mission 4:Trust me, and I'm home~信頼とタダイマ~
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何日かたった。
ディーヴァはダンテに事務所周辺の案内をしてもらい、学校も行き始めた。
表向き家族は事故で死んだ事になっている。
そのため、学校の皆もあまり詳しく詮索してくることはなかった。
ただ大変だったね、などと同情的に接してくるだけだ。
悪魔のことは国家レベルで隠蔽されるらしく、知る者はいない。
そう。
ディーヴァが警察に連絡し事情を説明した時にやってきたのは警官ではなかった。
もっと上の役職に就いているであろう者達が訪れたのだ。
スラム街に住居を移したディーヴァにかなり怪訝な顔をしてはいたが、デビルハンターであるダンテの姿を見て納得していた。
悪魔の仕業で人が何人も死んでいる事件は、一般人の耳に入らないように、厳重に管理されていることが多いらしい。
だから、ディーヴァ自身も決して口外しないようにと言われた。
なにごとにも例外はあり、ダンテのような悪魔を狩る仕事をしている人は別だが。
ちなみにディーヴァが天使であることは伏せてある。
知られてもあまりロクな目に合わないと、ダンテに言われたからだ。
研究対象にされるかもしれない……などと自分でも思った。
だから家族の死に関して誰も疑問に思い、詳しく聞いてくる事はなかった。
そうでなくとも、元々多種多様な人種の通うアメリカの学校なので、環境が著しく変化しても、それが例え天涯孤独になろうとあまり気にも留めない者が多い。
人によっては、地に没落した自分を、嘲笑っている者だっているかもしれない。
少し寂しく、悲しいけどそれが現実というもの。
確かに友人や親友達は心配してくれるが、必要以上には聞いてこなかった。
聞いてほしいわけでもないし、言えないのだからいいが。
「……はぁ」
ディーヴァの口から吐き出された呼気が、白く空中を漂い昇っていく。
冬がもうそこまで来ている。
道理で寒いはずだ。
ちらりと見やった時計の短針は、夜の10時を指していた。
「今夜も一人、かぁ」
寂しい。
人が恋しい。
兄が、母が、父が……家族が、……そしてダンテが。
この数日、泣いちゃだめと何度も自分に言い聞かせてきた。
学校でも、登下校でも、誰かが一緒にいたし、そのおかげかずっと泣かずにいられた。
でも、一人になったとたんに孤独に押し潰されそうになってしまう。
寒くて、寂しくて、とても悲しい気持ちになる。
もう家族のことで泣かないって決めたはずなのに。
なのに一人になるだけでこんなにも視界が涙でにじむ。
一人はいやだ。
でもダンテはまだ帰って来てはくれない。
実を言うとディーヴァはまだダンテと初日の夕飯を共にしたっきりだった。
それ以降、すれ違いの生活ばかり送っている。
ディーヴァは朝六時頃にベッドから起き上がる。
だが、ダンテは朝方になってようやく帰ってきて昼頃まで寝ているのだ。
挨拶してから学校に行くことも考えた。
でも疲れて寝ているかもしれないところを起こすのは気が引けたし、ディーヴァの本能がダンテの部屋には入ってはいけないと訴えてきた。
……そういえばまだダンテの部屋は入った事がない。
もしかしたらすごく埃まみれだったりして……。
初めてこの家に入った時のことを思い出して少しだけ苦い顔になる。
彼の朝食と昼食は用意しておいているが、ディーヴァは学校へ行くのでやはり共に食べられない。
だからと言って昼食のためにここに学校から戻ってくるのは時間の無駄。
そして夕食の時間には、ダンテは仕事と称していなくなる。
ダンテの性格上、それがすべて仕事かどうかは怪しいところではあるが。
まさにすれ違いの生活だ。
朝になると空になった皿が水に浸してあるので、食事は採っていてくれるようだ。
食事を作る側としてはそこはうれしいものだ。
確かに昼夜逆転のダンテと規則正しく生活しているディーヴァが同じ時間を共有するのは難しいことと覚悟していた。
だが、まるで意図的に避けられている気もする。
自分に告白だってしてきた彼だ。
何故避けられていると感じてしまうのだろう?
