魔女と魔獣の日常(小話)
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『嫌いなものは』
ここはディーヴァが魔法やらなんやかんや駆使して作り上げた農場の一角。
普通の木々や作物ならば出来上がるのに時と労力が多々必要となるが、そこがディーヴァの魔女としての才。数週間で収穫の時期を迎えたりする。
それなんて牧場物語?
とはいえたまに失敗して枯らせてしまったりもあるようだが…。
して、ディーヴァの目の前には緑力と生い茂るオリーブの木がでんと構え、まぁるく膨らんだオリーブの実が収穫時期を今か今かと待っていた。
「今年のオリーブはよくできたな~。オリーブオイルってお肌にも健康にもいいんだよねぇ。
しかもオイルじゃなくて、パスタに入れて食べても美味しいし!」
最!高!とディーヴァが大喜びで収穫を急ピッチで進める傍ら、手伝いもせずダンテは何やっているのかというと。
「オリーブは許さん。特にピザに乗ったやつ…あいつはまじギルティ、糸色言午だ」
近くの木に鋭い爪を立てて、家政婦は見たかのような姿勢でオリーブの木を睨みつけていた。ダンテはオリーブが嫌いなのだ。
ダンテが怒りに燃えている時、それが魔獣の姿を取っていたとしたら鬣が青く燃え盛るが、怒りの効果はそれだけではない。
さすがに●ルヴァリンほどの長さには伸びないが、ヒトガタ時に爪が鋭く伸びたり牙がより尖ったりと変化する。
「オイル漬けの嫌なヤツに進化する前にオレが1つ残らず駆逐してやる…!」
ぽっぽっぽっ。
伸ばした爪先に小さな、しかし摂氏3000度はあるといわれる怒りの青い炎が灯る。
お前実はポケモンだろ。
小さく灯ったそれらが手のひらに収束、そして大きな日の塊となって生まれ変わると同時、ダンテは木の陰より飛び出し、オリーブの木めがけて撃った!
「くらえ黒い悪魔め!オレ渾身のぉぉ!ファイアボォォォォルゥゥ!!」
「え、ダンテ!?」
炎の塊がディーヴァの頭上を通り越し、一直線にオリーブの木にぶつかる。
「あっ!!!!」
「よっしゃ」
オリーブの実は絞ればもちろんオリーブオイルとなる。つまり火をつければ…?
ボォォォォ!!!!!
「きゃーーー!オリーブがーーー!!」
いとも簡単に炎に包まれ、火だるまになったオリーブの木。
「ハーッハッハァッ!これからどんどんオリーブを燃やそうぜ」
火がパチパチと爆ぜ、ディーヴァの顔を炎の明かりが照らす。
揺らめく影と光のコントラストに彩られたその表情にはふつふつと湧き上がる怒りの色が見て取れた。
「ダンテあんたなんばしよっとねーーーーーーー!!」
怒りのせいで『あんた』呼びになってしまったディーヴァ。
手に取った杖、正式名称『ロサレプス』より放たれし光の聖槍がダンテへ降り注ぐ。
「おわっ、とっとっとー!」
狙ってきたそれらを軽いステップで足踏みし華麗にかわしきるダンテをみるに、怒っていてもディーヴァは本気で当てる気は今のところないようだ。そう、今のところは。
というか、こんな時リアラやバージルのような属性ならばと思う。氷を溶かして水にして、そして炎を消せるからだ。
そういう意味ではダンテの属性とディーヴァの生業は相性が悪い。
「いくら嫌いでも燃やすなんてどうかしてる!ダンテ前回ももやったよね!?
