御神籤 十一枚目
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さて、件のダンテと逢夏。
「ダンテあぶなぁぁい!」
「ぐげふっ!?」
氷漬けにされそうになったダンテを、逢夏が火事場の馬鹿力を発揮して弾丸か何かのように突き飛ばし、回避に成功したらしい。
そのまま、吹っ飛ぶように雪煙に紛れて、悪魔を撒くことに成功したようだ。
「ふう、なんとか逃げ切れたみたい。私に感謝しなさいよ」
「ああさんきゅ。内臓飛び出るかと思った。
助かったけどもう少しお手柔らかに頼みたかったぜ…」
「文句言わなーい」
ばれぬよう悪魔の目をかいくぐって、匍匐前進に近い姿勢で逃げる事数十メートル。
ネロとディーヴァのいる雪洞はもうすぐそこ、という距離にまで2人は近づいていた。
「……むっ!妖気を感じます!!」
「お前はゲゲゲのアイツかよ。素直にネロの気配って言え」
そういうダンテも、悪魔と人間が混ざったようなネロの気配とディーヴァの持つ独特の聖なる気配を感じ始めていた。
遠くからは妨害電波で狂わされていたこの感覚も、ある程度近くまで来れば効力を失うのだろう。
ということは2人はかなり近い!
どこだ!?と、辺りを見回すダンテと逢夏の目に映る、あからさまに人工的なまぁるいかまくら。
2人は目を見合わせて、いっせーのーせっ!で狭めの入口から中を覗いた。
「ネロみーっけ……え?」
「ディーヴァ待たせ、た……なぁぁぁ!?」
そこにいた2人はさもこれから着替えを始めます、といった風で上半身が下着姿だった。
「「あ、ばれた」」
「ネロの浮気現場おさえたりー!」
「ディーヴァの…ディーヴァの、浮気者ぉぉ!!」
余計に浮気ととられなくもない言葉を、つい2人揃って呟くネロとディーヴァ。
それを非難するでもなくどこか面白がって指摘する逢夏、そして一番取り乱しており、今にも涙を流しそうなダンテ。
そのダンテはすぐさまディーヴァに詰め寄り、肩をがっちりと跡がつきそうなほどに掴んで上下に揺さぶってきた。
やはりネロと話した通りだ。ダンテは嫉妬が激しく、落ち着かせるのが大変そうだ。
「なんで!お前は!!よりにもよってネロと浮気なんか!!
オレがこんなにも!こんなにもディーヴァを愛しているというに!!」
「ちがーう!ダンテ!違うってば!!
お、お、落ち着いて!ギャ●ドスもびっくりなくらい暴れるのほんとやめて!?」
脳みそシェイキン!
あともう少し早く着替えていればよかった。
元はと言えば着替えが遅くなってしまった事、更に言えば簡単に風邪をひくような自分の責任でもあるので、大人しくダンテの行動を受け入れるディーヴァ。
そして逢夏はダンテとディーヴァの様子、ネロの方をニヤつきながら交互に見るのだった。
「んふふー。
ダンテが言う通り、ディーヴァちゃんとお楽しみだったのかな、ネロ」
「わかってるくせに。んなわけないだろ」
「えー。絶賛浮気中だったなら、今夜は3人で川の字とは違う仲良しこよしの夜を過ごしても良かったんだけどな~」
「何言ってんだよ逢夏………」
わかっているからこその、この笑顔とセリフである。
実際、浮気だったとしたら、こんな笑っていられる余裕はなく、浮気相手ももちろん命はない。
「ディーヴァちゃんの体、温めてあげてたんでしょ」
「ああ、でもディーヴァ、風邪ひいちまってるから、帰ったら薬飲ませてやってくれ」
「あらら。もともと具合良くなかったもんねぇ。風邪引いちゃったか…」
体を冷やさないための行動だとは知っていたが、まさか風邪までひいていたとは。
ならば、誤解を解いてダンテがディーヴァを責めるのをいい加減止めないと。
「えーい!」
「うぉっぷ!?逢夏っ!?
