邂逅
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「いざすっすめっやきっちーん!めざすーはじゃがりこー。
あれ?じゃがりこだっけ?違うっ!じゃがいもじゃん」
どこからか、1人ノリツッコミが聞こえてきた。
森の泉で体の汗を流していたら聞こえたそれに、ぷくくと声を押し殺して笑っていると、その声の全貌が明らかになってきた。
この鈴を転がしたようなかわいらしい声は確か…。
着替えたての格好そのままに、ぴょこんと顔を出す。
するとそこにいたのはやはり、この間出会った銀緑の髪に、メロン味の飴玉のような瞳の少女。
今回はその手に、揚げたてホッカホカのマラサダドーナッツを持っていた。
ベリー系の味なのか、赤いアイシングとキラキラ光るグラニュー糖がかかっていて見るからに美味しそうだ。
が、ドーナッツの油脂がついて照かりを纏う唇の方がよりダンテの食指を誘った。
こう考えると、こちらのシリーズのこのダンテ…七つの大罪でいうところの『色欲』担当といえる。
本編もそう?残念ながら本編の方は色欲に加え怠惰も入る。
「また会ったな。奇遇……」
「えっ!?えっ…!変な生き物…!えっ!?」
「変な…生き物…?」
少女は混乱中のよう。
変な生き物、といわれ自身の姿を省みる。
…しまった!水浴び後に毛づくろいしようと、ちょうどヒトガタから魔獣の姿にコンバートするところだったのを忘れていたッ!
一度編んだ魔法構成式は、途中でそうそう簡単にキャンセルできない。出来る者もいようが、オレはそこまでの技量まで会得していない。
双子の兄や一番上の兄、父などはそういうところに長けていたが…。いかん、双子の兄を思いだしたら不必要に腹が立った。
とりあえずオレはアホだ。今度は自分に腹が立つ。
何でこんな見る者によっては大爆笑物の場面――上半身が人間で下半身が魔獣という状態――ばっかり見られてるんだオレ。ケンタウロス獅子バージョンかよ。
ん?……あれデジャヴ。確か前回も、こんな感じに目撃ドキュンされたんじゃなかっただろうか。
アホすぎる自分だが、少女の表情はダンテの姿が完全に魔獣の姿に変わると同時、困惑から恐怖のそれへと変わっていった。
「…って、このあいだの魔獣さん!ひえぇまた出たぁぁぁ!!」
「やっと気がついたか。ああ、このあいだの魔獣さんだぜ」
その反応にちょっぴりホッとした。
が、ホッとしつつも、その言葉がダンテの気に障った。
「また出たとは失礼な奴だな。お前にとってオレは化けもんか?え?」
「んん…お化けや怪物じゃないけど似たようなものだと思……ぁ、やば。
えっと、大きなライオンさんに見えますよ!うん!!」
「へぇー……?」
魔獣姿のいつもより細面になった瞳を更に細め、ダンテは低い声を出す。
少女も藪蛇な発言と、言ってから気が付いたようで言い直してはいるが、その足は一歩下がる。
藪蛇…うむ、確かに尻尾は蛇である。いやいい、今は置いておこう。
ダンテはにんまりと牙を剥きだして笑い、音もたてずに飛び上がって少女に馬乗りになった。
「きっ、きゃあああ!!」
叫ぶ少女。ヒトガタならば押し倒した格好…いい眺めだ。
が、こんな危機的状況にもかかわらずドーナッツを持ったままなのはさすがである。少女の課せられし七つの大罪は『暴食』とみたッ!!
大きな獅子に圧し掛かられて身動きの取れぬ少女の目を青い双眸でじっと覗きこむ。
少女のメロン飴な瞳には遊んでいるとしか見えない嬉々とした自分の魔獣の姿が浮かんでいる。
「オレのどの辺が化け物か、よーく観察させてやるよ。この距離ならしっかり隅々まで見えるだろ?」
「いいですいいです結構です熱いです」
おっと、鬣や腕から吹き出す魔物の炎が熱かったようだ。契約はおろか協定すら結ばぬ相手には、こちらに害する意思がなくともなかなかに熱かろう。
少女の為ダンテは自分の鬣や腕に纏う炎熱を魔力で操作する。これで触れていてもホッカイロ並みの熱さに変わったはず。
冬は重宝!一家に1ダンテ。どうだい?安くしとくぜ。
「これで熱くないからコッチヲミロォ~」
クククと笑えば魔獣姿なため、口から代わりのグルルという唸り声が漏れる。
それも気にせず、ダンテは匂いを嗅ぐ要領で濡れた鼻先を少女の首筋にくっつける。
普通のそれよりもいくらか温度が高いだろう自分の舌で少女の首筋を舐め上げると、冷たいものから熱いものへの変化に、少女の体がびくりと反応した。
肌に当たるザラザラしたネコ特有の舌が、牙にも思えたのだろう。そこから必死に逃れようとする反応が返ってくる。
「ヒッ…!食べられちゃう!」
「食べねぇよ。お前の前にお前の持ってるドーナッツがあるしな。
食うならそっち先にもらうって」
少女は食べない。
違う意味では食べてみたくも思うが、処女に違いないくらいのまだほんの少女。初めてがダンテ相手ではちと荷が重いかもしれない。
そもそもロリコン違う。
なので代わりにそのドーナッツを要求するッ!
