御神籤 六枚目
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なんとなく居場所を察したネロとそれについてきたディーヴァ。
逢夏とダンテの時のように店員に連れられ、しかし今度は応接室へと通された。
ふわふわの絨毯の上にはデザイン性の高いソファとテーブル。
その上にはソファとテーブルとは打って変わって、何の変哲もない白磁のカップ。
カップを満たす紅茶をソファに深く凭れながら飲んでいた逢夏はドアから姿を見せたネロとディーヴァに笑顔を見せた。
「遅かったな。
あれ、まさか…おれ達には内緒で2人…?」
「なぁ゛!?
おい、ネロ!てめぇまでディーヴァに手ぇ出す気か!?」
「なわけないだろ、馬鹿。」
「そうだよっ!
あたしにはダンテだけだもん!」
ぷりぷり怒りながら否定するディーヴァともう悪ふざけはやめてくれと言わんばかりにうんざり声のネロが否定する。
その様子を楽しそうに見ていた逢夏は大きな白い紙袋を手に取るとソファから立ち上がった。
「さてと、帰るかな。
もう行きたいところには行ったし。」
「帰るってあのな…これだけ好き放題して詫びの一つもないのはさすがにどうなんだ。」
「詫び?なんだ、…ネロは変な事言うんだな。
おれは女の時と何にも変わらないぜ?
やりたい時にやれることを出来るだけやる。
ずっとそうだったろ?
なのに今更詫びなんておかしくないか。
なぁ、ディーヴァ。ついでにダンテも。」
「……そう、だねぇ…。」
「ついでになら聞くな。
まぁ、言われてみればそうだけどな。」
すっかりキレる寸前のネロに追い打ちをかけるように問う逢夏。
しかしその言葉は非常に正論でネロに味方をしたい2人も思わず頷いてしまう。
こうしてネロ以外満場一致、形勢は逢夏に傾いた…のだが。
曇ったままのネロの表情に逢夏の方が笑顔を消して悲しげに目を伏せた。
「…何が気に入らないんだよ。
やってることは一緒なのに。
…おれはっ…私は、私のままなのにっ、何がダメなんだよっ!!!」
急に涙を湛えた眼差しでネロを射抜くように見つめた逢夏は部屋から駆けて出て行く。
突然表情を変えた逢夏に面食らったネロはそのままドアに遮られかける背を見る事しかできなかった。
が、ネロでさえそんな状況の中、咄嗟に行動を起こしたのは意外なあの人。
閉まりかけたドアを開けると同じく部屋から飛び出したダンテがディーヴァに大きな声を向ける。
「ディーヴァ!
家までその分からず屋を引っ張って帰れ!
アイツはオレが連れて帰る!」
「わ、わかった!!」
固まっていたディーヴァはダンテの指示に応える。
今度こそ閉まりかかるドアの隙間からディーヴァがネロの腕を引っ張るのを確認したダンテは窓の外で人混みの中を駆けていく逢夏を追いかけた。
------------------------------
追いかけてから数分して人混みが途切れた頃。
背後にあるダンテの存在に気付いているのか、フラフラと歩き始めた逢夏の肩をダンテが掴んだ。
「お前な…男になったからって悪魔を呼び寄せる体質は変わらねぇんだから無闇やったらに動くんじゃねぇよ。
これ以上てめぇの旦那心配させてどうしようってんだ。」
「………どうも、しない。
そもそも…心配させたかったわけじゃない、のに。」
観念したのか大人しい逢夏にダンテも息をつく。
辺りを見渡し、ちょうどいいベンチを見つけるとダンテは逢夏の手を引き、無理やり座らせた。
「オレが言うのもなんだが、ネロを試すにしてはさすがに今回はやり過ぎだぜ。
まぁ、…お前でもやっぱ迷うのかと思うと安心したけどな。」
「なに分かったような口きいてんだよ…。」
「分かってるさ。
オレだって伊達にデビルハンターやってねぇよ。
悪魔なんて腐る程見た、それこそいろんな悪魔をな。
んで、久しぶりに会って、お前が悪魔だって知った時になんとなく察しちゃいたが黙ってただけだ。」
隣にどかりと腰を預けるとダンテは空を仰いで遠くを見つめる。
記憶を掘り返すような眼差しをしながら、ふと俯いたままの逢夏の頭に手を置き、わしわしと掻き混ぜ始める。
「お前が迷ってる事、分からない事もないぜ。
お前にとったら同性なんて大した事じゃない、根本的に違う種族が一緒にいることの方が問題なんだってな。」
あっさり根幹を言い当てられた逢夏はただ黙る。
それをいい事にダンテは再び空を仰いで、話を続けた。
「いいじゃねーか。
悪魔と人間とか、オレとディーヴァみてぇに悪魔と天使とか。
その間に壁なんてねぇよ。
愛が理解できないなんて壁にすらならねぇ。
そもそもわからねぇならグダグダ考えんな。
大切なのはお互いを支えあえるか、どこまでも一緒に居てぇって思ってるかどうかだろ。
違う種族同士でも、同じ種族同士でもな。」
「……それがアンタの答えか?」
ポツリと聞く逢夏にダンテは面倒そうに大げさに首を縦に振る。
「そーだぜ?
