mission 3: Confession of love ~愛の告白~
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ダンテに着いて行く決心をしたディーヴァは、何はともあれまず亡くなった大切な家族の元へと急いだ。
家族をあのままいつまでも放置しておくのはいやだ。
廊下へ出て足を踏み入れた玄関ホール。
数日前までは暖かく微笑んでくれていた家族。
今は氷のように冷たく、硬直してしまった三人の遺体を目にし、震える指先で触れる。
伝わる温度にはやはり熱がない。
流れ乾いた血が全てを赤黒く染め、生をまったく感じない。
でも、その顔はとても安らかで。
「まるで眠っているみたい」
殺されてしまっているが、悪魔がディーヴァにばかり気を取られていたおかげか、それ以上傷つけられずにすんだようだ。
でなければ今頃はとうの昔に悪魔の血肉となっていたことだろう。
「ほんと、に……眠って……る、みた、……っ、!」
それでも命の温もりが感じられない事に変わりない。
『最愛の家族の死』。
それを改めて実感し、ディーヴァはまたもや泣き出してしまった。
無理もない。
病気などで覚悟をしていたというなら別だが、これは突然のこと。
家族という大切な者をいっぺんに失うには、あまりにも急すぎた。あまりに若すぎた。
ダンテは何も言わず、ただただその小さな背中を撫で続けた。
「泣いていい。我慢しないで思う存分泣いちまえ」
「ふっ、ぅ、うぇぇぇぇぇん!!」
ダンテにしがみつくこと一時間、ようやく泣きやんだディーヴァは、静寂が包む中、家族の皮膚にこびりついた血を、丁寧に拭き取りながらダンテと朝を待った。
あまりにも色々ありすぎたせいか、空腹も感じない。
助けてくれたダンテへのお礼に、食事を作ることすら考えもつかなかった。
普段のディーヴァならば、考えられない事だ。
自分の部屋にすら戻らず、疲れて倒れこむようにソファで寝入ってしまった。
ダンテももうひとつのソファで休んだようだが、気がつけば寝顔を見られていた、というのは記憶に新しい。
ああ、なんて無防備な真似してしまったのだろう。
あとで思い返せば、恥ずかしい事ばかりやらかしていて、顔から火を吹きそうだった。
そうして朝日が窓から差し込み、その太陽が暖かく部屋全体を照らした頃、二人は屋敷裏の家庭墓地に移動した。
ディーヴァの屋敷はそこそこの広さで、墓地もある。
そこには歴代の先祖が眠っており、件の天使も眠っているらしい。
墓場とは思えないほど清らかな空気に満ちていて、半魔であるダンテは少々居心地が悪いくらいだった。
普通は殺人や事故などで人が死ぬと、まずは警察や葬儀屋に連絡し、その亡骸は検死にかけられる。
その検死ののち、葬儀をあげなくてはならない。
だが悪魔という、一般には決して知られることのない存在が関連してしまったことで、正規の方法で葬儀を行うことができなくなってしまった。
ディーヴァが涙ながらに911へと電話をかけようとしたところ、ダンテがそれを止めた。
今回はそんなダンテのツテを頼り、悪魔が関わってしまって亡くなった者。その葬儀だけでなく、証拠隠滅、全ての隠蔽工作を請け負う知り合いへと連絡をしてもらったのだ。
それにより葬儀はビューイングなども出来ぬ、完全なる家族葬。
遺体が悪魔に利用されぬように浄化さえすれば、自分達で埋葬をしていいということになった。
それでもディーヴァの父は社会的に地位を持つ人物。特例で死亡広告を出すのは後日という形をとった。
そのうちシンパシーカードがたくさん届くだろう。
ダンテに手伝ってもらい、家族の亡骸を墓地へと埋葬したディーヴァ。
埋葬後にお清めがわりのホーリーウォーターを軽く撒いたダンテは清浄なる空気の中、ディーヴァが歌う鎮魂歌、アメージンググレイスを聞いていた。
風に乗って心地よい旋律が細く流れてゆく。
家族が好きだった花。
自分達で育てた花。
抱えきれぬほどの量のそれを、花壇から拝借して添えながら、ディーヴァはダンテに聞かせるためでもなく独り言のように呟く。
「あたしの力で皆が生き返ってくれればいいのにな……」
その目は自分の手のひら、そしてまだ墓石のない盛られた土を見つめている。
ぽろ、と頬には涙がまた伝った。
すでに涙で何度も濡れた頬は、涙の轍ができ、その道筋を辿って落ちていく。
「実は死んだふりしてただけで、わっ!って起き上がって「なんだぁ、びっくりしたなぁもう!」って……ドッキリみたいなオチだったら最高なのに」
「死んだふりって……。冗談にしちゃキツイしエイプリルフールはまだまだ先だぞ?」
「わかってる……」
死んだふりなわけがない。
