御神籤 九枚目
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ダンテとディーヴァの異世界組に続いて、今度はこちらの世界組ネロの秘密が暴かれる事となった。
ダンテもディーヴァもあんな秘密をバラされて酷かった割合のが高かったというに、ネロはいたって涼しい顔。
よほど秘密がなくて自信があるのか、それともただの強がりか。
そんなこんなで始まった最初の場所は、ネロと逢夏の家の食事を食べるダイニングルーム。
窓の外は暗闇でカーテンも閉じており、仲睦まじく揃いのパジャマを着てグラスを傾ける2人が映っているところを見ると、就寝前にゆるりと家飲みしているといった感じか。
例によってシャティは散歩にでも出かけているのか、見当たらず2人きり。
「おうちで晩酌?」
「ああ、俺達は外で飲むより家で飲む方が慣れてる。
気兼ねしないし、安心できるし、酔ったらそのまま眠れるから」
「2人っきりってのも利点だな。
今度オレらもやるか」
「そだね。帰ったらおうちで飲む機会作りたいねぇ」
酔ったらそのままベッドで運動する予定だからついでだ、報復の内容の中に酒でこっちに抵抗する力でもなくさせちまうか。
とまあ、ダンテはまださっきのお仕置きについて本気で恐ろしい事を考えていた。
2人がいる柔らかくほの明るい照明だけの空間は、それだけでムードも甘く新婚真っ只中な気がして、見る者の目に羨ましく写る。
まだ酔ってきてはいなさそうだが、いくらかふわふわした逢夏が笑顔でネロにしなだれ掛かる。
『もー、私お酒弱いのにぃ』
『あと少しだけでいいから付き合ってくれよ』
『〆切り日近いし、ネロも明日は依頼があるんだから、本当に少しだけだからね?』
そう言いつつ手にする小さなグラスには、淡い桃色に色づいたロゼワインが注がれている。
白ワインほど軽くなく、赤ワインほど重くないそれはほんのり甘くクセもなくて比較的逢夏にも飲みやすい代物かもしれない。
簡単なツマミはそこそこに、互いの存在をメインの肴としてうっとりと飲みかわす。
時折、読み途中だった本にも手を伸ばしていたが、それは早々に閉じられて片手は器用に手を繋ぎ、もう片手でグラスを傾ける。
もちろん、ネロの方がグラスの空になるのが早い。
逢夏のグラスにはあとほんの一口、ロゼのピンク色が揺れている。
グラスを置いたネロは、その指を逢夏の指と絡ませたまま、違う酒瓶をテーブルの上にトンと置いた。
しっとりした薄碧の瓶にはどこか懐かしい昔の漢字を用いた酒の名前がシールされている。
『少しだけって約束だけど、今夜は特別な?
ほら、前に飲んでみたいって言ってた微炭酸入りの日本酒。やっと手に入ったんだ』
『これ……。
あの時小さく呟いただけなのに、覚えててくれたの?』
『当たり前。
逢夏の願いは一つだって取り零したくないんだからな』
その酒は前に日本に行った際、逢夏が飲みたいと言っていた物だ。
あまりにもお土産の量が多くなったので本人は諦めていたのだろう、それを前にしてボソッと呟いていただけだったが、ネロの耳はその言葉をしかと拾った。
依頼で色々な場所に赴き仕事する道すがら、長らく地味に探した結果だ。
『大変だったでしょ……ありがとう』
伝えきれぬ感謝の代わりになればと、笑顔を向けながら絡ませた指をキュ、と強めに握ってみる。
ネロも同じく優しい笑みを浮かべ、握り返してくれた。
「いいなぁ、逢夏の欲しかったものを一生懸命探す…ネロってホント優しい旦那様だね」
「でしょでしょ?私の自慢の旦那様~!」
「自慢って…俺は当たり前の事をしてるだけだぞ」
「んんんー!しかも謙虚っ」
「ケッ!