あの時はわざとじゃないとか言ってたけど、今回のは絶対わざとー!あたし見てたもん!」
それにしても、ディーヴァは相当おかんむりのようで「このあたしの目が黒いうちは3度目はない」と言っている。(因みにディーヴァは黒い瞳でなくエメラルド輝くグリーンの瞳である)
次に機嫌を損ねるようなことをダンテがしでかせば、ジ☆エンド。
聖なる槍がぷっすりとダンテを貫くことだろう。
闇の属性も持っているダンテでは、死なずとも治るのに時間がかかるだろうから、ダンテとしては避けたい事態のはずだ。
ひとしきり怒ったディーヴァが、足元に転がってきた焦げたオリーブの残骸を拾う。
これが栗ならば焼き栗だったのに。じゅるり…焼き栗は美味しそうだ。
「あーあ、せっかく完熟して艶々の黒紫色になったのに酷いよ。
黒オリーブは高値で売れるんだからね?それに栄養も豊富なんだから。はぁ…ダンテのせいでおまんま食い上げじゃんかぁ…」
「う…すまん」
オリーブに限ったことではないが、ディーヴァにとって作物はそのままお金にかわる大事なもの。しかもオリーブはその辺で作れる野菜よりも原価が高いときた。
オリーブは何もダンテが食べるだけではないのだ。怒るのは当然だった。
加えてダンテがどこでこさえてきたのだかわからない借金が微々たるものとはいえディーヴァは肩代わりをしている。
「ダンテは3日間ご飯抜き」
「そんな殺生な…!」
ビシッと指を突きつけて言い放つのは、攻撃魔法なんかよりもダンテのHPをゴリっと削る言葉。
「明日作るって言ってた森のきのこたっぷりとろけるチーズもりもり乗せた焼きたてピザは!?」
「あたしが1人で平らげます」
「摘みたてイチゴで作る特製アイス乗せたストサンは!?」
「これも責任を持ってあたしが美味しくいただきます」
「じゃ、じゃあ…3度のメシと1日4回のティータイムおやつ付きは!!!?」
「ミューズリーとお水だけ用意しときます。さっきも言ったけどご飯はもちろん、ティータイムもおやつも抜・き!」
「えー!オレがあれあんまり好きじゃないの知ってるだろ!しかも水かよ!せめて牛乳かけて食べさせてくれよ…!」
「味のあるミューズリーが嫌なら、味のないオートミールにするけどいいね?」
「ジーザス!!」
契約切られないだけマシと思った方がいいぞダンテよ…。
切ることができるならディーヴァはそのうち喧嘩の末に契約を破棄することだろう。
「頼むよディーヴァ…。オレがお前のメシ以外食べれないの知ってるだろ?」
「食べれないわけじゃないでしょ」
「ディーヴァのメシが一番美味い。一度ディーヴァの作ったの食ったらそれ以外なんて食べられねーよ」
「うーん…」
一番美味い、なんて言われて嬉しくないはずがない。ディーヴァの心は簡単に揺れた。…チョロい。
「オリーブについては謝る。他の作物の収穫ちゃんと手伝うし、ディーヴァに明日からしばらくは悪戯もしない。バージルにケンカ売られても買わない。ディーヴァの言うことなんでも聞く」
「なんでも…?」
ディーヴァの耳がダンテの言葉を拾ってぴくんと動いた。
ここまで言われて機嫌を直さないのは、ひとりの大人として。そして魔女として心が狭すぎる。
「しょうがないなぁ…。他の収穫や農場の整備とか手伝ってくれるみたいだし、悪戯もケンカもしないっていうならご飯抜きはなしにするよ。お腹減ったの我慢するのはつらいもんね」
それに空腹を我慢するのが辛いのを一番よくわかっているのは、他ならない自分自身だ。
いつも食欲旺盛なディーヴァは空腹を我慢する、なんてことほとんどしたことないが。逆に常に食べている気がしないでもない…。
いつか太るぞディーヴァ!魔法で太らないようにしてる?あ、そうですか。
「よっしゃ!」
「きゃっ!?いきなり飛びつくの禁止!」
ガッツポーズをキメたダンテがディーヴァを抱きしめ、そして高い高いの要領でディーヴァの体を持ち上げる。
突如高くなった視界に驚くディーヴァがダンテの頭をぺちぺち叩いて下ろすよう指示した。
「ごめん。つい嬉しくてさ~」
「大袈裟なんだから…。サイズおっきいんだから猫みたいなことしないでよ?」
「ふっ…ネコ科だからな!」
ピクピクとネコの耳と同型の獅子耳を動かし、ネコ科アピール。
確かに飛びつくのはネコ科の習性だが、それは獲物を仕留める時であり、喜んで飛びつくものじゃない。この場合はじゃれつく…の方が合っていよう。
ここはディーヴァが魔法やらなんやかんや駆使して作り上げた農場の一角。
普通の木々や作物ならば出来上がるのに時と労力が多々必要となるが、そこがディーヴァの魔女としての才。数週間で収穫の時期を迎えたりする。
それなんて牧場物語?