あの血は匂いまでもが完璧に本物で、亡骸に触れた時の冷たさ、『死』そのもののあの感じも偽物ではなかった。
どんなに無視しようとしても、自分が触れた肌で死を理解してしまった。
家族をあのままいつまでも放置しておくのはいやだ。
廊下へ出て足を踏み入れた玄関ホール。
数日前までは暖かく微笑んでくれていた家族。
今は氷のように冷たく、硬直してしまった三人の遺体を目にし、震える指先で触れる。
伝わる温度にはやはり熱がない。
流れ乾いた血が全てを赤黒く染め、生をまったく感じない。
でも、その顔はとても安らかで。
「まるで眠っているみたい」
殺されてしまっているが、悪魔がディーヴァにばかり気を取られていたおかげか、それ以上傷つけられずにすんだようだ。
でなければ今頃はとうの昔に悪魔の血肉となっていたことだろう。
「ほんと、に……眠って……る、みた、……っ、!」
それでも命の温もりが感じられない事に変わりない。
『最愛の家族の死』。
それを改めて実感し、ディーヴァはまたもや泣き出してしまった。
無理もない。
病気などで覚悟をしていたというなら別だが、これは突然のこと。
家族という大切な者をいっぺんに失うには、あまりにも急すぎた。あまりに若すぎた。
ダンテは何も言わず、ただただその小さな背中を撫で続けた。
「泣いていい。我慢しないで思う存分泣いちまえ」
「ふっ、ぅ、うぇぇぇぇぇん!!」
ダンテにしがみつくこと一時間、ようやく泣きやんだディーヴァは、静寂が包む中、家族の皮膚にこびりついた血を、丁寧に拭き取りながらダンテと朝を待った。
あまりにも色々ありすぎたせいか、空腹も感じない。
助けてくれたダンテへのお礼に、食事を作ることすら考えもつかなかった。
普段のディーヴァならば、考えられない事だ。
自分の部屋にすら戻らず、疲れて倒れこむようにソファで寝入ってしまった。
ダンテももうひとつのソファで休んだようだが、気がつけば寝顔を見られていた、というのは記憶に新しい。
ああ、なんて無防備な真似してしまったのだろう。
あとで思い返せば、恥ずかしい事ばかりやらかしていて、顔から火を吹きそうだった。
そうして朝日が窓から差し込み、その太陽が暖かく部屋全体を照らした頃、二人は屋敷裏の家庭墓地に移動した。
ディーヴァの屋敷はそこそこの広さで、墓地もある。
そこには歴代の先祖が眠っており、件の天使も眠っているらしい。
墓場とは思えないほど清らかな空気に満ちていて、半魔であるダンテは少々居心地が悪いくらいだった。
普通は殺人や事故などで人が死ぬと、まずは警察や葬儀屋に連絡し、その亡骸は検死にかけられる。
その検死ののち、葬儀をあげなくてはならない。
だが悪魔という、一般には決して知られることのない存在が関連してしまったことで、正規の方法で葬儀を行うことができなくなってしまった。
ディーヴァが涙ながらに911へと電話をかけようとしたところ、ダンテがそれを止めた。
今回はそんなダンテのツテを頼り、悪魔が関わってしまって亡くなった者。その葬儀だけでなく、証拠隠滅、全ての隠蔽工作を請け負う知り合いへと連絡をしてもらったのだ。
それにより葬儀はビューイングなども出来ぬ、完全なる家族葬。
遺体が悪魔に利用されぬように浄化さえすれば、自分達で埋葬をしていいということになった。
それでもディーヴァの父は社会的に地位を持つ人物。特例で死亡広告を出すのは後日という形をとった。
そのうちシンパシーカードがたくさん届くだろう。
ダンテに手伝ってもらい、家族の亡骸を墓地へと埋葬したディーヴァ。
埋葬後にお清めがわりのホーリーウォーターを軽く撒いたダンテは清浄なる空気の中、ディーヴァが歌う鎮魂歌、アメージンググレイスを聞いていた。
風に乗って心地よい旋律が細く流れてゆく。
家族が好きだった花。
自分達で育てた花。
抱えきれぬほどの量のそれを、花壇から拝借して添えながら、ディーヴァはダンテに聞かせるためでもなく独り言のように呟く。
「あたしの力で皆が生き返ってくれればいいのにな……」
その目は自分の手のひら、そしてまだ墓石のない盛られた土を見つめている。
ぽろ、と頬には涙がまた伝った。
すでに涙で何度も濡れた頬は、涙の轍ができ、その道筋を辿って落ちていく。
「実は死んだふりしてただけで、わっ!って起き上がって「なんだぁ、びっくりしたなぁもう!」って……ドッキリみたいなオチだったら最高なのに」
「死んだふりって……。冗談にしちゃキツイしエイプリルフールはまだまだ先だぞ?」
「わかってる……」
死んだふりなわけがない。
あの血は匂いまでもが完璧に本物で、亡骸に触れた時の冷たさ、『死』そのもののあの感じも偽物ではなかった。
どんなに無視しようとしても、自分が触れた肌で死を理解してしまった。