mission 8:drinking blood down ~月下の悪魔~
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ディーヴァから告白の返事を受け二週間後くらい、ダンテは悪魔退治の依頼を請け負った。
まだ正式な店の名前を決めていないのというに、『当たり』の仕事が舞い込むとは珍しいこともあるものだ。
気分が高揚しているのが、相棒のカスタマイズをするダンテの様子にも出ていた。
それをニコニコと笑顔で見るディーヴァと目が合う度、ウキウキと心が弾む。
嗚呼、最愛の彼女が、愛しくてたまらない。
そう彼女!
彼女という響き、それもまた愛しい!
ディーヴァが何も言わなくても、その愛は感じとれた。
ディーヴァからの無言の愛が、そして自分が贈る愛の言葉が、互いに力を与える。
ダンテは今、とても幸せだった。
しかし、悪魔退治の依頼が入るのは喜ばしいことだが、ディーヴァとは離れたくない。
想いが繋がって数日の間なんかは、ディーヴァを学校に行かせるのさえ躊躇するくらい、ダンテはずぅっと一緒にいたいと、そう思い、軟禁……いや、監禁してしまいたかったくらいだ。
なんと恐ろしいことを考える男だ。
そんな状態だから、本当のことを言うと依頼先になんて行きたくない。
片時も離れたくない思いでいっぱいだった。
でも、依頼は受けてしまったし、すっぽかしでもしたらディーヴァに怒られてしまうかもしれない。
怒られるだけならいい。
万が一嫌われでもしたら、ダンテはきっと立ち直れない。
だからこそダンテは急いで悪魔を倒し、その日の内に帰れるよう綿密な計画を立てた。
幸い、依頼先はここからそう遠くない牧場である。
そして牧場に来たわけだが。
依頼主には事前に『死神のような化け物が数体出没するので退治してほしい』と聞いていた。
死神のような悪魔、ヘル・プライド達のことに違いない。
つまりは雑魚だけ、と聞いていたのに蓋を開けてビックリ、とはこのこと。
広大な牧場の中に広がる森に足を踏み入れた途端、悪魔達はわらわらと餌に群がる虫の如く集まりだした。
その数は数体とは言えぬ数。
しかも教えられた種類とは明らかに違う悪魔がいた。
野生の狼に悪魔が取り憑き、異形の生物へと変えてしまったのだろうか。
その悪魔は顔や体は狼のままだが、二足歩行が可能となった出で立ちはまるで狼男のようだ。
狼が素体の者には似合わぬ量の筋肉の盛り上がりが、プロレスラーのような腕っぷしを想像させた。
その上につく、刃物のような爪。
狼と言うだけでも常人にはやっかいだろうが、これを目の前にしたら熊でさえ赤子のようなもの。
一般人はもちろん、ダンテ以外にも数名存在しているその辺のデビルハンターには、無傷で倒すことはなかなかに難しいことと思えた。
「まあ、オレの手にかかればどうってことねぇな」
ダンテは普通のデビルハンターとは違う。
そもそも動物に取り憑いてしまった悪魔を、相手に戦った経験だって少なくはない。
人間に取り憑かなかっただけマシな方だ。
「それよりオレはなぁ!早くディーヴァの元へ帰りたくてたまんねーんだ。
だからてめぇら悪魔どもには早急に冥府へと行ってもらおうか!」
ダンテはリベリオンと双子銃を手に悪魔の群れに突っ込んでいった。
これさえ終わればディーヴァが暖かな笑顔で迎えてくれる。
むくむくと沸き上がる幸せを感じ、ダンテはにやける顔をそのままに悪魔を倒す。
悪魔さえ気味悪がりそうなほどダンテの頬は先ほどから緩みっぱなし。
それは戦いの場にはおよそ似つかわしくない表情である。
悪魔達はそんなどこか浮ついたダンテに怒りを募らせると、前から後ろから上から、そして時には地面から飛び掛かった。
「お?オレってばモッテモテー。
ディーヴァにもモテて嬉しいってのに、お前らにもこんなにモテモテで幸せだ!