「な、なんとぉ…。
ドーナッツはあげません…っ!今日のおやつは何が何でも死守しまっす!」
少女は持っていたドーナッツを、魔獣に押し倒されたこの体勢のまま、はぐはぐぺろりと平らげた。
まただ。本当におもしろい娘だ。
何かしらのトラウマがあるのは想像に難くないが、そのトラウマさえ乗り越えて、好物を死守するその姿は見ていて飽きない。
「へぇー。
お前さあ…菓子と命、どっちが大事かわかってやってるのか?この状況下で?」
「え」
「命があれば菓子はまた食えるだろ。でも、その命がなくなったらもう食えないんだぜ」
呆れたように見せつつ、内心ではニヤニヤと笑う。
みるみるうちに恐怖に染まる表情だけでなく、そこに至るまでの変化さえ見ていて飽きないし面白い。
とんだ遊び道具だ。
「ゃっ……!は、離して…っ」
ジタバタともがき、ともすれば暴れだしそうなその手を押さえつけ、ダンテは少女の手のひらをぺろりと舐めた。
…甘い。これはドーナッツについていた砂糖か、少女が元来持つ味か。
そこで気がつく。
斯様な年頃の少女とはいえ、なかなかに素晴らしい物を持っているということに。
体の中心でたゆんと揺れる、ふっくらと上向いた双丘。
こりゃあイイ。眺めているだけでも絶景だ。
だが、いつまでも揺れる乳を見ているわけにもいかない。
さてさて、今の気持ちはどんなだ?こわいこわい魔獣を前にしてどんな感想を抱く?
あれ?じゃがりこだっけ?違うっ!じゃがいもじゃん」
どこからか、1人ノリツッコミが聞こえてきた。
森の泉で体の汗を流していたら聞こえたそれに、ぷくくと声を押し殺して笑っていると、その声の全貌が明らかになってきた。
この鈴を転がしたようなかわいらしい声は確か…。
着替えたての格好そのままに、ぴょこんと顔を出す。
するとそこにいたのはやはり、この間出会った銀緑の髪に、メロン味の飴玉のような瞳の少女。
今回はその手に、揚げたてホッカホカのマラサダドーナッツを持っていた。
ベリー系の味なのか、赤いアイシングとキラキラ光るグラニュー糖がかかっていて見るからに美味しそうだ。
が、ドーナッツの油脂がついて照かりを纏う唇の方がよりダンテの食指を誘った。
こう考えると、こちらのシリーズのこのダンテ…七つの大罪でいうところの『色欲』担当といえる。
本編もそう?残念ながら本編の方は色欲に加え怠惰も入る。
「また会ったな。奇遇……」
「えっ!?えっ…!変な生き物…!えっ!?」
「変な…生き物…?」
少女は混乱中のよう。
変な生き物、といわれ自身の姿を省みる。
…しまった!水浴び後に毛づくろいしようと、ちょうどヒトガタから魔獣の姿にコンバートするところだったのを忘れていたッ!
