mission 1:Angel and devil ~天使と悪魔~
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暗い暗い新月の夜だった。
「ふぅ、ここだな……いるいる♪」
赤いコートを素肌に着込み、身の程もある長剣を背負う銀糸の男が、屋敷の門前に佇む。
楽しそうに目を細める彼の顔が月明かりに照らされる。
それは人間の物とはとても思えないほど整って見えた。
「ここの奴らを狩ればちっとはデビルハンターとしての評判度も上がるだろうよ」
彼の名はダンテ。
彼は伝説の魔剣士スパーダと人間の女性との間に生まれた半分悪魔の存在であり、表向きは便利屋、しかして裏では本業として悪魔を狩り生きている男だ。
今回、十中八九悪魔が出現したのであろう、屋敷の噂を聞きつけたダンテは、彼ら悪魔を狩るためにやってきたのだった。
「今夜は楽しめそうだな」
普通の人間ならばあまりの瘴気の濃さに気絶してしまうだろう。
そう思えるほどの禍禍しさにも臆することなく、ダンテはまるで遠足に向かう子供のように楽しそうに歩を進めた。
一匹たりとも逃がさねぇぜ。
彼はニヤリと笑うと、固く閉ざされた門をいともたやすく蹴り破った。
屋敷の中は悪意で満たされているかのような酷い有り様だった。
家具や装飾品にはあまり破壊は見られはしない。
むしろ、ついさっきまで使われていたんじゃないかと思わせるほどだ。
多分この者達が住んでいたのだろう、三人の人間がホール付近で死んでいる。
何故、このような普通の人間の屋敷に悪魔が出現したのかは分からない。
しかし、何があったにせよ今は禍々しい魔力で満ちている状態なのだ。
「さっそくのお出ましか?」
ダンテが広い玄関ホールへと足を踏み入れたとたんに、その力はより一層強まったようだ。
屋敷中の悪魔達の気配がダンテへと向かう。
それはすさまじい殺気になってダンテを襲ってきた。
足音という足音はあまりしないが、四方八方から彼を殺さんとする、悪魔達の魔の手が瘴気にまじって伸びてきている。
「イイね、Showtime!」
ダンテは慣れた手つきで背中のホルスターから二丁の拳銃を取り出した。
チュッと軽くリップ音を立てて銃身にキスを落とす。
「頼むぜ、相棒。Let’s Rock!」
瞬間、魔力をめいっぱいに詰めこんだ鉛弾のキャンディがダンテに向かう悪魔達の脳天に直撃した。
ダンテの操るエボニーとアイボリーからの弾丸はすぐに十体ほどの悪魔を砂塵へと変える。
「へっ!たいしたことねぇなっ!Present For You!」
ニヤッと笑いながら、後ろに回りこんでいた悪魔を見もせずに撃ち抜く。
大きな銃声に屋敷中の悪魔が気付き、どんどん数を増す。
それでもなお、ダンテは狂ったように、踊りながら弾丸を悪魔へと撃ちこみ続けた。
***
ダンダダダン!!ダダダダッ!ダン!ダン!
銃声が響く。
その音はディーヴァの耳にも確実に届いていた。
「誰か……いるの?悪魔以外に……」
もしも、人がいるのであれば、もし、自分に気付いてくれたなら……。
自分が、ここにいることを悪魔達に見つかることなく伝えられたなら……。
ここから逃げられるかもしれない……。
助けてくれるかもしれない。
そこまで考えてディーヴァは改めて自分の浅ましさに嫌気がさした。
やっぱり自分は卑怯だ。
誰かの助けを待っている。
あたしが行けばその人だって確実に悪魔に殺されてしまうだろう。
その人の安全も考えず、自分ばかり助かろうとしている。
ディーヴァは唇をぎゅ……と噛むとこの部屋の入り口、ドアを見つめた。
それでも……あたしは助かりたい!
