御神籤 九枚目
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出来上がったばかりのカレーの食欲をそそる香りが立ち込める中、2人揃って赤外線で明るく照らされたオーブンの中を覗き込む。
伸ばしたナンの生地のところどころがぷくぷくと盛り上がり、あと少しで焼き上がりそう。
「誰が1番強いかなんてさ、結局その時の状況や運や気持ち次第だよねー。ダンテとネロの戦い方だってちょっと違うし」
オーブンを覗いたまま、逢夏が先ほどの続きを言う。
どこかつぶやきにも似たそれ。
「なーんてね。そんなこと言っても私はネロが1番強いって断言しちゃうよ!」
「ええっ!?逢夏矛盾してるー!」
逢夏はこっちを向いてにっこり笑う。
つぶやき状態の時は何も言わなかったディーヴァも、この矛盾した逢夏の発言には口を出さざるを得ない。
「だってネロのこと信じてるもの。私の旦那様1番強い!誰にも負けない!って」
「なんかずるい…。あたしだってダンテが1番強いって信じてるもん」
信じてる合戦、ここに開幕。
それぞれがお互いのパートナーを信じる気持ちは、誰にも譲る気がありません。
「ふふん。ディーヴァちゃんはダンテを信じてても、信頼はしてないところあるでしょ~?」
「そんなところなんて………」
ふと、思い返してみる。
今までの思い出の中のダンテの行動、発言、性格、それらを走馬灯かのように思い出すと、ろくなことがなかったような…?
どんな時でもどこか飄々としていて、何かとスケベェな展開が多かった。
「………あったかもしれない」
合戦はもう閉幕、逢夏の勝ち。
全くもって逢夏の言う通りだと、早々に白旗を掲げるディーヴァ。
「そう、そこ。変態な部分ももうちょっと許してあげないとダメだと思うな」
「ええ~。そんなの無理ぃ…」
度を過ぎた変態発言に、手癖の悪い変態行為。
ダンテの希望願望欲望、その全てを許してしまったら、好き勝手するに違いない。
逢夏からすれば、それらを我慢させている状態が続くから、余計に変態をこじらせるのだと言いたい。
「ダンテのそのへんの欲求が落ち着けば、ディーヴァちゃんが信頼できる人になってくると思うよ」
「うーん。そうなのかなぁ」
これでもダンテには甘いつもりだし、ダンテの変なお願いも結構聞いている方だ。
そんなこと心配しなくてよさそうなダンテより良く出来た夫ネロと、しっかり者の逢夏がすごくうらやましい。
ナンが焼きあがってもウンウンと考え込むディーヴァを見て、逢夏はクスリと笑う。
根本的に悪魔の気持ちは天使にはあまり理解できないだろう。
そして、数ある贄の人生の中で『男』としての生を受けたこともある逢夏だから男の気持ちはわかるが、ディーヴァにはそこも理解できない。
これから少しずつ理解していくのだろうが、まだまだ逢夏には遠く及ばない。
ちょっぴり優越感。
「そんなディーヴァちゃんには、ネロを想う気持ちも信じる気持ちもまだまだ負ける気がしないなあ」
カレー、焼けたナン、サラダにディーヴァ御所望の焼きリンゴを用意して。
追加で作り始めたラッシーをマドラーで撹拌しながら、少しだけ見下すように言う逢夏だった。
そして、ようやく食事の時間と相成ったわけだが…。
カレーのおともとして出された白いラッシーを目にしたダンテの想像…失礼、妄想は男として健全かつ、行き過ぎかもしれないものだった。
「………どろっとした白のドリンク」
「はぁ、ダンテお前まさか、」
ダンテがグラスとディーヴァを交互に見つめて言う。
もういい加減慣れてはきたものの、ネロはうんざりしたようにため息を吐き出すのだが、その他2人含めダンテの発言を待つ。
…碌なことは言わなさそうだが。
「ぜひぜひディーヴァにぶっかけてみたいもんだ」
本当に言っちゃったよこいつ!
本当に碌でもない発言だった!
「アウトー!テメェの考えはいっつもそういうのばっかりだな!!」
「あったりまえだろがボケェ!
白×どろどろで他にナニを考えるんだっての」
「普通に飲めよ、こっちが飲み辛いだろ!
だいたい作った逢夏とディーヴァに悪いと思わねぇのか!
なあ、逢夏」
伸ばした右手でダンテの頭を握り潰すが如く力を込める。
そうしながらネロは、同意を求めるように逢夏にくるりと振り返った。
「私もたまになら別にいいと思うけどな。
自分の欲求に素直なのは悪魔としていいことじゃない?」
「はぁあ!?逢夏まで!!」
作った本人が認めている。
逢夏は自分が楽しめる方に持って行きたがる節があるので、時にはこんな風にダンテに同調しているのかもしれない。
なんでこんな時だけ仲がいい感じなんだ。
だったら妄想の被害者たるディーヴァならば…。
「え、と…。そ、その……、かけてもいいよ。別にダンテの好きにしていい…よ?」
「ブフォッ!?急にどうしたんだよディーヴァ!」
と思ったらこっちもか!
