mission 4:Trust me, and I'm home~信頼とタダイマ~
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そのあとは家へ戻り暖炉に火を入れ、冷えた体を温めるためホットチョコレートを淹れた。
二人は、お互い暖炉の火がパチパチ爆ぜる音をBGMとした。
「……ディーヴァの想像通り、オレは悪魔だ。親父が悪魔でお袋が人間の、半分悪魔なんだ……」
ダンテがホットチョコレートを覗き込みながらぽつりと話しだした。
「ごめん……お前のこと好きだから、知られることで嫌われるのが恐くて、傷つきたくなくて……言いだせなかった」
ディーヴァは時折相槌を打ちながらダンテの話を静かに聞いていた。
「話してくれてありがとう、あたしダンテのこと、もう恐くない……嫌いじゃないよ。
酷い事を言ってごめんなさい。許してなんて思わない、でも……本当にごめんなさい……」
持っていたマグカップをコトリと置き、ディーヴァはダンテの手を両手で包みこんだ。
「いいよ。顔、上げろよ。怒ってないし、悪魔にされた事を思えば、ディーヴァの反応は当たり前だ」
「ありがとう……」
「ただ、こんな形でばれるなら、もっと早く言えば良かった」
「そうだね。なんであんなことになったの?ほら、ベッドでさ……」
ディーヴァは言いづらそうに語尾をしぼませた。
「……恐かったか?」
「かなり」
満月はもうすぐ夜明けになるため薄れ始めているが、いまだに窓の外に鎮座している。
ダンテはそれを忌々しく見上げた。
「満月の日に悪魔が活発に動くのは知ってるか?」
ディーヴァはブンブンと首を振って否定した。
「じゃ、覚えとくといい」
冷め始めたホットチョコレートを飲み干すとダンテは続けた。
「さっきも言ったけどオレは半分悪魔だ。人間の部分もあるが、やっぱり悪魔の部分もある。どっちもオレだ。悪魔のオレはいつだってお前を襲いたくてたまらないんだ。……満月の日なんかは悪魔のオレを制御しづらい」
ごめんな、頭を下げて申し訳なさそうにダンテは誠意を見せた。
ディーヴァはそんなダンテに、慌てて顔を上げさせた。
「それでエサとなる天使……つまりはあたしを食べようとしたってこと?」
「当たらずとも遠からずってとこかな、ま……普段押さえてる欲望の方が先に出ちまったようだけどな」
その辺の悪魔と、ダンテでは食べるの意味が違う。
悪魔共が肉を断ち、喰らうのに対しダンテの場合は最終的に変わらないかもしれないが、まずは清らかなその肉体を穢し堕とすという意味に変わってくる。
「欲望?」
「キスとか……まぁその辺の、アレだ」
……おっと、この先はまだディーヴァには早い、R指定になっちまうから教えられなかったな。
「ふーん、やめてよ?あたし、ファーストキスまだなんだから……。好きな人としたいから、大切にとっておきたいんだぁ……」
うっとりと夢見る乙女の表情で、想像の中の自分だけの王子様とのキスに想いを馳せる。
だが、夢に他人が入ると、すぐさまそれは儚いものに変わってしまう。
ディーヴァの夢はダンテの参加でガラガラと音を立てて崩れ去った。
「あ、えーと……ごめん。実はさ……ディーヴァのファーストキス、もうオレが貰っちった……」
「……は?も、もう一回言ってくれるかな?聞こえなかったなぁ~」
ピタリと硬直してロボットのような動作でダンテに首を向けた。
「だから!最初に会った時、ディーヴァのファーストキスはオレが貰っちゃったんだよ!!」
「えぇぇ!ひどいっ!!大切にしてたのに!!」
目を手のひらで覆い、ディーヴァは嘆いた。
「悪いとは思ってるよ!でも今時キスぐらいで……「ダンテ?」う、悪い」
その一言にディーヴァは両手の隙間からダンテを凄んだ。
「だって一目惚れだったんだよ~、姫が起きない時はキスで起こすのが王子様の役目だろ?」
「ダンテは王子様じゃないでしょ!まったくも~しょうがないなぁ……」
ディーヴァはぷくーっと頬を風船のように膨らませてダンテに突っ込んだ。
「それにダンテのそれは一目惚れなんかじゃない……きっとエサである天使への気持ちを恋と思い込んでるんだよ」
ダンテには聞こえないように小さく呟く。
「それより、ダンテも悪魔なら……わかるはず。耐えられるの?さっきの話だと満月の時にはわああやって理性が飛んじゃうかもしれないんでしょ」
本当に我慢できるの?
