邂逅
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「吹っ飛べゲコ公!!」
氷の塊もろともバエルをブチのめすべくして、放たれたそれ。
だがダンテの攻撃は、その全てがバエルの頭から生えた女性形の触手によってことごとく弾かれた。
弾かれて四方八方へ、空の彼方へと飛んでいくダンテの魔法。
ゆくゆくは大気圏、オゾン層を抜けて宇宙へ飛び出し、小惑星かUFOにでも当たるかもしれない。
ダンテのせいで宇宙戦争が起きる日は近い。
バエルはそのまま触手をブンブンと振り回すと、ダンテのガラ空きだった胴体に太いそれを叩きつけた。
胴体をくの字に曲げ吹っ飛んだダンテは、大木にしたたかにぶつかって止まる。
「ぐっ…!」
「これはしたり!吹っ飛ぶのはてめぇだったな!」
頭も打ったのだろう、ダンテの赤い鬣から血が垂れた。
「血!こわっ!アップルパイ戻しそうなほどこわっ!」
突如吹っ飛んだダンテに膝を笑わせていた少女だったが、血が垂れているのを見ると泡を吹きそうになるほど更に戦々恐々している。
少女は血も嫌いなようだ。…好きだったらそれもそれでおかしいが。
怖がる少女とは反対に、バエルはその属性を彷彿とさせる嘲笑を浮かべた。
「こちとら、コッテコテのゴールド階級でい。
なのに向かっちくるたぁ、とんだすっとこどっこいよ。
さ、いくぞ」
「えっ!?やっ!!離して!やだやだやだーー!!」
「おまっりしておれこますぞ~」
「へ?おまっり?おれこます?んん???」
女性の形をした触手が少女を抱きしめる。
ぷるるんねっちょりとしたゼリーのようなベタつく素肌がまさにカエルを触っているかのようで気持ち悪い。
このままではそのままお持ち帰りコースまっしぐら。
逃げたい。けれどがっちりホールドされていて逃げようにも逃げられないヲワタ。
ちなみにおまっりとは性交、おれこますとは妊娠させるという意味だが、そんな事は江戸っ子バエルしか知らない。
あとは今教えたばかりなので私と目の前の貴女ですよ、貴女m9(・∀・)ズビシ!
「へぇ?
アンタよりナリは小さいがオレはこれでもプラチナ階級でね……」
気持ち悪さやら恐怖やらで吐きそうになっている少女に届く、魔獣ダンテの低い声。
声に混じる怒りと魔力の揺らぎ。
視界にまで垂れて邪魔をする血を顔を振って飛ばし、ダンテは胴体を起こしてしっかと地を踏みしめた。
メラ…、鬣や腕の炎が風もないのに揺らめき、涼しくなっていたあたりの気温がぐんと上がった。その炎が飛び火したかのように瞳に灯る赤い業火。
鋭い目と視線を合わせるだけでダメージを受けそうだ。
ゴウ……ッ!
ダンテの足元から煙が燻り、火がチロチロと舐めるようにして上がっていく。小さな火種はキャンプファイアーのごとく、大きな火柱へと変わることだろう。
ただでさえ怖がっていた少女。
そして更に恐怖を植え付けられるべくして追加されたのが、ダンテの瞳に宿る怒りの炎だ。
炎とは高温になるに従って青白くなっていくもの。赤から徐々に青白くなっていくのを見るに、怒りに比例してどんどん温度が高くなっていると見た!
