御神籤 七枚目
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「う~頭痛い……」
せめて一口お水が飲めたらよかったのになぁ。
そう思うディーヴァに来た頭痛は熱中症の初期症状の1つである。
幾分か暑さには慣れたとはいえど、早く突破しなければ本格的に熱中症になりそうだ。
とはいえ、それを言ったところで仕方ないと腹をくくりながら暑い中を進む。
「洞窟なのに扉があるぜ」
「んー?『そばに置いてある香水を体につけて通ってください』だって」
「香水だー?」
「魔除けの香水かな……」
いきなり立ちふさがった仰々しい扉。
傍らには香水瓶が置いてあり、それを体にかけないことには通してもらえないようだった。
仕方なしにお互いにシュッシュとかけると、広がるアロマの香り……ではなく、酸っぱい香りだった。
「なんか酸っぱい匂いする~」
「蟻の体液……とか?」
「げっ、なんでンなもんが香水なんだよ」
逢夏は思った。
これは何かの魔除けでも体液でもなく、ディーヴァちゃんもよく嗅げばすぐわかる匂い。
ピクルスとかドレッシングを手作りする彼女にはわかる匂いなはずだ、と。
次いで開く扉に訝しげな気分になりながら、次のフロアへと歩を進めると、今度もまた扉。
そしてワンセットと言いたげに、塩の瓶。
「今度は塩を撒けってか?」
「確かに東洋じゃ塩は魔除けだな」
「書いてあるのを見ると体に塩をつけてってあるけど……。
ダンテを退く力が身につくならいいけど、ネロと逢夏まであたしに近寄れなくなるのは嫌だな」
「ディーヴァ、まだ機嫌直さねぇ気か?しつけぇぞ」
「……ふんだ」
「とりあえず塩をすり込むか……キズがなくてよかったぜ」
「塩って染みるもんね」
喧嘩中のダンテとディーヴァはこの際放っておくことにして(触らぬ神にたたりなし、夫婦喧嘩は犬も食わない)ネロ達にならい、逢夏も塩を体につけることにした。
どうもこの行為、引っかかるが。
再び扉が開いた先にもまた扉。
いよいよ怪しさ満点だと思いつつ、今度はお粉をはたくよう指示された。
この粉……おしろいが入っているような容器に入ってこそすれ、中身は……。
「ハックション!」
「ふぇぇ……くちん!!」
「くしゅっ!」
「ブェーーックショイッ」
胡椒だった。
そう、料理で使うあのスパイスだ。
「胡椒なんかかけさせて、先方は俺達に何をさせたいんだ?」
「まさかクシャミさせてぇわけじゃねぇよな」
スパイス……で少しディーヴァにもわかってきたようだ。
「あれ?酸っぱい液に塩に胡椒ってどっかで聞いたことある組み合わせ……。
まるで料理……っていうか日本の物語に似たような展開のものなかった??」
「あ、ディーヴァちゃんも気がついたの。
先方さんやーい牛乳で作ったクリームやサラダ油は塗らなくていいのかしら?
美味しく食べたいなら、こだわりを持たなくちゃ!」
「ひいぃ!逢夏挑発しないでー!」
そう逢夏が提案した途端、目の前の扉が開いた。
暗闇の向こうで真っ赤な目が4つ爛々と輝いたかと思うと、獰猛な獣の姿をした二足歩行の真っ黒な悪魔が2頭、スッと姿を現した。
巨大なグリズリーのような出で立ちに身震いする。
手に大きな肉斬り包丁と中華鍋を携えているのを見るに、やはりこちらを調理する気満々だったに違いない。
ネロやダンテがいるから安心と言えど、今は丸腰な上、着ているのは水着のままなのである。
不安しかない。
「なるほどね、俺達を調理するための味付けだったってわけだ」
「ど、どうするのー?」
「どうするったって、相手はやる気だぜ?調理されたくなかったら、こっちが調理してやるしかないだろ」
「ネロ、私も参加しよっか?」
「いや、いい。逢夏はディーヴァと隅にいろ」
「はぁい」
さすがに悪魔退治となれば、たとえ喧嘩中でもディーヴァはダンテを信頼するしかない。
そして逢夏は一時的に悪魔の姿を取っていたとしても、ネロの指示に従うのが最優先である。
女性陣が隅に避難したところで……。
「「さて、半魔のクッキングタイムの始まりだ」」
『グギャァーー!!』
大きな咆哮を上げてこちらに悪魔が向かってきた。
と、その方向がネロ達から逸れる。
「おっと、こいつらを逢夏とディーヴァに近づけさせんなよ、ネロ!」
「任せろ、セイッ!!」
先に弱い獲物を、と思っていたのだろう真っ先に逢夏とディーヴァの方へ向かおうとする悪魔を、右手で千切っては投げ千切っては投げたネロ。
そうだ、ダンテはともかく、ネロには悪魔の右腕という頼りになる相棒がいた。
「おっと!【▼ダンテは肉斬り包丁を手に入れた】
よっしゃ、武器ゲット!」