せめてオハヨウとオヤスミのあいさつくらい言えれば。
顔を一目見て言葉を交わすことが出来れば『一人じゃない』と思える気がするのに。
彼の軽口が恋しい。
特に夜は一人になりたくない。
眠れない……。
ディーヴァは視界を遮る涙をぬぐい、ダンテ愛用のソファに身を沈め、高い天井に目を向けた。
一方、ダンテは恐かった。
共に暮らせるとわかった時、嬉しさに心が躍るようだったのは記憶に新しい。
でも、一つ屋根の下に誰かと暮らすのなんて、初めてのことなのだ。
しかも相手は好意をよせている女の子だ。
何も起きないはずがない。
半魔な自分のことだ、何かしてしまう。
それは日常での何かかもしれないし、悪魔としての間違いである何かかもしれないし、ナニかかもしれない。
ダンテは最初の日の夕食時に手料理を口にし、同じ料理を口に運ぶディーヴァの小さな唇を見つめながら思ったのだ。
早くその細い体を穢し、抱いて、唇をむさぼり奪い、端から端まで残さず喰い荒らし、壊してしまえたら、と。
その自分の中眠る悪魔の衝動に気付いたダンテは恐くなった。
これでは、彼女の翼をもいだ悪魔どもと同じではないか。
いや、少し間違えたらあの位置に立っていたのは、悪魔ではなく自分だったかもしれない。
そんな恐ろしいことを思う自分が、ディーヴァのそばにいていいものかと。
その考えは決まって夜ばかり襲ってくる。
朝方帰って、すぐ近くにディーヴァが眠っているのだ、と思う度襲ってくる考えに理性を総動員して、その悪魔的な考えを抑えるしかなかった。
自分だって会って話もしたいし抱きしめたい。
そばにいたくてたまらない。
相手は好きになった女だ。
でも今ディーヴァに触れてしまえば、ガラス細工のような彼女を壊してしまいかねない。
この感情をどうにか押さえる術を一刻も早く見つけなくては、彼女の顔すらまともに見れないと思う自分がいた。
……葛藤の連続に気が狂いそうだった。
とりあえず悪魔の自分は、もう少し我慢というものを覚えるべきだろう。
「あー、クソッ」
まったく、自分の中の悪魔が相手とは……悪魔を倒すよりもやっかいだ。
悩むなんて性にあわねぇのに……。
頭を抱え、ダンテはバーのテーブルにつっぷした。
ディーヴァはダンテに事務所周辺の案内をしてもらい、学校も行き始めた。
表向き家族は事故で死んだ事になっている。
そのため、学校の皆もあまり詳しく詮索してくることはなかった。
ただ大変だったね、などと同情的に接してくるだけだ。
悪魔のことは国家レベルで隠蔽されるらしく、知る者はいない。
そう。
ディーヴァが警察に連絡し事情を説明した時にやってきたのは警官ではなかった。
もっと上の役職に就いているであろう者達が訪れたのだ。
スラム街に住居を移したディーヴァにかなり怪訝な顔をしてはいたが、デビルハンターであるダンテの姿を見て納得していた。
悪魔の仕業で人が何人も死んでいる事件は、一般人の耳に入らないように、厳重に管理されていることが多いらしい。
だから、ディーヴァ自身も決して口外しないようにと言われた。
なにごとにも例外はあり、ダンテのような悪魔を狩る仕事をしている人は別だが。
ちなみにディーヴァが天使であることは伏せてある。
知られてもあまりロクな目に合わないと、ダンテに言われたからだ。
研究対象にされるかもしれない……などと自分でも思った。
だから家族の死に関して誰も疑問に思い、詳しく聞いてくる事はなかった。
そうでなくとも、元々多種多様な人種の通うアメリカの学校なので、環境が著しく変化しても、それが例え天涯孤独になろうとあまり気にも留めない者が多い。
人によっては、地に没落した自分を、嘲笑っている者だっているかもしれない。
少し寂しく、悲しいけどそれが現実というもの。
確かに友人や親友達は心配してくれるが、必要以上には聞いてこなかった。
聞いてほしいわけでもないし、言えないのだからいいが。
「……はぁ」
ディーヴァの口から吐き出された呼気が、白く空中を漂い昇っていく。
冬がもうそこまで来ている。
道理で寒いはずだ。
ちらりと見やった時計の短針は、夜の10時を指していた。
「今夜も一人、かぁ」
寂しい。
人が恋しい。
