御神籤 十一枚目
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声の方を見れば、白い毛皮のどデカイ塊が。
十中八九母グマだろうが、その巨体には蜘蛛独特の長くて節のついた脚が何本も生えていた。
「なんだよ!やっぱり蜘蛛じゃねーか!」
「あはは、蜘蛛とクマの合体悪魔だったみたいだね~」
「……悪魔だし倒してくか?」
こちらを見つめ牙を剥き出しにして毛を逆立てて威嚇していると言う事は、怒っているという事。
このままでは襲われる。
ダンテは体術用の構えをとった。
「だめ、倒すのはやめとこ!ここは彼女達の縄張りなんだろうし、子グマには親が必要でしょ。
だからここは三十六計逃げるに如かず~」
「はいよ。武器もねぇし、倒さないんだったら逃げるぜ」
子グマから逢夏が手を離したところで、ダンテが再び逢夏を小脇に抱える。
そして回れ右、更に山を下るべく駆け出すのだった。
「って、子グマ置き去りにして追ってきてるよ」
「まじかよ!きっと逢夏が子供ぐりぐり撫で回したから怒ってんだぜ」
「そーかな?なんか違うような…」
逢夏が後ろを見て、闘牛もびっくりな勢いで母悪魔が追いかけてくるのが目に入ったのだ。
理由は逢夏だというが、いまいち腑に落ちない。考え込んでいれば、母悪魔の口元がキラリと光を放った。
悪魔の口から、高い咆哮が轟くと同時、こちらに白い閃光が発射された。
ダンテも逢夏も気がついて横に大きく飛んで事なきを得たが、おかげで吹っ飛んで2人は二分にされてしまった。
閃光が当たった場所は元々吹雪の止まぬ雪原だったが、綺麗に氷柱ばりが出来ていた。
避けなければ今頃氷像と化していたと思うとゾッとする。
「げぇっ!なんだよこれ!?」
「うーん。『こおりタイプのはかいこうせん』…ってとこかな」
「うへぇ。攻撃力フロスト以上じゃねーか…」
「以上というか、発狂ケルベロスの氷ブレスと同じくらいの威力ね」
あれはあれで恐ろしい。
そうこう言っている間に、悪魔は二弾、三弾と逢夏いわく『こおりタイプのはかいこうせん』を放ってくる。
「とにかく、逃げるぞ!」
「がってんしょーち!」
二手に分かれたままだが、2人は走って逃げることにした。
「むむ!明らかにダンテを追ってるんだけど…」
幸か不幸か、逢夏は悪魔はダンテだけを狙って攻撃を放ち、ダンテだけを目に映して追っているのに気がついた。
逢夏の事は目に入っていないようだ。
さみしいような、嬉しいような。
「えっ。……やっぱスパーダの血筋だからか!?」
「いやいや、そんな感じ違ーう。逆賊の子どもってだけでなんでもかんでも悪魔が襲ってくると思っちゃダメ☆」
とにかく、目が血走ってみえる。かなりご立腹のご様子で雪煙を上げて追ってくる。
手を出してとばっちりを食うのは嫌だ。触らぬ悪魔に祟りなし。
「めっちゃ怒ってるやーん。あの悪魔に何したのダンテ?」
「しらん!」
「あっそ。
ん?……あの母悪魔、脇腹に怪我してる」
「脇腹に怪我…あ、」
同じく逃げているダンテが、何か不味い事を思い出したようで顔を強張らせた。
「………ディーヴァの雪うさぎの材料採る時、アイツいたわ。
急いでたのもあって、ただの野生動物かと思ってぶっ飛ばしちまった」
「それだ!
理不尽に振るわれた暴力!そりゃ怒るの当たり前だわ」
その時、一瞬動きを止めたダンテへと白い閃光が直撃した。
***
今眠ったら確実に死ぬ。
幻の家族に魅せられて、あっちの世界への一歩を踏み出そうとするディーヴァを、一刻も早くこちらへ引き戻さねば危険だ。
「~~~悪く思うなよ、ディーヴァ」
スパパパパパパパーッ!
