mission 9:love, after the envy ~クリスマス・キス~
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クリスマス当日の夜。
クリスマスとは無縁なスラム街だったが、ここは違った。
ダンテとディーヴァの住むこの場所には、小さいながらもツリーが置かれ、ドアにはリースも飾られ、クリスマスの雰囲気を十分に醸し出していた。部屋の中がツリーの電飾で柔らかな光を明滅させている。
クリスマスムードはばっちり演出されていた。
そんなテーブルの上には、クリスマス用の豪華なキャンドルが灯され、ところ狭しと料理が並べられている。
七面鳥のローストチキンに、ダンテの好物の大きなピザ、チーズと生ハムのブルスケッタ、グリルドポテトに、シーザーサラダ、オニオングラタンスープ……。
そして極めつけはイチゴがふんだんに使われたクリスマスケーキである。
「これ全部ディーヴァが作ったのか」
「学校もクリスマス休暇に入ったからね…。
朝から頑張っちゃった」
ダンテは依頼に出掛けていたから知らなかったが、朝から今までずっと作っていたらしい。
随分と腕によりをかけたようだ。
「こんなに作るの大変だったろ?」
「ダンテのことを考えながら作ったから苦じゃなかったよ。むしろ楽しかった」
「ありがとな……」
嬉しくなったダンテはディーヴァを優しくその腕に収めると、小さく額に口付けを落とした。
ディーヴァは赤くなって抗議しながらも、嫌がりはしなかった。
「もう!ちゅーはいいから、席について食べようよ!せっかくの焼き立てピザが冷めちゃう」
「そりゃ大変だ!」
二人は席につき、グラスを突き合わせた。
「「メリークリスマス!」」
くぴ、グラスに注がれた琥珀色を飲み下す。
ディーヴァは未成年だということで、ダンテも付き合って中身はワインでもシャンパンでもなく、炭酸ジュースだ。
ノンアルコールだが、雰囲気だけで酔ってしまいそうだ。
「美味い!」
ピザはもちろんのこと、ディーヴァの作る料理は、どれを口にしても美味しかった。
「よかった…一人で七面鳥を焼いたのは初めてだったから心配してたの」
「ディーヴァの料理は何食べても美味いから心配すんな」
ディーヴァの言葉から前は母親と作っていたのだろうと推測する。
思い出したのだろう、ディーヴァは少し気分が落ち込んだように下を向いた。
「ディーヴァ」
ダンテは椅子から離れ、ディーヴァの目の前に立った。
「ダンテ……?」
不思議そうに目を瞬かせるディーヴァの目の前に跪く。
そして手品のように後ろ手から花束を取り出してディーヴァに渡した。
「これからはオレがついてる」
その言葉にじわりと涙がにじみ、目の前のダンテと花束が霞んで見えた。
「嬉しい……ありがとう」
受け取った花束から甘い香りがする。
ディーヴァはその香りを胸いっぱいに吸い込むと、溜まっていた涙をぬぐった。
クリアになった視界で花束を観察する。
花束には深紅のバラと白いバラをメインに、カスミ草、柔らかなピンクの胡蝶蘭、濃いめのピンク色をしたガーベラが入っていた。
バラとカスミ草は一般的な組み合わせだが、自分で入れて欲しいと申し出をしない限りは、その他の花は花屋側が入れるとは思えない。
ダンテが選んだということなのだろうか。
「ダンテ……胡蝶蘭とガーベラはどうしたの?」
「ディーヴァが好きそうな花を適当にチョイスして入れたんだ。……なにか嫌いな花でもあったか?」
「そんなことはないよ?」
「ならいいじゃねーか」
ウソである。
ダンテなりに花言葉というものを調べて花を選んだのだ。
ディーヴァがその意味を理解していようが、いなかろうがいい。
自分で納得のいく出来だった。
深紅のバラはディーヴァに対する深い『愛情』を。