とはいえたまに失敗して枯らせてしまったりもあるようだが…。
して、ディーヴァの目の前には緑力と生い茂るオリーブの木がでんと構え、まぁるく膨らんだオリーブの実が収穫時期を今か今かと待っていた。
「今年のオリーブはよくできたな~。オリーブオイルってお肌にも健康にもいいんだよねぇ。
しかもオイルじゃなくて、パスタに入れて食べても美味しいし!」
最!高!とディーヴァが大喜びで収穫を急ピッチで進める傍ら、手伝いもせずダンテは何やっているのかというと。
「オリーブは許さん。特にピザに乗ったやつ…あいつはまじギルティ、糸色言午だ」
近くの木に鋭い爪を立てて、家政婦は見たかのような姿勢でオリーブの木を睨みつけていた。ダンテはオリーブが嫌いなのだ。
ダンテが怒りに燃えている時、それが魔獣の姿を取っていたとしたら鬣が青く燃え盛るが、怒りの効果はそれだけではない。
さすがに●ルヴァリンほどの長さには伸びないが、ヒトガタ時に爪が鋭く伸びたり牙がより尖ったりと変化する。
「オイル漬けの嫌なヤツに進化する前にオレが1つ残らず駆逐してやる…!」
ぽっぽっぽっ。
伸ばした爪先に小さな、しかし摂氏3000度はあるといわれる怒りの青い炎が灯る。
お前実はポケモンだろ。
小さく灯ったそれらが手のひらに収束、そして大きな日の塊となって生まれ変わると同時、ダンテは木の陰より飛び出し、オリーブの木めがけて撃った!
「くらえ黒い悪魔め!オレ渾身のぉぉ!ファイアボォォォォルゥゥ!!」
「え、ダンテ!?」
炎の塊がディーヴァの頭上を通り越し、一直線にオリーブの木にぶつかる。
「あっ!!!!」
「よっしゃ」
オリーブの実は絞ればもちろんオリーブオイルとなる。つまり火をつければ…?
ボォォォォ!!!!!
「きゃーーー!オリーブがーーー!!」
いとも簡単に炎に包まれ、火だるまになったオリーブの木。
「ハーッハッハァッ!これからどんどんオリーブを燃やそうぜ」
火がパチパチと爆ぜ、ディーヴァの顔を炎の明かりが照らす。
揺らめく影と光のコントラストに彩られたその表情にはふつふつと湧き上がる怒りの色が見て取れた。
「ダンテあんたなんばしよっとねーーーーーーー!!」
怒りのせいで『あんた』呼びになってしまったディーヴァ。
手に取った杖、正式名称『ロサレプス』より放たれし光の聖槍がダンテへ降り注ぐ。
「おわっ、とっとっとー!」
狙ってきたそれらを軽いステップで足踏みし華麗にかわしきるダンテをみるに、怒っていてもディーヴァは本気で当てる気は今のところないようだ。そう、今のところは。
というか、こんな時リアラやバージルのような属性ならばと思う。氷を溶かして水にして、そして炎を消せるからだ。
そういう意味ではダンテの属性とディーヴァの生業は相性が悪い。
「いくら嫌いでも燃やすなんてどうかしてる!ダンテ前回ももやったよね!?
