mission 2:Defend you forever ~オレが守る~
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ありがたい、ありがたいけれど。
「あたしと一緒にいたら今みたいに悪魔が来ちゃいます。ダンテさんに迷惑はかけたくないんで……」
ダンテは口角を上げてニヤリと笑った。
「ディーヴァ、オレの仕事は何だったか言ってみ?」
「あっ、デビルハンター」
「そ。悪魔退治のスペシャリスト。
オレと一緒にいれば、いくらでもお前を守ってやれる。それにディーヴァが悪魔を呼び寄せるってんなら仕事的には好都合じゃねぇか」
ただし依頼ではない悪魔退治は金銭ひとつ入らないが。
「うーん。
確かにダンテさんのお仕事的には喜ばしいことかもしれないけど……でもあたし、男の人と一緒に住むなんてむり……。
こんな至近距離にいて今更ですけど」
助けてくれたのには感謝しかない。
が、よく考えたら相手は男の人、それも普通の人じゃない。ものすごい美丈夫だ。
すごく今更だがディーヴァは、父親以外の『男性』という、自分の人生の中であまり関わってこなかった存在を警戒しているのだ。
警戒とともに、そのかっこよさに近づきがたさを感じる。
薬缶の水が沸騰するように、徐々に赤くなっていくディーヴァの顔を見てダンテは揶揄いたい気持ちがむくむくと湧いた。
ダンテの抱擁から離れていこうとしたディーヴァの体を、逃がさないとばかりにしっかり抱きしめる。
「恥ずかしいって?」
オレと一緒に住むのも、今のこの体勢も。
そう聞けばディーヴァはゆっくりと首を縦に振り頷いた。
「あの、恥ずかしいんで……ほんと離してください〜……!」
恥じらいをあらわにか弱い力でイヤイヤと身をよじるディーヴァ。
男として意識されているのは喜ばしい事だ。
だが彼女と一緒にいる未来のためにすること、まずはこの警戒態勢を崩さないとである。
今まで何かに執着する事はあまりなかったが。欲しいと思ったものについては絶対に手に入れたい。
どう言ったものか思案していれば、ディーヴァがボソリと漏らした。
「それに、家族と暮らした思い出いっぱいのこの家を出るなんて……」
恥ずかしさとは別の理由もあるようだ。
家を出るのは家族を捨てるのと同じと捉えている。
だが、彼女と暮らしたいという気持ちは別にして、彼女をここに置いておくのは非常に危険なのだ。
また悪魔に襲われる。そのことをディーヴァはまだきちんと理解しきれていない。
ディーヴァが納得して外の世界に出れるだけの理由が必要だ。
「……なら、家政婦として来るってのはどうだ?」
「家政婦?」
「住み込みで掃除や洗濯をする家政婦さんだ。
あと料理が出来れば尚のことよし。ま、出来なくても女の子が事務所にいるだけで仕事にもやりがいが出てくるけどな。
残念ながら財布の中身カツッカツなんで給料は払えるかどうかアヤシイが……。
仕事としてなら、お前も来やすいんじゃないか?」
「お仕事……」
「ディーヴァ、お前をオレの事務所の家政婦として雇用する。さっそくだが働いてくれ」
ダンテの言葉にディーヴァは目を見開いた。
目を開けてダンテを見つめる顔が、ゆっくりとほころんでいく。
ディーヴァはおかしそうに顔をくしゃくしゃにして笑う。
「ふふ、さっそくってなんですかそれ。面接受けに行った覚えもないのに採用ですか」
「ああ、必要なら制服も貸し出すぜ?」
ウインクして笑いかけるダンテ。
助けてくれた上に、そこまでディーヴァのことを親身に、そして少しでも明るくなれるように気を使ってくれている。
男の人が苦手とか、恥ずかしいだとか、自分のそんな小さな悩みは、ダンテの言葉に救われ、吹き飛んだ。
明るく力強い黎明の風が吹き込む感覚。
「……ありがとう……ありがとうございます、ダンテさん」
胸の内があたたかくなる。
彼のお言葉に甘え、着いて行こう。
ディーヴァの顔を覗き込めば、ひとしきり笑ったあとに浮かぶ、花開くような満面の笑顔。
やっと笑った。
この短期間の中見てきた笑顔よりも、さらに心からの笑顔。
ダンテも笑顔を浮かべ、ディーヴァの表情を眺めた。
「しかし、役得だな」
「え?」
「かわいらしい従業員手に入れた上に、こーんな近い距離でその従業員が大人しくオレに身を預けてくれてるんだぜ。
役得以外のナニモンでもないだろ」
言われて初めて気がついた自分の状況。
恋人同士でもないというに、いつのまにか自分からダンテに抱きついたような体勢になってしまっている。
「ひゃ、ご……ごめんなさい」
顔を赤くしながら慌てて離れるディーヴァ。
なごりおしい、ダンテはそう思いながらも、今度は大人しく彼女を離した。
「えっと……これからよろしくおねがいします、ダンテさん」
居住まいを正し、ディーヴァは手をダンテに差し出した。
「敬語はなしだ、それとダンテでいい」
差し出されるディーヴァの小さな手とは比べものにならないダンテの大きな手。
その男らしく筋張った手と、ディーヴァは固く握手をかわした。
「……うん。よろしく、ダンテ!」
「ああ、よろしくな、ディーヴァ」