もじもじしながらダンテをチラ見して、自分の言った言葉の恥ずかしさに頬を赤らめている。
というか、ディーヴァのくせにダンテの言ってる意味わかったのかすげぇな!
そしてネロは、飲んでいたラッシーを盛大に噴き出した。
だらだらと口の端から滴る白い液体。
「わあ、やぁだ。ネロが白い液体まみれになってどうするの。
…面白いからいいけど」
女でなく男が白い液体まみれというと、想像できるのはボーイズラ……おおっと、これ以上はネロのためにもやめておいた方が良さそうだ。
逢夏が小さく呟いた言葉が聞こえていたのか、ネロ自身もトリックスターの早さで口周りを拭っている。
で、こっちの男はというと。
「まじ、で?まじなんか…?まじ、ホントにまじかよ……!」
ディーヴァの言葉を脳内再生して声を震わせている。
あのディーヴァが、こっちの欲求をなかなか満たしてくれないディーヴァが、夜のお誘いだってすぐ断る恥ずかしがり屋のディーヴァが!
ダンテの変態発言にまさかのゴーサイン!!!
「ンンンンン!嬉しいぜディーヴァ!
その言葉だけでイッちまいそうだ!」
今すぐお前を好きにしたい。
無茶苦茶にでろでろに甘やかして心ゆくまで可愛がりたい。
鼻息荒いダンテが、潰れそうな勢いでディーヴァを思い切り抱きしめる。
「きゃっ。
えっと、あたし達のおうちに帰ってからなら、いっぱいいっぱいダンテの好きにしてもいい、よ…?」
「ホントだな?よーし、オレ頑張っちゃうぞ!」
鼻息荒くてもそんな抱きしめ方でもディーヴァに許され、ダンテはその場で暴れているのと変わらぬ小躍り。
「あーもうっ!
テメェは少し落ち着いて床で寝てろ!」
ディーヴァを傷付ける事なくダンテだけを狙って、ネロの悪魔の右腕がダンテの胴体を捕らえ、床へと叩きつける。
思い切り潰れたダンテの様子を見るに、これでは寝るではなくいつもの如くバスターだ。
しかし、度重なる自宅でのバスター行為。
ダンテは心配していないが、そろそろ床が心配である。
「ったく、ディーヴァですらそんな感じなのかよ。………さては逢夏、ディーヴァに余計なこと吹き込んだな?」
「えへ?」
積極的なのもいいだろうが、悪魔の囁きのような逢夏の言霊に操られてはいけない。
伸ばしたナンの生地のところどころがぷくぷくと盛り上がり、あと少しで焼き上がりそう。
「誰が1番強いかなんてさ、結局その時の状況や運や気持ち次第だよねー。ダンテとネロの戦い方だってちょっと違うし」
オーブンを覗いたまま、逢夏が先ほどの続きを言う。
どこかつぶやきにも似たそれ。
「なーんてね。そんなこと言っても私はネロが1番強いって断言しちゃうよ!」
「ええっ!?逢夏矛盾してるー!」
逢夏はこっちを向いてにっこり笑う。
つぶやき状態の時は何も言わなかったディーヴァも、この矛盾した逢夏の発言には口を出さざるを得ない。
「だってネロのこと信じてるもの。私の旦那様1番強い!誰にも負けない!って」
「なんかずるい…。あたしだってダンテが1番強いって信じてるもん」
信じてる合戦、ここに開幕。
それぞれがお互いのパートナーを信じる気持ちは、誰にも譲る気がありません。
「ふふん。ディーヴァちゃんはダンテを信じてても、信頼はしてないところあるでしょ~?」
「そんなところなんて………」
ふと、思い返してみる。
今までの思い出の中のダンテの行動、発言、性格、それらを走馬灯かのように思い出すと、ろくなことがなかったような…?