なんだよ、文句あるか。」
「いや、それでいいんじゃないか?
答えはきっと…一つじゃないだろうから。」
「……てめぇも大概頑固で分からず屋だな。」
「悪かったな。
…でも、だからこそ…おれはもうすこしなやんでみるよ。
ネロと一緒に、ね。
なーんて、今回の事でさすがに愛想つかされたりして。」
「安心しろ、ネロは愛想つかしてキレてるわけじゃねぇから。」
「ほんとかよ。」
「帰りゃ分かる。
行くぞ。
あーあ、ガラにもねぇことしたせいか今日は疲れたぜ。」
小さく反動をつけてベンチから立ち上がったダンテは先を歩き始める。
ほんの数秒だけ遅れて逢夏がその後を追い始めると、するりとダンテを追い抜き、背を向けていた首を傾げながら振り返った。
「ガラにもねぇのはおれの方。
アイツの息子に諭されるなんて一生の汚点だ。
………まぁ、でも今回はその…………ありがとな。」
「…ったく、もっと素直になれねぇのかよ。」
「うるさいな。
これでも素直になったほうだっての。」
「へーへー…そうかい。」
「そうなんだ…って、……あ。」
「んだよ。」
しばし言い合う2人。
しかし急に逢夏が声を上げて、ダンテを指差した。
「大切なもん、すっかり忘れてた。」
「大切なもん?」
「ほら、飛び出してきたからさ。」
「飛び出して…って。
……あ。
あ゛!?」
「…………ぷっ。
あははははっ、まずは取りにいくか!」
「ったりめーだろ!
さっさと行くぞ!」
「はいはい!」
キョトンとした顔を見合せ数秒。
ようやく"大切な物"に気がついたダンテは逢夏を追い越し返して急かし始める。
それに笑い声を上げて逢夏が追いかけ始めた。
逢夏とダンテの時のように店員に連れられ、しかし今度は応接室へと通された。
ふわふわの絨毯の上にはデザイン性の高いソファとテーブル。
その上にはソファとテーブルとは打って変わって、何の変哲もない白磁のカップ。
カップを満たす紅茶をソファに深く凭れながら飲んでいた逢夏はドアから姿を見せたネロとディーヴァに笑顔を見せた。
「遅かったな。
あれ、まさか…おれ達には内緒で2人…?」
「なぁ゛!?
おい、ネロ!てめぇまでディーヴァに手ぇ出す気か!?」
「なわけないだろ、馬鹿。」
「そうだよっ!
あたしにはダンテだけだもん!」
ぷりぷり怒りながら否定するディーヴァともう悪ふざけはやめてくれと言わんばかりにうんざり声のネロが否定する。
その様子を楽しそうに見ていた逢夏は大きな白い紙袋を手に取るとソファから立ち上がった。
「さてと、帰るかな。
もう行きたいところには行ったし。」
「帰るってあのな…これだけ好き放題して詫びの一つもないのはさすがにどうなんだ。」
「詫び?なんだ、…ネロは変な事言うんだな。
おれは女の時と何にも変わらないぜ?
やりたい時にやれることを出来るだけやる。
ずっとそうだったろ?
なのに今更詫びなんておかしくないか。
なぁ、ディーヴァ。ついでにダンテも。」
「……そう、だねぇ…。」
「ついでになら聞くな。
まぁ、言われてみればそうだけどな。」
すっかりキレる寸前のネロに追い打ちをかけるように問う逢夏。
しかしその言葉は非常に正論でネロに味方をしたい2人も思わず頷いてしまう。
こうしてネロ以外満場一致、形勢は逢夏に傾いた…のだが。
曇ったままのネロの表情に逢夏の方が笑顔を消して悲しげに目を伏せた。
「…何が気に入らないんだよ。
やってることは一緒なのに。
…おれはっ…私は、私のままなのにっ、何がダメなんだよっ!!!」
急に涙を湛えた眼差しでネロを射抜くように見つめた逢夏は部屋から駆けて出て行く。
突然表情を変えた逢夏に面食らったネロはそのままドアに遮られかける背を見る事しかできなかった。
が、ネロでさえそんな状況の中、咄嗟に行動を起こしたのは意外なあの人。
閉まりかけたドアを開けると同じく部屋から飛び出したダンテがディーヴァに大きな声を向ける。
「ディーヴァ!
