魔女と魔獣の日常(小話)
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その時、対岸の火事を決め込んでいた死神が重い腰を上げた。ルティアが魔法を使うのに合わせ、ずっと木の上に止まって羽休めをしていたようだ。
その姿がどんどん巨大化していく。鷹くらいの大きさから、その数倍、ちょっとした小ぶりのドラゴンの大きさに変わる。
「いい加減にしろ!」
場を収拾する鶴の一声。本人は鶴というより刺々しい竜だが。
そして、鷹くらいの大きさの時既に怖がっていたディーヴァが目撃するとこうなる。
「ギャワーーー!おっきい!誰かスモールライトプリーズ!!」
「もともとこの大きさだ」
ちびりそうな面持ちでびっくりして仰け反っている。その様子を見た魔女2人はこっそりと会話した。
「バージルやこっちのダンテの魔獣姿見てもこうなるのかな?」
「さあ?」
「なんだその魔法は。大して魔法を使用しないような見苦しい戦いをこれ以上するな」
ズアッッ!
ともすれば閻魔刀のそれよりも鋭いであろう刃のような羽を大きく広げ、自らの影で周りの景色もろとも暗く覆い隠す。
その有無を言わさない射抜く視線と、威嚇にも似た広がる体躯に、三者三様縮み上がる。
「ヒェァハイ!」
「ご、ごごごごめんなさい死神さん!」
「…っ!!」
少し脅せば止まる魔女。
しかし、ダンテ達魔獣にそれは通用しない。
「お前らもいい加減止めーい!」
バシッ!
攻撃を以って、止めに入る死神。
いかにも熱そうな燃えた金属の塊のような物が、3人の元へと豪速で投下される。
ドロドロと炎の液滴る金属は触れればさぞや熱かろう。熱いどころではなく下手すれば大火傷だ。
「「おっと」」
「ぐっ!?」
直前で我に返り、跳んで躱す髭とバージル。
が、若の体には直撃した。
といっても、同じ炎の属性を持つためか、魔獣姿の体毛を焦がすだけに至った死神の攻撃。
若の矛先は一気に死神へと変わる。
「その魔力量、ゴールドと見た!オレのプラチナ階級に勝てるわけが…」
「そう思うか?」
若は知らない。死神はゴールド階級とはいえ、実力がプラチナに相当するということを…。
ひらり、大きく翼を波打たせたかと思うと、そこに立っていたのは竜でもなくひとりの黒髪の麗人。
何も知らない若の爪、牙、そして鞭のようにしなる蛇の尾が死神の肉に到達するかと思われたその時。
ギャイイン!!
「蛇腹剣『ウィルダネス』!」
死神の振るった一振りの蛇腹剣が若の蛇尾よりも素早いしなりで、容赦なく若を切り裂いた。
肉ではなく、毛だけだったが。
「ギャーーース!!」
「ダンテ、どうどう!暴れないの!ひっひっふー!ひっひっふー!」
「暴れてねーし!痛いだけだし!!見ろよこの切れ具合!」
「あー、うん。鬣だけでよかったね(ハゲてるけど)」
斬れなくても、鞭のようなそれが当たった箇所は相当痛かったのか、その場を転げる若。そしてそれを宥めるべく動くディーヴァ。
さすがパートナー。魔獣は苦手でも頑張るようだ。偉いぞ。
「つかひっひっふーって…妊婦でもねーよな」
「ああ、ラマーズ法か」
ラマーズ法とは妊婦に陣痛の痛みを和らげさせる呼吸法。
だが、落ち着かせるのには普段使っても良い呼吸法だと、筆者は今でも思っている。
そして読み通り全員が落ち着いてからのこと。
「やれやれ、その魔法をきちんと使いたいなら、とりあえず普段の魔法をもっと学ぶがいい。それから使えば人様にそう迷惑はかからん」
その魔法とは事の発端たるディーヴァのハロウィンマジックである。
「え、禁止しないのかよ」
「盗みに繋がらなければこれからも使いたいんだろうと思ったんだが、違うか?」
「んーあたしお菓子、好きだからねぇ…使いたいよ」
若ですら道徳上躊躇う魔法を進めてしまう死神。
もしかしたらディーヴァが無意識に放つぽやぽや~とした雰囲気にあてられたのかもしれない。
彼女といると不思議と気持ちが優しくなる時がある。
くっ!これも属性のせいか…!