あの時はわざとじゃないとか言ってたけど、今回のは絶対わざとー!あたし見てたもん!」
それにしても、ディーヴァは相当おかんむりのようで「このあたしの目が黒いうちは3度目はない」と言っている。(因みにディーヴァは黒い瞳でなくエメラルド輝くグリーンの瞳である)
次に機嫌を損ねるようなことをダンテがしでかせば、ジ☆エンド。
聖なる槍がぷっすりとダンテを貫くことだろう。
闇の属性も持っているダンテでは、死なずとも治るのに時間がかかるだろうから、ダンテとしては避けたい事態のはずだ。
ひとしきり怒ったディーヴァが、足元に転がってきた焦げたオリーブの残骸を拾う。
これが栗ならば焼き栗だったのに。じゅるり…焼き栗は美味しそうだ。
「あーあ、せっかく完熟して艶々の黒紫色になったのに酷いよ。
黒オリーブは高値で売れるんだからね?それに栄養も豊富なんだから。はぁ…ダンテのせいでおまんま食い上げじゃんかぁ…」
「う…すまん」
オリーブに限ったことではないが、ディーヴァにとって作物はそのままお金にかわる大事なもの。しかもオリーブはその辺で作れる野菜よりも原価が高いときた。
オリーブは何もダンテが食べるだけではないのだ。怒るのは当然だった。
加えてダンテがどこでこさえてきたのだかわからない借金が微々たるものとはいえディーヴァは肩代わりをしている。
「ダンテは3日間ご飯抜き」
「そんな殺生な…!」
ビシッと指を突きつけて言い放つのは、攻撃魔法なんかよりもダンテのHPをゴリっと削る言葉。
「明日作るって言ってた森のきのこたっぷりとろけるチーズもりもり乗せた焼きたてピザは!?」
「あたしが1人で平らげます」
「摘みたてイチゴで作る特製アイス乗せたストサンは!?」
「これも責任を持ってあたしが美味しくいただきます」
「じゃ、じゃあ…3度のメシと1日4回のティータイムおやつ付きは!!!?」
「ミューズリーとお水だけ用意しときます。さっきも言ったけどご飯はもちろん、ティータイムもおやつも抜・き!」
「えー!オレがあれあんまり好きじゃないの知ってるだろ!しかも水かよ!せめて牛乳かけて食べさせてくれよ…!」
「味のあるミューズリーが嫌なら、味のないオートミールにするけどいいね?」
「ジーザス!!」
契約切られないだけマシと思った方がいいぞダンテよ…。
切ることができるならディーヴァはそのうち喧嘩の末に契約を破棄することだろう。
「頼むよディーヴァ…。オレがお前のメシ以外食べれないの知ってるだろ?」
「食べれないわけじゃないでしょ」
「ディーヴァのメシが一番美味い。一度ディーヴァの作ったの食ったらそれ以外なんて食べられねーよ」
「うーん…」
一番美味い、なんて言われて嬉しくないはずがない。ディーヴァの心は簡単に揺れた。…チョロい。
「オリーブについては謝る。他の作物の収穫ちゃんと手伝うし、ディーヴァに明日からしばらくは悪戯もしない。バージルにケンカ売られても買わない。ディーヴァの言うことなんでも聞く」
「なんでも…?」
ディーヴァの耳がダンテの言葉を拾ってぴくんと動いた。
ここまで言われて機嫌を直さないのは、ひとりの大人として。そして魔女として心が狭すぎる。
「しょうがないなぁ…。他の収穫や農場の整備とか手伝ってくれるみたいだし、悪戯もケンカもしないっていうならご飯抜きはなしにするよ。お腹減ったの我慢するのはつらいもんね」
それに空腹を我慢するのが辛いのを一番よくわかっているのは、他ならない自分自身だ。
いつも食欲旺盛なディーヴァは空腹を我慢する、なんてことほとんどしたことないが。逆に常に食べている気がしないでもない…。
いつか太るぞディーヴァ!魔法で太らないようにしてる?あ、そうですか。
「よっしゃ!」
「きゃっ!?いきなり飛びつくの禁止!」
ガッツポーズをキメたダンテがディーヴァを抱きしめ、そして高い高いの要領でディーヴァの体を持ち上げる。
突如高くなった視界に驚くディーヴァがダンテの頭をぺちぺち叩いて下ろすよう指示した。
「ごめん。つい嬉しくてさ~」
「大袈裟なんだから…。サイズおっきいんだから猫みたいなことしないでよ?」
「ふっ…ネコ科だからな!」
ピクピクとネコの耳と同型の獅子耳を動かし、ネコ科アピール。
確かに飛びつくのはネコ科の習性だが、それは獲物を仕留める時であり、喜んで飛びつくものじゃない。この場合はじゃれつく…の方が合っていよう。
