mission 4:Trust me, and I'm home~信頼とタダイマ~
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「ダンテは……悪魔なのね?」
確信をついてくるディーヴァに目が泳ぐダンテ。
ダンテの動揺で押さえつけられていた腕が緩んだ事に気づくと、ディーヴァはベッドから飛び降りて後ずさった。
「ディーヴァ、オレは……その……」
ダンテはうつむいて小声になった。
それはディーヴァからは丁度陰になっていて、ダンテがどんな表情をしているのかわからなかった。
「ダンテはあたしを騙してたの?
そばに置いておけばいつだってあたしを食べられるからって好きに泳がせておいたの?影で笑ってたの??
あたしはダンテにとってただのエサ?」
うつむいていた顔を上げたダンテは傷付いたような表情をしていた。
ディーヴァはそのまま押し黙るダンテをいいことに、勝手に解釈を進めた。
「だから一緒に来いなんて言ったんだ……。もしかして家族が死んだのも、ダンテが仕組んだんじゃ……」
その言葉にダンテは声を荒げて否定した。
「ちがうッ!んなことするもんか!騙してなんかいないし、オレにとってお前はエサなんかじゃない……!
ましてや愛する女の家族を殺すわけないだろッッ!」
「愛?悪魔にその感情がわかるわけない……。
頼むから情がわいたんだとか、そう言うこと抜かさないでよ!?」
震える声音でズバズバと言うディーヴァをダンテは止めることが出来なかった。
手を少し伸ばせば触れられる位置にいるのにこんなにも遠い。
悪魔を憎む天使と、天使を愛する悪魔の間には、容易に超えられぬ壁が存在していた。
「ディーヴァ、オレは確かに悪魔だけど……でも、お前を愛してるんだ」
その距離を縮めたい一身で手を広げてダンテはゆっくりと彼女に近づいた。
「悪魔は嘘つきだもの、信用できない……」
せっかくここまで築き上げた信用と信頼。
ぼそりと呟くディーヴァからのそれは、もうほぼ失われたのか。
「近づかないで!お願いだからあたしの前で悪魔が軽々しく愛を語らないで!」
ディーヴァはもはや癇癪を起こしたネコのように叫び、その辺に放っておいた物を投げ始めた。これ以上の侵入は決して許さなかった。
だが、ダンテは物がぶつかるのも気にせず、ゆっくり前に進んでいった。
「来ないでったら!来たらあたし自殺するから!」
「ッッ!」
悪魔に奪われるくらいなら自分で死ぬ。そう言われてしまうと、その3メートルほどの短い距離を埋めることはむずかしい。
ダンテが硬直したのと同時、ディーヴァは部屋から飛び出してしまった。
「待て!ディーヴァ!!」
追いたいけど追えない。
ダンテはしばらく自分の部屋から出て行ったディーヴァに放心していた。
あんなことするつもりじゃなかったのに。
あんな方法で正体を知らせたくはなかったのに。
忌々しい満月を睨み付けていると、窓の外にディーヴァがスラム街を走り去っていくのが視界に映り込んだ。逃げたのは自分の部屋ではなかったか。
「なッ!」
ディーヴァは部屋から出ていったが、まさか夜中に外に行くとは思わなんだ。
しかも、今夜は満月。
自分もそうだが1ヶ月の中で、一番悪魔の血が騒ぎ出す月齢。
昼間ならいざ知らず、満月の日の夜中に天使が外をほっつき歩くなんて、悪魔に食べて下さいとその身を差し出しているような物だ。
このままじゃディーヴァは悪魔に襲われる。確実に。
「くそっオレが行くまで無事でいろよ……!」
ダンテは吐き捨てるように言うとディーヴァの後を追った。
ディーヴァがスラム街を走ってすぐ、奴等が暗闇から赤い魔法陣と共に現れた。
追ってくる悪魔に恐怖を感じながらも、スピードを落とさず走り逃げるディーヴァ。
全てを奪った悪魔なんか、大嫌い。
もうたくさん、何もかも。
これ以上、悪魔に体も心も……感情も振り回されたくない。
悪魔に利用されるだけ利用されて、最後は食べられて終わり、なんてあんまりだ。
ダンテもあの時自分を食べようと、命を狩り取ろうとしていたんだ。
ダンテを信じたいのに、信じられない。
でも誰かを信じたい。一人は嫌だ。
誰かにすがりついてしまいたい。なら誰を信じればいい?
誰かってダレ?