「あの…お菓子食べていい?」
そしてまだ諦めていなかったこの発言である。お前どれだけ(ry
「はあ…。私が全て菓子を元の場所へ戻す。それから若も、えーと「あ、ディーヴァです」ディーヴァもくればいい。それで一緒にハロウィンすればいいだろう。
他の者はそれで異論はないか」
「ないですよー」
「ええ、人数が多い方が楽しいでしょうし私も特に問題ないです」
にっこり笑って頷く魔女2人。
「昨日の敵は今日の友だしな!」
「昨日でもないし、貴様なぞ友でもない。ただの愚弟だがな」
「そう言ってやるなよ、バージル」
ノリノリだったり憎まれ口を叩いたりの魔獣達。
…これはもう大団円、かな?
死神が大掛かりとも言えそうな転移魔法を使い菓子を戻すと、ぞろぞろと揃って移動し始める一同。
「あ、待って」
「「!」」
呼び止めたディーヴァが杖・ロサレプスを構えた。
つい身構えてしまうのは出会いが出会いだっただけに許してほしいところ。
「ちちんぷいぷいー」
シャラランラー!
そんな効果音とともに光が降り注ぎ、リアラやルティア、果ては魔獣達の今回汚れた衣服、その他諸々が綺麗になった。
「あり、がとう…。ディーヴァだったわね。私は『スノウ・ローズ』のリアラよ」
「これからよろしくね、ディーヴァ。私は『ソルシエール・ブランシュ』こと、ルティアよ。ディーヴァの二つ名は?」
「そういえば教えてなかった!あたしのは…なんだっけ若」
「あーほ。『ホーリー・ラビット』だろ」
「ずいぶんかわいいな。俺はリアラのパートナーで若より年上のダンテ、通称髭にして二つ名は『ポイズン・ビースト』よろしくな」
「ふん、二つ名『アスール・フィロ』。ルティアのパートナーで若の双子の兄、バージルだ」
「私のことは『ラ・モール』死神と呼んでくれ」
自己紹介していく一行は、来た時と同じ道をたどる。
ディーヴァの家への道は途中に花畑や田畑もあるが、そのほとんどは鬱蒼と生い茂る野生動物が住む森。ただし虫、貴様は許さん!ということで虫はなぜかあまりいない。
そして虫と同様、魔獣嫌いなディーヴァは森の中にとある仕掛けをしてあった。
「あの、魔獣が来れないように魔力感知して発動する罠あったはずなんだけど…」
「え、そんなのあったのか!?」
ギョッとするのは若もだった。お前も初耳か。
「うん。だからあんまり魔獣来ないのよ。あとたまに若が引っかかってるアレ、あたしと契約してなかったら相当な大怪我だから」
「え、あれかよ!こわっ」
なにやら思い当たる節があったらしい。青ざめている。
「…ああ、あれか。簡易的すぎる上にルティアの属性、光と酷似していたから解除させた」
青ざめる若に対し、この死神の落ち着き払った対応。
弱いぞ若。負けるな若。頑張れ若。
「ディーヴァの属性も光なんでしょ?」
「ううん、聖だよ」
「聖…光の派生か」
「珍しい属性だな。だが、鍛錬が足りなさそうだ。属性や魔法についてはルティアに教わるといい。
詳しい魔力操作は…そうだな、リアラ頼めるか」
「はい。私でよければ」
「なら若の鍛錬は俺が見てやるよ」
「では俺も愚弟の鍛錬に付き合ってやるとしよう。…幻影剣の良い的ができた」
「オイー!聞こえてんぞ鬼いちゃん!!」
こうして3人の魔女、そして魔獣達と死神は邂逅を果たしたのである。
その姿がどんどん巨大化していく。鷹くらいの大きさから、その数倍、ちょっとした小ぶりのドラゴンの大きさに変わる。
「いい加減にしろ!」
場を収拾する鶴の一声。本人は鶴というより刺々しい竜だが。
そして、鷹くらいの大きさの時既に怖がっていたディーヴァが目撃するとこうなる。
「ギャワーーー!おっきい!誰かスモールライトプリーズ!!」
「もともとこの大きさだ」
ちびりそうな面持ちでびっくりして仰け反っている。その様子を見た魔女2人はこっそりと会話した。
「バージルやこっちのダンテの魔獣姿見てもこうなるのかな?」
「さあ?」
「なんだその魔法は。大して魔法を使用しないような見苦しい戦いをこれ以上するな」
ズアッッ!
