御神籤 二枚目
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逢夏が箱から一通の白封筒を取り出す。
周りは僅かに祈るような素振りをする中。
その手に少しの危機感もなく、少しの不安もなく、少しの不信感もなく。
ただただ普通にそして
「そーれ!」
無邪気に。
数秒の間だけ封筒の端を摘んでひらひらと宙でくじを遊ばせていた逢夏は流れるように封筒の先を割く。
…さて、その結果や如何に。
「中吉、だってさ。
あ、ディーヴァちゃんと同じだね!」
「ほんとだぁ!
じゃあ逢夏も子どもになっちゃったりするのかな?」
「逢夏が子どもに!?」
「嬉しそうだな、おい。
………ま、嫁がガキになって喜ぶのはネロくらいだろうよ。」
ディーヴァの発言に反射的に椅子から腰を上げたネロの肩をダンテが制するように叩く。
するとそこにポップでケミカルな音をたてて再度現れた悪魔が大声で喚いた。
「ぢゃンエん!ぉアじうン勢あリェぁい!!」
「"残念!同じ運勢はあり得ない!"だそうだよ、ネロ。」
「お、おおおお俺は別に喜んでなんか!」
「……………………ロリコンの血は脈々と受け継がれてるわけだ。」
「逢夏?
どしたの…ちょっと怖いよ?」
「え、そかな?
血には抗えないなぁって言ってただけなんだけど。
ねぇ、ダンテ?」
「なんでオレに振るんだよ。
昨日も言ったけどオレは違うからな。」
「どうだか。
で、内容は~…と。」
突然おみくじの内容言いかけた逢夏が押し黙って眉を逆立てる。
茶色の目がちらりと向いたのはぷかぷかと周りを浮遊する悪魔。
「…これ、本当に中吉?」
「ダ!こエはぁク魔ノ苦ジ!
イぃ運えイ、人ゲんいぉッて良ぃヵぎぁない!」
「えっと、悪魔の籤だからいい運勢を引いたとしてもそれが人間にとっていいとは限らない…って言ってるの、かな?」
「なんだよそれ!
始めにそれを言えよ!」
「まぁ予想の範疇だろ…こいつのやりそうなことだ。
それで逢夏、なんて書いてあったんだ?」
逢夏による翻訳で明らかになった事実に若干憤慨気味なダンテを先ほどとは逆に宥めたネロが今日の運勢を聞く。
それに唇を尖らせ、心底嫌そうな顔をした逢夏が重い口を開いた。
「……小旅行、いくと運気アップだって。」
「「「旅行?」」」
三人が三人、声を揃えて同じ単語を口にした。
かと思うと途端に口々と賑やかしくなった。
「小旅行…暖かくて楽しいところならいいなぁ!」
「んな大した事なさそうじゃねぇか。
ただあっちこっち回るだけだろ?」
「おい、大した事ないってことはないだろ。
場所による。」
「ねぇねぇ、場所はどこなの?」
「魔界。」
「「「え?」」」
ディーヴァの問いからの逢夏の即答にもう一度声が揃った。
と、その途端。
もし太陽がなくなってしまったら世界はきっとこんな暗闇に染まるのだろう、辺りはまさに一寸先も見えない闇に落ちた。
なんて思った次の瞬間には…。
「ふかふか…だけど、なんか趣味の悪い椅子。」
「趣味が悪いのは椅子だけじゃないみたいだぞ、ディーヴァ。
車窓からの風景は最悪この上ねぇな。」
「……ここが、魔界?」
腰を預けていたものが暖かみのある木造の椅子から赤い革張りの猫足椅子へ。
椅子には丁寧にも外れないシートベルトのような拘束具が備え付けられており、逃げられない程度に体が固定されていた。
固定具合があまりきついものではなかったことで辺りの景色はダンテが指摘したようにしっかりと窓から見る事が出来た。
窓から見えたのは青や緑、白…様々な色に溢れていた皆の知る世界から一変して赤茶色の大地に漆黒の空。
また今いる場所は人間の世界でいうバスのような乗り物の中だということが体に微かに震動と慣性力が知覚できたことで判明した。
と、このようにディーヴァとダンテがしきりに辺りを見渡し、状況の把握に勤めているときだった。
「…あれ?逢夏?
