御神籤 六枚目
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夕暮れで辺りが赤く染まり始める中、少しだけコブシ一つ分、離れたところを歩くディーヴァが俯きながら首を傾げた。
「逢夏ね…ずっと1人で悩んで…不安だったんだと思うんだ。
相談したいけど、きっとネロを傷つけるから相談もできないし…でも1人で考えても分からないから辛かったんだと思うの。」
ネロと共に帰路につくディーヴァがポツリポツリと呟くように自らの考えを声にしていく。
それをネロは黙って隣を歩きながら耳を傾けていた。
「一緒に居たいのに一緒に居たらだめなんだって。
ネロの本当の幸せの為にって…ネロの為を思って、……変だよね。
それだけであたし、十分だと思うのにな。
そう考えてる事が人を愛してる証拠だって思えるのにな。
でも、………それが分からないから悩んでるんだよね。」
胸の前で指先をもじもじと遊ばせながらディーヴァは悲しそうに視線を落とす。
何処まで話せばいいのか、何処まで話していいのか。
言葉を選びながらのその仕草にネロも目を伏せた。
「だからきっとね?
もしかしたら今日はネロを試してたのかも知れないし…
もしかしたら……ネロじゃなくて、"愛"を試してたのかもしれないって思ってるんだ。」
「俺を試すならまだしも……。
"愛"を試すって…どういう意味だよ。」
「んー、あたしも巧く言葉にできないけど。
でも……"愛"ってどのくらい受け入れてくれるのか…みたいな。
違う種族を受け入れてくれるのなら、同じ種族で同性っていうマイノリティでもそうなのかな?って様子見してる感じかな。
…………う~~~~っ、本当になんかどういったらわかんないけどけどっ…とにかく不安なんだよ!
逢夏…強がってたり、知らないふりしたり、とぼけてばかりだけど…。
ほんとはネロと一緒に居たいけど……いちゃだめなんじゃないかって!」
……だから、ネロがしなきゃいけないこと…分かった?
小さい声でボソボソとディーヴァまで不安そうにつげるとネロは困ったように笑って頷き、そしてディーヴァの背を優しく叩いた。
「ありがとな。
あいつの為にそんなに考えてくれて。」
「ううんっ、たいしたことじゃないよっ。
あたし、このくらいしかできないから…。」
「十分だよ。
…十分すぎる、俺だって気付かなかったことを教えてくれたんだからさ。
さてと……ディーヴァの言う通りなら落ち込んで帰ってくるだろうから、メシでも作っておいてやるといいかもな?」
もちろん、手伝ってくれるだろ?
首を傾げて問いかけるネロにディーヴァは花が咲いたような笑みを向けて大きく頷く。
話している間に目の前には家。
ドアの向こう側から聞こえるシャティの声に2人して「ただいま」と返しながら、家の中にと入っていった。
-----------------------------------
ドアの前で立ち尽くす逢夏の後ろでダンテが大きなため息を一つ。
そしてしびれを切らして大きな手のひらで背を強く押した。
「大丈夫だって言ってんだろ。
行くぞ。」
「分かってる………って、おわっ!?
ネ、ネロ!?」
「おかえり。」
「おかえりなさいっ!」
意を決した逢夏がドアノブを握り、押した丁度その時。
同時に向こう側からも引っ張られバランスを崩す。
つんのめる逢夏を抱きとめたのはドアノブを引っ張った張本人だろうネロ。
そしてネロの後ろではディーヴァが嬉しそうに声を上げた。
「え、…や、その…っ。
離せって!」
「なんでだ?」
「だって、今、おれ…男だしっ!」
「へぇ…たかが男になっただけ、なんて言ってたのはどこのどいつだ?」
「うふふっ、逢夏だよね~?