「ヒィ!こっちはこっちでこわいこわいほんとこわい…!燃える燃えちゃうはい消し炭確定ィ!!」
「あぁん?てやんでぃべらぼぅめちきしょうが…!」
気がつけば、バエルと少女、そしてダンテを囲むようにして炎の渦で出来た柵が展開されていた。
ダンテを倒さねば逃げられないと悟ったか、踵を返してダンテと相対するバエル。
どうでもいいけど魔獣お二方同士でやってくれませんかね!?と、捕まったままの少女は涙目で訴える。
火だるま同然の見た目で、赤い炎を身に纏ったダンテがバエルに向かってきた。
捨身とも取れるようなこの体当たり…どこのフレアドライブだよとかも、もちろん思っちゃいけません。なぜならフレアドライブはHPが減るが、このお話では高火力の割にHPが減らないからである。
脱線するな?そりゃあすまんかった。
「べらんめい!丸呑みしてクソでひり出してやる!」
「わーキチャナイ言葉」
「それ以上喋んなすったらここでおれこますぞ」
「ひぃ!だ、黙ってます!黙ってるからその目やめて!やだやだこっち見ないでーーー!いやぁ!!」
とても汚い言葉である。指摘したらカエルの顔なのに気持ち悪い笑みで言われた。
江戸言葉は少女にはわからないままだが、どうせ変な意味だ。
目も気持ち悪いが、べっちょりと臭そうな舌先で全身舐められた気分だ。恐怖しかない!
さて、同じく氷の層を身に纏ってダンテの体当たりに備えるバエル。
寒い。目の前の光景は熱いのに氷属性のそれに捕まっているからか、触れているところからひんやりしてとても寒い。その温度差に困惑するけど凍えそう。
変温動物なら死んでいるレベル。定石だがもちろん、Anotherなら死んでた!いや、このままだと凍えるか燃えるかして本当に死んでしまう。
今日に限ってアレがメンテナンス中だなんてほんとツイてない。
…ああ、せめてもっとスイーツ食べとくんだった。
向かってくるダンテの前に立ち塞がる女性の形をした触手。
触手は痛覚がそこまで発達していないのか、熱さにもケロリとしている。その上氷の分厚い層を携えてダンテの攻撃を素手で防いでいた。
「そんなちゃちな火なんざ効かねぇぜ!」
「ホー、そうかそうか。なら…」
キラリ、ダンテの目が鋭く光る。
炎が効かなかった時用に、ダンテは他の策を既に練っていた。
「なげぇ触手にはこっちもなげぇモンで対抗ってな!」
体は触手の相手をしたままに、ダンテは炎を纏う体を遠心力に任せブンと振り自らの尾をバエル本体に伸ばす。
ダンテの尾は普通の獅子の尾ではない。
その先端はーーー。
「ぎゃーーーー!!ヘビぃぃぃぃ!!」
エイリアンのようにぐわぱ!と大きく口を開けた白蛇が牙を剥き出しにしてバエルに噛みつきかかった。
バエルというカエルよりも明らかに小さめなヘビ。されどヘビ。カエルの天敵ヘビ。
ビビりまくったバエルは、大きく取り乱し、触手で捕まえていた少女をつい、うっかり離してしまった。
触手がギリギリ伸び切る一番高い宙から、さらに上空を目指すようにぽーーーんと、上へ。
「へ?あ、ちょっ……きゃーーー!」
あ…おそら、綺麗……。
ぐるんと回りブレる視界の中、弧を描いた後に涙だけが重力に従って地面へと落ちるのが見えた。
この高さから落ちたら助からない。まっさかさーまーに、落ちて潰れたトマトの完成だ!
…完熟トマト潰してトマトソースにするとフレッシュで美味しいよね。けど自分がトマトソースになるのは嫌だわ。
アレがない今、落下スピードを遅くすることも出来ないしまったくツイてない。
だから魔獣は嫌なんだ!
だが、体に来ると思われた衝撃はこなかった。
首が何かに吊られている。赤くて暖かいこれは…?
「みぎゃ!」
後ろを確認しようとした瞬間、投げられるように場が移動し、気がつけば燃える獅子の背中に乗っていた。
なるほど!炎の獅子もといダンテが、空中おくちキャッチしてくれたようだ。まるで我が子を咥えて運ぶ親そのもの。…子供じゃないのだけど。
「大丈夫か?」
鬣が邪魔でこちらの姿は見えなさそうだが、心配そうに声をかけて背中の方を振り返る彼。
って、なるほどなんて言ってる場合違う!
