スイーツまでの道のりは長い
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ニコニコとやたら機嫌の良い魔女・ディーヴァが訪ねてきたのは、日差し暖かなとある晴れの日。
「るったら~!リアラさ~ん!」
リアラが住むのは木の上。
高い場所にある窓から鼻歌まじりにひょっこりと顔を出すのは、最近知り合った、魔女としては若い部類に入るディーヴァ。
「あらこんにちはディーヴァ。玄関から入ればいいのに」
「こんにちはー。窓から出入りするのってロマンでしょ、ロマン」
「ああ、そう…」
「まあ入れよ。入れていいよな、リアラ」
「ええ。『ようこそ』」
ディーヴァは年齢だけでなく経験も浅く、全体的に幼い。
魔女は招き入れる許可を出さねば、相手が中に入ることはできない。
軽く朝食を済ませて読み物をしていたリアラとダンテは、若干呆れた様相で迎え入れる。
「それじゃ、遠慮なくお邪魔しまーす」
許可を受けたディーヴァがどっこいしょと、婆クサイ言葉を吐きながら窓枠を乗り越えてくる。
え?実年齢はじゅうぶんババア?
言ったやつ出てこい杖で物理攻撃してやんよ。
ディーヴァの手を取ってやったダンテが窓の下を覗くと、そこには羽耳をドローンのごとく動かして空を飛ぶ蛇尻尾の弟ダンテが。
「よ、兄貴」
「弟のダンテじゃねぇか。
んでお前の耳ってなんなの?タ●コプターなの?」
なるほど。ダンテに乗ってこの高さまで飛んでいたから、窓からこんにちはしたか。
だが、その構図はひどくシュール。
(分かりづらくなるので、これよりリアラパートナーのダンテを髭、ディーヴァパートナーのダンテを若と呼ぶ)
「何の用か知らんがお前も来たのか」
「来ちゃ悪いか?オレだってたまにはディーヴァに着いてくっつの」
パートナーだから普通は隣にいるのが当たり前だが、若の場合は自由奔放なところがあり、昼間というディーヴァにとって危険の少ない時には、ふらりと一人で出かける事も多い。
だのに、今回は珍しいこともあるものだ。
魔女側も自由人だが、魔獣も自由人。なのに、イチャコラする時はとことんイチャコラ。自由がゲシュタルト崩壊する恋人同士である。
「それで、今日はどうかした?」
琥珀色の紅茶注がれたティーカップを並べながら、リアラは聞く。
おっと、スイーツ食べないと禁断症状のでるディーヴァのため、お茶菓子も忘れずに。
「うん。はやくスイーツ食べに行こう!」
茶をふうふうと冷まして美味しそうに啜りながら、ディーヴァがそう笑った。
まず菓子から入るのに珍しい。
「……ディーヴァ、私貴女と何か約束してたかしら?」
ちょっと待って、そんな予定あったか覚えていない。心当たりの1つもない。
ちらりとパートナーの方へ目配せすると、すでに髭はスケジュールを確認していた。
「スケジュールには何も載っていないぜ」
「あら…。もしかして口約束してたならごめんなさい。忘れてたわ」
前に会った時に口頭で約束を取り付けていたのかもしれない。
申し訳ない思いでいっぱいだ。
だが、ディーヴァの返事はあっけらかんとしていた。
「ううん。なーんも約束してないよ」
「「えっ」」
驚きの声をあげるのは髭とリアラ。
まさかのアポなし訪問か。
「……やっぱりな。そんな事だろうと思ったぜ」
自身のたてがみが変化したマフラーを指でいじっていた若が、やれやれとこぼす。
おいおいおい、お前のパートナーだろ、魔女の教育もうちょっとしっかりしろよ。
性教育はしっかりしてるって?そこはいちいち聞きたくないな。
呆気にとられていた2人だが、髭が先に回復する。
そして、こほんと咳払いひとつ。ディーヴァに理由を問いただした。
「それで、なんでいきなり『スイーツ食べに行こう』なんだ?」
「だって、2人とも苺好きでしょ?