ね~、ダンテ?」
「まー、そうだな。」
抱きしめたままズリズリと家の中に逢夏を引きずり込むネロと言わずとも役目を悟ったダンテがディーヴァと共に自然にドアを閉めて逃げ道を断った。
おどおどと急に挙動不審な逢夏は戸惑いながらネロの顔を伺おうとするが抱きしめられていてそれも出来ず。
真っ赤な顔をディーヴァとダンテに晒したまま、恥ずかしそうに伏せた。
「……怒ってない、の?」
「怒ってる。」
「男になったから?」
「違う。」
「じゃあ…なんで。」
「俺がディーヴァを巻き込んだときにはお前は怒っておいて、お前がディーヴァにダンテも巻き込んで俺が怒らないのはおかしいだろ?
そりゃ男には興味ないけど…逢夏は逢夏だから。
別にその点で怒るつもりは無い、驚きはしたけどさ。」
「……うん。」
あやすように逢夏の黒髪を撫でるネロ。
今日何度となく見せていた厳しい表情が嘘のように穏やかな彼は次に優しくしかしはっきりとした声で言い放った。
「愛してるよ。
男だろうが、女だろうが。
人間だろうが、悪魔だろうが。
逢夏のこと、世界で一番に愛してる。」
「愛して…?~~っ!
私も…私も、ネロのことっ…!」
「ん。
…おかえり。」
愛していると告げた次の瞬間、上がった逢夏の声が普段の高めの声に変わっていた。
軽く瞑っていた目をネロが開けて腕の中を見るとそこには昨夜、悪魔と扉の中に消えていった時のいつもの姿の逢夏がいた。
わんわんと声を上げて泣き始める逢夏とその背を撫でるネロ。
そんな2人を蚊帳の外で見つめるディーヴァとダンテも…なんだかちょっとだけ…
「えへへ…逢夏、言ってもらえてよかったね。」
「女に戻るよりも愛してるって言われた事のが大切なのか?」
「当たり前でしょ!
やっぱり、…言ってもらったら…嬉しい、よ?」
「……だな。
ディーヴァ。」
「なぁに?」
「愛してる。」
「え……えと、ありがと。
あたしもっ。」
空気のお裾分けというか。
ちょっとだけいい雰囲気になっていたり…?
「逢夏ね…ずっと1人で悩んで…不安だったんだと思うんだ。
相談したいけど、きっとネロを傷つけるから相談もできないし…でも1人で考えても分からないから辛かったんだと思うの。」
ネロと共に帰路につくディーヴァがポツリポツリと呟くように自らの考えを声にしていく。
それをネロは黙って隣を歩きながら耳を傾けていた。
「一緒に居たいのに一緒に居たらだめなんだって。
ネロの本当の幸せの為にって…ネロの為を思って、……変だよね。
それだけであたし、十分だと思うのにな。
そう考えてる事が人を愛してる証拠だって思えるのにな。
でも、………それが分からないから悩んでるんだよね。」
胸の前で指先をもじもじと遊ばせながらディーヴァは悲しそうに視線を落とす。
何処まで話せばいいのか、何処まで話していいのか。
言葉を選びながらのその仕草にネロも目を伏せた。
「だからきっとね?
もしかしたら今日はネロを試してたのかも知れないし…
もしかしたら……ネロじゃなくて、"愛"を試してたのかもしれないって思ってるんだ。」
「俺を試すならまだしも……。
"愛"を試すって…どういう意味だよ。」
「んー、あたしも巧く言葉にできないけど。
でも……"愛"ってどのくらい受け入れてくれるのか…みたいな。
違う種族を受け入れてくれるのなら、同じ種族で同性っていうマイノリティでもそうなのかな?って様子見してる感じかな。
…………う~~~~っ、本当になんかどういったらわかんないけどけどっ…とにかく不安なんだよ!
逢夏…強がってたり、知らないふりしたり、とぼけてばかりだけど…。
ほんとはネロと一緒に居たいけど……いちゃだめなんじゃないかって!」
……だから、ネロがしなきゃいけないこと…分かった?