カスミ草と胡蝶蘭、ガーベラはディーヴァにぴったりの『清い心』『清純』『崇高美』を。
そして極めつけの白バラは、少々傲慢な気もするが『オレはお前にふさわしい』と言うのを表しているのだ。
ディーヴァは大切そうに花束をひとしきり眺めてからダンテにもう一度感謝の言葉を述べた。
「ダンテ、本当にありがとう。
……あのね、あたしからもプレゼントがあるの」
「この料理の山だけで十分なのにまだあるって?」
「うん。ちょっと待っててね」
ディーヴァは花束を部屋に置きがてら、本日急いで買ってきた物を取ってきた。
花束はこのあと花瓶には飾らず、ドライフラワーにする予定である。
花の華やかさを楽しむ期間は短いが、ドライフラワーにすれば、ずっと持っていられる。
「はい、どうぞ!メリークリスマス、ダンテ」
戻ってきたディーヴァの持つ箱。
赤いリボンのかけられた小ぶりの箱がダンテに手渡された。
「おお、ありがとな」
「どういたしまして。……開けてみて?」
そっとリボンを紐解き、箱を開ける。
中には、仕事時にはめている物によく似た革の手袋が並んでいた。
「今のやつボロボロだったでしょ?ダンテの大事なおててをこれからも守ってくれますように……って。だから……」
ダンテはたまらずにディーヴァを抱き寄せた。
今日だけで何度抱き締めただろう。
ディーヴァのことは何度だって抱き締めたくなる。
「ディーヴァッ、大好きだっ!!」
「ひゃあ!ダンテ、苦しいよぅ……」
ディーヴァは苦笑いを浮かべてダンテの強い抱擁を受け入れた。
しばらくしてディーヴァを解放したダンテは、壁の時計をおもむろに見上げ、思い出したように言った。
「あ」
「……?」
「まだ少し渡したいものがあるんだけど、外でなんだ。食べたら出掛けたいんだが、いいか?」
「いいけど食べた後だと、かなり遅くなっちゃうんじゃないかな。
今から行かなくて大丈夫なの?」
「少し遅いくらいのがいいんだ」
ダンテはニヤリと笑って肉汁ほとばしるローストチキンを再びほうばった。
クリスマスとは無縁なスラム街だったが、ここは違った。
ダンテとディーヴァの住むこの場所には、小さいながらもツリーが置かれ、ドアにはリースも飾られ、クリスマスの雰囲気を十分に醸し出していた。部屋の中がツリーの電飾で柔らかな光を明滅させている。
クリスマスムードはばっちり演出されていた。
そんなテーブルの上には、クリスマス用の豪華なキャンドルが灯され、ところ狭しと料理が並べられている。
七面鳥のローストチキンに、ダンテの好物の大きなピザ、チーズと生ハムのブルスケッタ、グリルドポテトに、シーザーサラダ、オニオングラタンスープ……。
そして極めつけはイチゴがふんだんに使われたクリスマスケーキである。
「これ全部ディーヴァが作ったのか」
「学校もクリスマス休暇に入ったからね…。
朝から頑張っちゃった」
ダンテは依頼に出掛けていたから知らなかったが、朝から今までずっと作っていたらしい。
随分と腕によりをかけたようだ。
「こんなに作るの大変だったろ?」
「ダンテのことを考えながら作ったから苦じゃなかったよ。むしろ楽しかった」
「ありがとな……」
嬉しくなったダンテはディーヴァを優しくその腕に収めると、小さく額に口付けを落とした。
ディーヴァは赤くなって抗議しながらも、嫌がりはしなかった。
「もう!ちゅーはいいから、席について食べようよ!せっかくの焼き立てピザが冷めちゃう」
「そりゃ大変だ!」
二人は席につき、グラスを突き合わせた。
「「メリークリスマス!」」
くぴ、グラスに注がれた琥珀色を飲み下す。
ディーヴァは未成年だということで、ダンテも付き合って中身はワインでもシャンパンでもなく、炭酸ジュースだ。
ノンアルコールだが、雰囲気だけで酔ってしまいそうだ。
「美味い!」
