御神籤 十一枚目
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「あーあ、結局ちょっと埋まっちゃったわー」
雪崩から逃れるべく安全地帯に移動した逢夏だったが、それでも大自然の脅威から完全に逃げる事は出来なかったらしい。
太ももまでを雪の中に埋めたまま、ため息を吐いている。
周りの地形はすっかり変わってしまった。
一面の銀世界は変わらないのだが、雪の盛り上がり方や、スノーボード用のキッカーが完全になくなっている。
そして、ここに一緒にいたあの男、ダンテだが…。
「かわいそうに。完全に雪崩に巻き込まれてたから雪で圧死しちゃったでしょ。
ふむ、ディーヴァちゃんになんて言おうかな…『ダンテ御臨終でーす☆』でいっか!」
「~~~」
非常に軽いノリでダンテの死について考えて笑う逢夏の耳に、聞こえてきた小さな声。
雪の下から聞こえるようなくぐもったそれに周囲をキョロキョロと見回す逢夏は、不自然につま先だけが雪から覗いているのを見つけた。
つま先しか見えていない状態で雪の中生き埋め。なのに生きているということに思わずギョッとしたが、とりあえずダンテは無事なよう。
「なーんだ生きてたんだ。ちっ」
本人にそこまでは聞こえないだろうと、舌打ちは忘れない。
とはいえ、自身も未だ太ももまで埋まったまま。雪の中から抜け出さないとである。
偶然にもそばに転がったストックを使い、らくらく脱出成功した逢夏は、つま先しか見えていないダンテ近く、周囲の雪をさらに固くすべく雪を踏みならした。これぞ、ちょっとした普段の仕返しの一環である。
そんな事されてもダンテは無事に生き埋め状態で生きている。
雪の下からは、くぐもった声と何やらガリガリいう音が聞こえてきていた。
「うえっぷ!
大丈夫か!埋もれるなよ逢夏!」
「え、もう雪から出て助かってますけど?…ダンテこそ大丈夫?」
「なん…だと…」
今更こちらの心配か。
自分の方がものすごい状態だというのに、この男は全く、お人好しにもほどがある。いや、この場合は悪魔好しか。
「はやくそこから出なさいよ。ダンテ、あんた今つま先しか出てないみっともない状態よ」
「ぬゎ~にぃ~!このオレがみっともない!?最悪だはやく出たい!でも体が!動かん!!」
「半魔のくせにだらしないなぁ。力あるでしょ。魔人化でもしたら?」
犬神家状態のダンテ超カッコ悪い。早いとこそこから出てもらわないと、草生えて爆笑死しそう。
つま先に向かって話しかけているのも、他人から見たら草生える気がするけど。
「この状況で魔人化はやばいだろ。
トリガーバーストで雪も吹っ飛ぶ→助かる→衝撃でまた雪崩→再び埋まるいたちごっこになるぞ」
「なにそれシュール。そうなる前に逃げなって。
てか、今どうやって喋ってるの?」
顔は完全に埋まっている状態だというに、どんどん声がはっきり聞こえるようになってきている。
顔周りに空洞ができなくては無理だと思うが…?