今ならお前らにキスできそうだぜ」
太い樹の幹にキックジャンプを繰り出し、四方八方から攻撃してきた悪魔を、ダンテは華麗に避けきった。
そのまま一気に高く飛び上がると、集まった悪魔に弾丸の雨を降らせる。
「鉛のキスだけどな!」
続けてダンテは、鼻歌まじりにスキップしながら悪魔を狩っていく。
ワンフレーズ分のステップを踏み終わる頃には、いつの間にやら雑魚を駆逐し終えていた。
残りは狼に取り憑いた悪魔か。
遠目からダンテの力量を測っていたように見えるその悪魔、意外に頭がいいのかもしれない。
「ふん、アンティパストはここまでってことか……」
図体の大きな狼悪魔の群れが、ダンテをあちこちから取り囲んでいる。
逃げ場はない。
狼悪魔の脅威となるのはその太い腕と鋭い牙がびっしりと並んだ顎。
パンチも強力な腕だが、そこにつくナイフのような鉤爪。
あんな物喰らったらひとたまりもない、しかも連携を組んでこちらを襲うのだ。
絶体絶命である。
「へいカモン!犬っころ!」
だが、そのピンチすらダンテにとっては、一種の遊園地のアトラクションのようなものだった。
チワワでもじゃれついてるかのように悪魔を扱うと、攻撃してくるよう挑発し、戦いに身を投じた。
ただただ、気が漫ろで、自宅へと思いが急いてるのだ。
「言ったよな!オレはサッサと帰りたいんだ!帰ってディーヴァに早く会いたいんだ、……よッ!」
ダンテは手にしたリベリオンで狼悪魔を数匹まとめて薙ぎ払い、倒れ込んだ奴らを踏みつけて頭部に銃を乱射した。
容赦ない弾丸の雨で、蜂の巣になっていく悪魔達。
だが、目の前の悪魔を先に倒すことだけ考えていたダンテは、後ろから飛びかかる敵に気がつかなかった。
幸せの絶頂故の浮かれた心と、気が急いていることからの焦りで、注意力散漫となっていたダンテは避けられずに攻撃を受けた。
「ぐッ!!」
焼けるように熱い。
腹部から太い鉤爪が生えたかのように覗いている。
悪魔の鉤爪と腕が貫通したのだ。
辺りに自分の鉄臭い血の匂いが漂う。
赤い鮮血が迸り、コートを赤黒く染め上げた。
大量の血液と共に自分の臓物がぶちまけられ、びちゃびちゃと音を立てながらだらしなくぶら下がる。
あ、ヤバイ。
まあいいだろう、ここまでの怪我は、多少時間はかかるが半分悪魔の体ゆえに、完治するのだ。
しかし、頑丈なはずの半魔の体に、いとも容易く貫通させるとは、こいつらやりおる。
「ちーっとばっかし本気出すぜ……!」
ダンテは愛銃を背中のホルスターにしまうと、握りしめたリベリオンに魔力を込める。
そして狼悪魔を数十振りの斬撃、そしてその衝撃波で屠ったのだった。
まだ正式な店の名前を決めていないのというに、『当たり』の仕事が舞い込むとは珍しいこともあるものだ。
気分が高揚しているのが、相棒のカスタマイズをするダンテの様子にも出ていた。
それをニコニコと笑顔で見るディーヴァと目が合う度、ウキウキと心が弾む。
嗚呼、最愛の彼女が、愛しくてたまらない。
そう彼女!
彼女という響き、それもまた愛しい!
ディーヴァが何も言わなくても、その愛は感じとれた。
ディーヴァからの無言の愛が、そして自分が贈る愛の言葉が、互いに力を与える。
ダンテは今、とても幸せだった。
しかし、悪魔退治の依頼が入るのは喜ばしいことだが、ディーヴァとは離れたくない。
想いが繋がって数日の間なんかは、ディーヴァを学校に行かせるのさえ躊躇するくらい、ダンテはずぅっと一緒にいたいと、そう思い、軟禁……いや、監禁してしまいたかったくらいだ。
なんと恐ろしいことを考える男だ。
そんな状態だから、本当のことを言うと依頼先になんて行きたくない。
片時も離れたくない思いでいっぱいだった。
でも、依頼は受けてしまったし、すっぽかしでもしたらディーヴァに怒られてしまうかもしれない。
怒られるだけならいい。
万が一嫌われでもしたら、ダンテはきっと立ち直れない。
だからこそダンテは急いで悪魔を倒し、その日の内に帰れるよう綿密な計画を立てた。
幸い、依頼先はここからそう遠くない牧場である。
そして牧場に来たわけだが。
依頼主には事前に『死神のような化け物が数体出没するので退治してほしい』と聞いていた。
死神のような悪魔、ヘル・プライド達のことに違いない。
つまりは雑魚だけ、と聞いていたのに蓋を開けてビックリ、とはこのこと。
広大な牧場の中に広がる森に足を踏み入れた途端、悪魔達はわらわらと餌に群がる虫の如く集まりだした。
