スイーツまでの道のりは長い
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「逃げたわ」
「逃げたな」
抜け出そうとするも、髭の馬鹿力をもってしても抜ける事叶わず…。
リアラの魔法で地面を水分で柔らかくし、ぬかるんだ状態で抜けるしかなさそうだ。
「リアラ魔法頼む、…って、今は魔法使いたくないんだったか」
「ここから抜けるための魔法ぐらいなら使っても大丈夫よ?」
杖をふりふり、いつでも魔法を使う準備はオールオッケーなリアラ。
しかし、魔力値が心配な相手にこれ以上魔力を酷使させるわけにはいかない。
ちょうど、こちらに向かってくる見知った気配ひとつ。
「あいつに頼むから無理に使わなくていい」
「あいつ?」
髭が顔を向けた草むらがガサガサと動き、姿を現したのは、髪の毛に木の葉を紛れ込ませた若だった。
「若に頼むってわけね」
「頼むって?
そもそも2人とも土の中で何やってんだ。埋まりながらヤる特殊プレイか?」
この男はどうしてこう…。
頭を抱えたくなる気持ちを抑え言う。
「埋まったのよ。見ればわかるでしょ」
「若も知ってるだろ、ほしがり魔獣のリス。あいつに大事なもの盗られた上にこうだ」
若はしばし逡巡し、思い出したか手をポンと叩いた。
「あいつか。
兄貴あいつが土属性なの知ってるのに埋まったのかよ、ウケるー!」
「忘れてたんだよ。それ以上言うとケツに猛毒の針ブチ込むぞてめぇ」
「はっ!年寄りは物忘れが激しくていやになるぜ!」
誰が年寄りだ。
絶対あとでケツに猛毒案件。
「で、助けは?」
「「いる」」
そこは即答だった。
埋まった土をぐるりと囲むように、若は左腕にはまった片腕ベオウルフでヴォルケイノを放ち、地面を崩して2人を救出した。
「ふう、助かったぜ。ケツ毒をやらせてもらうのは変わらないけどな」
「ケツに毒針くらい死ななければべつにいいけど、オレがディーヴァに過ぎたちょっかい出すの見ても邪魔するなよ。それでチャラだ」
「貸し一回というわけか」
「かわいそうにディーヴァ…」
これではリアラと髭の前でディーヴァに若の魔の手が迫っていても助けられない。
不憫だ。すごく不憫だ。
「そんで奴に盗られたのはなんだ?兄貴のパンツか?リアラの下着か?」
「なんでそういうのばっかり提示してくるかな…。
そこに扉があるでしょ。常界へのゲートなんだけど、その鍵よ」
リアラの指し示す方を見ると、常界の気配漂う扉、そしてジャラジャラと鎖だらけの南京錠が。
「へー。南京錠の鍵か。
南京錠ぶっ壊しちまえばいいじゃねぇか」
「その考えはなかったわね。でも、多分無駄だと思…」
脳筋若は、オラァ!と雄叫びをあげてベオウルフで南京錠を殴りつける。
扉を伝い若を伝い、まわりまでビリビリと痺れる感覚が、髭とリアラにも届いた。
南京錠は無傷。反対に若の手もベオウルフも、赤く腫れていた。若はともかくベオウルフかわいそう。
「ひぇーーー、かってぇ!久しぶりに痛覚が仕事したぜ!?」
「…う、って言おうとしたのに」
「遅かったようだ。ばーか、そんなだからバージルに愚弟呼ばわりされるんだぜ」
