「あっ！早く制服に着替えなくっちゃ」

「ふふ、あとのことは任せて着替えておいで」

「ありがと、リアラお姉ちゃん」


刻々と迫る、通学バスの時間。
ディーヴァは、慌てて２階へと上がってゆく。
未だ歯磨きしていたダンテも、急いで口をゆすいでディーヴァの見送りの準備に入った。


そしてディーヴァを待ちながら、鏡の前に再び立つダンテとリアラ。
ダンテは目の前の鏡をじぃーっと覗き込んだ。


「にしてもオレってさ…」

「どうかしたの？」


真剣な表情で、鏡の中の自分を見つめるダンテ。
リアラはその真剣なまなざしに、心配そうに一緒に覗き込んだ。


「いつみてもかっこいいな！！」


ぺカーッとした笑顔で言い切って、うんうんと頷くダンテに、リアラは拍子抜けしてズルっとずっこけてしまった。


「そ、そうね…」

「だろだろ？リアラもそう思うだろ？ディーヴァもそう思ってるに違いない！今日もかっこいいオレはディーヴァに行ってらっしゃいのチューをするぞ！！」

「う、うーん？…あはは…」


なんという自信過剰っぷり。
世界が違えばダンテの中身も少しとはいえ変わるのかもしれない。
リアラはなんとも言えず、口元をひきつらせた。


「ま、まあ。どうぞお好きに。でも無理はしないであげてね…？」

「あったりまえだぜ！」

「じゃあ、あとでご飯食べようね」

「え？ああ、わかった…」


そう言い残し、リアラは一度キッチンの方へ戻っていってしまった。

ダンテとディーヴァのキスを覗くのも悪いと思ったに違いない。
そう思って、ダンテはなんだか気を使わせてしまって申し訳なく思った。