そう考えた時に思い浮かんだのは死んだ家族でも友人でもなく、やはりダンテなのだ。
ダンテと過ごした時間はほんの少しだったが、本当に楽しいものだった。
ディーヴァは走りながらダンテのことを思い出していた。
悲しそうだった。傷付いていた。
身勝手な解釈で傷付けてしまった。
本当はわかっていた。
ダンテが本当に悪魔なら、あんな悲しい顔や優しい顔ができるわけがないって。
子守唄だって懐かしそうに歌っていた。
家族を想う気持ちは本物だった。
あれは嘘なんかじゃない。ダンテの本当の姿。
言い過ぎた。申し訳なくてたまらない。
謝りたい、そう思い踵を返そうと振り向いたディーヴァの首すれすれを、悪魔の鎌が薙ぐ。
あと少しずれていたら首が跳ね飛んでいた。
「ッ!?」
悪魔に追われていたのだった。
気がつけばディーヴァは悪魔に周りを囲まれていた。
悪魔の握る大振りの鎌が街頭の光に鈍く煌めいて、ディーヴァの命を狩り取る瞬間を今か今かと待っている。
もう駄目だ。
これがダンテを傷付けた、身勝手な自分に似合いの末路なのだ。
「謝れなくてごめんなさい、ダンテ……」
ディーヴァは死の瞬間を想像し、目を堅く瞑った。
ザシュッグチャッ!
肉を切り裂く音が耳に鮮明に伝わる。
だが、いつまでたっても痛みや血、死の感覚は訪れなかった。
代わりにここ二日でよく知りつくした香りが、すぐそばにあることに気付く。
ゆっくり目を開けるとダンテが自分の前に立っていた。
「ダン、テ……」
悪魔が切られる音だったようだ。
血を飛び散らせ、自らを砂や赤い欠けらへと変えて、悪魔が一気に減っていく。
ダンテは手に持った長剣を駆使し、重く速い剣捌きで次から次へと湧き出る悪魔を倒していった。
「ヒーローってのは大事な姫のピンチにゃいつだって駆けつけるもんさ」
ディーヴァの目の前で嬉々と悪魔を捌きながら囁く。
その顔には玉のような汗が浮かび、軽く息切れして見えた。
悪魔と戦っているからではなく、自分を追いかけて来たからだという事がわかる。
見捨てられたって文句が言えないくらいなのに、あんなに酷いことを言ったのに助けに来てくれた。
ディーヴァはダンテの戦う背中を、感謝と暴言に対しての謝罪の気持ちで見つめた。
ダンテは悪魔が命乞いをしそうなほどの鬼神っぷりを発揮し、そこに集まった20体ほどの悪魔を砂塵へと変えた。
砂と埃と汗にまみれながらディーヴァに振り返る。
「ハァ……間に合って良かったぜ」
ディーヴァはダンテの額に張り付いた髪を丁寧に拭い、しゅんと項垂れた。
「ごめんなさい……」
「こういう時はありがとうのが嬉しいんだが?」
ダンテは苦笑しながらディーヴァの小さな手を取った。
「……ありがとう」
「よくできました」
確信をついてくるディーヴァに目が泳ぐダンテ。
ダンテの動揺で押さえつけられていた腕が緩んだ事に気づくと、ディーヴァはベッドから飛び降りて後ずさった。
「ディーヴァ、オレは……その……」
ダンテはうつむいて小声になった。
それはディーヴァからは丁度陰になっていて、ダンテがどんな表情をしているのかわからなかった。
「ダンテはあたしを騙してたの?
そばに置いておけばいつだってあたしを食べられるからって好きに泳がせておいたの?影で笑ってたの??
あたしはダンテにとってただのエサ?」
うつむいていた顔を上げたダンテは傷付いたような表情をしていた。
ディーヴァはそのまま押し黙るダンテをいいことに、勝手に解釈を進めた。
「だから一緒に来いなんて言ったんだ……。もしかして家族が死んだのも、ダンテが仕組んだんじゃ……」
その言葉にダンテは声を荒げて否定した。
「ちがうッ!んなことするもんか!騙してなんかいないし、オレにとってお前はエサなんかじゃない……!