「周りの雪食いまくって隙間作ったぜ」
「食べたんかーい。お腹壊してもしらないからね」
雪を食べるという事は、有害物質や汚染物質を一緒に体内に取り込んでいるのと変わらない。
いくら体の丈夫なダンテとはいえ、半分は人間。体内にたっぷりとそんな雪を蓄えては、体をおかしくするかもしれない。
何より、冷たいものの食べ過ぎで腹下す。
悪魔も泣き出すデビルハンター、トイレで泣くの巻。
デビルトイレットクライ…嫌なタイトルだ。
「腹下し?そんときゃそんときだな。
それより!服が重い!雪が重い!めっちゃ重い!」
「落ち着きなよ。円を描くように足から動かしてけば、隙間が出来て抜け出せるから」
ジタバタとつま先だけが揺れ動いている。
少しずつその範囲が広がっているから、あと少し頑張れば簡単に抜け出せそうなものだが、中で逆立ち状態が長いダンテのことだ。きっと、頭に血が上って思考低下しているんだろう。
とりあえず言われた通りに足を動かし、次に手を動かし、そしてやっと雪から抜け出したダンテ。
「ん?おお、マジだ!やったぜオレ様復活!どーだ、すごいだろう!」
「何がすごいだろうよ。ちょっとは自分の頭で考えなって。
でも、ディーヴァちゃんが埋まった役じゃなくてよかったよね」
「ディーヴァ!そうだディーヴァは大丈夫なのか!?」
さすが半分悪魔。助かったダンテは怪我ひとつなく雪の上でピンピンしている。
そしてディーヴァへと考えが及んだ瞬間、多分だが雪に埋まっていた時よりも顔を青ざめさせたようだった。
「そんな事知らんがな~。
でも、ネロが一緒だから大丈夫じゃない?ダンテじゃなくてネロだから。ネロだから!」
「喧嘩売ってるならオレみたいにお前をこの雪の中に埋めるぞ逢夏」
「私も悪魔の姿に変わって雪の中に逆戻りさせてあげる。ダンテなんかに負けない自信あるわよ」
「オレだって負けねーぞ!」
「何をう!」
またもネロと比べられて少々頭にきたらしいダンテ。
売り言葉に買い言葉のようなやりとりの挙句、結局は悪魔化した逢夏と取っ組み合う形となった。
殴り合いなど直接攻撃に訴えぬ分いささかマシだが、互いの肩を掴んで雪の上をゴロゴロと転がり、そして。
ズボッ!
「……2人共嵌っちゃったじゃん」
「……ま~た雪の中に逆戻りかよ」
ダンテがさっきまで埋まっていた穴へと、戻る形になったのだった。
脱出しようと四苦八苦していると、場内全体にあの悪魔の甲高い声が反響して聞こえてきた。
『ケーッケッケッケ!
ゥたくミぃづつ、ぶンだぅ!
おまぃら、ヨ人ぉろっえ、ロッヂもぉル!そチたァか血ぃ!』
雪崩を起こし2つの組みに分けさせて、遭難させるというのが悪魔の狙いのよう。
とはいえ、元々2組に分かれて行動していたわけだが…。
「つまり雪崩はあの悪魔の仕業だったワケか。バカなことしてねぇで2人と合流するぞ」
「バカなことしてるのはダンテだけど、そうねー…下のロッジ付近に行きますかっと!」
ちなみに、ロッジ付近へと下ったとしてもネロとディーヴァはいない。
すでに移動した後であり、初心者コース付近にいるのだが、ダンテと逢夏は知る由もない。
「よいしょっと」
「ん」
「なによ?」
「ほらよ」
穴から這い出ようとした逢夏の顔の前、ダンテの手が視界を遮るように差し出される。
ダンテの顔と手とを交互に見ているとぐいっと手を引っ張られ、容易にそこから出られた。
「…どうも」
その一連の動作が、遠い昔のスパーダのそれと重なって見え、小さく礼を言うことしかできなかった。
調子狂う。やたら優しいダンテも、昔の思い出のことも。
…はやくネロ達と合流しなくちゃ。
***
そしてこちらは、無事に雪崩に巻き込まれずにすんだネロとディーヴァの組である。
「なるほど、今回はこういう展開なワケか。ふた組みに分断させて、合流してロッジに戻るまでがこのクジの内容らしい」
「やっぱりただのウィンタースポーツツアーじゃなかったんだね。ちょっとだけ期待してたのにな…」
そんな事少しでも思うのは頭の中がお花畑化してるお前だけだ。
とは思っても言わない、優しいネロだった。
「やれやれ、こりゃあ逢夏とダンテには簡単には会えないぞ?雪崩があれだけ大規模だったしなぁ」
「うん、そうだね。コース外れちゃったし簡単じゃなさそう…」
コースが外れたからだろう、ふんわり降ってきていた雪は徐々にその勢いを増している。長引けば、その内吹雪に変わってしまうだろう。
ダンテ達も遭難している可能性が高いが、こちらも絶賛遭難中なのだ。急がねば。
「でもこれであいつらは無事だとわかったな」
「どして?」
「分断した、って悪魔が言ったろ。あれでゲームオーバーしてたらそんな放送しないからな。
もっとも……ダンテも逢夏もそう簡単には死なないだろうけど」
「……殺しても死なない気がする」
「失敬な、それはダンテだけだろ。
ま、逢夏もただじゃ死なないから、そんなに心配しなくても大丈夫だと思うぜ。
ディーヴァは自分のこと最優先に考えろよ」
「うん、そうする…」
