mission 6:Let's go shopping! ~手を繋いで~
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ふとダンテを見ると口の端に生クリームがついているのが見えた。
「ついてるよ」
ハンカチで拭うでもなく、ただ指摘するでもなく、ディーヴァは自然な動作で指を伸ばした。
指にとりダンテに確認させると、そのまま赤い舌でぺろと舐め口に含む。
ちゅぱ、粘着質のある音が耳に残る。
「っ!?」
その仕草が色を含んで扇情的に見えた。
公共の場だというのに今すぐその小さな唇を貪りたい気分だ。
ダンテは高ぶる気持ちをどうにか発散させようと視線をさ迷わせた。
「どうかした?」
きょとんと首を傾げる動きに合わせ、そのたわわに実った胸がぽわんと揺れる。
今日一日あまり見ないようにしていたのに、今はどうしてもディーヴァの胸元に目が行く。
でもその仕草もすべて狙ってやっているわけではないから困りものなのだ。
回りをちらっと確認すると、ダンテ以外にもやはりディーヴァという甘い蜜に集まる蟻どもが彼女に見とれていた。
高ぶりつつあった己を強引に落ち着かせ、ディーヴァを好奇の視線から守るようにして立ち上がる。
もちろん、回りを牽制するのも忘れない。
「なんでもねぇ……そろそろ行こう。スラムも案内して欲しいんだろ?」
「そうだね、久しぶりにすごく楽しめた!ダンテありがとう」
ダンテの手をとって握り、ディーヴァはふわりと笑顔を浮かべる。
ふわふわした笑顔とともに、ダンテにはふわふわと甘い香りが届き、ダンテを再び幸せな気分にさせた。
ディーヴァとダンテは一度荷物を置きに事務所へ帰り、今度は徒歩でスラムに行くことにした。
「疲れてない?今度にする?」
「大丈夫だよ、そっちこそ疲れてないか?」
「ふふ、平気」
ディーヴァは危ないと教えた甲斐もあって、普段使う道の反対側に行ったことがなかった。
ダンテはディーヴァを連れ、辺りの様子を確認しながら慎重に進んだ。
自分一人なら気にしないが、万が一ディーヴァのいる状態で発砲事件でも起こっては気が気じゃない。
だが、そのダンテの懸念とは裏腹に昼間だからか不審者の一人も見当たらなくて安心する。
ダンテは行ってはいけないところ、行ってもいいところ、そして、通らないでほしい道を、改めてディーヴァにしっかりと教え込んだ。
「以上が行って欲しくねぇとこだ。わかったか?」
「うん、わかった。けど、行っちゃだめなとこ多いねぇ」
「そりゃスラムだからな」
遠足にでも来ているかのようにキョロキョロと回りをみてまわるディーヴァに苦笑した。
「あと、ここがスラムのマーケットだ」
ディーヴァの使う道から横に入ってすぐ、そこそこ活気の溢れた店が軒並み連なっていた。
罵声飛び交うその様はまるで漁港市場のようである。
「こんな場所にこんなところが……!」
「賑わってていいだろ。だが、市場のように見えてその実何でもありだから注意しろ。スリとかも頻発する。しかし大抵はここで買えるってのも事実だ」
「へぇ……」
「品はそんなによくないが、とにかく安い」
店先の品物を見定めながら進む。
驚きながら見るディーヴァにダンテは小声で話した。
「うん……ほんと安ぅい……」
「まあな。
値切ればさらに安くなるが、買うんだったら鮮度はホントによくないから気を付けろ」
確かにリンゴには落として傷んだ跡があるし、肉類は腐ってはいないものの色が悪くなってきている。
よく見て買った方が良さそうだ。
しかしどれもこれもディーヴァには調理できる範囲だったようで、さっそく食材を購入しだした。
きちんと値切っているところを見ると、主婦歴そこそこの若奥様に思えてしまい、ダンテは舌を巻いた。
おいディーヴァ、お前、オジョウサマじゃなかったか??