どんな時でもどこか飄々としていて、何かとスケベェな展開が多かった。
「………あったかもしれない」
合戦はもう閉幕、逢夏の勝ち。
全くもって逢夏の言う通りだと、早々に白旗を掲げるディーヴァ。
「そう、そこ。変態な部分ももうちょっと許してあげないとダメだと思うな」
「ええ~。そんなの無理ぃ…」
度を過ぎた変態発言に、手癖の悪い変態行為。
ダンテの希望願望欲望、その全てを許してしまったら、好き勝手するに違いない。
逢夏からすれば、それらを我慢させている状態が続くから、余計に変態をこじらせるのだと言いたい。
「ダンテのそのへんの欲求が落ち着けば、ディーヴァちゃんが信頼できる人になってくると思うよ」
「うーん。そうなのかなぁ」
これでもダンテには甘いつもりだし、ダンテの変なお願いも結構聞いている方だ。
そんなこと心配しなくてよさそうなダンテより良く出来た夫ネロと、しっかり者の逢夏がすごくうらやましい。
ナンが焼きあがってもウンウンと考え込むディーヴァを見て、逢夏はクスリと笑う。
根本的に悪魔の気持ちは天使にはあまり理解できないだろう。
そして、数ある贄の人生の中で『男』としての生を受けたこともある逢夏だから男の気持ちはわかるが、ディーヴァにはそこも理解できない。
これから少しずつ理解していくのだろうが、まだまだ逢夏には遠く及ばない。
ちょっぴり優越感。
「そんなディーヴァちゃんには、ネロを想う気持ちも信じる気持ちもまだまだ負ける気がしないなあ」
カレー、焼けたナン、サラダにディーヴァ御所望の焼きリンゴを用意して。
追加で作り始めたラッシーをマドラーで撹拌しながら、少しだけ見下すように言う逢夏だった。
そして、ようやく食事の時間と相成ったわけだが…。
カレーのおともとして出された白いラッシーを目にしたダンテの想像…失礼、妄想は男として健全かつ、行き過ぎかもしれないものだった。
「………どろっとした白のドリンク」
「はぁ、ダンテお前まさか、」
ダンテがグラスとディーヴァを交互に見つめて言う。
もういい加減慣れてはきたものの、ネロはうんざりしたようにため息を吐き出すのだが、その他2人含めダンテの発言を待つ。
…碌なことは言わなさそうだが。
「ぜひぜひディーヴァにぶっかけてみたいもんだ」
本当に言っちゃったよこいつ!
本当に碌でもない発言だった!
「アウトー!テメェの考えはいっつもそういうのばっかりだな!!」
「あったりまえだろがボケェ!
白×どろどろで他にナニを考えるんだっての」
「普通に飲めよ、こっちが飲み辛いだろ!
だいたい作った逢夏とディーヴァに悪いと思わねぇのか!
なあ、逢夏」
伸ばした右手でダンテの頭を握り潰すが如く力を込める。
そうしながらネロは、同意を求めるように逢夏にくるりと振り返った。
「私もたまになら別にいいと思うけどな。
自分の欲求に素直なのは悪魔としていいことじゃない?」
「はぁあ!?逢夏まで!!」
作った本人が認めている。
逢夏は自分が楽しめる方に持って行きたがる節があるので、時にはこんな風にダンテに同調しているのかもしれない。
なんでこんな時だけ仲がいい感じなんだ。
だったら妄想の被害者たるディーヴァならば…。
「え、と…。そ、その……、かけてもいいよ。別にダンテの好きにしていい…よ?」
「ブフォッ!?急にどうしたんだよディーヴァ!」
と思ったらこっちもか!
もじもじしながらダンテをチラ見して、自分の言った言葉の恥ずかしさに頬を赤らめている。
というか、ディーヴァのくせにダンテの言ってる意味わかったのかすげぇな!
そしてネロは、飲んでいたラッシーを盛大に噴き出した。
だらだらと口の端から滴る白い液体。
「わあ、やぁだ。ネロが白い液体まみれになってどうするの。
…面白いからいいけど」
女でなく男が白い液体まみれというと、想像できるのはボーイズラ……おおっと、これ以上はネロのためにもやめておいた方が良さそうだ。
逢夏が小さく呟いた言葉が聞こえていたのか、ネロ自身もトリックスターの早さで口周りを拭っている。
で、こっちの男はというと。
「まじ、で?まじなんか…?まじ、ホントにまじかよ……!」
ディーヴァの言葉を脳内再生して声を震わせている。
あのディーヴァが、こっちの欲求をなかなか満たしてくれないディーヴァが、夜のお誘いだってすぐ断る恥ずかしがり屋のディーヴァが!
ダンテの変態発言にまさかのゴーサイン!!!
「ンンンンン!嬉しいぜディーヴァ!
その言葉だけでイッちまいそうだ!」
今すぐお前を好きにしたい。
無茶苦茶にでろでろに甘やかして心ゆくまで可愛がりたい。
鼻息荒いダンテが、潰れそうな勢いでディーヴァを思い切り抱きしめる。
「きゃっ。
えっと、あたし達のおうちに帰ってからなら、いっぱいいっぱいダンテの好きにしてもいい、よ…?」
「ホントだな?よーし、オレ頑張っちゃうぞ!」
鼻息荒くてもそんな抱きしめ方でもディーヴァに許され、ダンテはその場で暴れているのと変わらぬ小躍り。
「あーもうっ!
テメェは少し落ち着いて床で寝てろ!」
ディーヴァを傷付ける事なくダンテだけを狙って、ネロの悪魔の右腕がダンテの胴体を捕らえ、床へと叩きつける。
思い切り潰れたダンテの様子を見るに、これでは寝るではなくいつもの如くバスターだ。
しかし、度重なる自宅でのバスター行為。
ダンテは心配していないが、そろそろ床が心配である。
「ったく、ディーヴァですらそんな感じなのかよ。………さては逢夏、ディーヴァに余計なこと吹き込んだな?」
「えへ?」
積極的なのもいいだろうが、悪魔の囁きのような逢夏の言霊に操られてはいけない。