その数は数体とは言えぬ数。
しかも教えられた種類とは明らかに違う悪魔がいた。
野生の狼に悪魔が取り憑き、異形の生物へと変えてしまったのだろうか。
その悪魔は顔や体は狼のままだが、二足歩行が可能となった出で立ちはまるで狼男のようだ。
狼が素体の者には似合わぬ量の筋肉の盛り上がりが、プロレスラーのような腕っぷしを想像させた。
その上につく、刃物のような爪。
狼と言うだけでも常人にはやっかいだろうが、これを目の前にしたら熊でさえ赤子のようなもの。
一般人はもちろん、ダンテ以外にも数名存在しているその辺のデビルハンターには、無傷で倒すことはなかなかに難しいことと思えた。
「まあ、オレの手にかかればどうってことねぇな」
ダンテは普通のデビルハンターとは違う。
そもそも動物に取り憑いてしまった悪魔を、相手に戦った経験だって少なくはない。
人間に取り憑かなかっただけマシな方だ。
「それよりオレはなぁ!早くディーヴァの元へ帰りたくてたまんねーんだ。
だからてめぇら悪魔どもには早急に冥府へと行ってもらおうか!」
ダンテはリベリオンと双子銃を手に悪魔の群れに突っ込んでいった。
これさえ終わればディーヴァが暖かな笑顔で迎えてくれる。
むくむくと沸き上がる幸せを感じ、ダンテはにやける顔をそのままに悪魔を倒す。
悪魔さえ気味悪がりそうなほどダンテの頬は先ほどから緩みっぱなし。
それは戦いの場にはおよそ似つかわしくない表情である。
悪魔達はそんなどこか浮ついたダンテに怒りを募らせると、前から後ろから上から、そして時には地面から飛び掛かった。
「お?オレってばモッテモテー。
ディーヴァにもモテて嬉しいってのに、お前らにもこんなにモテモテで幸せだ!
今ならお前らにキスできそうだぜ」
太い樹の幹にキックジャンプを繰り出し、四方八方から攻撃してきた悪魔を、ダンテは華麗に避けきった。
そのまま一気に高く飛び上がると、集まった悪魔に弾丸の雨を降らせる。
「鉛のキスだけどな!」
続けてダンテは、鼻歌まじりにスキップしながら悪魔を狩っていく。
ワンフレーズ分のステップを踏み終わる頃には、いつの間にやら雑魚を駆逐し終えていた。
残りは狼に取り憑いた悪魔か。
遠目からダンテの力量を測っていたように見えるその悪魔、意外に頭がいいのかもしれない。
「ふん、アンティパストはここまでってことか……」
図体の大きな狼悪魔の群れが、ダンテをあちこちから取り囲んでいる。
逃げ場はない。
狼悪魔の脅威となるのはその太い腕と鋭い牙がびっしりと並んだ顎。
パンチも強力な腕だが、そこにつくナイフのような鉤爪。
あんな物喰らったらひとたまりもない、しかも連携を組んでこちらを襲うのだ。
絶体絶命である。
「へいカモン!犬っころ!」
だが、そのピンチすらダンテにとっては、一種の遊園地のアトラクションのようなものだった。
チワワでもじゃれついてるかのように悪魔を扱うと、攻撃してくるよう挑発し、戦いに身を投じた。
ただただ、気が漫ろで、自宅へと思いが急いてるのだ。
「言ったよな!オレはサッサと帰りたいんだ!帰ってディーヴァに早く会いたいんだ、……よッ!」
ダンテは手にしたリベリオンで狼悪魔を数匹まとめて薙ぎ払い、倒れ込んだ奴らを踏みつけて頭部に銃を乱射した。
容赦ない弾丸の雨で、蜂の巣になっていく悪魔達。
だが、目の前の悪魔を先に倒すことだけ考えていたダンテは、後ろから飛びかかる敵に気がつかなかった。
幸せの絶頂故の浮かれた心と、気が急いていることからの焦りで、注意力散漫となっていたダンテは避けられずに攻撃を受けた。
「ぐッ!!」
焼けるように熱い。
腹部から太い鉤爪が生えたかのように覗いている。
悪魔の鉤爪と腕が貫通したのだ。
辺りに自分の鉄臭い血の匂いが漂う。
赤い鮮血が迸り、コートを赤黒く染め上げた。
大量の血液と共に自分の臓物がぶちまけられ、びちゃびちゃと音を立てながらだらしなくぶら下がる。
あ、ヤバイ。
まあいいだろう、ここまでの怪我は、多少時間はかかるが半分悪魔の体ゆえに、完治するのだ。
しかし、頑丈なはずの半魔の体に、いとも容易く貫通させるとは、こいつらやりおる。
「ちーっとばっかし本気出すぜ……!」
ダンテは愛銃を背中のホルスターにしまうと、握りしめたリベリオンに魔力を込める。
そして狼悪魔を数十振りの斬撃、そしてその衝撃波で屠ったのだった。