……、逢夏がいない!?」
「えぇ!?
どこ行っちゃったんだろう!」
「まさかあいつだけ逃げやがったんじゃ…ぁだっ!」
「「ダンテ!?」」
騒然とする3人の中、ピンポイントにダンテの頭部に何か白いものが当たる。
それは一度床をバウンドするとディーヴァの足下に転がった。
「これ…マイク?」
反射的にディーヴァは足下のそれを手に取る。
魔界らしくといってしまえば身も蓋もないが髑髏があしらわれたそれは確かにマイクの形をしており
ディーヴァが『あ~』と声を小さく発するとどこかのスピーカーから発した声が若干大きくなって耳に届いてきた。
するとそこに宮司姿からパイロットや運転手のような恰好に変わった悪魔がバスの前方、運転席の方から飛んでくる。
「天シ、アぃうキやっち!
魔いク、ヵえしエ!!」
「ど、どうぞ?」
「ありアお!!
「あ、おい!悪魔!
逢夏をどこ…きいちゃねぇ…。」
ネロの言葉に耳も貸さず悪魔はビュンとひとっ飛び。
運転席の隣、乗務員の席がよく備え付けてある場所に消えていく…と、そこからマイクを通して小さな声がバス内に響いた。
"まぃ苦ぁげちァらエー!ニぇ、はぁク~~!"
"いーや!"
"れモ、ミんぁまっつィう!"
"それでも嫌なものはいやなの!"
それは紛れもない逢夏と悪魔の会話。
席は違えど彼女も確かにここにいたようで一時はほっと一安心のネロ、…だったが。
「逢夏!
無事なのか!?
怪我してないだろうな!?」
悪魔に急かされても尚、顔を出そうとしないのでやっぱり心配になったネロが声をかける。
…すると。
「…げ、元気…だよー?
わ!や、やめ…やめてってば!」
「モぉー!あゃくーーーーーー!!」
手にしたのだろうマイクだけがネロ達に見えるように振って見せる逢夏。
が、それはあまりバランスの取れた姿勢の上での行動ではなかったらしい。
隙をついた悪魔が渾身の力を込めて逢夏を壁で遮られた席から引きずり出した。
周りは僅かに祈るような素振りをする中。
その手に少しの危機感もなく、少しの不安もなく、少しの不信感もなく。
ただただ普通にそして
「そーれ!」
無邪気に。
数秒の間だけ封筒の端を摘んでひらひらと宙でくじを遊ばせていた逢夏は流れるように封筒の先を割く。
…さて、その結果や如何に。
「中吉、だってさ。
あ、ディーヴァちゃんと同じだね!」
「ほんとだぁ!
じゃあ逢夏も子どもになっちゃったりするのかな?」
「逢夏が子どもに!?」
「嬉しそうだな、おい。
………ま、嫁がガキになって喜ぶのはネロくらいだろうよ。」
ディーヴァの発言に反射的に椅子から腰を上げたネロの肩をダンテが制するように叩く。
するとそこにポップでケミカルな音をたてて再度現れた悪魔が大声で喚いた。
「ぢゃンエん!ぉアじうン勢あリェぁい!!」
「"残念!同じ運勢はあり得ない!"だそうだよ、ネロ。」
「お、おおおお俺は別に喜んでなんか!」
「……………………ロリコンの血は脈々と受け継がれてるわけだ。」
「逢夏?
どしたの…ちょっと怖いよ?」
「え、そかな?
血には抗えないなぁって言ってただけなんだけど。
ねぇ、ダンテ?」
「なんでオレに振るんだよ。
昨日も言ったけどオレは違うからな。」
「どうだか。
で、内容は~…と。」
突然おみくじの内容言いかけた逢夏が押し黙って眉を逆立てる。
茶色の目がちらりと向いたのはぷかぷかと周りを浮遊する悪魔。
「…これ、本当に中吉?」
「ダ!こエはぁク魔ノ苦ジ!
イぃ運えイ、人ゲんいぉッて良ぃヵぎぁない!」
「えっと、悪魔の籤だからいい運勢を引いたとしてもそれが人間にとっていいとは限らない…って言ってるの、かな?」
「なんだよそれ!
