邂逅
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「オレ、カエル野郎に手加減するのやめるな」
「あ゛?なーにトチ狂った事言ってやがんでぃ、手加減たぁどーいうこった!」
眉があったらつりあがっているだろう、バエルは憤怒して触手を振るってきた。
それを手で掴み、ギリリと締め上げるダンテ。
ぶちぶち…ぶち、引きちぎれそうな嫌な音がし、バエルが苦悶の表情を浮かべる。
嫌な音を耳にした事で涙が止まり顔を青くする少女に、ダンテはニヤリと口角をあげ聞いた。
「…なぁ、カエルが苦手とするもんって知ってるか?」
「え?あー、えっと…熱と乾燥、あとさっき怖がってたようにヘビ…ですかね。昔プレイしたゲームでもカエルはヘビが天敵で通ってました」
「jackpot!
ついでに言うとそのゲームはバーチャルコンソール共々オレもやりこんだぜ。てなわけで上手に焼けました作戦行くぞ!」
「…ひと狩りするんです?」
言うが早いか、またも炎がバエルやダンテ、ついでに少女を囲うように円状に張り巡らされる。さながら炎の有刺鉄線といったところ。
同時、急激に今までとは比べ物にならない気温に場の温度が上昇していく。
地面から水蒸気が立ちのぼり、そして一気に蒸発。そのままカラッカラに乾ききる。
乾燥した大地は草が枯れ、荒廃した砂漠もかくや。
「うわ、サウナか蒸し器の中みたい…。いえ違う、ここは乾燥機の中だわ…!
ああん!お肌がパリパリになっちゃう!美容の大敵ー!!」
涙さえも乾ききり、肌の乾燥にまで至って騒ぐ少女。乾燥はシミやシワの原因だ!
考えることはバエルも同じだったようだ。
「アヒィ~乾燥しちまう…!おきゃあがんなせえ!!」
それでも一応は自身の氷魔法を外殻として覆い、乾燥は防いでいたようだ。
だがそれももう間に合わない。氷とは暑ければすぐに溶けて水になり、そして蒸発するもの。
それほどの高温、それほどの乾燥だった。
「へー、得意の氷魔法は魔力切れか?
テメェのようなタイプの魔獣は水分がねぇと氷作れねぇもんな。自分の身に纏う氷すらカラッケツってわけだ」
「ぐっ、テメェ…」
体内の水分もカラカラで、皮膚がパキパキとひび割れ始めている。
さぞや燃えやすかろうて。
「そんな状態で火種を近づければどうなると思う…?」
手のひらに大きな火球を生み出すダンテ。
その色は赤から青に変わり、こちらにまで熱風の熱さ、そして燃える音が聞こえてくる。
炎の明かりに照らされたダンテの表情は、にんまりとして非常に意地悪なものだった。
バエル逃げて超逃げて。ついでにヒロインも。
…逆か。ヒロイン先ににっげろー☆
「オラァ!ファイヤーーーー!!」
ダンテ選手、投げましたァーッ!!
豪速球の火炎の前に逃げ場はなく、バエルに叩きつけられると一瞬にして火だるま化。
「ギャワーーーーッ!火、火!臥煙をよべい!」
「ほらこの通り上手に焼けました、と」
火だるまのバエルを中心にキャンプファイアーが出来るレベルに熱く立ちのぼる火柱。
そして周りも燃えている。
語彙力が乏しくて申し訳ないが、内からも外からもどちらも熱い。とにかく熱い!
「何が上手に焼けました、よ!
ひゃー!あたしまで燃えそううう!」
「魔法の外套、火浣布があるから大丈夫だろが。それかぶってろよ」
ばさり、ダンテが少女の頭に火浣布のフードをかぶせる。
この外套…頭しかきちんと包まれていなくとも、着用し頭を守ることでカラダ全体を炎から守ってくれるというとても便利なマジカルアイテム。
少女はそれを忘れていた。
「わぷ。そーでした」
かぶったその次の瞬間、辺りは業火に包まれた。
絶対焼け死ぬレベルで迫ってくる炎を前に、少女は恐れ、その場に尻餅をついた。
だが、炎に呑まれても火浣布のおかげで無事だ。少し熱さはある。しかし、火傷するほどではなかった。
この外套に守られることがある度にいつも思うが、どうして頭にかぶっているだけで全体を防御できるのだろう。
マジカルアイテムとはいえ謎だ。
しかし、これがなければ死んでいた。
そう思うと、やはり魔獣の攻撃、その野蛮さは怖いものだ。
衝動的に逃げたくなる。
火傷しなくとも有刺鉄線となった炎の中を歩きたくないし、そうなるとどこにも逃げ場などないが。
「焼けるゥ!チヌゥ!!」
逃げ場がないのはバエルも一緒のようだ。
死ぬことのないように温度こそ調整されているようだが、火だるま状態で叫んでいる。
「あはははは!チヌゥ!だとよ!もーえろよもえろーよ炎よもーえーろー命を巻き上げーカエルを燃やせー」
命を巻き上げる…?なんて恐ろしい歌ッ!!
