御神籤 二枚目
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悪魔に引きずり出された者の姿を見たディーヴァの口から短い悲鳴が上がった。
同時にダンテの目つきも冷たくそして警戒をむき出したものに打って変わる。
3人の目の前にいたのは逢夏と同じ背丈の女、そして悪魔とお揃いなのかバスガイドやCAのような恰好をしていた。
しかしそれだけならばディーヴァもダンテも前記のような反応はしない。
2人の反応の理由は服にではなく、出てきた者自体の姿にあった。
肌は生気を失ったように青白く、マイクを握る指には長く鋭い爪。
小さな帽子からはみ出す額から生えた二本の小さな角、強ばる口元から覗く小さな牙。
所謂白目と呼ばれる強膜は漆黒で、角膜は金、その瞳は猫の様に縦長くそして赤く染まっていた。
その姿はダンテの目には脆弱にも見えたがしかし紛れもない悪魔だった。
そしてその悪魔は慌てた様子で弁解を始める。
「ま、待って、私…私だよ?
ディーヴァちゃん、ダンテ…私、逢夏なの…。」
「はっ、オレの知ってる逢夏は悪魔みたいに神経が図太いがそれでも人間だったぞ。
化けるならもう少しうまく化けとくんだったな。」
「逢夏をどこにやったの!?
もし逢夏になにかあったら、絶対に許さないんだからっ!
ねぇ!ネロもそうだよね!
………………ネロ?」
動けないと分かっていても、臨戦態勢状態に入るダンテとそれに続くディーヴァ。
しかし黙ったままのネロに不思議に思ったディーヴァはふと隣に視線を向ける…すると。
エメラルドの目に映ったのは必死に弁解する悪魔と同じ困ったような辛そうな表情で俯く姿。
そんな姿にふと、ディーヴァが問う。
「本当に…あの悪魔が、逢夏…なの?」
絞り出す様な問いにネロは頷きもせず、歯切れの悪い答えも返さず。
けれど、唐突にディーヴァとダンテの方に不器用な笑みを向けた。
「俺の不注意、…なんだ。
逢夏の為だと思ってやった事が逢夏を悪魔にさせた。
あ、でもな?普段は人間だし、逢夏としての心はしっかり残ってるからディーヴァには危害は絶対に加えないから。
だから、その……。」
言葉を選ぶ様に普段では考えられないほどたどたどしく話すネロ。
と、そこに逢夏の声がネロの言葉を遮った。
「ネロの所為じゃない!
…あのね、ディーヴァちゃん…ダンテ。
私、ネロがいった様に今は人間だけど元々は…ううん、魂は悪魔なの。
ネロは悪くない、どうせいつかこうなるはずだったの。
魂を映した、この姿に。」
ニシシと悪魔の笑い声と共に響く逢夏の告白にディーヴァが悲しげに瞳を潤ませ俯く。
きゅっと唇を強く結び、強く握り込んで白くなった手を見つめ、こぼれそうになる涙を必死に堪えた。
「……どうして、黙ってたの?
なんでもっと早く教えてくれなかったの?
信じてたんだよ、…あたし。
なのに逢夏はネロと一緒になって…あたしとダンテを騙してたの?」
「違う、騙そうなんて思ってもなかったよ!
悪魔としての記憶を取り戻したのはつい最近なの。
ディーヴァちゃん達にあったばかりの頃は本当に自分の事を人間だって思ってた。」
その言葉を皮切りに逢夏はこの1年にあった事を滔々と語りだした。
記憶や感情を取り戻す為の鍵だったあの紅い欠片の副作用で悪魔になった事。
体が悪魔になったことがきっかけで自身が悪魔だと思い出した事。
「元々は私、遠い遠い昔にね…スパーダに負けた悪魔だった。
だからスパーダに…ひいてはダンテに復讐してやるってネロに近づいて…でも。」
「…逢夏?」
明らかに変わった、ぐらぐらと落ち着かない声のトーンに気がついたディーヴァの目が逢夏をまっすぐに映す。
視線の先では未だ感情が乏しいはずの逢夏の体が小さく震えているおり、ディーヴァは息を詰めた。
「いつの間にかネロのこと、好きになっちゃってたんだ…。
大好きで大好きで…復讐なんてどうでもよくなって…。
ディーヴァちゃん…、私…変な悪魔なんだよ。
悪魔なのに…あんなにスパーダを嫌ってたはずなのに…、いつの間にか同じ、しかもスパーダの子孫であるネロを愛してた…変な悪魔。
…だからね、結局何が言いたかったかっていうと…。
変わったのは私が私の正体に気がついたことだけだよ、私はディーヴァちゃんの知ってる逢夏のまま…。
お願い、信じて。
このことを隠していようとしていたことは謝る。
でもネロも私も、ディーヴァちゃんとダンテを騙そうなんて思ってなかった。
騙すつもりなんて全くなかった。
これからだって騙すつもりはないし、ディーヴァちゃんに危害を加えようなんて微塵も思ってない!