始めにそれを言えよ!」
「まぁ予想の範疇だろ…こいつのやりそうなことだ。
それで逢夏、なんて書いてあったんだ?」
逢夏による翻訳で明らかになった事実に若干憤慨気味なダンテを先ほどとは逆に宥めたネロが今日の運勢を聞く。
それに唇を尖らせ、心底嫌そうな顔をした逢夏が重い口を開いた。
「……小旅行、いくと運気アップだって。」
「「「旅行?」」」
三人が三人、声を揃えて同じ単語を口にした。
かと思うと途端に口々と賑やかしくなった。
「小旅行…暖かくて楽しいところならいいなぁ!」
「んな大した事なさそうじゃねぇか。
ただあっちこっち回るだけだろ?」
「おい、大した事ないってことはないだろ。
場所による。」
「ねぇねぇ、場所はどこなの?」
「魔界。」
「「「え?」」」
ディーヴァの問いからの逢夏の即答にもう一度声が揃った。
と、その途端。
もし太陽がなくなってしまったら世界はきっとこんな暗闇に染まるのだろう、辺りはまさに一寸先も見えない闇に落ちた。
なんて思った次の瞬間には…。
「ふかふか…だけど、なんか趣味の悪い椅子。」
「趣味が悪いのは椅子だけじゃないみたいだぞ、ディーヴァ。
車窓からの風景は最悪この上ねぇな。」
「……ここが、魔界?」
腰を預けていたものが暖かみのある木造の椅子から赤い革張りの猫足椅子へ。
椅子には丁寧にも外れないシートベルトのような拘束具が備え付けられており、逃げられない程度に体が固定されていた。
固定具合があまりきついものではなかったことで辺りの景色はダンテが指摘したようにしっかりと窓から見る事が出来た。
窓から見えたのは青や緑、白…様々な色に溢れていた皆の知る世界から一変して赤茶色の大地に漆黒の空。
また今いる場所は人間の世界でいうバスのような乗り物の中だということが体に微かに震動と慣性力が知覚できたことで判明した。
と、このようにディーヴァとダンテがしきりに辺りを見渡し、状況の把握に勤めているときだった。
「…あれ?逢夏?
……、逢夏がいない!?」
「えぇ!?
どこ行っちゃったんだろう!」
「まさかあいつだけ逃げやがったんじゃ…ぁだっ!」
「「ダンテ!?」」
騒然とする3人の中、ピンポイントにダンテの頭部に何か白いものが当たる。
それは一度床をバウンドするとディーヴァの足下に転がった。
「これ…マイク?」
反射的にディーヴァは足下のそれを手に取る。
魔界らしくといってしまえば身も蓋もないが髑髏があしらわれたそれは確かにマイクの形をしており
ディーヴァが『あ~』と声を小さく発するとどこかのスピーカーから発した声が若干大きくなって耳に届いてきた。
するとそこに宮司姿からパイロットや運転手のような恰好に変わった悪魔がバスの前方、運転席の方から飛んでくる。
「天シ、アぃうキやっち!
魔いク、ヵえしエ!!」
「ど、どうぞ?」
「ありアお!!
「あ、おい!悪魔!
逢夏をどこ…きいちゃねぇ…。」
ネロの言葉に耳も貸さず悪魔はビュンとひとっ飛び。
運転席の隣、乗務員の席がよく備え付けてある場所に消えていく…と、そこからマイクを通して小さな声がバス内に響いた。
"まぃ苦ぁげちァらエー!ニぇ、はぁク~~!"
"いーや!"
"れモ、ミんぁまっつィう!"
"それでも嫌なものはいやなの!"
それは紛れもない逢夏と悪魔の会話。
席は違えど彼女も確かにここにいたようで一時はほっと一安心のネロ、…だったが。
「逢夏!
無事なのか!?
怪我してないだろうな!?」
悪魔に急かされても尚、顔を出そうとしないのでやっぱり心配になったネロが声をかける。
…すると。
「…げ、元気…だよー?
わ!や、やめ…やめてってば!」
「モぉー!あゃくーーーーーー!!」
手にしたのだろうマイクだけがネロ達に見えるように振って見せる逢夏。
が、それはあまりバランスの取れた姿勢の上での行動ではなかったらしい。
隙をついた悪魔が渾身の力を込めて逢夏を壁で遮られた席から引きずり出した。