あたしはここから出ていった方がいいんじゃないかな?
その瞬間、ダンテは子供が親にするようにディーヴァに抱きついた。
「絶対に耐えてみせる」
ダンテから断固たる意志が伝わってくる。
「だから出ていくなんてこと言わないでくれ。オレが守るって言っただろ…オレはディーヴァをオレ自身からも守ってみせる」
ダンテは強い瞳でディーヴァを見つめた。
その瞳には意志の強さを物語る炎の揺らめきがあった。
「ダンテは悪魔かもしれないけど、人でもある。優しい顔、悲しい顔……色んな顔が出来るのは感情があるから。心がない悪魔には決して持てないもん。
だから大丈夫、だね」
ダンテは困惑気味の表情でディーヴァを見てきた。
「出ていかないってことか?」
その問いにゆっくりと頷く。
「ここにいるよ……さびしがり屋の悪魔がいるから」
「よかった〜〜〜!!
……あーあ、ホントに何で早くカミングアウトしなかったんだろうな」
我慢のし過ぎは体に悪い。
ダンテはソファに身を預け、深いため息を吐き出しながら天井を仰いだ。
その様子を観察していたディーヴァはマグカップを片しながら苦笑した。
「悪魔であることを無理に隠そうとするからいけないんだよ……これからは無理しないでね?」
「でも、話したらディーヴァここにいたか?」
言葉に詰まり、しばし沈黙する。
「だから言えなかったんだよ……」
「ででででもダンテが優しい悪魔だって知ったから……うん、なんかごめん」
あたふたと弁解するディーヴァを見て、ダンテは心の中で感謝の言葉を述べた。
オレは人間で、悪魔。
悪魔の部分も否定しないで認めてくれた上で、一緒にいてくれるなんて、嬉しくてたまらない。
ありがとう、ディーヴァ。
「そう言えば父親が悪魔って言ってたけどどんな悪魔さんだったの?」
疑問に思ったのか、ディーヴァが気持ちが落ち着いた所で興味津々に聞いてきた。
「……悪魔のお父さんかぁ……」
また夢見心地になっている気がする。
「お前の嫌いな悪魔なのに何でそんなうっとりしてんだ?」
「だって人間のお母さんと結婚したってことは、人間と種族を越えた愛を貫いたってことでしょ?きゃー、素敵!ロマンチック!」
「ハァ……女はこういうネタ好きだよな」
「馴れ初めとか知りたーい」
ディーヴァがキラキラした目で懇願してきたが、それを振り払うように回避する。
「知ってるわけないだろ。キョーミないし知りたくもない」
「えーつまんない」
ダンテは不貞腐れたディーヴァの頬をつついて遊んだ。
「……スパーダ、親父の名前だよ」
「スパーダ?あれ?なんかどっかで聞いたことあるんだけど」
「人間界じゃおとぎ話になってるからな」
小さい頃に遡り記憶の引き出しを開ける。
「もしかして魔剣士スパーダのおとぎ話?」
「ああ」
「絵本で読んだ気がする。確かね、強い悪魔でありながら人間の持つ愛を知って、魔界の王様と戦った勇者のお話」
「あーそれそれ」
ダンテは興味ないのか半ばなげやりな態度だった。
「え、あれっておとぎ話じゃないの!?は……?え?ダンテのお父さん?」
「ま……そうだな」
ディーヴァはニコと笑ってダンテを見た。
「じゃあ、ダンテも鼻が高いねぇ!」
「……そうでもないさ」
「なんで?」
「剣の稽古は地獄みたいだったし、怒るとそりゃもう悪魔って感じで恐かった」
そう言って遥か昔に思いを馳せる瞳は、懐古の念に満たされていた。
「お袋のが怒ると恐かったけどな。実際、オレもお袋のが恐かったよ」
苦笑混じりにダンテは言葉を付け足した。
「親父は純粋な悪魔だからさ、たまに常識はずれなことしでかすもんで年中お袋に怒られてた気がする」
「やっぱりどこの世界でも女の人って強いんだね……」
感心しながらディーヴァがつぶやく。
「でもお袋にべた惚れでデレデレだった。おれからは仲睦まじい夫婦に見えたかな」
羨ましい、そう言葉を添えようとしたが、ダンテに遮られる。
「あと、大抵お袋の尻にしかれてた。なんかやらかすとハリセンでケツ百叩きとか」
ダンテはそれくらいだ、と話を終わりにした。
「もっとかっこいいイメージ抱いてたのに、最後の最後で台無しだよ」