私は悪魔だから、誓える神様なんていないけど……それでも誓う…絶対。
だから…だから…。」
床に向けられていたマイクがポタリと水の音を拾う。
その音にディーヴァが、そして音につられて自然と俯いていたダンテが青白い頬を濡らす透明な雫に気付いた。
「逢夏、…こっちきて。」
「え。」
「あたし、動けないから…こっちきて。」
こんな真剣な話をしていても4人と1匹を乗せた乗り物はガタガタと不愉快な震動を刻みながらどこかへと動く。
その所為で覚束ない足取りをしながらもディーヴァの前に逢夏が立つと突然伸ばされたディーヴァの手が逢夏の頬を包んだ。
「逢夏はネロのことどれくらい好き?」
「ネロの、こと?」
「うん。
あたしはダンテのこと、すっごく好きだよ。
誰にも負けないくらい、ダンテのことが好き。
逢夏は?」
「私、はネロのこと…。
………っ、ディーヴァちゃんのダンテへの気持ちにだって負けないくらい好きだよ!
ううん、絶対負けない!誰にも…、もちろんディーヴァちゃんにも。」
頬を包む手には視線を合わせる様に強制するような力は込められていなかった。
けれど、ディーヴァも逢夏もお互い僅かも視線を逸らさない。
…と、真剣なディーヴァの表情が一変して破顔した。
「あたしは逢夏を信じるよ。
だって本当に私が知ってる逢夏のままだもん。」
「ほんと…?」
「うん!
ダンテだってそうでしょ?」
ね?
ディーヴァが確認する様に満面の笑みをダンテに向けると一瞬だけ作られた困り顔が苦笑にと変わった。
「まぁ、そこまで言い張れるってんなら逢夏じゃない訳がねぇよな。
……て、まてよ。
オレへの態度がおかしかったのってまさか。」
「そ、復讐はどうでもよくなったけど嫌いじゃなくなったわけじゃねぇからぎこちなくなってんだよ。」
「マジか。」
「えへへ…、なんかこう…ね。
ダンテは特にあの人に似てるから…その、ごめんね?」
ぎこちなくだが笑みを零し始める逢夏。
その笑みを喜ぶ様にディーヴァはぎゅっと逢夏の手を握っていた。
同時にダンテの目つきも冷たくそして警戒をむき出したものに打って変わる。
3人の目の前にいたのは逢夏と同じ背丈の女、そして悪魔とお揃いなのかバスガイドやCAのような恰好をしていた。
しかしそれだけならばディーヴァもダンテも前記のような反応はしない。
2人の反応の理由は服にではなく、出てきた者自体の姿にあった。
肌は生気を失ったように青白く、マイクを握る指には長く鋭い爪。
小さな帽子からはみ出す額から生えた二本の小さな角、強ばる口元から覗く小さな牙。
所謂白目と呼ばれる強膜は漆黒で、角膜は金、その瞳は猫の様に縦長くそして赤く染まっていた。
その姿はダンテの目には脆弱にも見えたがしかし紛れもない悪魔だった。
そしてその悪魔は慌てた様子で弁解を始める。
「ま、待って、私…私だよ?
ディーヴァちゃん、ダンテ…私、逢夏なの…。」
「はっ、オレの知ってる逢夏は悪魔みたいに神経が図太いがそれでも人間だったぞ。
化けるならもう少しうまく化けとくんだったな。」
「逢夏をどこにやったの!?
もし逢夏になにかあったら、絶対に許さないんだからっ!
ねぇ!ネロもそうだよね!
………………ネロ?」
動けないと分かっていても、臨戦態勢状態に入るダンテとそれに続くディーヴァ。
しかし黙ったままのネロに不思議に思ったディーヴァはふと隣に視線を向ける…すると。
エメラルドの目に映ったのは必死に弁解する悪魔と同じ困ったような辛そうな表情で俯く姿。
そんな姿にふと、ディーヴァが問う。
「本当に…あの悪魔が、逢夏…なの?」
絞り出す様な問いにネロは頷きもせず、歯切れの悪い答えも返さず。
けれど、唐突にディーヴァとダンテの方に不器用な笑みを向けた。
「俺の不注意、…なんだ。
逢夏の為だと思ってやった事が逢夏を悪魔にさせた。
あ、でもな?普段は人間だし、逢夏としての心はしっかり残ってるからディーヴァには危害は絶対に加えないから。
だから、その……。」
言葉を選ぶ様に普段では考えられないほどたどたどしく話すネロ。
と、そこに逢夏の声がネロの言葉を遮った。
「ネロの所為じゃない!
