御神籤 六枚目
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思い出の本はあれから2冊ほどみつけることが出来た。
この本の森の中でよくもこの2冊を見つけたものだと自分の幸運に驚きながら、ディーヴァはとうとう逢夏の言葉通りに赤い木目のドアのノブを握る。
さぁ、この本屋だけでも十分素敵な場所だというのに更に不思議な場所…とは?
期待とちょっぴりの不安に心を揺り動かされながらディーヴァは意を決してノブを回し押す。
一瞬で拓けた視界には本屋とは一変して明るく白い、解放感に溢れた場所が広がっていた。
「すごい…。」
緩いカーブを描く赤い絨毯が敷かれた白い階段を降りるとすぐ側を派手さこそはないが静かに水音を奏でる噴水。
ガラス張りの室内には陽光が優しく差し込み、至るところに置かれた植え込みが気持ち良さそうにその葉を広げていた。
きょろきょろと辺りを見渡すと部屋のあちこちに点在するまあるいテーブルで他に読書に勤しむ人々を避け、一番奥の席に逢夏がいた。
長い足を組み気だるそうに読むわけでもなくごくごく普通に座る姿になんとなく自らがよく知る逢夏を見た気がして
ほっと一心地しながらディーヴァは本を抱えてその席へと歩く。
その途中、ディーヴァに気がついた逢夏が顔を上げ小さく微笑みながら手を振った。
「どうだった?」
「うんっ、また懐かしい本見つけたの。」
「そうか。
…へぇ、ディーヴァの家族はセンスがいいな。
どの本もいい本だ。」
ディーヴァの手にある本に視線を移し、微笑んだ逢夏はゆっくりと立ち上がり自身が座っていた席の目の前の椅子を音も立てずに引く。
座るように視線で促し、おずおずとだがディーヴァが座ったのを確認すると軽く手を上げウェイターを呼ぶ。
「ティーセット頼めるかな?
あと、紅茶ももう一杯。」
「かしこまりました。」
ウェイターの丁寧な対応に会釈して答えた逢夏は再び同じ席、ディーヴァの真正面へと座った。
「どう?ここもいいところだろ?」
「うんっ。
えっと…ここは?」
「前の古本屋とここのカフェ、提携してるんだ。
気になった本を好きなだけ読めるって訳。
さっきの薄暗いところから一変して開放的でさ、外で読んでるみたいだろ?
結構通ってるんだ。」
既に読んだらしい積まれた本を軽く指先で叩き、逢夏は店の説明をしながらディーヴァが持ってきた本にと手を伸ばした。
「本当にいい本ばかり。
ディーヴァはとても愛されてたって事がよく分かる。」
「そ、そかな?」
「そうだよ。
…あぁ、でも…悪魔に"愛されてた"なんて言われても信憑性ないか。」
困った様に首を傾げた逢夏。
そういう逢夏の前に積み上げられているのはディーヴァが知る限り、ほとんどが叙情的で繊細な恋愛小説ばかり。
急に表情を曇らせた事や言葉の裏に隠れていそうな何かにディーヴァも表情を暗くしながら窺う様に口を開いた。
「…なにか、あったの?」
「ん?なにも?」
「嘘。
なにか困ってる顔してる。」
「…………参ったな。
いや、本当に困ってはないんだけどさ…。」
視線を逸らしながら頬を指先で掻き、一頻り苦く笑った逢夏はディーヴァの真剣な眼差しに読み終わった本を見つめて首を傾げた。
「ディーヴァはダンテに愛されてるなぁって思う事あるか?」
「ふぇ…?
…、たくさんあるよ!
時々、困っちゃうけど。」
「そっか。
でも…いいね、とても素敵な事だと思うよ。」
「逢夏?」
「ダンテはディーヴァに対しては実直だもんなぁ…。
とても堅実とは言えない人格してるけど、素直で真っ直ぐで…おれはアイツのこと嫌いだけど、良いヤツだと思うよ。」
「…う、うん?」
「まぁ困っちゃうってのはその真っ直ぐさが欲求も伴ってるってところかな。
あんなのと一々真っ向から向き合ってたらディーヴァの身が持たないもんなぁ。」
「そ、…だね。
あの、そうじゃなくて!」
「ん?」
話が徐々に逸らされている事に気付いたディーヴァが声を少しだけ大きくして話を止める。
目を丸くして開きかけた口を瞑る逢夏に言いにくそうにディーヴァの方から言葉を選びながら話始めた。
「あたしとダンテが帰った後…ネロと何かあった?」
「なにもなによ。」
「でも、…なにかおかしいよ。」
「………ネロはおかしくないよ。
ネロとは何もない。
おかしくなったのはおれの方。」
「逢夏が?」
「そう。
自分の正体に気付いた瞬間にさ、おかしくなったんだ。」
頬杖を付き、相変わらずディーヴァから目を逸らしていた逢夏は運ばれた注文の品を受け取ると白磁の華奢なカップに紅茶を注いで息を吐いた。
「別にディーヴァとダンテの関係を否定する訳じゃないけどさ……おれは人間は人間と一緒にいるべきだと思うんだ。
所詮悪魔、"愛"も理解できないような存在といるべきじゃないって。
要するにネロと自分のあり方に疑問を持つようになった…ってわけ。」
「疑問…って、逢夏はネロの事好きじゃないの?
