御神籤 六枚目
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上機嫌の逢夏の横を歩くディーヴァは少し居辛そうに身を小さくしていた。
その姿の理由は偏にダンテへの罪悪感。
しかしもちろん、中身は女(?)の逢夏とデートなのだからやましい事はきっとない。………たぶん。
あ、でも中身が女の前に悪魔だった。
信じて大丈夫なのかな。
と、段々頭の中で不安が膨らんでいく…そんなところに。
「ディーヴァ?」
「ひゃっ!!
な、なに?」
「そんな顔するなよ、とって食ったりしないから安心しな。」
「え…な、なんでそんな急に!
そんな事心配なんかっ…」
「してただろ?」
「…………はい。」
嘘を見抜かれ、シュンと肩を落とすディーヴァのエメラルドの髪を逢夏が安心させるように優しく撫でる。
その手は髪から肩へ、そして手へ。
ぎゅっと手を握り直すと今から行こうとする場所を指差した、…さてそこは。
「はい、そんなわけで到着。」
「ふえ?
…古本屋さん?」
「そう。
ディーヴァに良い本を選ぼうと思ってさ。
新品の本なんかよりも古本のがいいよ、愛着が湧くからな。」
昼前の人が疎らな大通りを少し離れた場所にある古本屋。
寂れている訳ではないが、繁盛している訳でもなさそうなその店の前で少し立ち話の後。
逢夏がディーヴァの背を叩いたのを合図に2人はそのまま入店していく。
…のを遠くで見守る影が2つ。
「お前が来なさそうなデートスポット上位にランクインだな。」
「うっせ。
あ゛!!?
あいつ、なんでディーヴァにあんなくっつくんだよ!?」
「本を取るため?」
「んなもん見りゃ分かる!!
なんでわざわざディーヴァの後ろから取るんだって聞いてんだ!」
「………とにかく静かにしてくれ。」
壁から身を乗り出し、ついでに牙もむき出して唸るダンテの首根っこを引っ掴むネロ。
再び壁の影に引きずり込みながらため息を吐くネロは首を横に振り、そしてまた面倒くさそうに2度目の大きなため息を吐いた。
と、心労MAXなでこぼこコンビを他所に店内の2人は至って楽しそうにしていた。
ドアが閉まると涼しいベルの音が鳴り、目の前には天井まである光沢のある黒の本棚が店の奥まで続く。
店の角には棚に入りきらなかった本が積まれており、意外にも客入りは良いようで数人の客が狭い通路で本を手に取り、読み耽っていた。
ふとディーヴァはいつぞやに見たファンタジー映画と逢夏の書斎を思い出しながら店の中をキョロキョロと見渡す。
「本がたくさん…!
素敵…、映画に出てきそうな本屋さんだね。」
「そ、ファンタジーの世界にいるみたいな気分になるだろ?
内装をアンティーク調に改装してあってさ、ちょっと薄暗くて重苦しい感じがするのは難点だけど…まぁとりあえずいい雰囲気なんだよ。」
「うんっ、本当に素敵。
あれ…、あの本!」
図書館さながらの静かな雰囲気に息の音の方が目立つほど声量を落としながら本棚の上の方を指差したディーヴァ。
その先を追うとそこには分厚い古びた深緑の革表紙の本があった。
余りの古さに背に刻まれた金色のタイトルが剥がれ掠れていたが逢夏もその本に見覚えがあったのか、小さく目を見開いた後、笑いを零した。
「一昔前に流行ったやつだな。
知ってるのか?」
「うんっ。
小さい頃に家族に読み聞かせてもらってたの。
懐かしい…、最近見ないと思ってたけど。」
「そりゃ見ないさ。
あれは人気はあったんだけど重版されなかった本だから、古本屋でもそうそう見かけない品だ。
さすがディーヴァ、お目が高いね。」
極々自然にディーヴァの背後に立った逢夏がだいぶ高くなった身長をフル活用して上段の本に手を伸ばす。
久しぶりの再会にキラキラと目を輝かすディーヴァの手にへと本を手渡した。
パラパラとページをめくるディーヴァは目に飛び込んでくる文章が記憶に残る家族の声で再生されていくことに自然と微笑む。
「よかった。」
「え?」
「喜んでもらえたみたいだからさ。
それは預かるよ、他の思い出もゆっくり探してごらん。
おれは奥で待ってるから。」
ディーヴァから本を受け取った逢夏は他に数冊程本を手に取り、店の奥、赤い木目のドアを指差した。
奥には一体何があるのだろう?
不思議に思ったディーヴァが首を傾げて見返すと察した逢夏はウィンクして返した。
「もっと素敵なところだよ。
あぁ、来るときは気になる本を持っておいで。
…じゃあ、ごゆっくり。」
まるで執事のように落ち着きを払った礼をしてみせ、逢夏は指差した先へ。
本に囲まれた狭い通路を慣れた風に歩き、ドアの先に消えていった。
ポツリと1人取り残されてしまったディーヴァ。
けれど寂しい気持ちはなく、逢夏の言ったように大量の本の中に隠された思い出探しを始めるのだった。
その姿の理由は偏にダンテへの罪悪感。
しかしもちろん、中身は女(?)の逢夏とデートなのだからやましい事はきっとない。………たぶん。
あ、でも中身が女の前に悪魔だった。
信じて大丈夫なのかな。
と、段々頭の中で不安が膨らんでいく…そんなところに。
「ディーヴァ?」
「ひゃっ!!