なっ!何をするだァーーーッ!!ゆるさんッ!」
一瞬だけ悪魔化した逢夏は、悪魔から逃れる時よりも更に強く速く、ダンテを突き飛ばしてディーヴァを解放してやった。
衝撃で雪洞が壊れる。
そのまま中にいては崩れ去るの必須なため、着替えをしつつネロ、逢夏、ディーヴァは順にそこから出た。
雪洞の外は、あれだけ降っていた雪も、ちらちら舞い落ちるほどの弱さになっている。
ロッジの建物が、一直線に下ったところに見えていた。
「さっきまであんなに吹雪いてたのに…合流すれば弱くなるように出来てたのかしら。ロッジも近い!親切設計!」
「なんにせよ、これでロッジまで真っ直ぐ帰れるな」
「ねえ、それより逢夏が吹っ飛ばしたダンテは?」
「……あそこで倒れてる」
ダンテは「ゆるさんッ!」とか叫ぶ余裕があったながらも、潰れたカエルのように真っ白な雪の上へうつ伏せに倒れていた。…かっこ悪い。
ディーヴァがダンテの体をツンツンと突くと、途端に起き上がりその大きな体でディーヴァを強く抱きしめた。
ネロの心配した通りの、物理監禁に近い勢いだ。
「…オレは浮気みたいな真似、ぜってぇ許さないからな……」
「もー。だから違うってば。ただあったまってたんだよ」
「何ィ~?体があったまるような事してたんじゃねーか!!こうなりゃお前を殺してオレもあとを追うしか…いやいや、地下深くにお前を鎖に繋いでブツブツブツ……」
「ひぃ!誰かこの人止めて!」
何このヤンデレエンド。メリバも辞さない。
そんなのは誰も望んでいない。
ゲシッ。逢夏のチョップがダンテの意識を現実に引き戻した。
「アンタ恋人なのにそんな勘違いばっかしてないで、ディーヴァちゃんの体の変化に気付きなさいよね」
「体の変化って……やっぱネロに手篭めにされて!?」
ビシッ。ネロのチョップもダンテの意識を現実に引き戻した。
「ちげーよ、風邪だ。冷えると悪化するから、温めてやってたんだ。卵を孵化させるのと変わらない。
特に雪山で遭難したりすると、効率よく暖をとるのに人肌同士でくっついて体温を分かち合うだろ。テレビで見た事くらいあるはずだ。
……だからいい加減その手を離してやれ」
「は…?2日酔いに続いて今度は風邪ぇ!?
……ディーヴァ、そうなのか?……気がつかなくてごめんな」
ネロの言葉にダンテがようやくディーヴァの顔をしっかりと見る。
思えば怒りやら何やらで我を忘れ、合流してからきちんとディーヴァの顔を見ていなかった。
ディーヴァは潤んだ瞳で、ダンテを不安そうに見つめている。
「ダンテ。
ディーヴァはお前の事しか見てねぇよ。その気持ち信じてやれって」
「そう…だよな、ごめん、ディーヴァ…」
「無事でいてくれたから。こうしてまた迎えに来てくれたから…だから許してあげる」
「ディーヴァ………」
ダンテの抱擁は今度こそ優しかった。
「ああそうだ逢夏。
悪いがコレが終わったら夕飯は前に食べたベシャメルに似たあの白いシチューでよろしく」
「クリームシチュー?おっけ!」
「……それと、風邪薬は粉薬以外を御所望だそうだ」
「うわお子様……うんわかったよ、なるべくそうする」
夕飯と諸々が決まったところで、ロッジへの道を会話しながら下っていく。
雪の降り方は穏やかで、木々もまばらながら生えているし、までくればゴールはすぐそこだ。残りは遠足みたいなものだろう。
「とにかく、ディーヴァは返すからあとは任せたぜダンテ。くれぐれも風邪を悪化させるなよ」
「ああ、もちろんわかってるさ」
もう絶対無理させたくない。
断られてしまったが横抱きで抱えていく勢いで、ダンテはディーヴァの歩みをサポートする。
「……けどよ、ネロと逢夏はお互いのこと、心配じゃなかったのかよ。特にあの現場見た逢夏。
オレみたいに嫉妬しなかったのか?」
「「嫉妬する必要ないから」」
ネロと逢夏の答えが重なった。
それほどまでに気持ちが繋がっており、互いを信頼しきっている。羨ましい限りだ。
「いいなぁ、こうなりたいね」
「そうだな」
まだその境地にまではいかないが、いつか2人見たくなれますように願う。
「そういうのは心配してなかったが、逢夏、上級者コースにいたんだろ?ダンテとの行動はどうだったんだ」
「コースがアレってだけで絶対ネロ達より大変だったと思う。その上ダンテが相手よ?めっちゃ苦労したわー」
「おい逢夏そりゃどういう意味だ」
ぐで~と、ネロに体を預けながら、逢夏は深ーくため息を吐き出す。
大変だったのは否めないが、ダンテが相手だったからこそ大変だった、という風な表現はいったいなんなんだ。
おかげでディーヴァに白い目で見られた。
「ダンテ、逢夏に意地悪したんじゃないでしょうね」
「……でも、ダンテがいて助かったとだけ」
「まあ………オレも、逢夏がいて助かったぜ。ネロのオンナは色々と強いな」
「ダンテあぶなぁぁい!」
「ぐげふっ!?」
氷漬けにされそうになったダンテを、逢夏が火事場の馬鹿力を発揮して弾丸か何かのように突き飛ばし、回避に成功したらしい。
そのまま、吹っ飛ぶように雪煙に紛れて、悪魔を撒くことに成功したようだ。
「ふう、なんとか逃げ切れたみたい。私に感謝しなさいよ」
「ああさんきゅ。内臓飛び出るかと思った。
助かったけどもう少しお手柔らかに頼みたかったぜ…」
「文句言わなーい」
ばれぬよう悪魔の目をかいくぐって、匍匐前進に近い姿勢で逃げる事数十メートル。
ネロとディーヴァのいる雪洞はもうすぐそこ、という距離にまで2人は近づいていた。
「……むっ!妖気を感じます!!」
「お前はゲゲゲのアイツかよ。素直にネロの気配って言え」
そういうダンテも、悪魔と人間が混ざったようなネロの気配とディーヴァの持つ独特の聖なる気配を感じ始めていた。
遠くからは妨害電波で狂わされていたこの感覚も、ある程度近くまで来れば効力を失うのだろう。
ということは2人はかなり近い!
