mission 1:Angel and devil ~天使と悪魔~
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「ハァ……ハァ……」
心臓がバクバクと波打っている。
人間やればできるものだ。
悪魔が一瞬にして吹き飛んだ。
といっても怯んだに過ぎず、傷までは負わせられていない。
多分だが。
どちらにせよ、今は確認している暇などない。
今の内に逃げるべきだ。
……グイッ。
カクカクと膝の笑う足を叱咤して、立ち上がろうとしたディーヴァの翼を一匹の悪魔がつかむ。
「―――ゃ、はなして!」
ディーヴァの願いもむなしく、悪魔は力任せにその翼を音を立ててむしり取った。
ブチブチッ…………ブチィッ!!!………………ゴキッ!!!
イヤな音と共に強烈な痛み、背中を伝う生ぬるい感触、鉄臭いにおい……そして絶望が広がった。
「あ……ああぁああぁあ……いやぁぁぁぁぁああああ!!!!!!」
そして激痛から来るショックの為か、ディーヴァの意識はそこでプツンと途絶えた。
***
「ッッ人だと?」
こんな化けモン屋敷にまだ人がいるなんて聞いてねェぞ、クソッ!
かたっぱしから悪魔を倒し進んでいたダンテは突如響いた叫び声に舌打ちすると、聞こえてきた方へ一直線に駆け抜けた。
ダンテが長い廊下の角を曲がると、信じられない光景が目に飛び込んできた。
それは悪魔と天使の世界を題材にした絵画さながら。
背に翼を生やした天使。
その天使に馬乗りになり、羽を悪魔がもぎとる光景。
純白、いや銀緑とも取れる色に輝く翼に、真っ赤な血しぶきが映える。
赤い血とともに、周りにはばらけた羽が、ハラハラと美しく舞い続けている。
悪魔は見慣れているが、生まれてこのかた天使は見たことがなかった。
ファーストコンタクト。
人間だけでなく半分悪魔の自分にとってもその存在は神々しく、そして餌とも贄ともとれてしまうものだ。
広がる赤、赤、赤。
そんな中でも彼女は光り輝いて見えた。
しかし、どんなに美しい絵画のようでも、見とれている場合ではないのである。
悪魔に襲われている者を放っておくことなんて出来やしない。
どこか惹かれるほどに濃い血の匂い。
このままでは死ぬのは確実。
「地獄に帰ってオネンネしてな!」
ダンテは叫ぶと、周りに群がってきた悪魔達を闇へ屠った。
悪魔を全て倒し終えて天使の元へ戻るとダンテは彼女を抱き抱えた。
ものすごく軽い。
背中から相当出血しているからもあるだろう、がもともと軽そうだ。
ちゃんと食べていたのだろうか?
その背中はどっぷりと血に染まり、服や肌、淡い銀緑の髪が赤く染まってしまっている。
顔の造形はなかなかダンテの好みだが、その瞳は一体何色だったのだろうか。
顔かかる髪をどかして確認してやれば、表情は蒼白。
おまけに小さく聴こえてくる心臓の鼓動は徐々に弱くなってきている。
「クソ、どうすれば…」
花が散るかのようにその羽が舞い落ちる中、その五枚の翼はダンテが悪魔を屠る頃には、生えていたという跡すら残さず消えていた。
唇を噛みしめるダンテの視界の片隅でディーヴァの指先がピクリと動いた。
生きている。
だが、それはかろうじて、だ。
顔色は悪く虫の息だ。
このままでは本当に死んでしまうかもしれない。
これがどうでもいい人間なら放置しただろう。
だが彼女の笑っている姿が見たい、そう思ってしまったダンテにとって、彼女を放置するなんていう選択肢はすでになかった。
「死なれちゃ目覚めがワリィぜ、baby」
もう二度と誰も目の前で死なれたくない。
「……悪く思うなよ?」
オレは悪魔の力を持ってる。
で、アンタは天使の力を持ってるみたいだから反発しそうだけど、助けるためだ、怒るんじゃねーぞ。
不可抗力ってやつだ、なぁ?
ダンテの血には魔力が宿る。
魔力とは生命力ともなり体内を循環する物だ。
ダンテは自らの腕を剣で傷つけ、流れ出る血を口に含んだ。
そして一瞬だけ躊躇ってから彼女の小さな唇に自らの唇を重ね、少しずつ魔力の宿る血を流し込んだのだった。
こんな時に不謹慎だが一目ぼれに近い。
どんな事情であれ、相反する種族であれ、気になってしまったのだから仕方ない。
これはもしかしたら、天使と悪魔だからこそ。
獲物たる天使を求める、自分の中に潜む悪魔が起こした感情の変化かもしれないとは思う。
けれど、自分の中に生まれた『恋』に似た感情に嘘はつかない。
恋に似ているなら、勘違いしたまま恋でいい。
難しく考える必要はない。
ごちゃごちゃと考えるのは苦手なのだ。
感情のまま、思うまま行動した方がオレらしい。
好きなら好きで、それでいい。
もちろん、今まで散々してきた女遊びなんてすっぱり縁を切る覚悟は出来てる。
彼女さえいるなら他にはなにもいらない、とも。
だから早く目を開けてくれ。
オレをその瞳に映してくれ。
ダンテは気持ちを伝えるように、ゆっくりと唇を重ねた。
「オヒメサマはキスで目覚めるもんだろ?だから起きろよ……」
悪魔が天使に恋をした瞬間だった。
●あとがき
超捏造。
ダンテ一目ぼれするの巻。ありえないだろ、とか石なげないでください。甘々が好きなのです。
このダンテは小説一作目のトニーだった頃のダンテとDMC3のダンテの丁度中間くらいの18~19歳の設定。服はすでにおなじみの半裸コート。
心臓がバクバクと波打っている。
人間やればできるものだ。
悪魔が一瞬にして吹き飛んだ。
といっても怯んだに過ぎず、傷までは負わせられていない。
多分だが。
どちらにせよ、今は確認している暇などない。
今の内に逃げるべきだ。
……グイッ。
カクカクと膝の笑う足を叱咤して、立ち上がろうとしたディーヴァの翼を一匹の悪魔がつかむ。
「―――ゃ、はなして!」
ディーヴァの願いもむなしく、悪魔は力任せにその翼を音を立ててむしり取った。
ブチブチッ…………ブチィッ!!!………………ゴキッ!!!