「うっせ!」
破壊するのは諦めたらしい若。ベオウルフを外してふうふうと手に息を吹きかけているが、その息は炎属性だからか熱を帯びていて意味をなさない。
仕方なくリアラがひんやりした手を腫れた箇所に当ててやった。
それを見ていた髭がいい顔をしていないのに気付いていたが、無視。我慢していただこう。
「ところでディーヴァはどうしたの?」
ディーヴァのいるところ若あり、なイメージが未だ強いリアラは、ディーヴァの姿が見えないのに不思議がった。
手当てしながら聞いてみる。
「ディーヴァだったら向こうの方で七色の花見つけて詰んでるぜ」
「ここは仮にも魔界だってのに呑気なもんだな」
「1人にして大丈夫なの?」
「オレの一部を置いてきたから何か起こってもすぐわかる」
よく見ればあの暑苦しいベーコ…マフラーがない。
なるほど、若の魔力染み込んだアレがあるならば、何か起こる前に、中途半端に力ある魔獣は近寄らないだろう。
リアラや髭が相手したような強さや、反対に弱すぎる魔獣は除くが。
「今頃熱いくらいの愛を感じてるだろうなァ」
「暑苦しそうな愛ね」
リアラなら火傷すること間違いなし。
そう考えると、髭が炎属性でなくて本当に良かったと思う。
物理的な熱さは少々苦手だ。
「さて、ダンテ。リス魔獣の向かった方向は大体わかった?」
「もちろん探れてるぜ。魔獣化して走るがいいか?」
「ええ、貴方の背中に乗せていただけるならね」
そう言うと髭は白い虎の姿を取った。
リアラがふわふわとした毛並みを撫で上げ、喉の下をこしょこしょとくすぐれば、唸り声にも似た、でも気持ちよさそうな猛獣の鳴き声が漏れた。
なんと大きなネコだろう。
「お前はどうする、若」
「ディーヴァを拾ってから兄貴達を追うよ」
「そうか。
……さあ白薔薇姫、どうぞ?白馬じゃなくて悪いがな」
「あら、私は白馬よりも白虎の方が好きよ。腕も足も太くて守ってもらえそうだし、大きな体は包まれているよう。すごく安心できるもの」
髭が若にそう軽く聞いたのち、リアラの体に頭を押し付けぐいぐいと背の上に誘導する。
導く言葉に、リアラは髭の額に顔を当てて愛を返すと、そっと背に乗って毛並みを梳いた。
「クセェ台詞だぜ。甘すぎて胃がもたれちまうね」
「!」
「お前にだけは言われたくねーよ」
若に指摘され照れたリアラと反対に、髭は軽くそう返しただけだった。
「逃げたな」
抜け出そうとするも、髭の馬鹿力をもってしても抜ける事叶わず…。
リアラの魔法で地面を水分で柔らかくし、ぬかるんだ状態で抜けるしかなさそうだ。
「リアラ魔法頼む、…って、今は魔法使いたくないんだったか」
「ここから抜けるための魔法ぐらいなら使っても大丈夫よ?」
杖をふりふり、いつでも魔法を使う準備はオールオッケーなリアラ。
しかし、魔力値が心配な相手にこれ以上魔力を酷使させるわけにはいかない。
ちょうど、こちらに向かってくる見知った気配ひとつ。
「あいつに頼むから無理に使わなくていい」
「あいつ?」
髭が顔を向けた草むらがガサガサと動き、姿を現したのは、髪の毛に木の葉を紛れ込ませた若だった。
「若に頼むってわけね」
「頼むって?