ネロはディーヴァが頷くのを見届けると、そこから移動を開始した。
雪崩から逃れるべく安全地帯に移動した逢夏だったが、それでも大自然の脅威から完全に逃げる事は出来なかったらしい。
太ももまでを雪の中に埋めたまま、ため息を吐いている。
周りの地形はすっかり変わってしまった。
一面の銀世界は変わらないのだが、雪の盛り上がり方や、スノーボード用のキッカーが完全になくなっている。
そして、ここに一緒にいたあの男、ダンテだが…。
「かわいそうに。完全に雪崩に巻き込まれてたから雪で圧死しちゃったでしょ。
ふむ、ディーヴァちゃんになんて言おうかな…『ダンテ御臨終でーす☆』でいっか!」
「~~~」
非常に軽いノリでダンテの死について考えて笑う逢夏の耳に、聞こえてきた小さな声。
雪の下から聞こえるようなくぐもったそれに周囲をキョロキョロと見回す逢夏は、不自然につま先だけが雪から覗いているのを見つけた。
つま先しか見えていない状態で雪の中生き埋め。なのに生きているということに思わずギョッとしたが、とりあえずダンテは無事なよう。
「なーんだ生きてたんだ。ちっ」
本人にそこまでは聞こえないだろうと、舌打ちは忘れない。
とはいえ、自身も未だ太ももまで埋まったまま。雪の中から抜け出さないとである。
偶然にもそばに転がったストックを使い、らくらく脱出成功した逢夏は、つま先しか見えていないダンテ近く、周囲の雪をさらに固くすべく雪を踏みならした。これぞ、ちょっとした普段の仕返しの一環である。
そんな事されてもダンテは無事に生き埋め状態で生きている。
雪の下からは、くぐもった声と何やらガリガリいう音が聞こえてきていた。
「うえっぷ!
大丈夫か!埋もれるなよ逢夏!」
「え、もう雪から出て助かってますけど?…ダンテこそ大丈夫?」
「なん…だと…」
今更こちらの心配か。
自分の方がものすごい状態だというのに、この男は全く、お人好しにもほどがある。いや、この場合は悪魔好しか。
「はやくそこから出なさいよ。ダンテ、あんた今つま先しか出てないみっともない状態よ」
「ぬゎ~にぃ~!このオレがみっともない!?最悪だはやく出たい!でも体が!動かん!!」
「半魔のくせにだらしないなぁ。力あるでしょ。魔人化でもしたら?」
犬神家状態のダンテ超カッコ悪い。早いとこそこから出てもらわないと、草生えて爆笑死しそう。
つま先に向かって話しかけているのも、他人から見たら草生える気がするけど。
「この状況で魔人化はやばいだろ。
トリガーバーストで雪も吹っ飛ぶ→助かる→衝撃でまた雪崩→再び埋まるいたちごっこになるぞ」
「なにそれシュール。そうなる前に逃げなって。
てか、今どうやって喋ってるの?」
顔は完全に埋まっている状態だというに、どんどん声がはっきり聞こえるようになってきている。
顔周りに空洞ができなくては無理だと思うが…?
「周りの雪食いまくって隙間作ったぜ」
「食べたんかーい。お腹壊してもしらないからね」
雪を食べるという事は、有害物質や汚染物質を一緒に体内に取り込んでいるのと変わらない。
いくら体の丈夫なダンテとはいえ、半分は人間。体内にたっぷりとそんな雪を蓄えては、体をおかしくするかもしれない。
何より、冷たいものの食べ過ぎで腹下す。
悪魔も泣き出すデビルハンター、トイレで泣くの巻。
デビルトイレットクライ…嫌なタイトルだ。
「腹下し?そんときゃそんときだな。
それより!服が重い!雪が重い!めっちゃ重い!」
「落ち着きなよ。円を描くように足から動かしてけば、隙間が出来て抜け出せるから」
ジタバタとつま先だけが揺れ動いている。
少しずつその範囲が広がっているから、あと少し頑張れば簡単に抜け出せそうなものだが、中で逆立ち状態が長いダンテのことだ。きっと、頭に血が上って思考低下しているんだろう。
とりあえず言われた通りに足を動かし、次に手を動かし、そしてやっと雪から抜け出したダンテ。
「ん?おお、マジだ!やったぜオレ様復活!どーだ、すごいだろう!」
「何がすごいだろうよ。ちょっとは自分の頭で考えなって。
でも、ディーヴァちゃんが埋まった役じゃなくてよかったよね」
「ディーヴァ!そうだディーヴァは大丈夫なのか!?」
さすが半分悪魔。助かったダンテは怪我ひとつなく雪の上でピンピンしている。
そしてディーヴァへと考えが及んだ瞬間、多分だが雪に埋まっていた時よりも顔を青ざめさせたようだった。
「そんな事知らんがな~。
でも、ネロが一緒だから大丈夫じゃない?ダンテじゃなくてネロだから。ネロだから!」
「喧嘩売ってるならオレみたいにお前をこの雪の中に埋めるぞ逢夏」
「私も悪魔の姿に変わって雪の中に逆戻りさせてあげる。ダンテなんかに負けない自信あるわよ」
「オレだって負けねーぞ!」
「何をう!」
またもネロと比べられて少々頭にきたらしいダンテ。
売り言葉に買い言葉のようなやりとりの挙句、結局は悪魔化した逢夏と取っ組み合う形となった。
殴り合いなど直接攻撃に訴えぬ分いささかマシだが、互いの肩を掴んで雪の上をゴロゴロと転がり、そして。
ズボッ!
