mission 7:overcome a sad memory ~記憶に打ち勝て~
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今年もハロウィンがやってきた。
ディーヴァは慌ただしく朝から料理をしていた。
ダンテはまだ就寝中である。
―――チン!
クッキーが焼きあがった音がする。
ホカホカと湯気を立てていてとても美味しそうだ。
ジャック・オ・ランタンの形をしたクッキーをつまみあげると、ふと家族を思い出す。
この時期になるといつも家族と一緒にたくさんの菓子を作っていた。
家族同士でお菓子を交換したり、仮装をして楽しんだものだ。
去年、兄妹揃ってシーツおばけの格好をしたのを覚えている。
兄がシーツの端を踏んで派手に転んだのも、少し焦げたパンプキンパイを皆で食べたことも、今となっては良い思い出である。
今年も学校では先日お菓子を交換したが、その楽しさは家族と過ごした時の比ではない。
じわりと涙が浮かびそうになる。
「いけない、泣かないって決めたんだったっけ」
ディーヴァはエプロンの端で涙をそっと拭うと、ダンテ用に作りかけだったストロベリーサンデーの仕上げに取りかかった。
その時、ようやく起床果たしたらしきダンテが、階段を降り駆けこんできた。
朝の挨拶が飛んでくるものと、顔を向けたディーヴァはダンテのいでたちを見て目を丸くした。
「トリックオアトリート!」
ダンテはいつもの赤いコートでも、上半身裸でも、Tシャツでもなかった。
上下とも黒い服を着こんでいる。
そしてその背には漆黒の悪魔の羽が生え、同じく悪魔の尾もついていた。
おまけに口元には牙が見え隠れ。
そう!ダンテはハロウィン仕様に衣装替えをしていたのだ!
ハロウィンだからそのセリフも少しは予想していた。
ただ、ダンテがここまで仮装に参加してくるのは予想外だっただけだ。
一瞬の石化から回復したのち、ディーヴァは落ち着いて作ったものを渡した。
「ハッピーハロウィン。はい、ストロベリーサンデーとアップルパイとカボチャのプディング、それにクッキー。
どれも出来立てだよ」
ダンテはそんなに驚かなかったディーヴァに拍子抜けしつつ、用意された菓子類を見回した。
煮林檎とカラメルの甘い香りが漂うアップルパイに、ハロウィンの定番であるかぼちゃを使った黄色いプディング、まだ湯気のたつ焼きたてのジャック・オ・ランタンクッキー。
これだけ作るのも大変だろうに、ダンテの大好物であるストロベリーサンデーまで作ってある。
その天辺にはご丁寧にも焼きたてジャック・オ・ランタンのクッキーが飾ってあり、ハロウィン仕様になっていた。
いつから起きていたのだろう、まさか完徹したんじゃなかろうかと、疑問に思うほどの量。
「なんだよ、用意周到だな」
「あたしはダンテと違って毎日カレンダー見てますから」
「ちぇ、イタズラ出来ると思ったのに……」
「残念でした、ダンテがイタズラしたがることは予想してたからねー」
ダンテは甘いものも好きだが、ハロウィンにかこつけてきっとイタズラをしたがると踏んで正解だった。
でなければ今ごろイタズラされていたのか。
「ちなみにどんなイタズラしようとしてたの?」
「聞きたい?」
キラーン!ダンテの目が輝いた。
ずい、と寄ってくるその勢いに、ディーヴァは一歩後ずさる。
「聞きたいのか?」
ずずい、更に詰め寄ってくるダンテに、更に更に一歩後ずさる。
「あっあたしやめておこうかな!」
速攻で断りを入れた。
が!ダンテは言いたかったようで、にっこぉぉぉ……と超絶イイ笑顔を浮かべ、したかったイタズラリストをずらーりと述べた。
「なんだよ!キスしたりスカートめくったり尻掴んだりおっぱい揉、」
「きゃーーーー!はいそこまでーーー!もういいもういいからぁ!聞きたくなーい!」
耳栓プリーズ!と、耳に手を当て、ディーヴァは目までつぶってダンテの発言を遮った。
「目を閉じたな?吸血と言う名がついたキスするぞ」
「いーやー!!」
「ぶっ!?」
ディーヴァは急いで目を開け、手のひらで固くガードした。
その結果、ダンテはディーヴァの手のひらによって唇の進行を遮られ、首ごとグキッと後方へ顔を曲げた。
絶対痛い。
「何すんだよ……首の骨折れちまうだろ?あー、いてて……」
「ごめんんん〜!でもダンテが近づいてくるからぁ〜……」
変な方向へ曲がりそうになった首を、ゴキリと戻す。
「ったく。
せっかくのハロウィンなんだし、イタズラ関係なく、大人しく唇の一つや二つ食わせてくれてもいいんだけどなァ」
「えー、やだ。
唇じゃなくてお菓子にしてよ。
まあ、お菓子がいらないなら食べといてあげるけどね?」
そう言ってディーヴァがストロベリーサンデーを取り上げるように、手元に引き寄せようとすると、ダンテは慌てだした。
「誰もいらないとは言ってないだろ」
子どものような行動に笑みがこぼれる。
ディーヴァは代わりに、用意していたティーポットに熱湯を注いだ。
ふわりと林檎の香りが広がる。
「アップルティー。お菓子とともにどうぞ」
テーブルクロスがいつものではなく、ジャック・オ・ランタン柄になっていた。
「こんなとこまでハロウィン仕様か、ははっスゲェなディーヴァ!」
二人は向かい合って席に座った。
ディーヴァは慌ただしく朝から料理をしていた。
ダンテはまだ就寝中である。
―――チン!
