mission 8:drinking blood down ~月下の悪魔~
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「ん、起きたの、ダンテ……」
傍らの温もりが動くのを感じたディーヴァは、目をこすって眠気を飛ばそうとした。
ダンテはゆっくりと起き上がって顔を下に向け、俯いているようだった。
思わず起き上がるほどに、怪我が痛むのかもしれない。
ディーヴァは怪我人であるダンテを放って眠りこけてしまった自分を恥じた。
「ごめんね、寝ちゃったよ……。
起きて大丈夫なの?何か痛み止めとか持ってこよ……ッッ!?」
聞きながらダンテを覗き込んだディーヴァが、皆まで言うことは叶わなかった。
触れようと伸ばしていた手を引っ込め、あとずさる。
だが、ダンテはディーヴァの手を掴んで引き寄せた。
嫌でもダンテの顔が目に入る。
そこには満月に照らされた美しくも妖しげな悪魔の顔があった。
紅く灯る瞳がディーヴァを射抜いて離さない。
魅了されたかのように、目を逸らすことも動くことも出来なかった。
ダンテの目はギラギラと紅く輝いていた。
……壊したい。
穢したい、喰らいつくしたい、吸いつくしたい。
何もかもめちゃくちゃにしてしまいたい……欲しい、ほしい、ホシイ、ホシイ、ホシイ。
ダンテの中では感情と本能と理性がせめぎあっていた。
その強い欲望の渦がごちゃ混ぜになり、体内を熱き血潮となって駆け巡る。
支配権を悪魔の自分に明け渡してしまいそうだ。
いや、もう半分は明け渡している。
そう認めた瞬間、ダンテは耐えきれずに、ディーヴァを押し倒して馬乗りになった。
「きゃあ!」
怪我人とは思えない強い力で体をベッドに縫い止められるディーヴァ。
あれ……こういうのをデジャヴって言うんだっけ……。
ディーヴァはのんきにそんなことを第三者視点で考えていた。
むしろ恐ろしい気持ちより、悲しい気持ちの方が大きい。
前の時と同じなのだ。
ダンテは、耐えてみせると、我慢できると言っていたのに。
しかし、今は怪我をして辛い状態、しかたないのかもしれない。
生死を彷徨うようなひどい怪我をした状態で、命の源になりうる存在がいたら誰だって手を伸ばす。
半分悪魔であるダンテにはそれがディーヴァなだけ。
それに押し倒された瞬間もそうだったが、その手付きは激しくなく痛くもなく、ひどく優しかったのを覚えている。
ギリギリラインでダンテは自分を保ちながら、悪魔となっているのだ。
そんなダンテに、ディーヴァも譲歩するべく微笑んだ。
ダンテは呼吸を荒くしながら物欲しそうな表情でディーヴァを見つめている。
ディーヴァはダンテの頭に手を伸ばすと緩慢な動きで撫でた。
「つらいんだね、やっぱり耐えられないよね……」
「悪い、オレ……」
申し訳なさそうに眉を下げ、歯を食いしばっているが、やはりその瞳は悪魔のまま、紅く染まっている。
紅色にぼんやり光る瞳を少し怖いとは思うが、ディーヴァは抵抗しなかった。
「……いいよ、血が欲しいんでしょ?