悪魔を投げた際にその手から滑り落ちた肉斬り包丁……それを上手くダンテがキャッチしてしまえばあとはこっちの物だ。
攻撃を上に飛んでかわすと、そのまま壺にあったワインビネガーを悪魔に被せる。
そしてワインビネガーでべっとりとした体毛に、ネロが塩胡椒を大量に振りかけた。
「まずはそこらにある…ワインビネガーを被ってな!」
「次は塩胡椒少々!でけぇ図体にゃ少々というか全部だな!」
クシャミが出てしまいそうなそれを我慢し、油の入っていた壺を転がして割る。
地面に染みた油は調理場全体に回り、着地した悪魔は油で滑っていた。
そこへダンテ投げ入れるは、松明の火。
「下ごしらえが済んだなら……後は火をつけて焼くだけだ」
油が投入されたからか、火はあっという間に燃え広がり、悪魔を火達磨にした。
「皆さんご一緒に!はいせーの、『上手に焼けました~!』」
「いや、ネロもダンテも、戦闘を楽しみすぎだから……」
「うん、ちょっとひいた……」
「「えー」」
こうして、4ダンテと対決した時とは比べものにならぬ速さで悪魔はあっという間にネロとダンテというシェフに料理されたのであった。
「あ、ついでに言うとだな、この洞窟自体も悪魔だったっぽいぞ」
「「え゛」」
「ああ、言わなくてもわかったんだ。さすがリバイアサンを内側から倒しただけあるね」
知らなかったのはネロとディーヴァだけだったようだ。
「まーな。リバイアサンの攻略方法と似てたから楽だった。
さっき、ここのヌシの心臓っぽいのが天井に垂れ下がってたからどさくさに紛れて肉斬り包丁つき刺しといたんだよ」
「うわ、だから途中で血の雨降ってきたのかよ……!」
「まぁた悪魔を腹ン中から退治するとは思わなかったな!」
ケラケラと功労者が笑っていると、ディーヴァがそっと近づいてきて、ダンテの手をきゅっと握った。
「…………ダンテ」
「ん…?どした、ディーヴァ」
「さっきはごめん、それと……ぁりがと…………」
ダンテは何も言わず優しい表情でディーヴァの頭を撫でた。
せめて一口お水が飲めたらよかったのになぁ。
そう思うディーヴァに来た頭痛は熱中症の初期症状の1つである。
幾分か暑さには慣れたとはいえど、早く突破しなければ本格的に熱中症になりそうだ。
とはいえ、それを言ったところで仕方ないと腹をくくりながら暑い中を進む。
「洞窟なのに扉があるぜ」
「んー?『そばに置いてある香水を体につけて通ってください』だって」
「香水だー?」
「魔除けの香水かな……」
いきなり立ちふさがった仰々しい扉。
傍らには香水瓶が置いてあり、それを体にかけないことには通してもらえないようだった。
仕方なしにお互いにシュッシュとかけると、広がるアロマの香り……ではなく、酸っぱい香りだった。
「なんか酸っぱい匂いする~」
「蟻の体液……とか?」
「げっ、なんでンなもんが香水なんだよ」
逢夏は思った。
これは何かの魔除けでも体液でもなく、ディーヴァちゃんもよく嗅げばすぐわかる匂い。
ピクルスとかドレッシングを手作りする彼女にはわかる匂いなはずだ、と。
次いで開く扉に訝しげな気分になりながら、次のフロアへと歩を進めると、今度もまた扉。
そしてワンセットと言いたげに、塩の瓶。
「今度は塩を撒けってか?」
「確かに東洋じゃ塩は魔除けだな」
「書いてあるのを見ると体に塩をつけてってあるけど……。
ダンテを退く力が身につくならいいけど、ネロと逢夏まであたしに近寄れなくなるのは嫌だな」
「ディーヴァ、まだ機嫌直さねぇ気か?しつけぇぞ」
「……ふんだ」
「とりあえず塩をすり込むか……キズがなくてよかったぜ」
「塩って染みるもんね」
喧嘩中のダンテとディーヴァはこの際放っておくことにして(触らぬ神にたたりなし、夫婦喧嘩は犬も食わない)ネロ達にならい、逢夏も塩を体につけることにした。
どうもこの行為、引っかかるが。
再び扉が開いた先にもまた扉。
いよいよ怪しさ満点だと思いつつ、今度はお粉をはたくよう指示された。
この粉……おしろいが入っているような容器に入ってこそすれ、中身は……。
「ハックション!」
「ふぇぇ……くちん!!」
「くしゅっ!」
「ブェーーックショイッ」
胡椒だった。
そう、料理で使うあのスパイスだ。
「胡椒なんかかけさせて、先方は俺達に何をさせたいんだ?」
「まさかクシャミさせてぇわけじゃねぇよな」
スパイス……で少しディーヴァにもわかってきたようだ。
「あれ?酸っぱい液に塩に胡椒ってどっかで聞いたことある組み合わせ……。
まるで料理……っていうか日本の物語に似たような展開のものなかった??」
「あ、ディーヴァちゃんも気がついたの。
先方さんやーい牛乳で作ったクリームやサラダ油は塗らなくていいのかしら?