季節ごとにスイーツ商戦ってのがあって、この時期だけしか食べられないお菓子がいっぱいあるんだよー。
今なら苺のお菓子とかね!」
「うんー?」
聞けば連想ゲーム形式で、苺の時期だぜヒャッハー!→この時期のスイーツ食べたいな→誰かと食べに行こう→苺好きな人といえば若以外に?→あっ、リアラさんと髭さんだ!→よし突撃!
と、ディーヴァの中で考えがまとまったよう。
「なるほど、苺好きな人という事で私達を思い浮かべてくれたのね。ありがとう」
苦笑しつつも、礼を述べておくリアラ。
若は少しすまなそうに羽耳を垂らし、自身のパートナー、ディーヴァの愚行をリアラに謝った。
「ごめんなぁ。うちの魔女さまは見た目相応で、色気よか食い気。だから安直にもそう考えついたんだろ。
困ったもんだ」
「色気より食い気は言い過ぎ」
「いてっ」
テーブルの下でディーヴァに足を踏まれた。杖攻撃よりはマシか。
「ってなわけで!
新作の期間限定スイーツ食べに森向こうの街に行かない?
すっごいよー。味も美味しい、量も多い、あと苺の量は半端ない!とにかく!すっごいよー!」
ボキャブラリーが少なく、ただすごいすごいを連呼するディーヴァ。
気にならないといえば嘘になる。だけど…。
「え、でも…うーん。どうしようかしら…」
やはりアポなしというのはキツイ。
仕事の予定こそないが、他にやらなくてはいけない事があるかもしれないし。
しばし考え込んでいれば。
「なら俺は用事あるから一緒に行こうかな。
たしかあの街には、魔獣用の品を扱う店があったはずだ。どんなもんか見てみるのもいい」
「そうなの?なら、ウィンドウショッピングも兼ねて行ってみましょうか。今日は特に仕事も入ってないし…」
「やった!」
自分のことをよく知る者がいる街ならまだいい。だが、知らない街に行くのは躊躇してしまうリアラ。
髭の言葉にようやくリアラの重い腰が上がり、ディーヴァは嬉しそうに手を叩いた。
「よーし!スイーツメンバー、ゲットだぜ!」
……スイーツメンバーとはなんぞ?
そう思いながら、出かける準備をするのだった。
「るったら~!リアラさ~ん!」
リアラが住むのは木の上。
高い場所にある窓から鼻歌まじりにひょっこりと顔を出すのは、最近知り合った、魔女としては若い部類に入るディーヴァ。
「あらこんにちはディーヴァ。玄関から入ればいいのに」
「こんにちはー。窓から出入りするのってロマンでしょ、ロマン」
「ああ、そう…」
「まあ入れよ。入れていいよな、リアラ」
「ええ。『ようこそ』」
ディーヴァは年齢だけでなく経験も浅く、全体的に幼い。
魔女は招き入れる許可を出さねば、相手が中に入ることはできない。
軽く朝食を済ませて読み物をしていたリアラとダンテは、若干呆れた様相で迎え入れる。
「それじゃ、遠慮なくお邪魔しまーす」
許可を受けたディーヴァがどっこいしょと、婆クサイ言葉を吐きながら窓枠を乗り越えてくる。
え?実年齢はじゅうぶんババア?