昨日だってすごく仲良かった、ケンカしてもすぐに仲直りしてた。
なのに…なんで?」
「なんで…って言われてもな。
まず、ネロのことは好きだよ。
でも自分が本当にネロの事を愛しているのか、ネロに愛されているのかよく分からない。
悪魔だからと言ってしまえば簡単だけど…こんなの致命的だし、何よりネロが可哀想だと思わないか?
離れたいかと聞かれればNO、でも…離れなければいけないんじゃないかと問われればYESだと思ってる奴と一緒にいるなんてさ。
中途半端なおれの我がままに付き合い続けられるほど人間の命は長くない。
なら、もっと幸せになれる道を選ばせてあげるべきなのかも…とか思わなくもないんだよ。
………あ、紅茶が冷めるよ。
この話はお終い、今はおれとのデートに集中してよ。」
「でもっ!」
「お終い。
いい子だから。」
言い募ろうとするディーヴァの額を優しく指の先で撫でて制止した。
そして運ばれてきたティーポットとカップ、ケーキスタンドの方を示し、ディーヴァの目の前でカップに紅茶を注いでいく。
「今日の紅茶はアールグレイ、ケーキやクッキーはディーヴァの大好きなチーズで揃えたよ。
チーズと紅茶ならストレートだったらアッサムやニルギリだろうけど、おれは断然フレーバー派、アールグレイを勧めるかな。
とりあえず食べてみて、美味しいよ。」
「………うん。」
「…そんな顔しないで。
さっきの話以外なら何でもしてあげるからさ。」
笑ってる方が可愛いよ。
呟きながらそっと顔を伏せるディーヴァの頬に手のひらを当てた逢夏。
しかし遠くで見ていたダンテとネロも思わず目を逸らしてしまうほど、ディーヴァは悲しげに瞳を揺らしていた。
この本の森の中でよくもこの2冊を見つけたものだと自分の幸運に驚きながら、ディーヴァはとうとう逢夏の言葉通りに赤い木目のドアのノブを握る。
さぁ、この本屋だけでも十分素敵な場所だというのに更に不思議な場所…とは?
期待とちょっぴりの不安に心を揺り動かされながらディーヴァは意を決してノブを回し押す。
一瞬で拓けた視界には本屋とは一変して明るく白い、解放感に溢れた場所が広がっていた。
「すごい…。」
緩いカーブを描く赤い絨毯が敷かれた白い階段を降りるとすぐ側を派手さこそはないが静かに水音を奏でる噴水。
ガラス張りの室内には陽光が優しく差し込み、至るところに置かれた植え込みが気持ち良さそうにその葉を広げていた。
きょろきょろと辺りを見渡すと部屋のあちこちに点在するまあるいテーブルで他に読書に勤しむ人々を避け、一番奥の席に逢夏がいた。
長い足を組み気だるそうに読むわけでもなくごくごく普通に座る姿になんとなく自らがよく知る逢夏を見た気がして
ほっと一心地しながらディーヴァは本を抱えてその席へと歩く。
その途中、ディーヴァに気がついた逢夏が顔を上げ小さく微笑みながら手を振った。
「どうだった?」
「うんっ、また懐かしい本見つけたの。」
「そうか。
…へぇ、ディーヴァの家族はセンスがいいな。
どの本もいい本だ。」
ディーヴァの手にある本に視線を移し、微笑んだ逢夏はゆっくりと立ち上がり自身が座っていた席の目の前の椅子を音も立てずに引く。
座るように視線で促し、おずおずとだがディーヴァが座ったのを確認すると軽く手を上げウェイターを呼ぶ。
「ティーセット頼めるかな?
あと、紅茶ももう一杯。」
「かしこまりました。」
ウェイターの丁寧な対応に会釈して答えた逢夏は再び同じ席、ディーヴァの真正面へと座った。
「どう?ここもいいところだろ?」
「うんっ。
えっと…ここは?」
「前の古本屋とここのカフェ、提携してるんだ。
気になった本を好きなだけ読めるって訳。
さっきの薄暗いところから一変して開放的でさ、外で読んでるみたいだろ?