ましてや愛する女の家族を殺すわけないだろッッ!」
「愛?悪魔にその感情がわかるわけない……。
頼むから情がわいたんだとか、そう言うこと抜かさないでよ!?」
震える声音でズバズバと言うディーヴァをダンテは止めることが出来なかった。
手を少し伸ばせば触れられる位置にいるのにこんなにも遠い。
悪魔を憎む天使と、天使を愛する悪魔の間には、容易に超えられぬ壁が存在していた。
「ディーヴァ、オレは確かに悪魔だけど……でも、お前を愛してるんだ」
その距離を縮めたい一身で手を広げてダンテはゆっくりと彼女に近づいた。
「悪魔は嘘つきだもの、信用できない……」
せっかくここまで築き上げた信用と信頼。
ぼそりと呟くディーヴァからのそれは、もうほぼ失われたのか。
「近づかないで!お願いだからあたしの前で悪魔が軽々しく愛を語らないで!」
ディーヴァはもはや癇癪を起こしたネコのように叫び、その辺に放っておいた物を投げ始めた。これ以上の侵入は決して許さなかった。
だが、ダンテは物がぶつかるのも気にせず、ゆっくり前に進んでいった。
「来ないでったら!来たらあたし自殺するから!」
「ッッ!」
悪魔に奪われるくらいなら自分で死ぬ。そう言われてしまうと、その3メートルほどの短い距離を埋めることはむずかしい。
ダンテが硬直したのと同時、ディーヴァは部屋から飛び出してしまった。
「待て!ディーヴァ!!」
追いたいけど追えない。
ダンテはしばらく自分の部屋から出て行ったディーヴァに放心していた。
あんなことするつもりじゃなかったのに。
あんな方法で正体を知らせたくはなかったのに。
忌々しい満月を睨み付けていると、窓の外にディーヴァがスラム街を走り去っていくのが視界に映り込んだ。逃げたのは自分の部屋ではなかったか。
「なッ!」
ディーヴァは部屋から出ていったが、まさか夜中に外に行くとは思わなんだ。
しかも、今夜は満月。
自分もそうだが1ヶ月の中で、一番悪魔の血が騒ぎ出す月齢。
昼間ならいざ知らず、満月の日の夜中に天使が外をほっつき歩くなんて、悪魔に食べて下さいとその身を差し出しているような物だ。
このままじゃディーヴァは悪魔に襲われる。確実に。
「くそっオレが行くまで無事でいろよ……!」
ダンテは吐き捨てるように言うとディーヴァの後を追った。
ディーヴァがスラム街を走ってすぐ、奴等が暗闇から赤い魔法陣と共に現れた。
追ってくる悪魔に恐怖を感じながらも、スピードを落とさず走り逃げるディーヴァ。
全てを奪った悪魔なんか、大嫌い。
もうたくさん、何もかも。
これ以上、悪魔に体も心も……感情も振り回されたくない。
悪魔に利用されるだけ利用されて、最後は食べられて終わり、なんてあんまりだ。
ダンテもあの時自分を食べようと、命を狩り取ろうとしていたんだ。
ダンテを信じたいのに、信じられない。
でも誰かを信じたい。一人は嫌だ。
誰かにすがりついてしまいたい。なら誰を信じればいい?
誰かってダレ?
そう考えた時に思い浮かんだのは死んだ家族でも友人でもなく、やはりダンテなのだ。
ダンテと過ごした時間はほんの少しだったが、本当に楽しいものだった。
ディーヴァは走りながらダンテのことを思い出していた。
悲しそうだった。傷付いていた。
身勝手な解釈で傷付けてしまった。
本当はわかっていた。
ダンテが本当に悪魔なら、あんな悲しい顔や優しい顔ができるわけがないって。
子守唄だって懐かしそうに歌っていた。
家族を想う気持ちは本物だった。
あれは嘘なんかじゃない。ダンテの本当の姿。
言い過ぎた。申し訳なくてたまらない。
謝りたい、そう思い踵を返そうと振り向いたディーヴァの首すれすれを、悪魔の鎌が薙ぐ。
あと少しずれていたら首が跳ね飛んでいた。
「ッ!?」
悪魔に追われていたのだった。
気がつけばディーヴァは悪魔に周りを囲まれていた。
悪魔の握る大振りの鎌が街頭の光に鈍く煌めいて、ディーヴァの命を狩り取る瞬間を今か今かと待っている。
もう駄目だ。
これがダンテを傷付けた、身勝手な自分に似合いの末路なのだ。
「謝れなくてごめんなさい、ダンテ……」
ディーヴァは死の瞬間を想像し、目を堅く瞑った。
ザシュッグチャッ!
肉を切り裂く音が耳に鮮明に伝わる。
だが、いつまでたっても痛みや血、死の感覚は訪れなかった。
代わりにここ二日でよく知りつくした香りが、すぐそばにあることに気付く。
ゆっくり目を開けるとダンテが自分の前に立っていた。
「ダン、テ……」
悪魔が切られる音だったようだ。
血を飛び散らせ、自らを砂や赤い欠けらへと変えて、悪魔が一気に減っていく。
ダンテは手に持った長剣を駆使し、重く速い剣捌きで次から次へと湧き出る悪魔を倒していった。
「ヒーローってのは大事な姫のピンチにゃいつだって駆けつけるもんさ」
ディーヴァの目の前で嬉々と悪魔を捌きながら囁く。
その顔には玉のような汗が浮かび、軽く息切れして見えた。
悪魔と戦っているからではなく、自分を追いかけて来たからだという事がわかる。
見捨てられたって文句が言えないくらいなのに、あんなに酷いことを言ったのに助けに来てくれた。
ディーヴァはダンテの戦う背中を、感謝と暴言に対しての謝罪の気持ちで見つめた。
ダンテは悪魔が命乞いをしそうなほどの鬼神っぷりを発揮し、そこに集まった20体ほどの悪魔を砂塵へと変えた。
砂と埃と汗にまみれながらディーヴァに振り返る。
「ハァ……間に合って良かったぜ」
ディーヴァはダンテの額に張り付いた髪を丁寧に拭い、しゅんと項垂れた。
「ごめんなさい……」
「こういう時はありがとうのが嬉しいんだが?」
ダンテは苦笑しながらディーヴァの小さな手を取った。
「……ありがとう」
「よくできました」