mission 8:drinking blood down ~月下の悪魔~
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部屋にダンテを運んだディーヴァは、急いで暖房機のスイッチを入れた。
怪我人に寒さはよくない。震えは余計に体力を消耗する。
「まずは着替え……だよね?」
血で濡れたそれを着たままというのは、衛生的にもよろしくない。
自分もダンテと初めて会った時は同じような状態だったことを思い出した。
あの時は、衛生的というより、血濡れの姿がみっともないと思ってのことだったが……。
完全に意識を手放しているダンテのコートに手をかけるディーヴァ。
寝込みを襲っているようで少々恥ずかしく感じるが、そうも言っていられないだろう。
肌にコートから滲んだ血が張り付き脱がせづらい。
四苦八苦しながらようやく脱がすと、固く絞ったタオルで血を拭き取り、包帯を固く巻いた。
横になった相手の包帯を巻くのは至難のわざだ。そこへきて、相手の意識がない状態というのは、普段よりもなかなかの重労働だった。
「ふう……」
額の汗をぬぐうと自分の服にもダンテの血が付着しているのがわかった。
付着もそうだが、部屋の中には血の鉄臭いにおいが充満していた。あまり好きではない香りだ。
いやでもあの夜を思い出してしまう。
ディーヴァはダンテが起きぬ内に手早く着替えると、ダンテの意識が戻るのをひたすらに待った。
これが普通のデビルハンターだったら、こんな怪我の心配を毎日しなくてはいけないんだろうな、と思う。
自分は少しダンテの力を過信していた。
ダンテは絶対悪魔なんかに負けないんだと…。絶対なんてことはありえないのに、だ。
じわりと涙が浮かんで、視界がぼやける。
今日は酷い怪我をしていても、こうして帰ってきてくれた。
でも、もしもこの先ダンテが悪魔に負けるようなことがあったら?
それを全然考えてなかった。
悪魔との戦いは命の取り合い。ダンテが死ぬ可能性だってあるんだ。
ダンテがデビルハンターをする限りはいつだって死はそこに。
ダンテは死と隣り合わせで生きている。
自分には何もできない。
こうやって心配したり、怪我を手当てする以外何もしてあげられないんだ。
ディーヴァは涙しながら、悔しさに唇を噛んだ。
「う……」
ダンテの睫毛がふるふると震え、ゆっくりとアクアマリンの双眸が覗いた。
「ここは……?」
ダンテが目覚めた。
たまらずディーヴァは怪我に触れぬよう注意しながら抱きついた。
「大丈夫!?何かして欲しいことある?怪我は痛む?」
心配そうに自分を覗き込むディーヴァに、ダンテは帰ってこれたのを思い出した。
べちゃべちゃに血濡れだった体も、血がすっかり拭き取られており、コートはどこかへ、そしてその体には丁寧に包帯が巻かれていた。
……ああそうだ。倒れたんだ。
なんと情けない。
両手で顔を覆ってしまいたい衝動にかられたが、だるくて動く気が起きない。
「大丈夫だよ」
やっとの思いで声を出す。
その声はひどくかすれていた。
「喉もつらそう……そうだ、何か飲むもの持ってくるね」
包帯を巻くのだって大変だったであろう。
甲斐甲斐しく世話を焼こうとするディーヴァはそう言って立ち上がる。
ダンテはその手を引き寄せ止めた。
「行くな」
「え……でも、」
「行かないでくれ」
手をギュッと握り訴える。
体はだるくてしかたない状態なのだが、自分でもどこから出ているのかわからないくらいの力が出た。
「うん……わかった」
その力強さとと子犬のように見つめる瞳にディーヴァは頷くことしか出来なかった。
ディーヴァはダンテの掴む手に自分の指を絡ませると、その温度を移すかのようにしっかりと握り返した。
「心配したんだから……。死んじゃうかと思った……。もっと体を大事にして」
「ごめんな。
早く帰ってディーヴァに会いたかったから、気が急いて集中できなかったんだ。そしたら強い悪魔にやられちまった」
「……そっか」
そういうことを言われたら何も怒れない。
ディーヴァはダンテの顔に流れる汗を優しくぬぐい、額の上のぬるくなってしまったタオルを冷たいものと交換した。
その間中、ダンテは気だるそうにしながらも、ずっとディーヴァを見つめていた。
「ありがとな」
ダンテの感謝の言葉にクスリと笑みを浮かべると、母親がするかのようにその頭を撫でた。
「ここにずっといるから安心して眠って?