いきなりすぎて呆けていたが、つまりここは炎の魔獣の背中の上。
場所は暖かいというのに、顔色を青ざめさせる少女。
「ぴーーー!また魔獣!今度は炎!燃えちゃう火だるまダルマッカヒヒダルマ!!」
「落ちるから暴れんな!燃えないし火だるまにもならねぇよ!座ってるんだからそのくらいわかるだろ!ダルマッカとヒヒダルマちげぇし!どんだけポケ●ン好きなんだあほ!」
言われて気がつく。
そうか、彼はこちらのために温度を調整してくれているのだ。
鬣はこんなにも燃えているというに、熱さをほとんど感じないのはそのせいだ。
ただしあほは言い過ぎなので許さない。絶対にだ!
「あったかい…」
ホッとする暖かさに、凍っていた気持ちがじんわり端から溶けていく。
同時に、同じく氷と化していた涙腺がふにゃりと緩んだ。
「ふっ、ぅ…、こわかった………」
ぽろ。
一粒こぼれ落ちた雫は次々溢れ、大粒の雨となって頬を伝う。
とめどなく流れて止まらないそれは、ポタポタと下に落ち、ダンテの背の毛皮をしっとりと濡らした。
その冷たさから涙の量に気がついたダンテは、ギョッとして少女の顔を見つめる。
「おいおい。ンなに泣くなよ……」
「だってぇ……っ」
魔獣嫌いなくせに、魔獣の姿であるオレにこんなにもすがりついて……。
愛しさと庇護欲が心に芽生えると共に、不謹慎にも泣き顔が可愛くてグッと来てしまった。
よほど奴に触られるのがイヤだったと見える…もしくはカエルが嫌いだったという線も考えられるか。
ダンテは一番落ち着くであろう温度に体温を上昇させ、赤子を包むゆりかごのようにゆっくり揺れて彼女をあやした。
「ヨーシヨシヨシヨーシヨシヨシ」
「…あたし猛獣じゃないからム●ゴロウ先生ごっこはやめて」
しかし、そうそう長く慰めてやる暇はない。
目の前ではダンテの尾のヘビを恐れ取り乱していたバエルが、今しがた落ち着きを取り戻したところだからだ。
少女をストンと背中からおろしたダンテは、その身をコンバートしヒトガタを取ると、目の前に対峙したバエルを親の仇かのようにギン!と睨んだ。
氷の塊もろともバエルをブチのめすべくして、放たれたそれ。
だがダンテの攻撃は、その全てがバエルの頭から生えた女性形の触手によってことごとく弾かれた。
弾かれて四方八方へ、空の彼方へと飛んでいくダンテの魔法。
ゆくゆくは大気圏、オゾン層を抜けて宇宙へ飛び出し、小惑星かUFOにでも当たるかもしれない。
ダンテのせいで宇宙戦争が起きる日は近い。
バエルはそのまま触手をブンブンと振り回すと、ダンテのガラ空きだった胴体に太いそれを叩きつけた。
胴体をくの字に曲げ吹っ飛んだダンテは、大木にしたたかにぶつかって止まる。
「ぐっ…!」
「これはしたり!吹っ飛ぶのはてめぇだったな!」
頭も打ったのだろう、ダンテの赤い鬣から血が垂れた。
「血!こわっ!アップルパイ戻しそうなほどこわっ!」
突如吹っ飛んだダンテに膝を笑わせていた少女だったが、血が垂れているのを見ると泡を吹きそうになるほど更に戦々恐々している。
少女は血も嫌いなようだ。…好きだったらそれもそれでおかしいが。
怖がる少女とは反対に、バエルはその属性を彷彿とさせる嘲笑を浮かべた。
「こちとら、コッテコテのゴールド階級でい。
なのに向かっちくるたぁ、とんだすっとこどっこいよ。
さ、いくぞ」
「えっ!?やっ!!離して!やだやだやだーー!!」
「おまっりしておれこますぞ~」
「へ?おまっり?おれこます?んん???」
女性の形をした触手が少女を抱きしめる。
ぷるるんねっちょりとしたゼリーのようなベタつく素肌がまさにカエルを触っているかのようで気持ち悪い。
このままではそのままお持ち帰りコースまっしぐら。
逃げたい。けれどがっちりホールドされていて逃げようにも逃げられないヲワタ。
ちなみにおまっりとは性交、おれこますとは妊娠させるという意味だが、そんな事は江戸っ子バエルしか知らない。
あとは今教えたばかりなので私と目の前の貴女ですよ、貴女m9(・∀・)ズビシ!