ともすれば閻魔刀のそれよりも鋭いであろう刃のような羽を大きく広げ、自らの影で周りの景色もろとも暗く覆い隠す。
その有無を言わさない射抜く視線と、威嚇にも似た広がる体躯に、三者三様縮み上がる。
「ヒェァハイ!」
「ご、ごごごごめんなさい死神さん!」
「…っ!!」
少し脅せば止まる魔女。
しかし、ダンテ達魔獣にそれは通用しない。
「お前らもいい加減止めーい!」
バシッ!
攻撃を以って、止めに入る死神。
いかにも熱そうな燃えた金属の塊のような物が、3人の元へと豪速で投下される。
ドロドロと炎の液滴る金属は触れればさぞや熱かろう。熱いどころではなく下手すれば大火傷だ。
「「おっと」」
「ぐっ!?」
直前で我に返り、跳んで躱す髭とバージル。
が、若の体には直撃した。
といっても、同じ炎の属性を持つためか、魔獣姿の体毛を焦がすだけに至った死神の攻撃。
若の矛先は一気に死神へと変わる。
「その魔力量、ゴールドと見た!オレのプラチナ階級に勝てるわけが…」
「そう思うか?」
若は知らない。死神はゴールド階級とはいえ、実力がプラチナに相当するということを…。
ひらり、大きく翼を波打たせたかと思うと、そこに立っていたのは竜でもなくひとりの黒髪の麗人。
何も知らない若の爪、牙、そして鞭のようにしなる蛇の尾が死神の肉に到達するかと思われたその時。
ギャイイン!!
「蛇腹剣『ウィルダネス』!」
死神の振るった一振りの蛇腹剣が若の蛇尾よりも素早いしなりで、容赦なく若を切り裂いた。
肉ではなく、毛だけだったが。
「ギャーーース!!」
「ダンテ、どうどう!暴れないの!ひっひっふー!ひっひっふー!」
「暴れてねーし!痛いだけだし!!見ろよこの切れ具合!」
「あー、うん。鬣だけでよかったね(ハゲてるけど)」
斬れなくても、鞭のようなそれが当たった箇所は相当痛かったのか、その場を転げる若。そしてそれを宥めるべく動くディーヴァ。
さすがパートナー。魔獣は苦手でも頑張るようだ。偉いぞ。
「つかひっひっふーって…妊婦でもねーよな」
「ああ、ラマーズ法か」
ラマーズ法とは妊婦に陣痛の痛みを和らげさせる呼吸法。
だが、落ち着かせるのには普段使っても良い呼吸法だと、筆者は今でも思っている。
そして読み通り全員が落ち着いてからのこと。
「やれやれ、その魔法をきちんと使いたいなら、とりあえず普段の魔法をもっと学ぶがいい。それから使えば人様にそう迷惑はかからん」
その魔法とは事の発端たるディーヴァのハロウィンマジックである。
「え、禁止しないのかよ」
「盗みに繋がらなければこれからも使いたいんだろうと思ったんだが、違うか?」
「んーあたしお菓子、好きだからねぇ…使いたいよ」
若ですら道徳上躊躇う魔法を進めてしまう死神。
もしかしたらディーヴァが無意識に放つぽやぽや~とした雰囲気にあてられたのかもしれない。
彼女といると不思議と気持ちが優しくなる時がある。
くっ!これも属性のせいか…!