さすがに本気でやるわけにいかないため、かなりソフトリーに、ディーヴァへ往復ビンタを見舞う。
右手でやったかって?それがどんなに弱い力だろうと、右の悪魔の手でやったらディーヴァは吹っ飛んで死んでしまうだろう。
ちゃんと左手でやった。
「あうう、痛い…」
そのおかげか、痛みによってやっとあちらの世界から帰還したディーヴァ。
が、帰還したとはいえ、ディーヴァは未だ寝ぼけているのかネロの左手を口に含み、そして歯を立てた。
「んむー…、いただきまー……」
「いてーな!?
まだちゃんと起きてないのかよ。ダンテもダンテなら、その恋人のディーヴァも ディーヴァだな」
噛みちぎるほど力強くではないが、それなりに痛い。噛むというよりかじるに近いそれに、未だ夢うつつなのだと悟ったネロは、ただただ呆れた。
「ったく。ディーヴァ、起きないとダンテがお前のアップルクランブルケーキ全部食っちまうとよ」
「んん。それはいやー…むにゃ、」
「……ダメだこりゃ」
バシィーーーン!!
ネロは少し力を込めてディーヴァの頬を打った。
「痛ぁ!?
…アップルクランブルケーキは?そしてなんかほっぺ痛い!?……って、あれ?ネロ?」
「やれやれ、やっと戻ってきたか」
その瞬間、飛び跳ねるようにディーヴァは起き上がった。
そして、やたらじんじんヒリヒリする自身の頬に、何をされたか知ったディーヴァは患部を押さえて口を尖らす。
「…うう、あとちょっとでチーズタルトとアップルティーが口に入ったのにネロのばかぁ…!」
「そりゃあ良かった、それあの世の食い物だからな。食ったらこっちに戻ってこれなかったかもしれないぞ」
「でもプリンの事は嘘だったし、ほっぺ痛かった…。プラスマイナスで言うと、すっごいマイナスな気分」
「頬を打ったのは悪かった。
けどな。言っちゃ悪いが俺も痛かったんだぜ」
そう言ってネロは左手をディーヴァに見せる。
そこにはくっきりとディーヴァの歯型が…。
「もしかして齧った…?」
「もししなくてもそう」
「うわぁごめん!
ダンテがアップルクランブルケーキ食べちゃう前にこっちが食べてやるー、って思って食べてたみたい。
そっかぁ、ネロのおててだったかぁ……」
どうりで甘くないわけだと、ディーヴァは苦笑した。
「少しは休めたか?
「うーん。眠いのと疲れは少しとれたかも。だけど…」
先ほど言っていたシチュー求め、ディーヴァの腹がぐぅと鳴る。問題のひとつは空腹か。
そしていくら雪洞とはいえ、結局雪の中。
小刻みに震えている事からわかるように、寒さは拭えないのだった。
「はっくしゅん!
ぶえー…、なんか鼻かむもの鼻かむもの………あ、これでいいか」
鼻水が垂れそうなディーヴァが手にしたのは、ぴったりくっついたままなネロのスキーウェアだった。自分のでやれ。
ネロはいやそうに、その手を払った。
「おい、人の服で鼻かもうとすんなよ。ヒロインにあるまじき行為だぞ」
「ごめん」
ずびー。鼻をかむのを諦めてすする。
だが、ディーヴァのくしゃみは止まらなかった。
聞けば頭も痛いらしい。
「……くしゅっ、くしゅ、。ごめ、なんかくしゃみが止まらない……」
「はあ…ディーヴァ、完璧風邪ひいたな。家に戻ったら逢夏に頼んでシチュー作ってもらって、そのあと風邪薬ももらえ」
「………粉薬以外なら飲む」
「そこは知らん」
粉薬を飲めないとは、やはりまだまだお子様なようだ。ダンテの気持ちがよくわかった。
「なんにせよ、今は体をあっためないとだよな」
「うん……でもここじゃ無理ぃ…。どうやってあっためるの?火種はないし雪しかない」
ネロは考え込む。
ドラマやテレビなんかだと、こういう時男女間ではとある行動に出ることが多い。
大抵そのあと、その男女は良い関係になったりするが、ネロとディーヴァはお互いパートナーのいる身。それは有り得ないわけだ。
なら、そのとある行動をしたところで、体が温まる以外には何も起こらない。
よしOK。採用。
「逢夏は理由を言えば許してくれる。俺が逢夏を信じてるのと同じで、逢夏も俺を信じてくれてる」
「うん?許す?信じる?…って、何が??」