オレだってディーヴァにそれくらい…」
「ダンテは謙虚じゃないし、ほとんどの場合見返り求めるもん」
「……………」
栓を開けたネロが、逢夏のグラスへと透明な液体をトクトクトクと並々注いでいる。
しゅわり、優しく弾けてグラスに馴染みゆく酒を掲げ乾杯の音頭。
『さ、乾杯だ』
チン、とグラスを合わせて飲んでみると、それはフルーティーな飲み口でとても美味しかった。
『あ、飲みやすい』
『甘すぎず辛すぎず、確かにちょうどいい味わいだな。口の中での弾け具合もいい。
……本当いい夜だよ。
カーテンの隙間から覗いた美麗な月と美味い酒、傍らには美しく聡明な女性、最高だ』
『ふふ、ネロったらいつもより饒舌。酔うには少し早いんじゃなくて?』
『今夜は特別。いい夜だからだ』
『ん、じゃあネロの言う通り今夜は特別!
って事でいつもより多めに飲んじゃおうかな。
結構美味しいし』
『いいぜ。
なんなら其れの残り全部、逢夏が空瓶にすればいい』
『全部は多いかな~。それとも……
私を酔わせてどうするつもり?』
今の今まで絡ませて繋いでいた指を解放し、細く長いしなやかな指先でネロの頬から顎までのラインをするりと撫ぜる。
『さあ?
酔いすぎないように気をつけておけばいいだろ。
もっとも、酔い潰れたらちゃんとベッドに運んでやるから心配しなくていい』
お返しにと、さらりと額にかかった前髪をどかされ、あらわとなったそこに口付けられる。
ネロからほんのり漂う酒気が、ネロ本人がもともと持っている色気と混じり合って、それだけで酔いがじわじわと逢夏に染み込んでくる気がした。
それから日付が変わる頃まで、2人が飲み続けるのをテレビは放送していた。
酒の瓶も空になるにしたがって、当然逢夏はふにゃふにゃ言いながら酔いつぶれて、ほとんど夢の中。
ネロも良い感じに酔っていた。
『逢夏?』
『…うぅ~ん、むにゃむにゃ、ネロすきぃ……』
『寝たな』
共に飲む相手がいないが、その寝顔をツマミに飲むのも乙なものだろう。
まだ残っている酒を手酌で空けていくネロ。
そこからだ。
そこから、少し変わってきた。
ダンテもディーヴァもあんな秘密をバラされて酷かった割合のが高かったというに、ネロはいたって涼しい顔。
よほど秘密がなくて自信があるのか、それともただの強がりか。
そんなこんなで始まった最初の場所は、ネロと逢夏の家の食事を食べるダイニングルーム。
窓の外は暗闇でカーテンも閉じており、仲睦まじく揃いのパジャマを着てグラスを傾ける2人が映っているところを見ると、就寝前にゆるりと家飲みしているといった感じか。
例によってシャティは散歩にでも出かけているのか、見当たらず2人きり。
「おうちで晩酌?」
「ああ、俺達は外で飲むより家で飲む方が慣れてる。
気兼ねしないし、安心できるし、酔ったらそのまま眠れるから」
「2人っきりってのも利点だな。
今度オレらもやるか」
「そだね。帰ったらおうちで飲む機会作りたいねぇ」
酔ったらそのままベッドで運動する予定だからついでだ、報復の内容の中に酒でこっちに抵抗する力でもなくさせちまうか。
とまあ、ダンテはまださっきのお仕置きについて本気で恐ろしい事を考えていた。
2人がいる柔らかくほの明るい照明だけの空間は、それだけでムードも甘く新婚真っ只中な気がして、見る者の目に羨ましく写る。
まだ酔ってきてはいなさそうだが、いくらかふわふわした逢夏が笑顔でネロにしなだれ掛かる。
『もー、私お酒弱いのにぃ』
『あと少しだけでいいから付き合ってくれよ』
『〆切り日近いし、ネロも明日は依頼があるんだから、本当に少しだけだからね?』
そう言いつつ手にする小さなグラスには、淡い桃色に色づいたロゼワインが注がれている。
白ワインほど軽くなく、赤ワインほど重くないそれはほんのり甘くクセもなくて比較的逢夏にも飲みやすい代物かもしれない。
簡単なツマミはそこそこに、互いの存在をメインの肴としてうっとりと飲みかわす。
時折、読み途中だった本にも手を伸ばしていたが、それは早々に閉じられて片手は器用に手を繋ぎ、もう片手でグラスを傾ける。
もちろん、ネロの方がグラスの空になるのが早い。
逢夏のグラスにはあとほんの一口、ロゼのピンク色が揺れている。
グラスを置いたネロは、その指を逢夏の指と絡ませたまま、違う酒瓶をテーブルの上にトンと置いた。
しっとりした薄碧の瓶にはどこか懐かしい昔の漢字を用いた酒の名前がシールされている。
『少しだけって約束だけど、今夜は特別な?
