その話を聞いたリアラは口を押さえてうつむいた。
床に涙がポタリ、ポタリと染みを作る。


「やっぱり私のせいでダンテとディーヴァちゃんに迷惑が…っ！」

「リアラ……」


髭は何と声をかけていいかわからず、言葉が出なかった。

いつもなら頭を撫でたりすることで…触れることで慰めるのに今はそれができない。
もどかしさに唇をギリリと強く噛む。


と、力強く拳を握りしめたディーヴァがリアラに励ましのエールを贈った。


「そんなことない！大丈夫だよ、リアラお姉ちゃん！あたし迷惑だなんて思ってない！ね、ダンテ！」

「ああ、気にするなって。どっちにしろ立ちふさがる悪魔はブッ飛ばさないわけにはいかねえし、２人いればディーヴァを守るにも心強いぜ？」

「あたし…リアラお姉ちゃんがいてくれてよかったって思ってる。昨日だってリアラお姉ちゃんがいなかったら２人とも死んでたかもしれないもん」


ぎゅっと思いきりリアラに飛び付いて伝えるディーヴァ。
ダンテもリアラの肩に手を置き、さらに励ましの言葉をかける。


「ああ、そうだぜ？それに…その悪魔をなんとかしないとリアラは帰れないんだろ。絶対元の世界にオレ達が帰してやる…絶対にな」

「ダンテ…ディーヴァちゃん……」


顔を上げて２人の顔を見ると、ディーヴァはにっこり、若は歯を見せてニカッ！と笑いかけていた。


「だから、サポート頼んだぜ、センパイ！」

「…うん」


目尻の涙を指でぬぐい、リアラは気持ちを入れ換えて引き締める。

こっちの世界に来てから少し、ホームシックにも似た感情に冒されていたかもしれない。
この場合はダンテシックと言えなくもないが。


「良かったな、リアラ…」


髭はその様子を微笑んで見ていた。