「リアラ」


様子をほっとした表情で見ていた髭が、リアラを呼ぶ。
振り向いたリアラはもう若やディーヴァ同様、笑顔だ。


「ダンテさん？」

「あー…。お前の性格上、元凶の悪魔をどうにかしないとそうそう楽しめないのはわかってるつもりだ…でもな、」

「…？」


至極優しい『お兄ちゃん』の表情で髭は続ける。


「大丈夫だからこっちの心配はしなくていい。リアラのセカイはリアラが無事に帰ってくるのをいつまでも待ってる」

「私の…セカイ…」


手は触れていないのに、まるでいつも撫でられている時のように、感じる。
言葉で撫でられているのだろうか。
心がほわんと暖かくなる。


「だから、そっちにいる間くらいは肩の力を抜いてうんと楽しんでこい。せっかく女の子の友達ができたんだからな」


その瞬間、ディーヴァはリアラの手を握ってにこぉ…と笑った。