兄が、母が、父が……家族が、……そしてダンテが。
この数日、泣いちゃだめと何度も自分に言い聞かせてきた。
学校でも、登下校でも、誰かが一緒にいたし、そのおかげかずっと泣かずにいられた。
でも、一人になったとたんに孤独に押し潰されそうになってしまう。
寒くて、寂しくて、とても悲しい気持ちになる。
もう家族のことで泣かないって決めたはずなのに。
なのに一人になるだけでこんなにも視界が涙でにじむ。
一人はいやだ。
でもダンテはまだ帰って来てはくれない。
実を言うとディーヴァはまだダンテと初日の夕飯を共にしたっきりだった。
それ以降、すれ違いの生活ばかり送っている。
ディーヴァは朝六時頃にベッドから起き上がる。
だが、ダンテは朝方になってようやく帰ってきて昼頃まで寝ているのだ。
挨拶してから学校に行くことも考えた。
でも疲れて寝ているかもしれないところを起こすのは気が引けたし、ディーヴァの本能がダンテの部屋には入ってはいけないと訴えてきた。
……そういえばまだダンテの部屋は入った事がない。
もしかしたらすごく埃まみれだったりして……。
初めてこの家に入った時のことを思い出して少しだけ苦い顔になる。
彼の朝食と昼食は用意しておいているが、ディーヴァは学校へ行くのでやはり共に食べられない。
だからと言って昼食のためにここに学校から戻ってくるのは時間の無駄。
そして夕食の時間には、ダンテは仕事と称していなくなる。
ダンテの性格上、それがすべて仕事かどうかは怪しいところではあるが。
まさにすれ違いの生活だ。
朝になると空になった皿が水に浸してあるので、食事は採っていてくれるようだ。
食事を作る側としてはそこはうれしいものだ。
確かに昼夜逆転のダンテと規則正しく生活しているディーヴァが同じ時間を共有するのは難しいことと覚悟していた。
だが、まるで意図的に避けられている気もする。
自分に告白だってしてきた彼だ。
何故避けられていると感じてしまうのだろう?
せめてオハヨウとオヤスミのあいさつくらい言えれば。
顔を一目見て言葉を交わすことが出来れば『一人じゃない』と思える気がするのに。
彼の軽口が恋しい。
特に夜は一人になりたくない。
眠れない……。
ディーヴァは視界を遮る涙をぬぐい、ダンテ愛用のソファに身を沈め、高い天井に目を向けた。
一方、ダンテは恐かった。
共に暮らせるとわかった時、嬉しさに心が躍るようだったのは記憶に新しい。
でも、一つ屋根の下に誰かと暮らすのなんて、初めてのことなのだ。
しかも相手は好意をよせている女の子だ。
何も起きないはずがない。
半魔な自分のことだ、何かしてしまう。
それは日常での何かかもしれないし、悪魔としての間違いである何かかもしれないし、ナニかかもしれない。
ダンテは最初の日の夕食時に手料理を口にし、同じ料理を口に運ぶディーヴァの小さな唇を見つめながら思ったのだ。
早くその細い体を穢し、抱いて、唇をむさぼり奪い、端から端まで残さず喰い荒らし、壊してしまえたら、と。
その自分の中眠る悪魔の衝動に気付いたダンテは恐くなった。
これでは、彼女の翼をもいだ悪魔どもと同じではないか。
いや、少し間違えたらあの位置に立っていたのは、悪魔ではなく自分だったかもしれない。
そんな恐ろしいことを思う自分が、ディーヴァのそばにいていいものかと。
その考えは決まって夜ばかり襲ってくる。
朝方帰って、すぐ近くにディーヴァが眠っているのだ、と思う度襲ってくる考えに理性を総動員して、その悪魔的な考えを抑えるしかなかった。
自分だって会って話もしたいし抱きしめたい。
そばにいたくてたまらない。
相手は好きになった女だ。
でも今ディーヴァに触れてしまえば、ガラス細工のような彼女を壊してしまいかねない。
この感情をどうにか押さえる術を一刻も早く見つけなくては、彼女の顔すらまともに見れないと思う自分がいた。
……葛藤の連続に気が狂いそうだった。
とりあえず悪魔の自分は、もう少し我慢というものを覚えるべきだろう。
「あー、クソッ」
まったく、自分の中の悪魔が相手とは……悪魔を倒すよりもやっかいだ。
悩むなんて性にあわねぇのに……。
頭を抱え、ダンテはバーのテーブルにつっぷした。