなさい!」って必死の形相で言われたなぁ。
今でもあの形相忘れられない。素早さぐーんと下がったもん。
ボロボロになったキバナさんを連れていたけど、その時のダンデさん、すっきりした顔してた。
キバナさんに一体なにがあったんだろう。
キバナのSNSページを開くよう、スマホロトムにお願いしておく。
電子音のような声のような軽い音とともに、次々に開かれるURL。
「海の写真見せたら、喜ぶかもしれないと思ったの。綺麗な写真って……なんだっけ、映える?らしいよ」
「べあーま?」
「よくわからないよね、ごめんね」
私もよくわかってないから上手く説明できないや。
離れ島海域で、一本だけ木の生えた特徴的な島。
エースバーンに炎を借り、作り途中だったカレーをじっくりコトコト煮込みながら彼のSNSを覗いてみる。
弱火とはいえ寝転がってたから、あやうく焦がすところだった。
ありがとうサーナイト。貴女が教えてくれなかったら確実にドガース級のカレーができてたよ。
「あ、これこれ。この男の人がキバナさんだよ!」
最後のひと混ぜを終えると、SNSのタイムラインにちょうど流れてきたキバナの投稿をダクマに見せた。
「あ、見覚えのないポケモンのたまごだー!」
キバナはどこからかポケモンのたまごを手に入れたらしく、笑顔でたまごを抱える姿の写真がメッセージとともに投稿されている。
そこには『なかなか孵らないけど生まれるのが楽しみだ』と、そう綴られていた。
キバナの写真を見てダクマの目が鋭くなった事は、偶然それを目撃したサーナイトだけが知っている。