一度編んだ魔法構成式は、途中でそうそう簡単にキャンセルできない。出来る者もいようが、オレはそこまでの技量まで会得していない。
双子の兄や一番上の兄、父などはそういうところに長けていたが…。いかん、双子の兄を思いだしたら不必要に腹が立った。
とりあえずオレはアホだ。今度は自分に腹が立つ。
何でこんな見る者によっては大爆笑物の場面――上半身が人間で下半身が魔獣という状態――ばっかり見られてるんだオレ。ケンタウロス獅子バージョンかよ。
ん?……あれデジャヴ。確か前回も、こんな感じに目撃ドキュンされたんじゃなかっただろうか。
アホすぎる自分だが、少女の表情はダンテの姿が完全に魔獣の姿に変わると同時、困惑から恐怖のそれへと変わっていった。
「…って、このあいだの魔獣さん!ひえぇまた出たぁぁぁ!!」
「やっと気がついたか。ああ、このあいだの魔獣さんだぜ」
その反応にちょっぴりホッとした。
が、ホッとしつつも、その言葉がダンテの気に障った。
「また出たとは失礼な奴だな。お前にとってオレは化けもんか?え?」
「んん…お化けや怪物じゃないけど似たようなものだと思……ぁ、やば。
えっと、大きなライオンさんに見えますよ!うん!!」
「へぇー……?」
魔獣姿のいつもより細面になった瞳を更に細め、ダンテは低い声を出す。
少女も藪蛇な発言と、言ってから気が付いたようで言い直してはいるが、その足は一歩下がる。
藪蛇…うむ、確かに尻尾は蛇である。いやいい、今は置いておこう。
ダンテはにんまりと牙を剥きだして笑い、音もたてずに飛び上がって少女に馬乗りになった。
「きっ、きゃあああ!!」
叫ぶ少女。ヒトガタならば押し倒した格好…いい眺めだ。
が、こんな危機的状況にもかかわらずドーナッツを持ったままなのはさすがである。少女の課せられし七つの大罪は『暴食』とみたッ!!
大きな獅子に圧し掛かられて身動きの取れぬ少女の目を青い双眸でじっと覗きこむ。
少女のメロン飴な瞳には遊んでいるとしか見えない嬉々とした自分の魔獣の姿が浮かんでいる。
「オレのどの辺が化け物か、よーく観察させてやるよ。この距離ならしっかり隅々まで見えるだろ?」
「いいですいいです結構です熱いです」
おっと、鬣や腕から吹き出す魔物の炎が熱かったようだ。契約はおろか協定すら結ばぬ相手には、こちらに害する意思がなくともなかなかに熱かろう。
少女の為ダンテは自分の鬣や腕に纏う炎熱を魔力で操作する。これで触れていてもホッカイロ並みの熱さに変わったはず。
冬は重宝!一家に1ダンテ。どうだい?安くしとくぜ。
「これで熱くないからコッチヲミロォ~」
クククと笑えば魔獣姿なため、口から代わりのグルルという唸り声が漏れる。
それも気にせず、ダンテは匂いを嗅ぐ要領で濡れた鼻先を少女の首筋にくっつける。
普通のそれよりもいくらか温度が高いだろう自分の舌で少女の首筋を舐め上げると、冷たいものから熱いものへの変化に、少女の体がびくりと反応した。
肌に当たるザラザラしたネコ特有の舌が、牙にも思えたのだろう。そこから必死に逃れようとする反応が返ってくる。
「ヒッ…!食べられちゃう!」
「食べねぇよ。お前の前にお前の持ってるドーナッツがあるしな。
食うならそっち先にもらうって」
少女は食べない。
違う意味では食べてみたくも思うが、処女に違いないくらいのまだほんの少女。初めてがダンテ相手ではちと荷が重いかもしれない。
そもそもロリコン違う。
なので代わりにそのドーナッツを要求するッ!
「な、なんとぉ…。
ドーナッツはあげません…っ!今日のおやつは何が何でも死守しまっす!」
少女は持っていたドーナッツを、魔獣に押し倒されたこの体勢のまま、はぐはぐぺろりと平らげた。
まただ。本当におもしろい娘だ。
何かしらのトラウマがあるのは想像に難くないが、そのトラウマさえ乗り越えて、好物を死守するその姿は見ていて飽きない。
「へぇー。
お前さあ…菓子と命、どっちが大事かわかってやってるのか?この状況下で?」
「え」
「命があれば菓子はまた食えるだろ。でも、その命がなくなったらもう食えないんだぜ」
呆れたように見せつつ、内心ではニヤニヤと笑う。
みるみるうちに恐怖に染まる表情だけでなく、そこに至るまでの変化さえ見ていて飽きないし面白い。
とんだ遊び道具だ。
「ゃっ……!は、離して…っ」
ジタバタともがき、ともすれば暴れだしそうなその手を押さえつけ、ダンテは少女の手のひらをぺろりと舐めた。
…甘い。これはドーナッツについていた砂糖か、少女が元来持つ味か。
そこで気がつく。
斯様な年頃の少女とはいえ、なかなかに素晴らしい物を持っているということに。
体の中心でたゆんと揺れる、ふっくらと上向いた双丘。
こりゃあイイ。眺めているだけでも絶景だ。
だが、いつまでも揺れる乳を見ているわけにもいかない。
さてさて、今の気持ちはどんなだ?こわいこわい魔獣を前にしてどんな感想を抱く?