「へぇ?
アンタよりナリは小さいがオレはこれでもプラチナ階級でね……」
気持ち悪さやら恐怖やらで吐きそうになっている少女に届く、魔獣ダンテの低い声。
声に混じる怒りと魔力の揺らぎ。
視界にまで垂れて邪魔をする血を顔を振って飛ばし、ダンテは胴体を起こしてしっかと地を踏みしめた。
メラ…、鬣や腕の炎が風もないのに揺らめき、涼しくなっていたあたりの気温がぐんと上がった。その炎が飛び火したかのように瞳に灯る赤い業火。
鋭い目と視線を合わせるだけでダメージを受けそうだ。
ゴウ……ッ!
ダンテの足元から煙が燻り、火がチロチロと舐めるようにして上がっていく。小さな火種はキャンプファイアーのごとく、大きな火柱へと変わることだろう。
ただでさえ怖がっていた少女。
そして更に恐怖を植え付けられるべくして追加されたのが、ダンテの瞳に宿る怒りの炎だ。
炎とは高温になるに従って青白くなっていくもの。赤から徐々に青白くなっていくのを見るに、怒りに比例してどんどん温度が高くなっていると見た!
「ヒィ!こっちはこっちでこわいこわいほんとこわい…!燃える燃えちゃうはい消し炭確定ィ!!」
「あぁん?てやんでぃべらぼぅめちきしょうが…!」
気がつけば、バエルと少女、そしてダンテを囲むようにして炎の渦で出来た柵が展開されていた。
ダンテを倒さねば逃げられないと悟ったか、踵を返してダンテと相対するバエル。
どうでもいいけど魔獣お二方同士でやってくれませんかね!?と、捕まったままの少女は涙目で訴える。
火だるま同然の見た目で、赤い炎を身に纏ったダンテがバエルに向かってきた。
捨身とも取れるようなこの体当たり…どこのフレアドライブだよとかも、もちろん思っちゃいけません。なぜならフレアドライブはHPが減るが、このお話では高火力の割にHPが減らないからである。
脱線するな?そりゃあすまんかった。
「べらんめい!丸呑みしてクソでひり出してやる!」
「わーキチャナイ言葉」
「それ以上喋んなすったらここでおれこますぞ」
「ひぃ!だ、黙ってます!黙ってるからその目やめて!やだやだこっち見ないでーーー!いやぁ!!」
とても汚い言葉である。指摘したらカエルの顔なのに気持ち悪い笑みで言われた。
江戸言葉は少女にはわからないままだが、どうせ変な意味だ。
目も気持ち悪いが、べっちょりと臭そうな舌先で全身舐められた気分だ。恐怖しかない!
さて、同じく氷の層を身に纏ってダンテの体当たりに備えるバエル。
寒い。目の前の光景は熱いのに氷属性のそれに捕まっているからか、触れているところからひんやりしてとても寒い。その温度差に困惑するけど凍えそう。
変温動物なら死んでいるレベル。定石だがもちろん、Anotherなら死んでた!いや、このままだと凍えるか燃えるかして本当に死んでしまう。
今日に限ってアレがメンテナンス中だなんてほんとツイてない。
…ああ、せめてもっとスイーツ食べとくんだった。
向かってくるダンテの前に立ち塞がる女性の形をした触手。
触手は痛覚がそこまで発達していないのか、熱さにもケロリとしている。その上氷の分厚い層を携えてダンテの攻撃を素手で防いでいた。
「そんなちゃちな火なんざ効かねぇぜ!」
「ホー、そうかそうか。なら…」
キラリ、ダンテの目が鋭く光る。
炎が効かなかった時用に、ダンテは他の策を既に練っていた。
「なげぇ触手にはこっちもなげぇモンで対抗ってな!」
体は触手の相手をしたままに、ダンテは炎を纏う体を遠心力に任せブンと振り自らの尾をバエル本体に伸ばす。
ダンテの尾は普通の獅子の尾ではない。
その先端はーーー。
「ぎゃーーーー!!ヘビぃぃぃぃ!!」
エイリアンのようにぐわぱ!と大きく口を開けた白蛇が牙を剥き出しにしてバエルに噛みつきかかった。
バエルというカエルよりも明らかに小さめなヘビ。されどヘビ。カエルの天敵ヘビ。
ビビりまくったバエルは、大きく取り乱し、触手で捕まえていた少女をつい、うっかり離してしまった。
触手がギリギリ伸び切る一番高い宙から、さらに上空を目指すようにぽーーーんと、上へ。
「へ?あ、ちょっ……きゃーーー!」
あ…おそら、綺麗……。
ぐるんと回りブレる視界の中、弧を描いた後に涙だけが重力に従って地面へと落ちるのが見えた。
この高さから落ちたら助からない。まっさかさーまーに、落ちて潰れたトマトの完成だ!