ダンテがそれで治るかもしれないなら、あたしは喜んで自分を差し出すよ。
自分にも出来ることがあるのなら、すごくうれしい」
ダンテには何もしてあげられないと思っていた。
でもこんな無力な自分にも何か役に立てるなら、それがたとえ血肉を差し出すという行為でもしてあげたい。
与えられるばかりではなく、与える側にもなりたい。
「苦しんでるダンテを見たくない。
無理はしないで欲しい」
想いが繋がったからか、ディーヴァは前の時とは考えも受け止め方も違っていた。
ダンテは困惑気味にディーヴァの動きを待った。
ディーヴァはブラウスのボタンを二、三個と外し、胸元をくつろげる。
踏み荒らされることを知らない新雪のような、真っ白な肌が露わになった。
そんな優しく身を差し出すディーヴァに、めちゃくちゃにしてしまいたい衝動がゆっくりと萎んでいく。
ダンテは痛む自身の体に叱咤し、そうっとディーヴァを抱き起こした。
「いいのか……」
「いいよ、でもあたしが死んじゃうほどの血は持ってかないでよ?」
ディーヴァは冗談っぽく言ったあと、首筋にかかる髪の毛を払い退けた。
まるでダンテが帰ってくる前に見ていた夢のようだ。
今思えば、夢の中の女性は自分だったのだろう。
「あとあまり痛くはしないでね。怖くはないけど、痛いのはあまり得意じゃないから……」
「わかってる」
ダンテがディーヴァの首に唇を押し当てると、視界の端でディーヴァ表情が強張っているのが見えた。
初体験の痛みがこれから起こると思うと、いくら怖くないと口では言っていても体では怖いのだ。
「怖がるな……、息しろ」
「でも」
「力を抜け。オレにしがみついてていいから」
耳元に囁くと、安心したのかディーヴァは力を抜きダンテにもたれかかった。
そしてダンテの背中に手を回したのを確認するや否や、一気に首筋に犬歯を突き立てた。
ブツッ
「……んっ!」
鋭い痛みが走る。
脳が痛みの信号を全身に伝える。頭のてっぺんから足のつま先まで、一気に電気が走り抜けたかのような衝撃だ。
次いで、ダンテのつけた傷口からジュルジュルと生命の源が啜られていくのを感じた。
暖かな血潮が吸われて少なくなくなり、頭に霞がかかってぼんやりしていくように感じる。
そのディーヴァの血液は、今やダンテの中へと送られ、交じり溶け合い、膨大な魔力を生み出す力となっていった。
ダンテの体を急速に巡るその力は、蝕んでいた呪いに打ち勝つよう浸食し、魔力を増幅させていく。
そして二度と戻らないと思うくらい枯渇していた魔力は一気に回復し、その悪魔の呪いすらいとも簡単に打ち破った。
それに伴い、ダンテの怪我もゆっくりと癒えていった。
傍らの温もりが動くのを感じたディーヴァは、目をこすって眠気を飛ばそうとした。
ダンテはゆっくりと起き上がって顔を下に向け、俯いているようだった。
思わず起き上がるほどに、怪我が痛むのかもしれない。
ディーヴァは怪我人であるダンテを放って眠りこけてしまった自分を恥じた。
「ごめんね、寝ちゃったよ……。
起きて大丈夫なの?何か痛み止めとか持ってこよ……ッッ!?」
聞きながらダンテを覗き込んだディーヴァが、皆まで言うことは叶わなかった。
触れようと伸ばしていた手を引っ込め、あとずさる。
だが、ダンテはディーヴァの手を掴んで引き寄せた。
嫌でもダンテの顔が目に入る。
そこには満月に照らされた美しくも妖しげな悪魔の顔があった。
紅く灯る瞳がディーヴァを射抜いて離さない。
魅了されたかのように、目を逸らすことも動くことも出来なかった。
ダンテの目はギラギラと紅く輝いていた。
……壊したい。
穢したい、喰らいつくしたい、吸いつくしたい。
何もかもめちゃくちゃにしてしまいたい……欲しい、ほしい、ホシイ、ホシイ、ホシイ。
ダンテの中では感情と本能と理性がせめぎあっていた。
その強い欲望の渦がごちゃ混ぜになり、体内を熱き血潮となって駆け巡る。
支配権を悪魔の自分に明け渡してしまいそうだ。
いや、もう半分は明け渡している。
そう認めた瞬間、ダンテは耐えきれずに、ディーヴァを押し倒して馬乗りになった。
「きゃあ!」
怪我人とは思えない強い力で体をベッドに縫い止められるディーヴァ。
あれ……こういうのをデジャヴって言うんだっけ……。
ディーヴァはのんきにそんなことを第三者視点で考えていた。
むしろ恐ろしい気持ちより、悲しい気持ちの方が大きい。
前の時と同じなのだ。
ダンテは、耐えてみせると、我慢できると言っていたのに。
しかし、今は怪我をして辛い状態、しかたないのかもしれない。
生死を彷徨うようなひどい怪我をした状態で、命の源になりうる存在がいたら誰だって手を伸ばす。
半分悪魔であるダンテにはそれがディーヴァなだけ。
それに押し倒された瞬間もそうだったが、その手付きは激しくなく痛くもなく、ひどく優しかったのを覚えている。
ギリギリラインでダンテは自分を保ちながら、悪魔となっているのだ。
そんなダンテに、ディーヴァも譲歩するべく微笑んだ。
ダンテは呼吸を荒くしながら物欲しそうな表情でディーヴァを見つめている。
ディーヴァはダンテの頭に手を伸ばすと緩慢な動きで撫でた。
「つらいんだね、やっぱり耐えられないよね……」
「悪い、オレ……」
申し訳なさそうに眉を下げ、歯を食いしばっているが、やはりその瞳は悪魔のまま、紅く染まっている。
紅色にぼんやり光る瞳を少し怖いとは思うが、ディーヴァは抵抗しなかった。
「……いいよ、血が欲しいんでしょ?
