優しくあたたかい風が一陣吹き、蛍が一斉に飛び立つかのような光が部屋内にあふれかえった。

まばゆくも柔らかな乳白色の光の発生源はディーヴァの背中。


「な、なんだ？」

「ディーヴァ…ちゃん…？」


若は驚かなかったところを見るに見慣れているようだ。
発光していて見えなかったそれは、ゆっくりと５枚の翼を形作る。

一層強い風が吹いた次の瞬間、翼を携えたディーヴァが降臨した。
その神々しく美しい翼こそ、天使の象徴。


「すげーなディーヴァ…。お前、本当に天使だったんだな…」

「ディーヴァちゃん……」


髭ははじめて目にするその姿に、口をあんぐりと開けて魅入った。
見るのは二度目のリアラも、その姿に見惚れてしまった。

ディーヴァは若同様驚いていないかと思いきや、髭やリアラ以上にビックリしていた。


「え……何、これ…。翼が勝手にでてきちゃったよ…」

「なんだよディーヴァ、また無意識で出たのか？」

「『また』って？いつも無意識なの！？」


それでは日常生活が大変そうだ。
くしゃみか何かで翼が具現化でもしたら何かとんでもないことになるはずだ。

リアラはディーヴァのことがひどく心配になった。