そもそも2人とも土の中で何やってんだ。埋まりながらヤる特殊プレイか?」
この男はどうしてこう…。
頭を抱えたくなる気持ちを抑え言う。
「埋まったのよ。見ればわかるでしょ」
「若も知ってるだろ、ほしがり魔獣のリス。あいつに大事なもの盗られた上にこうだ」
若はしばし逡巡し、思い出したか手をポンと叩いた。
「あいつか。
兄貴あいつが土属性なの知ってるのに埋まったのかよ、ウケるー!」
「忘れてたんだよ。それ以上言うとケツに猛毒の針ブチ込むぞてめぇ」
「はっ!年寄りは物忘れが激しくていやになるぜ!」
誰が年寄りだ。
絶対あとでケツに猛毒案件。
「で、助けは?」
「「いる」」
そこは即答だった。
埋まった土をぐるりと囲むように、若は左腕にはまった片腕ベオウルフでヴォルケイノを放ち、地面を崩して2人を救出した。
「ふう、助かったぜ。ケツ毒をやらせてもらうのは変わらないけどな」
「ケツに毒針くらい死ななければべつにいいけど、オレがディーヴァに過ぎたちょっかい出すの見ても邪魔するなよ。それでチャラだ」
「貸し一回というわけか」
「かわいそうにディーヴァ…」
これではリアラと髭の前でディーヴァに若の魔の手が迫っていても助けられない。
不憫だ。すごく不憫だ。
「そんで奴に盗られたのはなんだ?兄貴のパンツか?リアラの下着か?」
「なんでそういうのばっかり提示してくるかな…。
そこに扉があるでしょ。常界へのゲートなんだけど、その鍵よ」
リアラの指し示す方を見ると、常界の気配漂う扉、そしてジャラジャラと鎖だらけの南京錠が。
「へー。南京錠の鍵か。
南京錠ぶっ壊しちまえばいいじゃねぇか」
「その考えはなかったわね。でも、多分無駄だと思…」
脳筋若は、オラァ!と雄叫びをあげてベオウルフで南京錠を殴りつける。
扉を伝い若を伝い、まわりまでビリビリと痺れる感覚が、髭とリアラにも届いた。
南京錠は無傷。反対に若の手もベオウルフも、赤く腫れていた。若はともかくベオウルフかわいそう。
「ひぇーーー、かってぇ!久しぶりに痛覚が仕事したぜ!?」
「…う、って言おうとしたのに」
「遅かったようだ。ばーか、そんなだからバージルに愚弟呼ばわりされるんだぜ」
「うっせ!」
破壊するのは諦めたらしい若。ベオウルフを外してふうふうと手に息を吹きかけているが、その息は炎属性だからか熱を帯びていて意味をなさない。
仕方なくリアラがひんやりした手を腫れた箇所に当ててやった。
それを見ていた髭がいい顔をしていないのに気付いていたが、無視。我慢していただこう。
「ところでディーヴァはどうしたの?」
ディーヴァのいるところ若あり、なイメージが未だ強いリアラは、ディーヴァの姿が見えないのに不思議がった。
手当てしながら聞いてみる。
「ディーヴァだったら向こうの方で七色の花見つけて詰んでるぜ」
「ここは仮にも魔界だってのに呑気なもんだな」
「1人にして大丈夫なの?」
「オレの一部を置いてきたから何か起こってもすぐわかる」
よく見ればあの暑苦しいベーコ…マフラーがない。
なるほど、若の魔力染み込んだアレがあるならば、何か起こる前に、中途半端に力ある魔獣は近寄らないだろう。
リアラや髭が相手したような強さや、反対に弱すぎる魔獣は除くが。
「今頃熱いくらいの愛を感じてるだろうなァ」
「暑苦しそうな愛ね」
リアラなら火傷すること間違いなし。
そう考えると、髭が炎属性でなくて本当に良かったと思う。
物理的な熱さは少々苦手だ。
「さて、ダンテ。リス魔獣の向かった方向は大体わかった?」
「もちろん探れてるぜ。魔獣化して走るがいいか?」
「ええ、貴方の背中に乗せていただけるならね」
そう言うと髭は白い虎の姿を取った。
リアラがふわふわとした毛並みを撫で上げ、喉の下をこしょこしょとくすぐれば、唸り声にも似た、でも気持ちよさそうな猛獣の鳴き声が漏れた。
なんと大きなネコだろう。
「お前はどうする、若」
「ディーヴァを拾ってから兄貴達を追うよ」
「そうか。
……さあ白薔薇姫、どうぞ?白馬じゃなくて悪いがな」
「あら、私は白馬よりも白虎の方が好きよ。腕も足も太くて守ってもらえそうだし、大きな体は包まれているよう。すごく安心できるもの」
髭が若にそう軽く聞いたのち、リアラの体に頭を押し付けぐいぐいと背の上に誘導する。
導く言葉に、リアラは髭の額に顔を当てて愛を返すと、そっと背に乗って毛並みを梳いた。
「クセェ台詞だぜ。甘すぎて胃がもたれちまうね」
「!」
「お前にだけは言われたくねーよ」
若に指摘され照れたリアラと反対に、髭は軽くそう返しただけだった。