「驚いてソファから滑り落ちるとか、お前、案外おっちょこちょいなんだな！」

「うう、もう止めてよ…」


笑いながら言うダンテに、リアラは顔を真っ赤にしてトーストを齧る。
本日の朝食はディーヴァの大好物であるチーズの入ったオムレツにトースト、コンソメスープに焼いたソーセージ。いつものように食べてしまいたいのだが、ダンテがからかうせいでなかなか食が進まない。
さすがにかわいそうだと思ったのかダンテの隣にいるディーヴァが止めてくれているが、彼女も昨夜の出来事を見られてしまったせいか、今だに顔が赤いままだ。


「ダンテ、もう止めてあげなよ、リアラお姉ちゃんがかわいそうだよ」

「だって中々ないぜ、テーブルとソファの間に挟まれてキスとかさ！もうちょっとロマンチックなのあるだろ！」

「……」


さすがにここまで言われると、恥ずかしさより怒りが湧いてくる。というか、ダンテにロマンチックなどと言われたくない。
リアラの纏う雰囲気が変わったのに気づき、ディーヴァが大きくため息をつく。


「あーあ、ダンテ、しらないよ…」

「え？」


ダンテがディーヴァの言葉に目をぱちくりさせていると、手を叩いてパンくずを払ったリアラが立ち上がる。


「ダンテ、ちょっとこっち来なさい」

「え、なんで…」

「来・な・さ・い？」

「…ハイ」

「あ、ディーヴァちゃんは食べてていいからね？」

「うん、わかった」


ディーヴァが頷くと、リアラはダンテを引きずっていく。
やがて、遠くから雪が吹雪くような音と共にダンテの叫び声が聞こえてきて、ディーヴァは再びため息をついたのだった。