…あのね、ディーヴァちゃん…ダンテ。
私、ネロがいった様に今は人間だけど元々は…ううん、魂は悪魔なの。
ネロは悪くない、どうせいつかこうなるはずだったの。
魂を映した、この姿に。」
ニシシと悪魔の笑い声と共に響く逢夏の告白にディーヴァが悲しげに瞳を潤ませ俯く。
きゅっと唇を強く結び、強く握り込んで白くなった手を見つめ、こぼれそうになる涙を必死に堪えた。
「……どうして、黙ってたの?
なんでもっと早く教えてくれなかったの?
信じてたんだよ、…あたし。
なのに逢夏はネロと一緒になって…あたしとダンテを騙してたの?」
「違う、騙そうなんて思ってもなかったよ!
悪魔としての記憶を取り戻したのはつい最近なの。
ディーヴァちゃん達にあったばかりの頃は本当に自分の事を人間だって思ってた。」
その言葉を皮切りに逢夏はこの1年にあった事を滔々と語りだした。
記憶や感情を取り戻す為の鍵だったあの紅い欠片の副作用で悪魔になった事。
体が悪魔になったことがきっかけで自身が悪魔だと思い出した事。
「元々は私、遠い遠い昔にね…スパーダに負けた悪魔だった。
だからスパーダに…ひいてはダンテに復讐してやるってネロに近づいて…でも。」
「…逢夏?」
明らかに変わった、ぐらぐらと落ち着かない声のトーンに気がついたディーヴァの目が逢夏をまっすぐに映す。
視線の先では未だ感情が乏しいはずの逢夏の体が小さく震えているおり、ディーヴァは息を詰めた。
「いつの間にかネロのこと、好きになっちゃってたんだ…。
大好きで大好きで…復讐なんてどうでもよくなって…。
ディーヴァちゃん…、私…変な悪魔なんだよ。
悪魔なのに…あんなにスパーダを嫌ってたはずなのに…、いつの間にか同じ、しかもスパーダの子孫であるネロを愛してた…変な悪魔。
…だからね、結局何が言いたかったかっていうと…。
変わったのは私が私の正体に気がついたことだけだよ、私はディーヴァちゃんの知ってる逢夏のまま…。
お願い、信じて。
このことを隠していようとしていたことは謝る。
でもネロも私も、ディーヴァちゃんとダンテを騙そうなんて思ってなかった。
騙すつもりなんて全くなかった。
これからだって騙すつもりはないし、ディーヴァちゃんに危害を加えようなんて微塵も思ってない!
私は悪魔だから、誓える神様なんていないけど……それでも誓う…絶対。
だから…だから…。」
床に向けられていたマイクがポタリと水の音を拾う。
その音にディーヴァが、そして音につられて自然と俯いていたダンテが青白い頬を濡らす透明な雫に気付いた。
「逢夏、…こっちきて。」
「え。」
「あたし、動けないから…こっちきて。」
こんな真剣な話をしていても4人と1匹を乗せた乗り物はガタガタと不愉快な震動を刻みながらどこかへと動く。
その所為で覚束ない足取りをしながらもディーヴァの前に逢夏が立つと突然伸ばされたディーヴァの手が逢夏の頬を包んだ。
「逢夏はネロのことどれくらい好き?」
「ネロの、こと?」
「うん。
あたしはダンテのこと、すっごく好きだよ。
誰にも負けないくらい、ダンテのことが好き。
逢夏は?」
「私、はネロのこと…。
………っ、ディーヴァちゃんのダンテへの気持ちにだって負けないくらい好きだよ!
ううん、絶対負けない!誰にも…、もちろんディーヴァちゃんにも。」
頬を包む手には視線を合わせる様に強制するような力は込められていなかった。
けれど、ディーヴァも逢夏もお互い僅かも視線を逸らさない。
…と、真剣なディーヴァの表情が一変して破顔した。
「あたしは逢夏を信じるよ。
だって本当に私が知ってる逢夏のままだもん。」
「ほんと…?」
「うん!
ダンテだってそうでしょ?」
ね?
ディーヴァが確認する様に満面の笑みをダンテに向けると一瞬だけ作られた困り顔が苦笑にと変わった。
「まぁ、そこまで言い張れるってんなら逢夏じゃない訳がねぇよな。
……て、まてよ。
オレへの態度がおかしかったのってまさか。」
「そ、復讐はどうでもよくなったけど嫌いじゃなくなったわけじゃねぇからぎこちなくなってんだよ。」
「マジか。」
「えへへ…、なんかこう…ね。
ダンテは特にあの人に似てるから…その、ごめんね?」
ぎこちなくだが笑みを零し始める逢夏。
その笑みを喜ぶ様にディーヴァはぎゅっと逢夏の手を握っていた。