言ったやつ出てこい杖で物理攻撃してやんよ。
ディーヴァの手を取ってやったダンテが窓の下を覗くと、そこには羽耳をドローンのごとく動かして空を飛ぶ蛇尻尾の弟ダンテが。
「よ、兄貴」
「弟のダンテじゃねぇか。
んでお前の耳ってなんなの?タ●コプターなの?」
なるほど。ダンテに乗ってこの高さまで飛んでいたから、窓からこんにちはしたか。
だが、その構図はひどくシュール。
(分かりづらくなるので、これよりリアラパートナーのダンテを髭、ディーヴァパートナーのダンテを若と呼ぶ)
「何の用か知らんがお前も来たのか」
「来ちゃ悪いか?オレだってたまにはディーヴァに着いてくっつの」
パートナーだから普通は隣にいるのが当たり前だが、若の場合は自由奔放なところがあり、昼間というディーヴァにとって危険の少ない時には、ふらりと一人で出かける事も多い。
だのに、今回は珍しいこともあるものだ。
魔女側も自由人だが、魔獣も自由人。なのに、イチャコラする時はとことんイチャコラ。自由がゲシュタルト崩壊する恋人同士である。
「それで、今日はどうかした?」
琥珀色の紅茶注がれたティーカップを並べながら、リアラは聞く。
おっと、スイーツ食べないと禁断症状のでるディーヴァのため、お茶菓子も忘れずに。
「うん。はやくスイーツ食べに行こう!」
茶をふうふうと冷まして美味しそうに啜りながら、ディーヴァがそう笑った。
まず菓子から入るのに珍しい。
「……ディーヴァ、私貴女と何か約束してたかしら?」
ちょっと待って、そんな予定あったか覚えていない。心当たりの1つもない。
ちらりとパートナーの方へ目配せすると、すでに髭はスケジュールを確認していた。
「スケジュールには何も載っていないぜ」
「あら…。もしかして口約束してたならごめんなさい。忘れてたわ」
前に会った時に口頭で約束を取り付けていたのかもしれない。
申し訳ない思いでいっぱいだ。
だが、ディーヴァの返事はあっけらかんとしていた。
「ううん。なーんも約束してないよ」
「「えっ」」
驚きの声をあげるのは髭とリアラ。
まさかのアポなし訪問か。
「……やっぱりな。そんな事だろうと思ったぜ」
自身のたてがみが変化したマフラーを指でいじっていた若が、やれやれとこぼす。
おいおいおい、お前のパートナーだろ、魔女の教育もうちょっとしっかりしろよ。
性教育はしっかりしてるって?そこはいちいち聞きたくないな。
呆気にとられていた2人だが、髭が先に回復する。
そして、こほんと咳払いひとつ。ディーヴァに理由を問いただした。
「それで、なんでいきなり『スイーツ食べに行こう』なんだ?」
「だって、2人とも苺好きでしょ?
季節ごとにスイーツ商戦ってのがあって、この時期だけしか食べられないお菓子がいっぱいあるんだよー。
今なら苺のお菓子とかね!」
「うんー?」
聞けば連想ゲーム形式で、苺の時期だぜヒャッハー!→この時期のスイーツ食べたいな→誰かと食べに行こう→苺好きな人といえば若以外に?→あっ、リアラさんと髭さんだ!→よし突撃!
と、ディーヴァの中で考えがまとまったよう。
「なるほど、苺好きな人という事で私達を思い浮かべてくれたのね。ありがとう」
苦笑しつつも、礼を述べておくリアラ。
若は少しすまなそうに羽耳を垂らし、自身のパートナー、ディーヴァの愚行をリアラに謝った。
「ごめんなぁ。うちの魔女さまは見た目相応で、色気よか食い気。だから安直にもそう考えついたんだろ。
困ったもんだ」
「色気より食い気は言い過ぎ」
「いてっ」
テーブルの下でディーヴァに足を踏まれた。杖攻撃よりはマシか。
「ってなわけで!
新作の期間限定スイーツ食べに森向こうの街に行かない?
すっごいよー。味も美味しい、量も多い、あと苺の量は半端ない!とにかく!すっごいよー!」
ボキャブラリーが少なく、ただすごいすごいを連呼するディーヴァ。
気にならないといえば嘘になる。だけど…。
「え、でも…うーん。どうしようかしら…」
やはりアポなしというのはキツイ。
仕事の予定こそないが、他にやらなくてはいけない事があるかもしれないし。
しばし考え込んでいれば。
「なら俺は用事あるから一緒に行こうかな。
たしかあの街には、魔獣用の品を扱う店があったはずだ。どんなもんか見てみるのもいい」
「そうなの?なら、ウィンドウショッピングも兼ねて行ってみましょうか。今日は特に仕事も入ってないし…」
「やった!」
自分のことをよく知る者がいる街ならまだいい。だが、知らない街に行くのは躊躇してしまうリアラ。
髭の言葉にようやくリアラの重い腰が上がり、ディーヴァは嬉しそうに手を叩いた。
「よーし!スイーツメンバー、ゲットだぜ!」
……スイーツメンバーとはなんぞ?
そう思いながら、出かける準備をするのだった。