この笑顔のためにならオレは何でもがんばれる気がする。
●あとがき
君を守るために君を手に入れる。
「あたしと一緒にいたら今みたいに悪魔が来ちゃいます。ダンテさんに迷惑はかけたくないんで……」
ダンテは口角を上げてニヤリと笑った。
「ディーヴァ、オレの仕事は何だったか言ってみ?」
「あっ、デビルハンター」
「そ。悪魔退治のスペシャリスト。
オレと一緒にいれば、いくらでもお前を守ってやれる。それにディーヴァが悪魔を呼び寄せるってんなら仕事的には好都合じゃねぇか」
ただし依頼ではない悪魔退治は金銭ひとつ入らないが。
「うーん。
確かにダンテさんのお仕事的には喜ばしいことかもしれないけど……でもあたし、男の人と一緒に住むなんてむり……。
こんな至近距離にいて今更ですけど」
助けてくれたのには感謝しかない。
が、よく考えたら相手は男の人、それも普通の人じゃない。ものすごい美丈夫だ。
すごく今更だがディーヴァは、父親以外の『男性』という、自分の人生の中であまり関わってこなかった存在を警戒しているのだ。
警戒とともに、そのかっこよさに近づきがたさを感じる。
薬缶の水が沸騰するように、徐々に赤くなっていくディーヴァの顔を見てダンテは揶揄いたい気持ちがむくむくと湧いた。
ダンテの抱擁から離れていこうとしたディーヴァの体を、逃がさないとばかりにしっかり抱きしめる。
「恥ずかしいって?」
オレと一緒に住むのも、今のこの体勢も。
そう聞けばディーヴァはゆっくりと首を縦に振り頷いた。
「あの、恥ずかしいんで……ほんと離してください〜……!」
恥じらいをあらわにか弱い力でイヤイヤと身をよじるディーヴァ。
男として意識されているのは喜ばしい事だ。
だが彼女と一緒にいる未来のためにすること、まずはこの警戒態勢を崩さないとである。
今まで何かに執着する事はあまりなかったが。欲しいと思ったものについては絶対に手に入れたい。
どう言ったものか思案していれば、ディーヴァがボソリと漏らした。
「それに、家族と暮らした思い出いっぱいのこの家を出るなんて……」
恥ずかしさとは別の理由もあるようだ。
家を出るのは家族を捨てるのと同じと捉えている。
だが、彼女と暮らしたいという気持ちは別にして、彼女をここに置いておくのは非常に危険なのだ。
また悪魔に襲われる。そのことをディーヴァはまだきちんと理解しきれていない。
ディーヴァが納得して外の世界に出れるだけの理由が必要だ。
「……なら、家政婦として来るってのはどうだ?」
「家政婦?」
「住み込みで掃除や洗濯をする家政婦さんだ。
あと料理が出来れば尚のことよし。ま、出来なくても女の子が事務所にいるだけで仕事にもやりがいが出てくるけどな。
残念ながら財布の中身カツッカツなんで給料は払えるかどうかアヤシイが……。
仕事としてなら、お前も来やすいんじゃないか?」
「お仕事……」
「ディーヴァ、お前をオレの事務所の家政婦として雇用する。さっそくだが働いてくれ」
ダンテの言葉にディーヴァは目を見開いた。
目を開けてダンテを見つめる顔が、ゆっくりとほころんでいく。
ディーヴァはおかしそうに顔をくしゃくしゃにして笑う。
「ふふ、さっそくってなんですかそれ。面接受けに行った覚えもないのに採用ですか」
「ああ、必要なら制服も貸し出すぜ?」
ウインクして笑いかけるダンテ。
助けてくれた上に、そこまでディーヴァのことを親身に、そして少しでも明るくなれるように気を使ってくれている。
男の人が苦手とか、恥ずかしいだとか、自分のそんな小さな悩みは、ダンテの言葉に救われ、吹き飛んだ。
明るく力強い黎明の風が吹き込む感覚。
「……ありがとう……ありがとうございます、ダンテさん」
胸の内があたたかくなる。
彼のお言葉に甘え、着いて行こう。
ディーヴァの顔を覗き込めば、ひとしきり笑ったあとに浮かぶ、花開くような満面の笑顔。
やっと笑った。
この短期間の中見てきた笑顔よりも、さらに心からの笑顔。
ダンテも笑顔を浮かべ、ディーヴァの表情を眺めた。
「しかし、役得だな」
「え?」
「かわいらしい従業員手に入れた上に、こーんな近い距離でその従業員が大人しくオレに身を預けてくれてるんだぜ。
役得以外のナニモンでもないだろ」
言われて初めて気がついた自分の状況。
恋人同士でもないというに、いつのまにか自分からダンテに抱きついたような体勢になってしまっている。
「ひゃ、ご……ごめんなさい」
顔を赤くしながら慌てて離れるディーヴァ。
なごりおしい、ダンテはそう思いながらも、今度は大人しく彼女を離した。
「えっと……これからよろしくおねがいします、ダンテさん」
居住まいを正し、ディーヴァは手をダンテに差し出した。
「敬語はなしだ、それとダンテでいい」
差し出されるディーヴァの小さな手とは比べものにならないダンテの大きな手。
その男らしく筋張った手と、ディーヴァは固く握手をかわした。
「……うん。よろしく、ダンテ!」
「ああ、よろしくな、ディーヴァ」
この笑顔のためにならオレは何でもがんばれる気がする。
●あとがき
君を守るために君を手に入れる。