ほら、前に飲んでみたいって言ってた微炭酸入りの日本酒。やっと手に入ったんだ』
『これ……。
あの時小さく呟いただけなのに、覚えててくれたの?』
『当たり前。
逢夏の願いは一つだって取り零したくないんだからな』
その酒は前に日本に行った際、逢夏が飲みたいと言っていた物だ。
あまりにもお土産の量が多くなったので本人は諦めていたのだろう、それを前にしてボソッと呟いていただけだったが、ネロの耳はその言葉をしかと拾った。
依頼で色々な場所に赴き仕事する道すがら、長らく地味に探した結果だ。
『大変だったでしょ……ありがとう』
伝えきれぬ感謝の代わりになればと、笑顔を向けながら絡ませた指をキュ、と強めに握ってみる。
ネロも同じく優しい笑みを浮かべ、握り返してくれた。
「いいなぁ、逢夏の欲しかったものを一生懸命探す…ネロってホント優しい旦那様だね」
「でしょでしょ?私の自慢の旦那様~!」
「自慢って…俺は当たり前の事をしてるだけだぞ」
「んんんー!しかも謙虚っ」
「ケッ!
オレだってディーヴァにそれくらい…」
「ダンテは謙虚じゃないし、ほとんどの場合見返り求めるもん」
「……………」
栓を開けたネロが、逢夏のグラスへと透明な液体をトクトクトクと並々注いでいる。
しゅわり、優しく弾けてグラスに馴染みゆく酒を掲げ乾杯の音頭。
『さ、乾杯だ』
チン、とグラスを合わせて飲んでみると、それはフルーティーな飲み口でとても美味しかった。
『あ、飲みやすい』
『甘すぎず辛すぎず、確かにちょうどいい味わいだな。口の中での弾け具合もいい。
……本当いい夜だよ。
カーテンの隙間から覗いた美麗な月と美味い酒、傍らには美しく聡明な女性、最高だ』
『ふふ、ネロったらいつもより饒舌。酔うには少し早いんじゃなくて?』
『今夜は特別。いい夜だからだ』
『ん、じゃあネロの言う通り今夜は特別!
って事でいつもより多めに飲んじゃおうかな。
結構美味しいし』
『いいぜ。
なんなら其れの残り全部、逢夏が空瓶にすればいい』
『全部は多いかな~。それとも……
私を酔わせてどうするつもり?』
今の今まで絡ませて繋いでいた指を解放し、細く長いしなやかな指先でネロの頬から顎までのラインをするりと撫ぜる。
『さあ?
酔いすぎないように気をつけておけばいいだろ。
もっとも、酔い潰れたらちゃんとベッドに運んでやるから心配しなくていい』
お返しにと、さらりと額にかかった前髪をどかされ、あらわとなったそこに口付けられる。
ネロからほんのり漂う酒気が、ネロ本人がもともと持っている色気と混じり合って、それだけで酔いがじわじわと逢夏に染み込んでくる気がした。
それから日付が変わる頃まで、2人が飲み続けるのをテレビは放送していた。
酒の瓶も空になるにしたがって、当然逢夏はふにゃふにゃ言いながら酔いつぶれて、ほとんど夢の中。
ネロも良い感じに酔っていた。
『逢夏?』
『…うぅ~ん、むにゃむにゃ、ネロすきぃ……』
『寝たな』
共に飲む相手がいないが、その寝顔をツマミに飲むのも乙なものだろう。
まだ残っている酒を手酌で空けていくネロ。
そこからだ。
そこから、少し変わってきた。