小さい声でボソボソとディーヴァまで不安そうにつげるとネロは困ったように笑って頷き、そしてディーヴァの背を優しく叩いた。
「ありがとな。
あいつの為にそんなに考えてくれて。」
「ううんっ、たいしたことじゃないよっ。
あたし、このくらいしかできないから…。」
「十分だよ。
…十分すぎる、俺だって気付かなかったことを教えてくれたんだからさ。
さてと……ディーヴァの言う通りなら落ち込んで帰ってくるだろうから、メシでも作っておいてやるといいかもな?」
もちろん、手伝ってくれるだろ?
首を傾げて問いかけるネロにディーヴァは花が咲いたような笑みを向けて大きく頷く。
話している間に目の前には家。
ドアの向こう側から聞こえるシャティの声に2人して「ただいま」と返しながら、家の中にと入っていった。
-----------------------------------
ドアの前で立ち尽くす逢夏の後ろでダンテが大きなため息を一つ。
そしてしびれを切らして大きな手のひらで背を強く押した。
「大丈夫だって言ってんだろ。
行くぞ。」
「分かってる………って、おわっ!?
ネ、ネロ!?」
「おかえり。」
「おかえりなさいっ!」
意を決した逢夏がドアノブを握り、押した丁度その時。
同時に向こう側からも引っ張られバランスを崩す。
つんのめる逢夏を抱きとめたのはドアノブを引っ張った張本人だろうネロ。
そしてネロの後ろではディーヴァが嬉しそうに声を上げた。
「え、…や、その…っ。
離せって!」
「なんでだ?」
「だって、今、おれ…男だしっ!」
「へぇ…たかが男になっただけ、なんて言ってたのはどこのどいつだ?」
「うふふっ、逢夏だよね~?
ね~、ダンテ?」
「まー、そうだな。」
抱きしめたままズリズリと家の中に逢夏を引きずり込むネロと言わずとも役目を悟ったダンテがディーヴァと共に自然にドアを閉めて逃げ道を断った。
おどおどと急に挙動不審な逢夏は戸惑いながらネロの顔を伺おうとするが抱きしめられていてそれも出来ず。
真っ赤な顔をディーヴァとダンテに晒したまま、恥ずかしそうに伏せた。
「……怒ってない、の?」
「怒ってる。」
「男になったから?」
「違う。」
「じゃあ…なんで。」
「俺がディーヴァを巻き込んだときにはお前は怒っておいて、お前がディーヴァにダンテも巻き込んで俺が怒らないのはおかしいだろ?
そりゃ男には興味ないけど…逢夏は逢夏だから。
別にその点で怒るつもりは無い、驚きはしたけどさ。」
「……うん。」
あやすように逢夏の黒髪を撫でるネロ。
今日何度となく見せていた厳しい表情が嘘のように穏やかな彼は次に優しくしかしはっきりとした声で言い放った。
「愛してるよ。
男だろうが、女だろうが。
人間だろうが、悪魔だろうが。
逢夏のこと、世界で一番に愛してる。」
「愛して…?~~っ!
私も…私も、ネロのことっ…!」
「ん。
…おかえり。」
愛していると告げた次の瞬間、上がった逢夏の声が普段の高めの声に変わっていた。
軽く瞑っていた目をネロが開けて腕の中を見るとそこには昨夜、悪魔と扉の中に消えていった時のいつもの姿の逢夏がいた。
わんわんと声を上げて泣き始める逢夏とその背を撫でるネロ。
そんな2人を蚊帳の外で見つめるディーヴァとダンテも…なんだかちょっとだけ…
「えへへ…逢夏、言ってもらえてよかったね。」
「女に戻るよりも愛してるって言われた事のが大切なのか?」
「当たり前でしょ!
やっぱり、…言ってもらったら…嬉しい、よ?」
「……だな。
ディーヴァ。」
「なぁに?」
「愛してる。」
「え……えと、ありがと。
あたしもっ。」
空気のお裾分けというか。
ちょっとだけいい雰囲気になっていたり…?