「……2人共嵌っちゃったじゃん」
「……ま~た雪の中に逆戻りかよ」
ダンテがさっきまで埋まっていた穴へと、戻る形になったのだった。
脱出しようと四苦八苦していると、場内全体にあの悪魔の甲高い声が反響して聞こえてきた。
『ケーッケッケッケ!
ゥたくミぃづつ、ぶンだぅ!
おまぃら、ヨ人ぉろっえ、ロッヂもぉル!そチたァか血ぃ!』
雪崩を起こし2つの組みに分けさせて、遭難させるというのが悪魔の狙いのよう。
とはいえ、元々2組に分かれて行動していたわけだが…。
「つまり雪崩はあの悪魔の仕業だったワケか。バカなことしてねぇで2人と合流するぞ」
「バカなことしてるのはダンテだけど、そうねー…下のロッジ付近に行きますかっと!」
ちなみに、ロッジ付近へと下ったとしてもネロとディーヴァはいない。
すでに移動した後であり、初心者コース付近にいるのだが、ダンテと逢夏は知る由もない。
「よいしょっと」
「ん」
「なによ?」
「ほらよ」
穴から這い出ようとした逢夏の顔の前、ダンテの手が視界を遮るように差し出される。
ダンテの顔と手とを交互に見ているとぐいっと手を引っ張られ、容易にそこから出られた。
「…どうも」
その一連の動作が、遠い昔のスパーダのそれと重なって見え、小さく礼を言うことしかできなかった。
調子狂う。やたら優しいダンテも、昔の思い出のことも。
…はやくネロ達と合流しなくちゃ。
***
そしてこちらは、無事に雪崩に巻き込まれずにすんだネロとディーヴァの組である。
「なるほど、今回はこういう展開なワケか。ふた組みに分断させて、合流してロッジに戻るまでがこのクジの内容らしい」
「やっぱりただのウィンタースポーツツアーじゃなかったんだね。ちょっとだけ期待してたのにな…」
そんな事少しでも思うのは頭の中がお花畑化してるお前だけだ。
とは思っても言わない、優しいネロだった。
「やれやれ、こりゃあ逢夏とダンテには簡単には会えないぞ?雪崩があれだけ大規模だったしなぁ」
「うん、そうだね。コース外れちゃったし簡単じゃなさそう…」
コースが外れたからだろう、ふんわり降ってきていた雪は徐々にその勢いを増している。長引けば、その内吹雪に変わってしまうだろう。
ダンテ達も遭難している可能性が高いが、こちらも絶賛遭難中なのだ。急がねば。
「でもこれであいつらは無事だとわかったな」
「どして?」
「分断した、って悪魔が言ったろ。あれでゲームオーバーしてたらそんな放送しないからな。
もっとも……ダンテも逢夏もそう簡単には死なないだろうけど」
「……殺しても死なない気がする」
「失敬な、それはダンテだけだろ。
ま、逢夏もただじゃ死なないから、そんなに心配しなくても大丈夫だと思うぜ。
ディーヴァは自分のこと最優先に考えろよ」
「うん、そうする…」
ネロはディーヴァが頷くのを見届けると、そこから移動を開始した。