今晩のおかずに変わるであろう食材を多々購入したあと、買い物袋を片手にダンテはネオンサインのついた歓楽街を指差した。
「昔からオレは大抵あのへんで飲んでる」
「昔から?いつから飲酒してるわけ?」
昔から、と言っているということは未成年者だった時も飲酒していた可能性が高い。
ちなみにアメリカの成年年齢は18で、飲酒可能年齢は21だ。
州によっては異なるが、二人の住むこの地域はそうだった。
「ちょっと聞きたいんだけどさ、ダンテって今いくつなの?」
「オレか?今19だぜ」
「ウワァーーーー!!未成年んんん!」
今もりっぱに違法行為だった。
今はともかく、18以前にも飲んでいたとあってはとりあえず話が別物だ。
ディーヴァの怒りのツボに少し入ったようでとがめるような視線が返ってきた。
「ウワァーーーーってなんだよ、ウワァーーーーって。
スラムの住民にいちいちそんなの突っ込むのはなしだぜdarling?」
ダンテはケラケラ笑うと、ディーヴァの後頭部に軽くキスを落とした。
「ッ!」
ダンテも買い物袋を持っている。が、ディーヴァも重くないものとはいえ、買い物袋で両手がふさがっている。
片手で持つのは容易だったが、赤くなる顔を覆うことも、仕返しに拳の一発を入れることも咄嗟にはできなかった。
「はぁ……とりあえずスラム街は案内してもらったから、これで変な道に行かなくてすみそうだね」
「危険なことには変わらないからな。なるべく俺と一緒に通ること、いいな?」
「わかってる、色々ありがとう……」
今度こそ荷物を両手に抱え、ダンテの手に自らの手を重ねるディーヴァ。
その指をゆっくりとダンテのそれに絡ませ、感謝の気持ちとともに熱をダンテに移すかのごとく、更に体をぴったり寄せた。
恋人のように指を絡ませた繋ぎ方にダンテは一瞬だけ驚いたが、ディーヴァの赤い顔を目にし、何も言わずにぎゅっと握り返した。
肉体的な意味でなく精神的な意味で、もっと彼女に近づけた気がして嬉しくなる。
心が暖かい羽毛で包まれたようなくすぐったい感覚。
そんなダンテ逹を一匹の悪魔が物陰から覗いているのがが見えた。
ディーヴァは気がついていないようだ。
下手に教えて怖がらせるのも嫌だ。
せっかくの言い雰囲気に無粋な真似はしたくはない。
一匹くらいならいつでも倒せるし、今は幸せだから見逃してやらんでもない。
そもそもダンテは今武器を持っていない。
一度帰った時に装備すれば良かったのだが、うっかり忘れてしまったのだ。
幸いなことに悪魔は魔力もあまり感じなく、小者のようだ。
襲ってこないし、今日は放っておくことにした。
●あとがき
レストランのモデルはアウトバックステーキハウス。
作中には登場してませんが、メイン料理を頼むとついてくるハニーブレッドが美味しいです。
誕生日祝うのが楽しい店です。
「ついてるよ」
ハンカチで拭うでもなく、ただ指摘するでもなく、ディーヴァは自然な動作で指を伸ばした。
指にとりダンテに確認させると、そのまま赤い舌でぺろと舐め口に含む。
ちゅぱ、粘着質のある音が耳に残る。
「っ!?」
その仕草が色を含んで扇情的に見えた。
公共の場だというのに今すぐその小さな唇を貪りたい気分だ。
ダンテは高ぶる気持ちをどうにか発散させようと視線をさ迷わせた。
「どうかした?」
きょとんと首を傾げる動きに合わせ、そのたわわに実った胸がぽわんと揺れる。
今日一日あまり見ないようにしていたのに、今はどうしてもディーヴァの胸元に目が行く。
でもその仕草もすべて狙ってやっているわけではないから困りものなのだ。
回りをちらっと確認すると、ダンテ以外にもやはりディーヴァという甘い蜜に集まる蟻どもが彼女に見とれていた。
高ぶりつつあった己を強引に落ち着かせ、ディーヴァを好奇の視線から守るようにして立ち上がる。
もちろん、回りを牽制するのも忘れない。
「なんでもねぇ……そろそろ行こう。スラムも案内して欲しいんだろ?」
「そうだね、久しぶりにすごく楽しめた!ダンテありがとう」
ダンテの手をとって握り、ディーヴァはふわりと笑顔を浮かべる。
ふわふわした笑顔とともに、ダンテにはふわふわと甘い香りが届き、ダンテを再び幸せな気分にさせた。
ディーヴァとダンテは一度荷物を置きに事務所へ帰り、今度は徒歩でスラムに行くことにした。
「疲れてない?今度にする?」
「大丈夫だよ、そっちこそ疲れてないか?」
「ふふ、平気」
ディーヴァは危ないと教えた甲斐もあって、普段使う道の反対側に行ったことがなかった。
ダンテはディーヴァを連れ、辺りの様子を確認しながら慎重に進んだ。