「すまん」
二人は、お互い暖炉の火がパチパチ爆ぜる音をBGMとした。
「……ディーヴァの想像通り、オレは悪魔だ。親父が悪魔でお袋が人間の、半分悪魔なんだ……」
ダンテがホットチョコレートを覗き込みながらぽつりと話しだした。
「ごめん……お前のこと好きだから、知られることで嫌われるのが恐くて、傷つきたくなくて……言いだせなかった」
ディーヴァは時折相槌を打ちながらダンテの話を静かに聞いていた。
「話してくれてありがとう、あたしダンテのこと、もう恐くない……嫌いじゃないよ。
酷い事を言ってごめんなさい。許してなんて思わない、でも……本当にごめんなさい……」
持っていたマグカップをコトリと置き、ディーヴァはダンテの手を両手で包みこんだ。
「いいよ。顔、上げろよ。怒ってないし、悪魔にされた事を思えば、ディーヴァの反応は当たり前だ」
「ありがとう……」
「ただ、こんな形でばれるなら、もっと早く言えば良かった」
「そうだね。なんであんなことになったの?ほら、ベッドでさ……」
ディーヴァは言いづらそうに語尾をしぼませた。
「……恐かったか?」
「かなり」
満月はもうすぐ夜明けになるため薄れ始めているが、いまだに窓の外に鎮座している。
ダンテはそれを忌々しく見上げた。
「満月の日に悪魔が活発に動くのは知ってるか?」
ディーヴァはブンブンと首を振って否定した。
「じゃ、覚えとくといい」
冷め始めたホットチョコレートを飲み干すとダンテは続けた。
「さっきも言ったけどオレは半分悪魔だ。人間の部分もあるが、やっぱり悪魔の部分もある。どっちもオレだ。悪魔のオレはいつだってお前を襲いたくてたまらないんだ。……満月の日なんかは悪魔のオレを制御しづらい」
ごめんな、頭を下げて申し訳なさそうにダンテは誠意を見せた。
ディーヴァはそんなダンテに、慌てて顔を上げさせた。
「それでエサとなる天使……つまりはあたしを食べようとしたってこと?」
「当たらずとも遠からずってとこかな、ま……普段押さえてる欲望の方が先に出ちまったようだけどな」
その辺の悪魔と、ダンテでは食べるの意味が違う。
悪魔共が肉を断ち、喰らうのに対しダンテの場合は最終的に変わらないかもしれないが、まずは清らかなその肉体を穢し堕とすという意味に変わってくる。
「欲望?」
「キスとか……まぁその辺の、アレだ」
……おっと、この先はまだディーヴァには早い、R指定になっちまうから教えられなかったな。
「ふーん、やめてよ?あたし、ファーストキスまだなんだから……。好きな人としたいから、大切にとっておきたいんだぁ……」
うっとりと夢見る乙女の表情で、想像の中の自分だけの王子様とのキスに想いを馳せる。
だが、夢に他人が入ると、すぐさまそれは儚いものに変わってしまう。
ディーヴァの夢はダンテの参加でガラガラと音を立てて崩れ去った。
「あ、えーと……ごめん。実はさ……ディーヴァのファーストキス、もうオレが貰っちった……」
「……は?も、もう一回言ってくれるかな?聞こえなかったなぁ~」
ピタリと硬直してロボットのような動作でダンテに首を向けた。
「だから!最初に会った時、ディーヴァのファーストキスはオレが貰っちゃったんだよ!!」
「えぇぇ!ひどいっ!!大切にしてたのに!!」
目を手のひらで覆い、ディーヴァは嘆いた。
「悪いとは思ってるよ!でも今時キスぐらいで……「ダンテ?」う、悪い」
その一言にディーヴァは両手の隙間からダンテを凄んだ。
「だって一目惚れだったんだよ~、姫が起きない時はキスで起こすのが王子様の役目だろ?」
「ダンテは王子様じゃないでしょ!まったくも~しょうがないなぁ……」
ディーヴァはぷくーっと頬を風船のように膨らませてダンテに突っ込んだ。
「それにダンテのそれは一目惚れなんかじゃない……きっとエサである天使への気持ちを恋と思い込んでるんだよ」
ダンテには聞こえないように小さく呟く。
「それより、ダンテも悪魔なら……わかるはず。耐えられるの?さっきの話だと満月の時にはわああやって理性が飛んじゃうかもしれないんでしょ」
本当に我慢できるの?