どこだ!?と、辺りを見回すダンテと逢夏の目に映る、あからさまに人工的なまぁるいかまくら。
2人は目を見合わせて、いっせーのーせっ!で狭めの入口から中を覗いた。
「ネロみーっけ……え?」
「ディーヴァ待たせ、た……なぁぁぁ!?」
そこにいた2人はさもこれから着替えを始めます、といった風で上半身が下着姿だった。
「「あ、ばれた」」
「ネロの浮気現場おさえたりー!」
「ディーヴァの…ディーヴァの、浮気者ぉぉ!!」
余計に浮気ととられなくもない言葉を、つい2人揃って呟くネロとディーヴァ。
それを非難するでもなくどこか面白がって指摘する逢夏、そして一番取り乱しており、今にも涙を流しそうなダンテ。
そのダンテはすぐさまディーヴァに詰め寄り、肩をがっちりと跡がつきそうなほどに掴んで上下に揺さぶってきた。
やはりネロと話した通りだ。ダンテは嫉妬が激しく、落ち着かせるのが大変そうだ。
「なんで!お前は!!よりにもよってネロと浮気なんか!!
オレがこんなにも!こんなにもディーヴァを愛しているというに!!」
「ちがーう!ダンテ!違うってば!!
お、お、落ち着いて!ギャ●ドスもびっくりなくらい暴れるのほんとやめて!?」
脳みそシェイキン!
あともう少し早く着替えていればよかった。
元はと言えば着替えが遅くなってしまった事、更に言えば簡単に風邪をひくような自分の責任でもあるので、大人しくダンテの行動を受け入れるディーヴァ。
そして逢夏はダンテとディーヴァの様子、ネロの方をニヤつきながら交互に見るのだった。
「んふふー。
ダンテが言う通り、ディーヴァちゃんとお楽しみだったのかな、ネロ」
「わかってるくせに。んなわけないだろ」
「えー。絶賛浮気中だったなら、今夜は3人で川の字とは違う仲良しこよしの夜を過ごしても良かったんだけどな~」
「何言ってんだよ逢夏………」
わかっているからこその、この笑顔とセリフである。
実際、浮気だったとしたら、こんな笑っていられる余裕はなく、浮気相手ももちろん命はない。
「ディーヴァちゃんの体、温めてあげてたんでしょ」
「ああ、でもディーヴァ、風邪ひいちまってるから、帰ったら薬飲ませてやってくれ」
「あらら。もともと具合良くなかったもんねぇ。風邪引いちゃったか…」
体を冷やさないための行動だとは知っていたが、まさか風邪までひいていたとは。
ならば、誤解を解いてダンテがディーヴァを責めるのをいい加減止めないと。
「えーい!」
「うぉっぷ!?逢夏っ!?