今までは恐怖から身を守るようにしてシーツを被っていただけだったが、ディーヴァは何かを決心したように目を開いた。
そして恐る恐るといった風にドアへと歩を進める。
そっとドアに耳をあて、外の様子をうかがった。
すぐ近くには悪魔達の禍々しい気配はなさそうに思えた。
遠く聞こえるのは悪魔達の断末魔にも似た鳴き声、銃声、そして男性の声。
まだこの部屋から出るのは少し恐い。
けれどそんなことを言ってはられないのだ。
これが助かる最後のチャンスなのかもしれないのだから。
意を決してディーヴァはそっと扉に手をかけた。
もう部屋には戻れないだろう。
一度解いた結界をもう一度張る程の力は残ってはいないし張った時の事はあまり覚えていない。
無意識だったのだ。
音を立てぬよう、そっと開ける扉は天岩戸のよう。
だが、天岩戸と違うところは、外には楽しいお祭りが待っているわけではないこと。
希望かもしれない。でももしかしたら、絶望が待っているかもしれない。
それでもーー。
聞こえる銃声を頼りにディーヴァは、震える足を動かし、全力で駆け出した。
「ギャギャ!?」
廊下を駆けるその足音と天使の独特の波長に気付き、ダンテのもとへ向かっていなかったらしい悪魔達が追ってくる。
後ろを振り返ってはいけない。
そんな暇があるなら手足を動かせ!
ディーヴァは足を必死に動かし駆け抜けた。
「ッッ!!!」
しかし、三日も食事を摂らず弱り切った獲物と、飢えようが体力のある悪魔。
力の差は歴然で、彼女はあっという間に取り押さえられてしまった。
足を掴まれ転んだところへ、馬乗りになる悪魔達。
口も塞がれ悲鳴も上げられず涙を流すディーヴァを見て悪魔は下卑た笑いを浮かべた。
―――殺される―――
―――喰われる―――
全身に満ちる恐怖の感情。
あまりの恐怖にがむしゃらにもがいたディーヴァは、無我夢中のその中で天使の力を開放した。
その背には眩しい光と共に、六枚の翼が生える。
同時にディーヴァを取り押さえていた悪魔達が衝撃で吹き飛ぶ。
壁に当たり苦悶の声をもらす悪魔を見るに、怯ませることくらいはできたようだった。
開放時のその光の余波。
それは階下にも及んだようで、光こそ届かなかったがその波長はダンテや彼の狩る悪魔達にもディーヴァの存在を伝えた。
「なんだ……今のは……?上、か?」
ダンテの呟きと共に悪魔が我先にと上階へ向かう。
「おっと、そうはさせねェぜ?てめェ等ザコはひっこんでろ……よっ!」
ダンテは剣を数回振るうと一気に周りの悪魔を片付け、二階への階段へ足をかけた。
「ふぅ、ここだな……いるいる♪」
赤いコートを素肌に着込み、身の程もある長剣を背負う銀糸の男が、屋敷の門前に佇む。
楽しそうに目を細める彼の顔が月明かりに照らされる。
それは人間の物とはとても思えないほど整って見えた。
「ここの奴らを狩ればちっとはデビルハンターとしての評判度も上がるだろうよ」
彼の名はダンテ。
彼は伝説の魔剣士スパーダと人間の女性との間に生まれた半分悪魔の存在であり、表向きは便利屋、しかして裏では本業として悪魔を狩り生きている男だ。
今回、十中八九悪魔が出現したのであろう、屋敷の噂を聞きつけたダンテは、彼ら悪魔を狩るためにやってきたのだった。
「今夜は楽しめそうだな」
普通の人間ならばあまりの瘴気の濃さに気絶してしまうだろう。
そう思えるほどの禍禍しさにも臆することなく、ダンテはまるで遠足に向かう子供のように楽しそうに歩を進めた。
一匹たりとも逃がさねぇぜ。
彼はニヤリと笑うと、固く閉ざされた門をいともたやすく蹴り破った。
屋敷の中は悪意で満たされているかのような酷い有り様だった。
家具や装飾品にはあまり破壊は見られはしない。
むしろ、ついさっきまで使われていたんじゃないかと思わせるほどだ。
多分この者達が住んでいたのだろう、三人の人間がホール付近で死んでいる。
何故、このような普通の人間の屋敷に悪魔が出現したのかは分からない。
しかし、何があったにせよ今は禍々しい魔力で満ちている状態なのだ。
「さっそくのお出ましか?」
ダンテが広い玄関ホールへと足を踏み入れたとたんに、その力はより一層強まったようだ。
屋敷中の悪魔達の気配がダンテへと向かう。
それはすさまじい殺気になってダンテを襲ってきた。
足音という足音はあまりしないが、四方八方から彼を殺さんとする、悪魔達の魔の手が瘴気にまじって伸びてきている。
「イイね、Showtime!」
ダンテは慣れた手つきで背中のホルスターから二丁の拳銃を取り出した。
チュッと軽くリップ音を立てて銃身にキスを落とす。
「頼むぜ、相棒。Let’s Rock!」
瞬間、魔力をめいっぱいに詰めこんだ鉛弾のキャンディがダンテに向かう悪魔達の脳天に直撃した。
ダンテの操るエボニーとアイボリーからの弾丸はすぐに十体ほどの悪魔を砂塵へと変える。
「へっ!たいしたことねぇなっ!Present For You!」
ニヤッと笑いながら、後ろに回りこんでいた悪魔を見もせずに撃ち抜く。
大きな銃声に屋敷中の悪魔が気付き、どんどん数を増す。
それでもなお、ダンテは狂ったように、踊りながら弾丸を悪魔へと撃ちこみ続けた。
***
ダンダダダン!!ダダダダッ!ダン!ダン!