目をぱちくりさせたディーヴァが、鼻をすすりつつネロを見つめる。
「ディーヴァ、上だけでいい。脱いで下着になれ」
十中八九母グマだろうが、その巨体には蜘蛛独特の長くて節のついた脚が何本も生えていた。
「なんだよ!やっぱり蜘蛛じゃねーか!」
「あはは、蜘蛛とクマの合体悪魔だったみたいだね~」
「……悪魔だし倒してくか?」
こちらを見つめ牙を剥き出しにして毛を逆立てて威嚇していると言う事は、怒っているという事。
このままでは襲われる。
ダンテは体術用の構えをとった。
「だめ、倒すのはやめとこ!ここは彼女達の縄張りなんだろうし、子グマには親が必要でしょ。
だからここは三十六計逃げるに如かず~」
「はいよ。武器もねぇし、倒さないんだったら逃げるぜ」
子グマから逢夏が手を離したところで、ダンテが再び逢夏を小脇に抱える。
そして回れ右、更に山を下るべく駆け出すのだった。
「って、子グマ置き去りにして追ってきてるよ」
「まじかよ!きっと逢夏が子供ぐりぐり撫で回したから怒ってんだぜ」
「そーかな?なんか違うような…」
逢夏が後ろを見て、闘牛もびっくりな勢いで母悪魔が追いかけてくるのが目に入ったのだ。
理由は逢夏だというが、いまいち腑に落ちない。考え込んでいれば、母悪魔の口元がキラリと光を放った。
悪魔の口から、高い咆哮が轟くと同時、こちらに白い閃光が発射された。
ダンテも逢夏も気がついて横に大きく飛んで事なきを得たが、おかげで吹っ飛んで2人は二分にされてしまった。
閃光が当たった場所は元々吹雪の止まぬ雪原だったが、綺麗に氷柱ばりが出来ていた。
避けなければ今頃氷像と化していたと思うとゾッとする。
「げぇっ!なんだよこれ!?」
「うーん。『こおりタイプのはかいこうせん』…ってとこかな」
「うへぇ。攻撃力フロスト以上じゃねーか…」
「以上というか、発狂ケルベロスの氷ブレスと同じくらいの威力ね」
あれはあれで恐ろしい。
そうこう言っている間に、悪魔は二弾、三弾と逢夏いわく『こおりタイプのはかいこうせん』を放ってくる。
「とにかく、逃げるぞ!」
「がってんしょーち!」
二手に分かれたままだが、2人は走って逃げることにした。
「むむ!明らかにダンテを追ってるんだけど…」
幸か不幸か、逢夏は悪魔はダンテだけを狙って攻撃を放ち、ダンテだけを目に映して追っているのに気がついた。
逢夏の事は目に入っていないようだ。
さみしいような、嬉しいような。
「えっ。……やっぱスパーダの血筋だからか!?」
「いやいや、そんな感じ違ーう。逆賊の子どもってだけでなんでもかんでも悪魔が襲ってくると思っちゃダメ☆」
とにかく、目が血走ってみえる。かなりご立腹のご様子で雪煙を上げて追ってくる。
手を出してとばっちりを食うのは嫌だ。触らぬ悪魔に祟りなし。
「めっちゃ怒ってるやーん。あの悪魔に何したのダンテ?」
「しらん!」
「あっそ。
ん?……あの母悪魔、脇腹に怪我してる」
「脇腹に怪我…あ、」
同じく逃げているダンテが、何か不味い事を思い出したようで顔を強張らせた。
「………ディーヴァの雪うさぎの材料採る時、アイツいたわ。
急いでたのもあって、ただの野生動物かと思ってぶっ飛ばしちまった」
「それだ!
理不尽に振るわれた暴力!そりゃ怒るの当たり前だわ」
その時、一瞬動きを止めたダンテへと白い閃光が直撃した。
***
今眠ったら確実に死ぬ。
幻の家族に魅せられて、あっちの世界への一歩を踏み出そうとするディーヴァを、一刻も早くこちらへ引き戻さねば危険だ。
「~~~悪く思うなよ、ディーヴァ」
スパパパパパパパーッ!
さすがに本気でやるわけにいかないため、かなりソフトリーに、ディーヴァへ往復ビンタを見舞う。
右手でやったかって?それがどんなに弱い力だろうと、右の悪魔の手でやったらディーヴァは吹っ飛んで死んでしまうだろう。
ちゃんと左手でやった。
「あうう、痛い…」
そのおかげか、痛みによってやっとあちらの世界から帰還したディーヴァ。
が、帰還したとはいえ、ディーヴァは未だ寝ぼけているのかネロの左手を口に含み、そして歯を立てた。
「んむー…、いただきまー……」
「いてーな!?