しかも歌っている本人は、凶悪な笑みを浮かべているときた。魔王か!!
「こわ。ほんと魔獣さんこわ」
「オレに会ったのが運の尽きだなァ!
火属性に、ヘビの尾。氷属性のカエルの魔獣にゃ相性最悪だろ。
誓え、もうこいつに近寄らねぇと。じゃねぇとカエルの炭焼きにしてヘビに食わせんぞ」
「ゲコオオオオオ!誓う!違いますううう!ごいさりましー!!」
「ヨシ」
やっと炎が消えた。
ダンテが何故ここまで守ってくれたのかはわからないが、バエルにとっては災難だったろう。
号泣しているのだろうが、涙も炎と熱でカラカラに乾ききりその雫は一滴も垂れないほど干からびていた。カエルの干物か。
元はこちらこそ被害者側なのだが、少女はバエルを気の毒に思った。
その時、ぼふん!と軽い音がバエルから聞こえてきた。
常界にてその巨体を保つ魔力がとうとう尽きたか、見ればちょこんとした手のひらサイズのチビカエルに変わっていた。
…色は先ほどとは似ても似つかない黄色の。
「ど根性!で逃げるるるる!!」
そして逃げる。一目散に逃げていく。
小さなカエルは燃えかすや草木の間に紛れ、すぐに見えなくなってしまった。
「速えなおい」
「アレ著作権とかそのへん引っかからないかな…」
「限りなくアウトに近いセーフ…アーフだな」
シーン…。先ほどまで苛烈な戦い(ほぼダンテの一方的な物)だったが、繰り広げられていたとは思えないほどの静寂。
ちろちろ燃え残る火を足で消すダンテをそうっと窺い見ながら、少女は口を開いた。
「貴方…とっても強い魔獣さん、だったんですね」
「え?ああ、まぁ…そこそこな」
プラチナ階級というだけで強い部類には入る。だが、上には上がいるもので、一番上の兄や父は自分と比べ物にならないほどの強さだ。
「強さに惚れた?……な訳ないよな」
ススス、と離れていく少女に、ほの字ではないとすぐ悟る。
「ありがとうございます。
すごく強かった…けど、間近で見たからでしょうか。安心感より恐怖が先行してしまって…。
ごめんなさい」
「あーいいよいいよ。魔獣苦手ってわかってるし、何よりあれだけ間近で見れば怖くなるのは当たり前だろ」
信用されてないのはわかる。
だが、これで少しでも気を許してくれただろう。
この少女を手に入れたいなら、これからじわじわ攻めていけばいい。ヘビの尾を持つ身だからか、時間をかけてゆっくり攻めるのには慣れている。
矛盾しているが火属性という特性上、熱し易くも冷め易い、というのが難点か。
この恋愛ゲームが途中で飽きないことを願う。
「…なぁ。聞いててわかったんだけどよ、お前基本的にはですます口調じゃないんだな」
「あぅ、敬語じゃない方が素、です…」
「なら敬語やめろ、サブイボ立つ」
「あ、はい…」
「お返事ははいじゃなくて?」
「うん!」
ふいに華が咲いたような微笑みが向けられた。
緑というよりも煤けて茶色く変色した燃えかすだらけの森の中が、色とりどりの花で溢れかえったような、そんな錯覚を覚えたと同時。
え、ちょっと待って。待て待て待て、魔獣苦手なくせにこんな笑顔向けられたらアーッ!
ヒューーーン、グサッ!!
「ぐふっ!?