家までその分からず屋を引っ張って帰れ!
アイツはオレが連れて帰る!」
「わ、わかった!!」
固まっていたディーヴァはダンテの指示に応える。
今度こそ閉まりかかるドアの隙間からディーヴァがネロの腕を引っ張るのを確認したダンテは窓の外で人混みの中を駆けていく逢夏を追いかけた。
------------------------------
追いかけてから数分して人混みが途切れた頃。
背後にあるダンテの存在に気付いているのか、フラフラと歩き始めた逢夏の肩をダンテが掴んだ。
「お前な…男になったからって悪魔を呼び寄せる体質は変わらねぇんだから無闇やったらに動くんじゃねぇよ。
これ以上てめぇの旦那心配させてどうしようってんだ。」
「………どうも、しない。
そもそも…心配させたかったわけじゃない、のに。」
観念したのか大人しい逢夏にダンテも息をつく。
辺りを見渡し、ちょうどいいベンチを見つけるとダンテは逢夏の手を引き、無理やり座らせた。
「オレが言うのもなんだが、ネロを試すにしてはさすがに今回はやり過ぎだぜ。
まぁ、…お前でもやっぱ迷うのかと思うと安心したけどな。」
「なに分かったような口きいてんだよ…。」
「分かってるさ。
オレだって伊達にデビルハンターやってねぇよ。
悪魔なんて腐る程見た、それこそいろんな悪魔をな。
んで、久しぶりに会って、お前が悪魔だって知った時になんとなく察しちゃいたが黙ってただけだ。」
隣にどかりと腰を預けるとダンテは空を仰いで遠くを見つめる。
記憶を掘り返すような眼差しをしながら、ふと俯いたままの逢夏の頭に手を置き、わしわしと掻き混ぜ始める。
「お前が迷ってる事、分からない事もないぜ。
お前にとったら同性なんて大した事じゃない、根本的に違う種族が一緒にいることの方が問題なんだってな。」
あっさり根幹を言い当てられた逢夏はただ黙る。
それをいい事にダンテは再び空を仰いで、話を続けた。
「いいじゃねーか。
悪魔と人間とか、オレとディーヴァみてぇに悪魔と天使とか。
その間に壁なんてねぇよ。
愛が理解できないなんて壁にすらならねぇ。
そもそもわからねぇならグダグダ考えんな。
大切なのはお互いを支えあえるか、どこまでも一緒に居てぇって思ってるかどうかだろ。
違う種族同士でも、同じ種族同士でもな。」
「……それがアンタの答えか?」
ポツリと聞く逢夏にダンテは面倒そうに大げさに首を縦に振る。
「そーだぜ?
なんだよ、文句あるか。」
「いや、それでいいんじゃないか?
答えはきっと…一つじゃないだろうから。」
「……てめぇも大概頑固で分からず屋だな。」
「悪かったな。
…でも、だからこそ…おれはもうすこしなやんでみるよ。
ネロと一緒に、ね。
なーんて、今回の事でさすがに愛想つかされたりして。」
「安心しろ、ネロは愛想つかしてキレてるわけじゃねぇから。」
「ほんとかよ。」
「帰りゃ分かる。
行くぞ。
あーあ、ガラにもねぇことしたせいか今日は疲れたぜ。」
小さく反動をつけてベンチから立ち上がったダンテは先を歩き始める。
ほんの数秒だけ遅れて逢夏がその後を追い始めると、するりとダンテを追い抜き、背を向けていた首を傾げながら振り返った。
「ガラにもねぇのはおれの方。
アイツの息子に諭されるなんて一生の汚点だ。
………まぁ、でも今回はその…………ありがとな。」
「…ったく、もっと素直になれねぇのかよ。」
「うるさいな。
これでも素直になったほうだっての。」
「へーへー…そうかい。」
「そうなんだ…って、……あ。」
「んだよ。」
しばし言い合う2人。
しかし急に逢夏が声を上げて、ダンテを指差した。
「大切なもん、すっかり忘れてた。」
「大切なもん?」
「ほら、飛び出してきたからさ。」
「飛び出して…って。
……あ。
あ゛!?」
「…………ぷっ。
あははははっ、まずは取りにいくか!」
「ったりめーだろ!
さっさと行くぞ!」
「はいはい!」
キョトンとした顔を見合せ数秒。
ようやく"大切な物"に気がついたダンテは逢夏を追い越し返して急かし始める。
それに笑い声を上げて逢夏が追いかけ始めた。