…完熟トマト潰してトマトソースにするとフレッシュで美味しいよね。けど自分がトマトソースになるのは嫌だわ。
アレがない今、落下スピードを遅くすることも出来ないしまったくツイてない。
だから魔獣は嫌なんだ!
だが、体に来ると思われた衝撃はこなかった。
首が何かに吊られている。赤くて暖かいこれは…?
「みぎゃ!」
後ろを確認しようとした瞬間、投げられるように場が移動し、気がつけば燃える獅子の背中に乗っていた。
なるほど!炎の獅子もといダンテが、空中おくちキャッチしてくれたようだ。まるで我が子を咥えて運ぶ親そのもの。…子供じゃないのだけど。
「大丈夫か?」
鬣が邪魔でこちらの姿は見えなさそうだが、心配そうに声をかけて背中の方を振り返る彼。
って、なるほどなんて言ってる場合違う!
いきなりすぎて呆けていたが、つまりここは炎の魔獣の背中の上。
場所は暖かいというのに、顔色を青ざめさせる少女。
「ぴーーー!また魔獣!今度は炎!燃えちゃう火だるまダルマッカヒヒダルマ!!」
「落ちるから暴れんな!燃えないし火だるまにもならねぇよ!座ってるんだからそのくらいわかるだろ!ダルマッカとヒヒダルマちげぇし!どんだけポケ●ン好きなんだあほ!」
言われて気がつく。
そうか、彼はこちらのために温度を調整してくれているのだ。
鬣はこんなにも燃えているというに、熱さをほとんど感じないのはそのせいだ。
ただしあほは言い過ぎなので許さない。絶対にだ!
「あったかい…」
ホッとする暖かさに、凍っていた気持ちがじんわり端から溶けていく。
同時に、同じく氷と化していた涙腺がふにゃりと緩んだ。
「ふっ、ぅ…、こわかった………」
ぽろ。
一粒こぼれ落ちた雫は次々溢れ、大粒の雨となって頬を伝う。
とめどなく流れて止まらないそれは、ポタポタと下に落ち、ダンテの背の毛皮をしっとりと濡らした。
その冷たさから涙の量に気がついたダンテは、ギョッとして少女の顔を見つめる。
「おいおい。ンなに泣くなよ……」
「だってぇ……っ」
魔獣嫌いなくせに、魔獣の姿であるオレにこんなにもすがりついて……。
愛しさと庇護欲が心に芽生えると共に、不謹慎にも泣き顔が可愛くてグッと来てしまった。
よほど奴に触られるのがイヤだったと見える…もしくはカエルが嫌いだったという線も考えられるか。
ダンテは一番落ち着くであろう温度に体温を上昇させ、赤子を包むゆりかごのようにゆっくり揺れて彼女をあやした。
「ヨーシヨシヨシヨーシヨシヨシ」
「…あたし猛獣じゃないからム●ゴロウ先生ごっこはやめて」
しかし、そうそう長く慰めてやる暇はない。
目の前ではダンテの尾のヘビを恐れ取り乱していたバエルが、今しがた落ち着きを取り戻したところだからだ。
少女をストンと背中からおろしたダンテは、その身をコンバートしヒトガタを取ると、目の前に対峙したバエルを親の仇かのようにギン!と睨んだ。