結構通ってるんだ。」
既に読んだらしい積まれた本を軽く指先で叩き、逢夏は店の説明をしながらディーヴァが持ってきた本にと手を伸ばした。
「本当にいい本ばかり。
ディーヴァはとても愛されてたって事がよく分かる。」
「そ、そかな?」
「そうだよ。
…あぁ、でも…悪魔に"愛されてた"なんて言われても信憑性ないか。」
困った様に首を傾げた逢夏。
そういう逢夏の前に積み上げられているのはディーヴァが知る限り、ほとんどが叙情的で繊細な恋愛小説ばかり。
急に表情を曇らせた事や言葉の裏に隠れていそうな何かにディーヴァも表情を暗くしながら窺う様に口を開いた。
「…なにか、あったの?」
「ん?なにも?」
「嘘。
なにか困ってる顔してる。」
「…………参ったな。
いや、本当に困ってはないんだけどさ…。」
視線を逸らしながら頬を指先で掻き、一頻り苦く笑った逢夏はディーヴァの真剣な眼差しに読み終わった本を見つめて首を傾げた。
「ディーヴァはダンテに愛されてるなぁって思う事あるか?」
「ふぇ…?
…、たくさんあるよ!
時々、困っちゃうけど。」
「そっか。
でも…いいね、とても素敵な事だと思うよ。」
「逢夏?」
「ダンテはディーヴァに対しては実直だもんなぁ…。
とても堅実とは言えない人格してるけど、素直で真っ直ぐで…おれはアイツのこと嫌いだけど、良いヤツだと思うよ。」
「…う、うん?」
「まぁ困っちゃうってのはその真っ直ぐさが欲求も伴ってるってところかな。
あんなのと一々真っ向から向き合ってたらディーヴァの身が持たないもんなぁ。」
「そ、…だね。
あの、そうじゃなくて!」
「ん?」
話が徐々に逸らされている事に気付いたディーヴァが声を少しだけ大きくして話を止める。
目を丸くして開きかけた口を瞑る逢夏に言いにくそうにディーヴァの方から言葉を選びながら話始めた。
「あたしとダンテが帰った後…ネロと何かあった?」
「なにもなによ。」
「でも、…なにかおかしいよ。」
「………ネロはおかしくないよ。
ネロとは何もない。
おかしくなったのはおれの方。」
「逢夏が?」
「そう。
自分の正体に気付いた瞬間にさ、おかしくなったんだ。」
頬杖を付き、相変わらずディーヴァから目を逸らしていた逢夏は運ばれた注文の品を受け取ると白磁の華奢なカップに紅茶を注いで息を吐いた。
「別にディーヴァとダンテの関係を否定する訳じゃないけどさ……おれは人間は人間と一緒にいるべきだと思うんだ。
所詮悪魔、"愛"も理解できないような存在といるべきじゃないって。
要するにネロと自分のあり方に疑問を持つようになった…ってわけ。」
「疑問…って、逢夏はネロの事好きじゃないの?
昨日だってすごく仲良かった、ケンカしてもすぐに仲直りしてた。
なのに…なんで?」
「なんで…って言われてもな。
まず、ネロのことは好きだよ。
でも自分が本当にネロの事を愛しているのか、ネロに愛されているのかよく分からない。
悪魔だからと言ってしまえば簡単だけど…こんなの致命的だし、何よりネロが可哀想だと思わないか?
離れたいかと聞かれればNO、でも…離れなければいけないんじゃないかと問われればYESだと思ってる奴と一緒にいるなんてさ。
中途半端なおれの我がままに付き合い続けられるほど人間の命は長くない。
なら、もっと幸せになれる道を選ばせてあげるべきなのかも…とか思わなくもないんだよ。
………あ、紅茶が冷めるよ。
この話はお終い、今はおれとのデートに集中してよ。」
「でもっ!」
「お終い。
いい子だから。」
言い募ろうとするディーヴァの額を優しく指の先で撫でて制止した。
そして運ばれてきたティーポットとカップ、ケーキスタンドの方を示し、ディーヴァの目の前でカップに紅茶を注いでいく。
「今日の紅茶はアールグレイ、ケーキやクッキーはディーヴァの大好きなチーズで揃えたよ。
チーズと紅茶ならストレートだったらアッサムやニルギリだろうけど、おれは断然フレーバー派、アールグレイを勧めるかな。
とりあえず食べてみて、美味しいよ。」
「………うん。」
「…そんな顔しないで。
さっきの話以外なら何でもしてあげるからさ。」
笑ってる方が可愛いよ。
呟きながらそっと顔を伏せるディーヴァの頬に手のひらを当てた逢夏。
しかし遠くで見ていたダンテとネロも思わず目を逸らしてしまうほど、ディーヴァは悲しげに瞳を揺らしていた。