か、かわいいなオイ……」
「んぇ?どしたの??」
「な、なんでも、ねぇよ…」
ここまでくると運命かもな、なんて思うほどにはこの少女を気に入っていたことは認めよう。
すでにハートには矢が刺さりつつあったがたった今!この瞬間!!ザックリグッサリと矢が貫通するほど撃ち抜かれた。
二度出会うことは三度出会う、なんてよく聞く言葉なのが運命な証拠。
え?違う?二度あることは三度ある?細かいことは気にすんなって。
…せめてこの少女がただの人間じゃなければよかったのに…なあんて、ないものねだりしそうである。
「あ゛?なーにトチ狂った事言ってやがんでぃ、手加減たぁどーいうこった!」
眉があったらつりあがっているだろう、バエルは憤怒して触手を振るってきた。
それを手で掴み、ギリリと締め上げるダンテ。
ぶちぶち…ぶち、引きちぎれそうな嫌な音がし、バエルが苦悶の表情を浮かべる。
嫌な音を耳にした事で涙が止まり顔を青くする少女に、ダンテはニヤリと口角をあげ聞いた。
「…なぁ、カエルが苦手とするもんって知ってるか?」
「え?あー、えっと…熱と乾燥、あとさっき怖がってたようにヘビ…ですかね。昔プレイしたゲームでもカエルはヘビが天敵で通ってました」
「jackpot!
ついでに言うとそのゲームはバーチャルコンソール共々オレもやりこんだぜ。てなわけで上手に焼けました作戦行くぞ!」
「…ひと狩りするんです?」
言うが早いか、またも炎がバエルやダンテ、ついでに少女を囲うように円状に張り巡らされる。さながら炎の有刺鉄線といったところ。
同時、急激に今までとは比べ物にならない気温に場の温度が上昇していく。
地面から水蒸気が立ちのぼり、そして一気に蒸発。そのままカラッカラに乾ききる。
乾燥した大地は草が枯れ、荒廃した砂漠もかくや。
「うわ、サウナか蒸し器の中みたい…。いえ違う、ここは乾燥機の中だわ…!
ああん!お肌がパリパリになっちゃう!美容の大敵ー!!」
涙さえも乾ききり、肌の乾燥にまで至って騒ぐ少女。乾燥はシミやシワの原因だ!
考えることはバエルも同じだったようだ。
「アヒィ~乾燥しちまう…!おきゃあがんなせえ!!」
それでも一応は自身の氷魔法を外殻として覆い、乾燥は防いでいたようだ。
だがそれももう間に合わない。氷とは暑ければすぐに溶けて水になり、そして蒸発するもの。
それほどの高温、それほどの乾燥だった。
「へー、得意の氷魔法は魔力切れか?
テメェのようなタイプの魔獣は水分がねぇと氷作れねぇもんな。自分の身に纏う氷すらカラッケツってわけだ」
「ぐっ、テメェ…」
体内の水分もカラカラで、皮膚がパキパキとひび割れ始めている。
さぞや燃えやすかろうて。
「そんな状態で火種を近づければどうなると思う…?」
手のひらに大きな火球を生み出すダンテ。
その色は赤から青に変わり、こちらにまで熱風の熱さ、そして燃える音が聞こえてくる。
炎の明かりに照らされたダンテの表情は、にんまりとして非常に意地悪なものだった。
バエル逃げて超逃げて。ついでにヒロインも。
…逆か。ヒロイン先ににっげろー☆
「オラァ!ファイヤーーーー!!」
ダンテ選手、投げましたァーッ!!
豪速球の火炎の前に逃げ場はなく、バエルに叩きつけられると一瞬にして火だるま化。
「ギャワーーーーッ!火、火!臥煙をよべい!」
「ほらこの通り上手に焼けました、と」
火だるまのバエルを中心にキャンプファイアーが出来るレベルに熱く立ちのぼる火柱。
そして周りも燃えている。
語彙力が乏しくて申し訳ないが、内からも外からもどちらも熱い。とにかく熱い!
「何が上手に焼けました、よ!
ひゃー!あたしまで燃えそううう!」
「魔法の外套、火浣布があるから大丈夫だろが。それかぶってろよ」
ばさり、ダンテが少女の頭に火浣布のフードをかぶせる。
この外套…頭しかきちんと包まれていなくとも、着用し頭を守ることでカラダ全体を炎から守ってくれるというとても便利なマジカルアイテム。
少女はそれを忘れていた。
「わぷ。そーでした」
かぶったその次の瞬間、辺りは業火に包まれた。
絶対焼け死ぬレベルで迫ってくる炎を前に、少女は恐れ、その場に尻餅をついた。
だが、炎に呑まれても火浣布のおかげで無事だ。少し熱さはある。しかし、火傷するほどではなかった。
この外套に守られることがある度にいつも思うが、どうして頭にかぶっているだけで全体を防御できるのだろう。
マジカルアイテムとはいえ謎だ。
しかし、これがなければ死んでいた。
そう思うと、やはり魔獣の攻撃、その野蛮さは怖いものだ。
衝動的に逃げたくなる。
火傷しなくとも有刺鉄線となった炎の中を歩きたくないし、そうなるとどこにも逃げ場などないが。
「焼けるゥ!チヌゥ!!」
逃げ場がないのはバエルも一緒のようだ。
死ぬことのないように温度こそ調整されているようだが、火だるま状態で叫んでいる。
「あはははは!チヌゥ!だとよ!もーえろよもえろーよ炎よもーえーろー命を巻き上げーカエルを燃やせー」
命を巻き上げる…?なんて恐ろしい歌ッ!!