じゃないと治るものも治らないよ。
起きたら何か飲み物とか食べ物を口にしようね」
ディーヴァはダンテに教わった子守唄を口ずさんだ。
「そう……する……」
その歌声に安心したのかダンテからはすぐに寝息が聞こえてきた。
ディーヴァも疲れたと感じ、少しだけ眠らせてもらうことにする。
その手は固く繋がれたままだった。
怪我人に寒さはよくない。震えは余計に体力を消耗する。
「まずは着替え……だよね?」
血で濡れたそれを着たままというのは、衛生的にもよろしくない。
自分もダンテと初めて会った時は同じような状態だったことを思い出した。
あの時は、衛生的というより、血濡れの姿がみっともないと思ってのことだったが……。
完全に意識を手放しているダンテのコートに手をかけるディーヴァ。
寝込みを襲っているようで少々恥ずかしく感じるが、そうも言っていられないだろう。
肌にコートから滲んだ血が張り付き脱がせづらい。
四苦八苦しながらようやく脱がすと、固く絞ったタオルで血を拭き取り、包帯を固く巻いた。
横になった相手の包帯を巻くのは至難のわざだ。そこへきて、相手の意識がない状態というのは、普段よりもなかなかの重労働だった。
「ふう……」
額の汗をぬぐうと自分の服にもダンテの血が付着しているのがわかった。
付着もそうだが、部屋の中には血の鉄臭いにおいが充満していた。あまり好きではない香りだ。
いやでもあの夜を思い出してしまう。
ディーヴァはダンテが起きぬ内に手早く着替えると、ダンテの意識が戻るのをひたすらに待った。
これが普通のデビルハンターだったら、こんな怪我の心配を毎日しなくてはいけないんだろうな、と思う。
自分は少しダンテの力を過信していた。
ダンテは絶対悪魔なんかに負けないんだと…。絶対なんてことはありえないのに、だ。
じわりと涙が浮かんで、視界がぼやける。
今日は酷い怪我をしていても、こうして帰ってきてくれた。
でも、もしもこの先ダンテが悪魔に負けるようなことがあったら?
それを全然考えてなかった。
悪魔との戦いは命の取り合い。ダンテが死ぬ可能性だってあるんだ。
ダンテがデビルハンターをする限りはいつだって死はそこに。
ダンテは死と隣り合わせで生きている。
自分には何もできない。
こうやって心配したり、怪我を手当てする以外何もしてあげられないんだ。
ディーヴァは涙しながら、悔しさに唇を噛んだ。
「う……」
ダンテの睫毛がふるふると震え、ゆっくりとアクアマリンの双眸が覗いた。
「ここは……?」
ダンテが目覚めた。
たまらずディーヴァは怪我に触れぬよう注意しながら抱きついた。
「大丈夫!?何かして欲しいことある?怪我は痛む?」
心配そうに自分を覗き込むディーヴァに、ダンテは帰ってこれたのを思い出した。
べちゃべちゃに血濡れだった体も、血がすっかり拭き取られており、コートはどこかへ、そしてその体には丁寧に包帯が巻かれていた。
……ああそうだ。倒れたんだ。
なんと情けない。
両手で顔を覆ってしまいたい衝動にかられたが、だるくて動く気が起きない。
「大丈夫だよ」
やっとの思いで声を出す。
その声はひどくかすれていた。
「喉もつらそう……そうだ、何か飲むもの持ってくるね」
包帯を巻くのだって大変だったであろう。
甲斐甲斐しく世話を焼こうとするディーヴァはそう言って立ち上がる。
ダンテはその手を引き寄せ止めた。
「行くな」
「え……でも、」
「行かないでくれ」
手をギュッと握り訴える。
体はだるくてしかたない状態なのだが、自分でもどこから出ているのかわからないくらいの力が出た。
「うん……わかった」
その力強さとと子犬のように見つめる瞳にディーヴァは頷くことしか出来なかった。
ディーヴァはダンテの掴む手に自分の指を絡ませると、その温度を移すかのようにしっかりと握り返した。
「心配したんだから……。死んじゃうかと思った……。もっと体を大事にして」
「ごめんな。
早く帰ってディーヴァに会いたかったから、気が急いて集中できなかったんだ。そしたら強い悪魔にやられちまった」
「……そっか」
そういうことを言われたら何も怒れない。
ディーヴァはダンテの顔に流れる汗を優しくぬぐい、額の上のぬるくなってしまったタオルを冷たいものと交換した。
その間中、ダンテは気だるそうにしながらも、ずっとディーヴァを見つめていた。
「ありがとな」
ダンテの感謝の言葉にクスリと笑みを浮かべると、母親がするかのようにその頭を撫でた。
「ここにずっといるから安心して眠って?
じゃないと治るものも治らないよ。
起きたら何か飲み物とか食べ物を口にしようね」
ディーヴァはダンテに教わった子守唄を口ずさんだ。
「そう……する……」
その歌声に安心したのかダンテからはすぐに寝息が聞こえてきた。
ディーヴァも疲れたと感じ、少しだけ眠らせてもらうことにする。
その手は固く繋がれたままだった。