自分一人なら気にしないが、万が一ディーヴァのいる状態で発砲事件でも起こっては気が気じゃない。
だが、そのダンテの懸念とは裏腹に昼間だからか不審者の一人も見当たらなくて安心する。
ダンテは行ってはいけないところ、行ってもいいところ、そして、通らないでほしい道を、改めてディーヴァにしっかりと教え込んだ。
「以上が行って欲しくねぇとこだ。わかったか?」
「うん、わかった。けど、行っちゃだめなとこ多いねぇ」
「そりゃスラムだからな」
遠足にでも来ているかのようにキョロキョロと回りをみてまわるディーヴァに苦笑した。
「あと、ここがスラムのマーケットだ」
ディーヴァの使う道から横に入ってすぐ、そこそこ活気の溢れた店が軒並み連なっていた。
罵声飛び交うその様はまるで漁港市場のようである。
「こんな場所にこんなところが……!」
「賑わってていいだろ。だが、市場のように見えてその実何でもありだから注意しろ。スリとかも頻発する。しかし大抵はここで買えるってのも事実だ」
「へぇ……」
「品はそんなによくないが、とにかく安い」
店先の品物を見定めながら進む。
驚きながら見るディーヴァにダンテは小声で話した。
「うん……ほんと安ぅい……」
「まあな。
値切ればさらに安くなるが、買うんだったら鮮度はホントによくないから気を付けろ」
確かにリンゴには落として傷んだ跡があるし、肉類は腐ってはいないものの色が悪くなってきている。
よく見て買った方が良さそうだ。
しかしどれもこれもディーヴァには調理できる範囲だったようで、さっそく食材を購入しだした。
きちんと値切っているところを見ると、主婦歴そこそこの若奥様に思えてしまい、ダンテは舌を巻いた。
おいディーヴァ、お前、オジョウサマじゃなかったか??
今晩のおかずに変わるであろう食材を多々購入したあと、買い物袋を片手にダンテはネオンサインのついた歓楽街を指差した。
「昔からオレは大抵あのへんで飲んでる」
「昔から?いつから飲酒してるわけ?」
昔から、と言っているということは未成年者だった時も飲酒していた可能性が高い。
ちなみにアメリカの成年年齢は18で、飲酒可能年齢は21だ。
州によっては異なるが、二人の住むこの地域はそうだった。
「ちょっと聞きたいんだけどさ、ダンテって今いくつなの?」
「オレか?今19だぜ」
「ウワァーーーー!!未成年んんん!」
今もりっぱに違法行為だった。
今はともかく、18以前にも飲んでいたとあってはとりあえず話が別物だ。
ディーヴァの怒りのツボに少し入ったようでとがめるような視線が返ってきた。
「ウワァーーーーってなんだよ、ウワァーーーーって。
スラムの住民にいちいちそんなの突っ込むのはなしだぜdarling?」
ダンテはケラケラ笑うと、ディーヴァの後頭部に軽くキスを落とした。
「ッ!」
ダンテも買い物袋を持っている。が、ディーヴァも重くないものとはいえ、買い物袋で両手がふさがっている。
片手で持つのは容易だったが、赤くなる顔を覆うことも、仕返しに拳の一発を入れることも咄嗟にはできなかった。
「はぁ……とりあえずスラム街は案内してもらったから、これで変な道に行かなくてすみそうだね」
「危険なことには変わらないからな。なるべく俺と一緒に通ること、いいな?」
「わかってる、色々ありがとう……」
今度こそ荷物を両手に抱え、ダンテの手に自らの手を重ねるディーヴァ。
その指をゆっくりとダンテのそれに絡ませ、感謝の気持ちとともに熱をダンテに移すかのごとく、更に体をぴったり寄せた。
恋人のように指を絡ませた繋ぎ方にダンテは一瞬だけ驚いたが、ディーヴァの赤い顔を目にし、何も言わずにぎゅっと握り返した。
肉体的な意味でなく精神的な意味で、もっと彼女に近づけた気がして嬉しくなる。
心が暖かい羽毛で包まれたようなくすぐったい感覚。
そんなダンテ逹を一匹の悪魔が物陰から覗いているのがが見えた。
ディーヴァは気がついていないようだ。
下手に教えて怖がらせるのも嫌だ。
せっかくの言い雰囲気に無粋な真似はしたくはない。
一匹くらいならいつでも倒せるし、今は幸せだから見逃してやらんでもない。
そもそもダンテは今武器を持っていない。
一度帰った時に装備すれば良かったのだが、うっかり忘れてしまったのだ。
幸いなことに悪魔は魔力もあまり感じなく、小者のようだ。
襲ってこないし、今日は放っておくことにした。
●あとがき
レストランのモデルはアウトバックステーキハウス。
作中には登場してませんが、メイン料理を頼むとついてくるハニーブレッドが美味しいです。
誕生日祝うのが楽しい店です。