なっ!何をするだァーーーッ!!ゆるさんッ!」
一瞬だけ悪魔化した逢夏は、悪魔から逃れる時よりも更に強く速く、ダンテを突き飛ばしてディーヴァを解放してやった。
衝撃で雪洞が壊れる。
そのまま中にいては崩れ去るの必須なため、着替えをしつつネロ、逢夏、ディーヴァは順にそこから出た。
雪洞の外は、あれだけ降っていた雪も、ちらちら舞い落ちるほどの弱さになっている。
ロッジの建物が、一直線に下ったところに見えていた。
「さっきまであんなに吹雪いてたのに…合流すれば弱くなるように出来てたのかしら。ロッジも近い!親切設計!」
「なんにせよ、これでロッジまで真っ直ぐ帰れるな」
「ねえ、それより逢夏が吹っ飛ばしたダンテは?」
「……あそこで倒れてる」
ダンテは「ゆるさんッ!」とか叫ぶ余裕があったながらも、潰れたカエルのように真っ白な雪の上へうつ伏せに倒れていた。…かっこ悪い。
ディーヴァがダンテの体をツンツンと突くと、途端に起き上がりその大きな体でディーヴァを強く抱きしめた。
ネロの心配した通りの、物理監禁に近い勢いだ。
「…オレは浮気みたいな真似、ぜってぇ許さないからな……」
「もー。だから違うってば。ただあったまってたんだよ」
「何ィ~?体があったまるような事してたんじゃねーか!!こうなりゃお前を殺してオレもあとを追うしか…いやいや、地下深くにお前を鎖に繋いでブツブツブツ……」
「ひぃ!誰かこの人止めて!」
何このヤンデレエンド。メリバも辞さない。
そんなのは誰も望んでいない。
ゲシッ。逢夏のチョップがダンテの意識を現実に引き戻した。
「アンタ恋人なのにそんな勘違いばっかしてないで、ディーヴァちゃんの体の変化に気付きなさいよね」
「体の変化って……やっぱネロに手篭めにされて!?」
ビシッ。ネロのチョップもダンテの意識を現実に引き戻した。
「ちげーよ、風邪だ。冷えると悪化するから、温めてやってたんだ。卵を孵化させるのと変わらない。
特に雪山で遭難したりすると、効率よく暖をとるのに人肌同士でくっついて体温を分かち合うだろ。テレビで見た事くらいあるはずだ。
……だからいい加減その手を離してやれ」
「は…?2日酔いに続いて今度は風邪ぇ!?
……ディーヴァ、そうなのか?……気がつかなくてごめんな」
ネロの言葉にダンテがようやくディーヴァの顔をしっかりと見る。
思えば怒りやら何やらで我を忘れ、合流してからきちんとディーヴァの顔を見ていなかった。
ディーヴァは潤んだ瞳で、ダンテを不安そうに見つめている。
「ダンテ。
ディーヴァはお前の事しか見てねぇよ。その気持ち信じてやれって」
「そう…だよな、ごめん、ディーヴァ…」
「無事でいてくれたから。こうしてまた迎えに来てくれたから…だから許してあげる」
「ディーヴァ………」
ダンテの抱擁は今度こそ優しかった。
「ああそうだ逢夏。
悪いがコレが終わったら夕飯は前に食べたベシャメルに似たあの白いシチューでよろしく」
「クリームシチュー?おっけ!」
「……それと、風邪薬は粉薬以外を御所望だそうだ」
「うわお子様……うんわかったよ、なるべくそうする」
夕飯と諸々が決まったところで、ロッジへの道を会話しながら下っていく。
雪の降り方は穏やかで、木々もまばらながら生えているし、までくればゴールはすぐそこだ。残りは遠足みたいなものだろう。
「とにかく、ディーヴァは返すからあとは任せたぜダンテ。くれぐれも風邪を悪化させるなよ」
「ああ、もちろんわかってるさ」
もう絶対無理させたくない。
断られてしまったが横抱きで抱えていく勢いで、ダンテはディーヴァの歩みをサポートする。
「……けどよ、ネロと逢夏はお互いのこと、心配じゃなかったのかよ。特にあの現場見た逢夏。
オレみたいに嫉妬しなかったのか?」
「「嫉妬する必要ないから」」
ネロと逢夏の答えが重なった。
それほどまでに気持ちが繋がっており、互いを信頼しきっている。羨ましい限りだ。
「いいなぁ、こうなりたいね」
「そうだな」
まだその境地にまではいかないが、いつか2人見たくなれますように願う。
「そういうのは心配してなかったが、逢夏、上級者コースにいたんだろ?ダンテとの行動はどうだったんだ」
「コースがアレってだけで絶対ネロ達より大変だったと思う。その上ダンテが相手よ?めっちゃ苦労したわー」
「おい逢夏そりゃどういう意味だ」
ぐで~と、ネロに体を預けながら、逢夏は深ーくため息を吐き出す。
大変だったのは否めないが、ダンテが相手だったからこそ大変だった、という風な表現はいったいなんなんだ。
おかげでディーヴァに白い目で見られた。
「ダンテ、逢夏に意地悪したんじゃないでしょうね」
「……でも、ダンテがいて助かったとだけ」
「まあ………オレも、逢夏がいて助かったぜ。ネロのオンナは色々と強いな」