まだちゃんと起きてないのかよ。ダンテもダンテなら、その恋人のディーヴァも ディーヴァだな」
噛みちぎるほど力強くではないが、それなりに痛い。噛むというよりかじるに近いそれに、未だ夢うつつなのだと悟ったネロは、ただただ呆れた。
「ったく。ディーヴァ、起きないとダンテがお前のアップルクランブルケーキ全部食っちまうとよ」
「んん。それはいやー…むにゃ、」
「……ダメだこりゃ」
バシィーーーン!!
ネロは少し力を込めてディーヴァの頬を打った。
「痛ぁ!?
…アップルクランブルケーキは?そしてなんかほっぺ痛い!?……って、あれ?ネロ?」
「やれやれ、やっと戻ってきたか」
その瞬間、飛び跳ねるようにディーヴァは起き上がった。
そして、やたらじんじんヒリヒリする自身の頬に、何をされたか知ったディーヴァは患部を押さえて口を尖らす。
「…うう、あとちょっとでチーズタルトとアップルティーが口に入ったのにネロのばかぁ…!」
「そりゃあ良かった、それあの世の食い物だからな。食ったらこっちに戻ってこれなかったかもしれないぞ」
「でもプリンの事は嘘だったし、ほっぺ痛かった…。プラスマイナスで言うと、すっごいマイナスな気分」
「頬を打ったのは悪かった。
けどな。言っちゃ悪いが俺も痛かったんだぜ」
そう言ってネロは左手をディーヴァに見せる。
そこにはくっきりとディーヴァの歯型が…。
「もしかして齧った…?」
「もししなくてもそう」
「うわぁごめん!
ダンテがアップルクランブルケーキ食べちゃう前にこっちが食べてやるー、って思って食べてたみたい。
そっかぁ、ネロのおててだったかぁ……」
どうりで甘くないわけだと、ディーヴァは苦笑した。
「少しは休めたか?
「うーん。眠いのと疲れは少しとれたかも。だけど…」
先ほど言っていたシチュー求め、ディーヴァの腹がぐぅと鳴る。問題のひとつは空腹か。
そしていくら雪洞とはいえ、結局雪の中。
小刻みに震えている事からわかるように、寒さは拭えないのだった。
「はっくしゅん!
ぶえー…、なんか鼻かむもの鼻かむもの………あ、これでいいか」
鼻水が垂れそうなディーヴァが手にしたのは、ぴったりくっついたままなネロのスキーウェアだった。自分のでやれ。
ネロはいやそうに、その手を払った。
「おい、人の服で鼻かもうとすんなよ。ヒロインにあるまじき行為だぞ」
「ごめん」
ずびー。鼻をかむのを諦めてすする。
だが、ディーヴァのくしゃみは止まらなかった。
聞けば頭も痛いらしい。
「……くしゅっ、くしゅ、。ごめ、なんかくしゃみが止まらない……」
「はあ…ディーヴァ、完璧風邪ひいたな。家に戻ったら逢夏に頼んでシチュー作ってもらって、そのあと風邪薬ももらえ」
「………粉薬以外なら飲む」
「そこは知らん」
粉薬を飲めないとは、やはりまだまだお子様なようだ。ダンテの気持ちがよくわかった。
「なんにせよ、今は体をあっためないとだよな」
「うん……でもここじゃ無理ぃ…。どうやってあっためるの?火種はないし雪しかない」
ネロは考え込む。
ドラマやテレビなんかだと、こういう時男女間ではとある行動に出ることが多い。
大抵そのあと、その男女は良い関係になったりするが、ネロとディーヴァはお互いパートナーのいる身。それは有り得ないわけだ。
なら、そのとある行動をしたところで、体が温まる以外には何も起こらない。
よしOK。採用。
「逢夏は理由を言えば許してくれる。俺が逢夏を信じてるのと同じで、逢夏も俺を信じてくれてる」
「うん?許す?信じる?…って、何が??」
目をぱちくりさせたディーヴァが、鼻をすすりつつネロを見つめる。
「ディーヴァ、上だけでいい。脱いで下着になれ」