クッキーが焼きあがった音がする。
ホカホカと湯気を立てていてとても美味しそうだ。
ジャック・オ・ランタンの形をしたクッキーをつまみあげると、ふと家族を思い出す。
この時期になるといつも家族と一緒にたくさんの菓子を作っていた。
家族同士でお菓子を交換したり、仮装をして楽しんだものだ。
去年、兄妹揃ってシーツおばけの格好をしたのを覚えている。
兄がシーツの端を踏んで派手に転んだのも、少し焦げたパンプキンパイを皆で食べたことも、今となっては良い思い出である。
今年も学校では先日お菓子を交換したが、その楽しさは家族と過ごした時の比ではない。
じわりと涙が浮かびそうになる。
「いけない、泣かないって決めたんだったっけ」
ディーヴァはエプロンの端で涙をそっと拭うと、ダンテ用に作りかけだったストロベリーサンデーの仕上げに取りかかった。
その時、ようやく起床果たしたらしきダンテが、階段を降り駆けこんできた。
朝の挨拶が飛んでくるものと、顔を向けたディーヴァはダンテのいでたちを見て目を丸くした。
「トリックオアトリート!」
ダンテはいつもの赤いコートでも、上半身裸でも、Tシャツでもなかった。
上下とも黒い服を着こんでいる。
そしてその背には漆黒の悪魔の羽が生え、同じく悪魔の尾もついていた。
おまけに口元には牙が見え隠れ。
そう!ダンテはハロウィン仕様に衣装替えをしていたのだ!
ハロウィンだからそのセリフも少しは予想していた。
ただ、ダンテがここまで仮装に参加してくるのは予想外だっただけだ。
一瞬の石化から回復したのち、ディーヴァは落ち着いて作ったものを渡した。
「ハッピーハロウィン。はい、ストロベリーサンデーとアップルパイとカボチャのプディング、それにクッキー。
どれも出来立てだよ」
ダンテはそんなに驚かなかったディーヴァに拍子抜けしつつ、用意された菓子類を見回した。
煮林檎とカラメルの甘い香りが漂うアップルパイに、ハロウィンの定番であるかぼちゃを使った黄色いプディング、まだ湯気のたつ焼きたてのジャック・オ・ランタンクッキー。
これだけ作るのも大変だろうに、ダンテの大好物であるストロベリーサンデーまで作ってある。
その天辺にはご丁寧にも焼きたてジャック・オ・ランタンのクッキーが飾ってあり、ハロウィン仕様になっていた。
いつから起きていたのだろう、まさか完徹したんじゃなかろうかと、疑問に思うほどの量。
「なんだよ、用意周到だな」
「あたしはダンテと違って毎日カレンダー見てますから」
「ちぇ、イタズラ出来ると思ったのに……」
「残念でした、ダンテがイタズラしたがることは予想してたからねー」
ダンテは甘いものも好きだが、ハロウィンにかこつけてきっとイタズラをしたがると踏んで正解だった。
でなければ今ごろイタズラされていたのか。
「ちなみにどんなイタズラしようとしてたの?」
「聞きたい?」
キラーン!ダンテの目が輝いた。
ずい、と寄ってくるその勢いに、ディーヴァは一歩後ずさる。
「聞きたいのか?」
ずずい、更に詰め寄ってくるダンテに、更に更に一歩後ずさる。
「あっあたしやめておこうかな!」
速攻で断りを入れた。
が!ダンテは言いたかったようで、にっこぉぉぉ……と超絶イイ笑顔を浮かべ、したかったイタズラリストをずらーりと述べた。
「なんだよ!キスしたりスカートめくったり尻掴んだりおっぱい揉、」
「きゃーーーー!はいそこまでーーー!もういいもういいからぁ!聞きたくなーい!」
耳栓プリーズ!と、耳に手を当て、ディーヴァは目までつぶってダンテの発言を遮った。
「目を閉じたな?吸血と言う名がついたキスするぞ」
「いーやー!!」
「ぶっ!?」
ディーヴァは急いで目を開け、手のひらで固くガードした。
その結果、ダンテはディーヴァの手のひらによって唇の進行を遮られ、首ごとグキッと後方へ顔を曲げた。
絶対痛い。
「何すんだよ……首の骨折れちまうだろ?あー、いてて……」
「ごめんんん〜!でもダンテが近づいてくるからぁ〜……」
変な方向へ曲がりそうになった首を、ゴキリと戻す。
「ったく。
せっかくのハロウィンなんだし、イタズラ関係なく、大人しく唇の一つや二つ食わせてくれてもいいんだけどなァ」
「えー、やだ。
唇じゃなくてお菓子にしてよ。
まあ、お菓子がいらないなら食べといてあげるけどね?」
そう言ってディーヴァがストロベリーサンデーを取り上げるように、手元に引き寄せようとすると、ダンテは慌てだした。
「誰もいらないとは言ってないだろ」
子どものような行動に笑みがこぼれる。
ディーヴァは代わりに、用意していたティーポットに熱湯を注いだ。
ふわりと林檎の香りが広がる。
「アップルティー。お菓子とともにどうぞ」
テーブルクロスがいつものではなく、ジャック・オ・ランタン柄になっていた。
「こんなとこまでハロウィン仕様か、ははっスゲェなディーヴァ!」
二人は向かい合って席に座った。