ピザはもちろんのこと、ディーヴァの作る料理は、どれを口にしても美味しかった。
「よかった…一人で七面鳥を焼いたのは初めてだったから心配してたの」
「ディーヴァの料理は何食べても美味いから心配すんな」
ディーヴァの言葉から前は母親と作っていたのだろうと推測する。
思い出したのだろう、ディーヴァは少し気分が落ち込んだように下を向いた。
「ディーヴァ」
ダンテは椅子から離れ、ディーヴァの目の前に立った。
「ダンテ……?」
不思議そうに目を瞬かせるディーヴァの目の前に跪く。
そして手品のように後ろ手から花束を取り出してディーヴァに渡した。
「これからはオレがついてる」
その言葉にじわりと涙がにじみ、目の前のダンテと花束が霞んで見えた。
「嬉しい……ありがとう」
受け取った花束から甘い香りがする。
ディーヴァはその香りを胸いっぱいに吸い込むと、溜まっていた涙をぬぐった。
クリアになった視界で花束を観察する。
花束には深紅のバラと白いバラをメインに、カスミ草、柔らかなピンクの胡蝶蘭、濃いめのピンク色をしたガーベラが入っていた。
バラとカスミ草は一般的な組み合わせだが、自分で入れて欲しいと申し出をしない限りは、その他の花は花屋側が入れるとは思えない。
ダンテが選んだということなのだろうか。
「ダンテ……胡蝶蘭とガーベラはどうしたの?」
「ディーヴァが好きそうな花を適当にチョイスして入れたんだ。……なにか嫌いな花でもあったか?」
「そんなことはないよ?」
「ならいいじゃねーか」
ウソである。
ダンテなりに花言葉というものを調べて花を選んだのだ。
ディーヴァがその意味を理解していようが、いなかろうがいい。
自分で納得のいく出来だった。
深紅のバラはディーヴァに対する深い『愛情』を。
カスミ草と胡蝶蘭、ガーベラはディーヴァにぴったりの『清い心』『清純』『崇高美』を。
そして極めつけの白バラは、少々傲慢な気もするが『オレはお前にふさわしい』と言うのを表しているのだ。
ディーヴァは大切そうに花束をひとしきり眺めてからダンテにもう一度感謝の言葉を述べた。
「ダンテ、本当にありがとう。
……あのね、あたしからもプレゼントがあるの」
「この料理の山だけで十分なのにまだあるって?」
「うん。ちょっと待っててね」
ディーヴァは花束を部屋に置きがてら、本日急いで買ってきた物を取ってきた。
花束はこのあと花瓶には飾らず、ドライフラワーにする予定である。
花の華やかさを楽しむ期間は短いが、ドライフラワーにすれば、ずっと持っていられる。
「はい、どうぞ!メリークリスマス、ダンテ」
戻ってきたディーヴァの持つ箱。
赤いリボンのかけられた小ぶりの箱がダンテに手渡された。
「おお、ありがとな」
「どういたしまして。……開けてみて?」
そっとリボンを紐解き、箱を開ける。
中には、仕事時にはめている物によく似た革の手袋が並んでいた。
「今のやつボロボロだったでしょ?ダンテの大事なおててをこれからも守ってくれますように……って。だから……」
ダンテはたまらずにディーヴァを抱き寄せた。
今日だけで何度抱き締めただろう。
ディーヴァのことは何度だって抱き締めたくなる。
「ディーヴァッ、大好きだっ!!」
「ひゃあ!ダンテ、苦しいよぅ……」
ディーヴァは苦笑いを浮かべてダンテの強い抱擁を受け入れた。
しばらくしてディーヴァを解放したダンテは、壁の時計をおもむろに見上げ、思い出したように言った。
「あ」
「……?」
「まだ少し渡したいものがあるんだけど、外でなんだ。食べたら出掛けたいんだが、いいか?」
「いいけど食べた後だと、かなり遅くなっちゃうんじゃないかな。
今から行かなくて大丈夫なの?」
「少し遅いくらいのがいいんだ」
ダンテはニヤリと笑って肉汁ほとばしるローストチキンを再びほうばった。