な、なに?」
「そんな顔するなよ、とって食ったりしないから安心しな。」
「え…な、なんでそんな急に!
そんな事心配なんかっ…」
「してただろ?」
「…………はい。」
嘘を見抜かれ、シュンと肩を落とすディーヴァのエメラルドの髪を逢夏が安心させるように優しく撫でる。
その手は髪から肩へ、そして手へ。
ぎゅっと手を握り直すと今から行こうとする場所を指差した、…さてそこは。
「はい、そんなわけで到着。」
「ふえ?
…古本屋さん?」
「そう。
ディーヴァに良い本を選ぼうと思ってさ。
新品の本なんかよりも古本のがいいよ、愛着が湧くからな。」
昼前の人が疎らな大通りを少し離れた場所にある古本屋。
寂れている訳ではないが、繁盛している訳でもなさそうなその店の前で少し立ち話の後。
逢夏がディーヴァの背を叩いたのを合図に2人はそのまま入店していく。
…のを遠くで見守る影が2つ。
「お前が来なさそうなデートスポット上位にランクインだな。」
「うっせ。
あ゛!!?
あいつ、なんでディーヴァにあんなくっつくんだよ!?」
「本を取るため?」
「んなもん見りゃ分かる!!
なんでわざわざディーヴァの後ろから取るんだって聞いてんだ!」
「………とにかく静かにしてくれ。」
壁から身を乗り出し、ついでに牙もむき出して唸るダンテの首根っこを引っ掴むネロ。
再び壁の影に引きずり込みながらため息を吐くネロは首を横に振り、そしてまた面倒くさそうに2度目の大きなため息を吐いた。
と、心労MAXなでこぼこコンビを他所に店内の2人は至って楽しそうにしていた。
ドアが閉まると涼しいベルの音が鳴り、目の前には天井まである光沢のある黒の本棚が店の奥まで続く。
店の角には棚に入りきらなかった本が積まれており、意外にも客入りは良いようで数人の客が狭い通路で本を手に取り、読み耽っていた。
ふとディーヴァはいつぞやに見たファンタジー映画と逢夏の書斎を思い出しながら店の中をキョロキョロと見渡す。
「本がたくさん…!
素敵…、映画に出てきそうな本屋さんだね。」
「そ、ファンタジーの世界にいるみたいな気分になるだろ?
内装をアンティーク調に改装してあってさ、ちょっと薄暗くて重苦しい感じがするのは難点だけど…まぁとりあえずいい雰囲気なんだよ。」
「うんっ、本当に素敵。
あれ…、あの本!」
図書館さながらの静かな雰囲気に息の音の方が目立つほど声量を落としながら本棚の上の方を指差したディーヴァ。
その先を追うとそこには分厚い古びた深緑の革表紙の本があった。
余りの古さに背に刻まれた金色のタイトルが剥がれ掠れていたが逢夏もその本に見覚えがあったのか、小さく目を見開いた後、笑いを零した。
「一昔前に流行ったやつだな。
知ってるのか?」
「うんっ。
小さい頃に家族に読み聞かせてもらってたの。
懐かしい…、最近見ないと思ってたけど。」
「そりゃ見ないさ。
あれは人気はあったんだけど重版されなかった本だから、古本屋でもそうそう見かけない品だ。
さすがディーヴァ、お目が高いね。」
極々自然にディーヴァの背後に立った逢夏がだいぶ高くなった身長をフル活用して上段の本に手を伸ばす。
久しぶりの再会にキラキラと目を輝かすディーヴァの手にへと本を手渡した。
パラパラとページをめくるディーヴァは目に飛び込んでくる文章が記憶に残る家族の声で再生されていくことに自然と微笑む。
「よかった。」
「え?」
「喜んでもらえたみたいだからさ。
それは預かるよ、他の思い出もゆっくり探してごらん。
おれは奥で待ってるから。」
ディーヴァから本を受け取った逢夏は他に数冊程本を手に取り、店の奥、赤い木目のドアを指差した。
奥には一体何があるのだろう?
不思議に思ったディーヴァが首を傾げて見返すと察した逢夏はウィンクして返した。
「もっと素敵なところだよ。
あぁ、来るときは気になる本を持っておいで。
…じゃあ、ごゆっくり。」
まるで執事のように落ち着きを払った礼をしてみせ、逢夏は指差した先へ。
本に囲まれた狭い通路を慣れた風に歩き、ドアの先に消えていった。
ポツリと1人取り残されてしまったディーヴァ。
けれど寂しい気持ちはなく、逢夏の言ったように大量の本の中に隠された思い出探しを始めるのだった。