「あの…お菓子食べていい?」
そしてまだ諦めていなかったこの発言である。お前どれだけ(ry
「はあ…。私が全て菓子を元の場所へ戻す。それから若も、えーと「あ、ディーヴァです」ディーヴァもくればいい。それで一緒にハロウィンすればいいだろう。
他の者はそれで異論はないか」
「ないですよー」
「ええ、人数が多い方が楽しいでしょうし私も特に問題ないです」
にっこり笑って頷く魔女2人。
「昨日の敵は今日の友だしな!」
「昨日でもないし、貴様なぞ友でもない。ただの愚弟だがな」
「そう言ってやるなよ、バージル」
ノリノリだったり憎まれ口を叩いたりの魔獣達。
…これはもう大団円、かな?
死神が大掛かりとも言えそうな転移魔法を使い菓子を戻すと、ぞろぞろと揃って移動し始める一同。
「あ、待って」
「「!」」
呼び止めたディーヴァが杖・ロサレプスを構えた。
つい身構えてしまうのは出会いが出会いだっただけに許してほしいところ。
「ちちんぷいぷいー」
シャラランラー!
そんな効果音とともに光が降り注ぎ、リアラやルティア、果ては魔獣達の今回汚れた衣服、その他諸々が綺麗になった。
「あり、がとう…。ディーヴァだったわね。私は『スノウ・ローズ』のリアラよ」
「これからよろしくね、ディーヴァ。私は『ソルシエール・ブランシュ』こと、ルティアよ。ディーヴァの二つ名は?」
「そういえば教えてなかった!あたしのは…なんだっけ若」
「あーほ。『ホーリー・ラビット』だろ」
「ずいぶんかわいいな。俺はリアラのパートナーで若より年上のダンテ、通称髭にして二つ名は『ポイズン・ビースト』よろしくな」
「ふん、二つ名『アスール・フィロ』。ルティアのパートナーで若の双子の兄、バージルだ」
「私のことは『ラ・モール』死神と呼んでくれ」
自己紹介していく一行は、来た時と同じ道をたどる。
ディーヴァの家への道は途中に花畑や田畑もあるが、そのほとんどは鬱蒼と生い茂る野生動物が住む森。ただし虫、貴様は許さん!ということで虫はなぜかあまりいない。
そして虫と同様、魔獣嫌いなディーヴァは森の中にとある仕掛けをしてあった。
「あの、魔獣が来れないように魔力感知して発動する罠あったはずなんだけど…」
「え、そんなのあったのか!?」
ギョッとするのは若もだった。お前も初耳か。
「うん。だからあんまり魔獣来ないのよ。あとたまに若が引っかかってるアレ、あたしと契約してなかったら相当な大怪我だから」
「え、あれかよ!こわっ」
なにやら思い当たる節があったらしい。青ざめている。
「…ああ、あれか。簡易的すぎる上にルティアの属性、光と酷似していたから解除させた」
青ざめる若に対し、この死神の落ち着き払った対応。
弱いぞ若。負けるな若。頑張れ若。
「ディーヴァの属性も光なんでしょ?」
「ううん、聖だよ」
「聖…光の派生か」
「珍しい属性だな。だが、鍛錬が足りなさそうだ。属性や魔法についてはルティアに教わるといい。
詳しい魔力操作は…そうだな、リアラ頼めるか」
「はい。私でよければ」
「なら若の鍛錬は俺が見てやるよ」
「では俺も愚弟の鍛錬に付き合ってやるとしよう。…幻影剣の良い的ができた」
「オイー!聞こえてんぞ鬼いちゃん!!」
こうして3人の魔女、そして魔獣達と死神は邂逅を果たしたのである。