イヤな音と共に強烈な痛み、背中を伝う生ぬるい感触、鉄臭いにおい……そして絶望が広がった。
「あ……ああぁああぁあ……いやぁぁぁぁぁああああ!!!!!!」
そして激痛から来るショックの為か、ディーヴァの意識はそこでプツンと途絶えた。
***
「ッッ人だと?」
こんな化けモン屋敷にまだ人がいるなんて聞いてねェぞ、クソッ!
かたっぱしから悪魔を倒し進んでいたダンテは突如響いた叫び声に舌打ちすると、聞こえてきた方へ一直線に駆け抜けた。
ダンテが長い廊下の角を曲がると、信じられない光景が目に飛び込んできた。
それは悪魔と天使の世界を題材にした絵画さながら。
背に翼を生やした天使。
その天使に馬乗りになり、羽を悪魔がもぎとる光景。
純白、いや銀緑とも取れる色に輝く翼に、真っ赤な血しぶきが映える。
赤い血とともに、周りにはばらけた羽が、ハラハラと美しく舞い続けている。
悪魔は見慣れているが、生まれてこのかた天使は見たことがなかった。
ファーストコンタクト。
人間だけでなく半分悪魔の自分にとってもその存在は神々しく、そして餌とも贄ともとれてしまうものだ。
広がる赤、赤、赤。
そんな中でも彼女は光り輝いて見えた。
しかし、どんなに美しい絵画のようでも、見とれている場合ではないのである。
悪魔に襲われている者を放っておくことなんて出来やしない。
どこか惹かれるほどに濃い血の匂い。
このままでは死ぬのは確実。
「地獄に帰ってオネンネしてな!」
ダンテは叫ぶと、周りに群がってきた悪魔達を闇へ屠った。
悪魔を全て倒し終えて天使の元へ戻るとダンテは彼女を抱き抱えた。
ものすごく軽い。
背中から相当出血しているからもあるだろう、がもともと軽そうだ。
ちゃんと食べていたのだろうか?
その背中はどっぷりと血に染まり、服や肌、淡い銀緑の髪が赤く染まってしまっている。
顔の造形はなかなかダンテの好みだが、その瞳は一体何色だったのだろうか。
顔かかる髪をどかして確認してやれば、表情は蒼白。
おまけに小さく聴こえてくる心臓の鼓動は徐々に弱くなってきている。
「クソ、どうすれば…」
花が散るかのようにその羽が舞い落ちる中、その五枚の翼はダンテが悪魔を屠る頃には、生えていたという跡すら残さず消えていた。
唇を噛みしめるダンテの視界の片隅でディーヴァの指先がピクリと動いた。
生きている。
だが、それはかろうじて、だ。
顔色は悪く虫の息だ。
このままでは本当に死んでしまうかもしれない。
これがどうでもいい人間なら放置しただろう。
だが彼女の笑っている姿が見たい、そう思ってしまったダンテにとって、彼女を放置するなんていう選択肢はすでになかった。
「死なれちゃ目覚めがワリィぜ、baby」
もう二度と誰も目の前で死なれたくない。
「……悪く思うなよ?」
オレは悪魔の力を持ってる。
で、アンタは天使の力を持ってるみたいだから反発しそうだけど、助けるためだ、怒るんじゃねーぞ。
不可抗力ってやつだ、なぁ?
ダンテの血には魔力が宿る。
魔力とは生命力ともなり体内を循環する物だ。
ダンテは自らの腕を剣で傷つけ、流れ出る血を口に含んだ。
そして一瞬だけ躊躇ってから彼女の小さな唇に自らの唇を重ね、少しずつ魔力の宿る血を流し込んだのだった。
こんな時に不謹慎だが一目ぼれに近い。
どんな事情であれ、相反する種族であれ、気になってしまったのだから仕方ない。
これはもしかしたら、天使と悪魔だからこそ。
獲物たる天使を求める、自分の中に潜む悪魔が起こした感情の変化かもしれないとは思う。
けれど、自分の中に生まれた『恋』に似た感情に嘘はつかない。
恋に似ているなら、勘違いしたまま恋でいい。
難しく考える必要はない。
ごちゃごちゃと考えるのは苦手なのだ。
感情のまま、思うまま行動した方がオレらしい。
好きなら好きで、それでいい。
もちろん、今まで散々してきた女遊びなんてすっぱり縁を切る覚悟は出来てる。
彼女さえいるなら他にはなにもいらない、とも。
だから早く目を開けてくれ。
オレをその瞳に映してくれ。
ダンテは気持ちを伝えるように、ゆっくりと唇を重ねた。
「オヒメサマはキスで目覚めるもんだろ?だから起きろよ……」
悪魔が天使に恋をした瞬間だった。
●あとがき
超捏造。
ダンテ一目ぼれするの巻。ありえないだろ、とか石なげないでください。甘々が好きなのです。
このダンテは小説一作目のトニーだった頃のダンテとDMC3のダンテの丁度中間くらいの18~19歳の設定。服はすでにおなじみの半裸コート。