しかも歌っている本人は、凶悪な笑みを浮かべているときた。魔王か!!
「こわ。ほんと魔獣さんこわ」
「オレに会ったのが運の尽きだなァ!
火属性に、ヘビの尾。氷属性のカエルの魔獣にゃ相性最悪だろ。
誓え、もうこいつに近寄らねぇと。じゃねぇとカエルの炭焼きにしてヘビに食わせんぞ」
「ゲコオオオオオ!誓う!違いますううう!ごいさりましー!!」
「ヨシ」
やっと炎が消えた。
ダンテが何故ここまで守ってくれたのかはわからないが、バエルにとっては災難だったろう。
号泣しているのだろうが、涙も炎と熱でカラカラに乾ききりその雫は一滴も垂れないほど干からびていた。カエルの干物か。
元はこちらこそ被害者側なのだが、少女はバエルを気の毒に思った。
その時、ぼふん!と軽い音がバエルから聞こえてきた。
常界にてその巨体を保つ魔力がとうとう尽きたか、見ればちょこんとした手のひらサイズのチビカエルに変わっていた。
…色は先ほどとは似ても似つかない黄色の。
「ど根性!で逃げるるるる!!」
そして逃げる。一目散に逃げていく。
小さなカエルは燃えかすや草木の間に紛れ、すぐに見えなくなってしまった。
「速えなおい」
「アレ著作権とかそのへん引っかからないかな…」
「限りなくアウトに近いセーフ…アーフだな」
シーン…。先ほどまで苛烈な戦い(ほぼダンテの一方的な物)だったが、繰り広げられていたとは思えないほどの静寂。
ちろちろ燃え残る火を足で消すダンテをそうっと窺い見ながら、少女は口を開いた。
「貴方…とっても強い魔獣さん、だったんですね」
「え?ああ、まぁ…そこそこな」
プラチナ階級というだけで強い部類には入る。だが、上には上がいるもので、一番上の兄や父は自分と比べ物にならないほどの強さだ。
「強さに惚れた?……な訳ないよな」
ススス、と離れていく少女に、ほの字ではないとすぐ悟る。
「ありがとうございます。
すごく強かった…けど、間近で見たからでしょうか。安心感より恐怖が先行してしまって…。
ごめんなさい」
「あーいいよいいよ。魔獣苦手ってわかってるし、何よりあれだけ間近で見れば怖くなるのは当たり前だろ」
信用されてないのはわかる。
だが、これで少しでも気を許してくれただろう。
この少女を手に入れたいなら、これからじわじわ攻めていけばいい。ヘビの尾を持つ身だからか、時間をかけてゆっくり攻めるのには慣れている。
矛盾しているが火属性という特性上、熱し易くも冷め易い、というのが難点か。
この恋愛ゲームが途中で飽きないことを願う。
「…なぁ。聞いててわかったんだけどよ、お前基本的にはですます口調じゃないんだな」
「あぅ、敬語じゃない方が素、です…」
「なら敬語やめろ、サブイボ立つ」
「あ、はい…」
「お返事ははいじゃなくて?」
「うん!」
ふいに華が咲いたような微笑みが向けられた。
緑というよりも煤けて茶色く変色した燃えかすだらけの森の中が、色とりどりの花で溢れかえったような、そんな錯覚を覚えたと同時。
え、ちょっと待って。待て待て待て、魔獣苦手なくせにこんな笑顔向けられたらアーッ!
ヒューーーン、グサッ!!
「ぐふっ!?
か、かわいいなオイ……」
「んぇ?どしたの??」
「な、なんでも、ねぇよ…」
ここまでくると運命かもな、なんて思うほどにはこの少女を気に入っていたことは認めよう。
すでにハートには矢が刺さりつつあったがたった今!この瞬間!!ザックリグッサリと矢が貫通するほど撃ち抜かれた。
二度出会うことは三度出会う、なんてよく聞く言葉なのが運命な証拠。
え?違う?二度あることは三度ある?細かいことは気にすんなって。
…せめてこの少女がただの人間じゃなければよかったのに…なあんて、ないものねだりしそうである。