ダンテがそれで治るかもしれないなら、あたしは喜んで自分を差し出すよ。
自分にも出来ることがあるのなら、すごくうれしい」
ダンテには何もしてあげられないと思っていた。
でもこんな無力な自分にも何か役に立てるなら、それがたとえ血肉を差し出すという行為でもしてあげたい。
与えられるばかりではなく、与える側にもなりたい。
「苦しんでるダンテを見たくない。
無理はしないで欲しい」
想いが繋がったからか、ディーヴァは前の時とは考えも受け止め方も違っていた。
ダンテは困惑気味にディーヴァの動きを待った。
ディーヴァはブラウスのボタンを二、三個と外し、胸元をくつろげる。
踏み荒らされることを知らない新雪のような、真っ白な肌が露わになった。
そんな優しく身を差し出すディーヴァに、めちゃくちゃにしてしまいたい衝動がゆっくりと萎んでいく。
ダンテは痛む自身の体に叱咤し、そうっとディーヴァを抱き起こした。
「いいのか……」
「いいよ、でもあたしが死んじゃうほどの血は持ってかないでよ?」
ディーヴァは冗談っぽく言ったあと、首筋にかかる髪の毛を払い退けた。
まるでダンテが帰ってくる前に見ていた夢のようだ。
今思えば、夢の中の女性は自分だったのだろう。
「あとあまり痛くはしないでね。怖くはないけど、痛いのはあまり得意じゃないから……」
「わかってる」
ダンテがディーヴァの首に唇を押し当てると、視界の端でディーヴァ表情が強張っているのが見えた。
初体験の痛みがこれから起こると思うと、いくら怖くないと口では言っていても体では怖いのだ。
「怖がるな……、息しろ」
「でも」
「力を抜け。オレにしがみついてていいから」
耳元に囁くと、安心したのかディーヴァは力を抜きダンテにもたれかかった。
そしてダンテの背中に手を回したのを確認するや否や、一気に首筋に犬歯を突き立てた。
ブツッ
「……んっ!」
鋭い痛みが走る。
脳が痛みの信号を全身に伝える。頭のてっぺんから足のつま先まで、一気に電気が走り抜けたかのような衝撃だ。
次いで、ダンテのつけた傷口からジュルジュルと生命の源が啜られていくのを感じた。
暖かな血潮が吸われて少なくなくなり、頭に霞がかかってぼんやりしていくように感じる。
そのディーヴァの血液は、今やダンテの中へと送られ、交じり溶け合い、膨大な魔力を生み出す力となっていった。
ダンテの体を急速に巡るその力は、蝕んでいた呪いに打ち勝つよう浸食し、魔力を増幅させていく。
そして二度と戻らないと思うくらい枯渇していた魔力は一気に回復し、その悪魔の呪いすらいとも簡単に打ち破った。
それに伴い、ダンテの怪我もゆっくりと癒えていった。