美味しく食べたいなら、こだわりを持たなくちゃ!」
「ひいぃ!逢夏挑発しないでー!」
そう逢夏が提案した途端、目の前の扉が開いた。
暗闇の向こうで真っ赤な目が4つ爛々と輝いたかと思うと、獰猛な獣の姿をした二足歩行の真っ黒な悪魔が2頭、スッと姿を現した。
巨大なグリズリーのような出で立ちに身震いする。
手に大きな肉斬り包丁と中華鍋を携えているのを見るに、やはりこちらを調理する気満々だったに違いない。
ネロやダンテがいるから安心と言えど、今は丸腰な上、着ているのは水着のままなのである。
不安しかない。
「なるほどね、俺達を調理するための味付けだったってわけだ」
「ど、どうするのー?」
「どうするったって、相手はやる気だぜ?調理されたくなかったら、こっちが調理してやるしかないだろ」
「ネロ、私も参加しよっか?」
「いや、いい。逢夏はディーヴァと隅にいろ」
「はぁい」
さすがに悪魔退治となれば、たとえ喧嘩中でもディーヴァはダンテを信頼するしかない。
そして逢夏は一時的に悪魔の姿を取っていたとしても、ネロの指示に従うのが最優先である。
女性陣が隅に避難したところで……。
「「さて、半魔のクッキングタイムの始まりだ」」
『グギャァーー!!』
大きな咆哮を上げてこちらに悪魔が向かってきた。
と、その方向がネロ達から逸れる。
「おっと、こいつらを逢夏とディーヴァに近づけさせんなよ、ネロ!」
「任せろ、セイッ!!」
先に弱い獲物を、と思っていたのだろう真っ先に逢夏とディーヴァの方へ向かおうとする悪魔を、右手で千切っては投げ千切っては投げたネロ。
そうだ、ダンテはともかく、ネロには悪魔の右腕という頼りになる相棒がいた。
「おっと!【▼ダンテは肉斬り包丁を手に入れた】
よっしゃ、武器ゲット!」
悪魔を投げた際にその手から滑り落ちた肉斬り包丁……それを上手くダンテがキャッチしてしまえばあとはこっちの物だ。
攻撃を上に飛んでかわすと、そのまま壺にあったワインビネガーを悪魔に被せる。
そしてワインビネガーでべっとりとした体毛に、ネロが塩胡椒を大量に振りかけた。
「まずはそこらにある…ワインビネガーを被ってな!」
「次は塩胡椒少々!でけぇ図体にゃ少々というか全部だな!」
クシャミが出てしまいそうなそれを我慢し、油の入っていた壺を転がして割る。
地面に染みた油は調理場全体に回り、着地した悪魔は油で滑っていた。
そこへダンテ投げ入れるは、松明の火。
「下ごしらえが済んだなら……後は火をつけて焼くだけだ」
油が投入されたからか、火はあっという間に燃え広がり、悪魔を火達磨にした。
「皆さんご一緒に!はいせーの、『上手に焼けました~!』」
「いや、ネロもダンテも、戦闘を楽しみすぎだから……」
「うん、ちょっとひいた……」
「「えー」」
こうして、4ダンテと対決した時とは比べものにならぬ速さで悪魔はあっという間にネロとダンテというシェフに料理されたのであった。
「あ、ついでに言うとだな、この洞窟自体も悪魔だったっぽいぞ」
「「え゛」」
「ああ、言わなくてもわかったんだ。さすがリバイアサンを内側から倒しただけあるね」
知らなかったのはネロとディーヴァだけだったようだ。
「まーな。リバイアサンの攻略方法と似てたから楽だった。
さっき、ここのヌシの心臓っぽいのが天井に垂れ下がってたからどさくさに紛れて肉斬り包丁つき刺しといたんだよ」
「うわ、だから途中で血の雨降ってきたのかよ……!」
「まぁた悪魔を腹ン中から退治するとは思わなかったな!」
ケラケラと功労者が笑っていると、ディーヴァがそっと近づいてきて、ダンテの手をきゅっと握った。
「…………ダンテ」
「ん…?どした、ディーヴァ」
「さっきはごめん、それと……ぁりがと…………」
ダンテは何も言わず優しい表情でディーヴァの頭を撫でた。