銃声が響く。
その音はディーヴァの耳にも確実に届いていた。
「誰か……いるの?悪魔以外に……」
もしも、人がいるのであれば、もし、自分に気付いてくれたなら……。
自分が、ここにいることを悪魔達に見つかることなく伝えられたなら……。
ここから逃げられるかもしれない……。
助けてくれるかもしれない。
そこまで考えてディーヴァは改めて自分の浅ましさに嫌気がさした。
やっぱり自分は卑怯だ。
誰かの助けを待っている。
あたしが行けばその人だって確実に悪魔に殺されてしまうだろう。
その人の安全も考えず、自分ばかり助かろうとしている。
ディーヴァは唇をぎゅ……と噛むとこの部屋の入り口、ドアを見つめた。
それでも……あたしは助かりたい!
今までは恐怖から身を守るようにしてシーツを被っていただけだったが、ディーヴァは何かを決心したように目を開いた。
そして恐る恐るといった風にドアへと歩を進める。
そっとドアに耳をあて、外の様子をうかがった。
すぐ近くには悪魔達の禍々しい気配はなさそうに思えた。
遠く聞こえるのは悪魔達の断末魔にも似た鳴き声、銃声、そして男性の声。
まだこの部屋から出るのは少し恐い。
けれどそんなことを言ってはられないのだ。
これが助かる最後のチャンスなのかもしれないのだから。
意を決してディーヴァはそっと扉に手をかけた。
もう部屋には戻れないだろう。
一度解いた結界をもう一度張る程の力は残ってはいないし張った時の事はあまり覚えていない。
無意識だったのだ。
音を立てぬよう、そっと開ける扉は天岩戸のよう。
だが、天岩戸と違うところは、外には楽しいお祭りが待っているわけではないこと。
希望かもしれない。でももしかしたら、絶望が待っているかもしれない。
それでもーー。
聞こえる銃声を頼りにディーヴァは、震える足を動かし、全力で駆け出した。
「ギャギャ!?」
廊下を駆けるその足音と天使の独特の波長に気付き、ダンテのもとへ向かっていなかったらしい悪魔達が追ってくる。
後ろを振り返ってはいけない。
そんな暇があるなら手足を動かせ!
ディーヴァは足を必死に動かし駆け抜けた。
「ッッ!!!」
しかし、三日も食事を摂らず弱り切った獲物と、飢えようが体力のある悪魔。
力の差は歴然で、彼女はあっという間に取り押さえられてしまった。
足を掴まれ転んだところへ、馬乗りになる悪魔達。
口も塞がれ悲鳴も上げられず涙を流すディーヴァを見て悪魔は下卑た笑いを浮かべた。
―――殺される―――
―――喰われる―――
全身に満ちる恐怖の感情。
あまりの恐怖にがむしゃらにもがいたディーヴァは、無我夢中のその中で天使の力を開放した。
その背には眩しい光と共に、六枚の翼が生える。
同時にディーヴァを取り押さえていた悪魔達が衝撃で吹き飛ぶ。
壁に当たり苦悶の声をもらす悪魔を見るに、怯ませることくらいはできたようだった。
開放時のその光の余波。
それは階下にも及んだようで、光こそ届かなかったがその波長はダンテや彼の狩る悪魔達にもディーヴァの存在を伝えた。
「なんだ……今のは……?上、か?」
ダンテの呟きと共に悪魔が我先にと上階へ向かう。
「おっと、そうはさせねェぜ?てめェ等ザコはひっこんでろ……よっ!」
ダンテは剣を数回振るうと一気に周りの悪魔を片付け、二階への階段へ足をかけた。