あたしはここから出ていった方がいいんじゃないかな?
その瞬間、ダンテは子供が親にするようにディーヴァに抱きついた。
「絶対に耐えてみせる」
ダンテから断固たる意志が伝わってくる。
「だから出ていくなんてこと言わないでくれ。オレが守るって言っただろ…オレはディーヴァをオレ自身からも守ってみせる」
ダンテは強い瞳でディーヴァを見つめた。
その瞳には意志の強さを物語る炎の揺らめきがあった。
「ダンテは悪魔かもしれないけど、人でもある。優しい顔、悲しい顔……色んな顔が出来るのは感情があるから。心がない悪魔には決して持てないもん。
だから大丈夫、だね」
ダンテは困惑気味の表情でディーヴァを見てきた。
「出ていかないってことか?」
その問いにゆっくりと頷く。
「ここにいるよ……さびしがり屋の悪魔がいるから」
「よかった〜〜〜!!
……あーあ、ホントに何で早くカミングアウトしなかったんだろうな」
我慢のし過ぎは体に悪い。
ダンテはソファに身を預け、深いため息を吐き出しながら天井を仰いだ。
その様子を観察していたディーヴァはマグカップを片しながら苦笑した。
「悪魔であることを無理に隠そうとするからいけないんだよ……これからは無理しないでね?」
「でも、話したらディーヴァここにいたか?」
言葉に詰まり、しばし沈黙する。
「だから言えなかったんだよ……」
「ででででもダンテが優しい悪魔だって知ったから……うん、なんかごめん」
あたふたと弁解するディーヴァを見て、ダンテは心の中で感謝の言葉を述べた。
オレは人間で、悪魔。
悪魔の部分も否定しないで認めてくれた上で、一緒にいてくれるなんて、嬉しくてたまらない。
ありがとう、ディーヴァ。
「そう言えば父親が悪魔って言ってたけどどんな悪魔さんだったの?」
疑問に思ったのか、ディーヴァが気持ちが落ち着いた所で興味津々に聞いてきた。
「……悪魔のお父さんかぁ……」
また夢見心地になっている気がする。
「お前の嫌いな悪魔なのに何でそんなうっとりしてんだ?」
「だって人間のお母さんと結婚したってことは、人間と種族を越えた愛を貫いたってことでしょ?きゃー、素敵!ロマンチック!」
「ハァ……女はこういうネタ好きだよな」
「馴れ初めとか知りたーい」
ディーヴァがキラキラした目で懇願してきたが、それを振り払うように回避する。
「知ってるわけないだろ。キョーミないし知りたくもない」
「えーつまんない」
ダンテは不貞腐れたディーヴァの頬をつついて遊んだ。
「……スパーダ、親父の名前だよ」
「スパーダ?あれ?なんかどっかで聞いたことあるんだけど」
「人間界じゃおとぎ話になってるからな」
小さい頃に遡り記憶の引き出しを開ける。
「もしかして魔剣士スパーダのおとぎ話?」
「ああ」
「絵本で読んだ気がする。確かね、強い悪魔でありながら人間の持つ愛を知って、魔界の王様と戦った勇者のお話」
「あーそれそれ」
ダンテは興味ないのか半ばなげやりな態度だった。
「え、あれっておとぎ話じゃないの!?は……?え?ダンテのお父さん?」
「ま……そうだな」
ディーヴァはニコと笑ってダンテを見た。
「じゃあ、ダンテも鼻が高いねぇ!」
「……そうでもないさ」
「なんで?」
「剣の稽古は地獄みたいだったし、怒るとそりゃもう悪魔って感じで恐かった」
そう言って遥か昔に思いを馳せる瞳は、懐古の念に満たされていた。
「お袋のが怒ると恐かったけどな。実際、オレもお袋のが恐かったよ」
苦笑混じりにダンテは言葉を付け足した。
「親父は純粋な悪魔だからさ、たまに常識はずれなことしでかすもんで年中お袋に怒られてた気がする」
「やっぱりどこの世界でも女の人って強いんだね……」
感心しながらディーヴァがつぶやく。
「でもお袋にべた惚れでデレデレだった。おれからは仲睦まじい夫婦に見えたかな」
羨ましい、そう言葉を添えようとしたが、ダンテに遮られる。
「あと、大抵お袋の尻にしかれてた。なんかやらかすとハリセンでケツ百叩きとか」
ダンテはそれくらいだ、と話を終わりにした。
「もっとかっこいいイメージ抱いてたのに、最後の最後で台無しだよ」
「すまん」