御神籤 十一枚目
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さて、そうは言ったが、ネロもディーヴァもただひたすらダンテと逢夏の滑りを見ているのも飽きた。
2人が楽しそうに滑り降りてくる様子を見ながら雪うさぎを早々に作り終えると、ダンテと逢夏が3度目のリフトに乗り込んで消えたあたりで立ち上がる。
「せっかくだし、もう一回くらい初心者コース滑ってこようかな…」
「体調は大丈夫なのか?少しでも悪いなら、スキーは禁止だぞ」
心配性の父親に変身したネロが、ディーヴァの体調をこんなにも気にするようになってしまった。
思わず漏れる苦笑を顔に貼り付け、ディーヴァは首を振った。
「体調は悪くないよ。
雪山のおかげで随分涼んだし、お薬も効いてすっかりよくなったもの。ちゃんと酔いもさめたからヘーキ」
「なら別にいいけど、俺もついてくぞ。
ダンテにお前のこと任せとけって言った手前、1人にはできないからな」
保護者付きなのは別にいい。
下手くそである自分には、監督役がいた方が何かあった時安心である。
だが、ディーヴァが気にするのは。
「でも逢夏のことはどーするの?あたしとスキーしに行ったら逢夏嫉妬しちゃうかもよ?」
「あのなぁ…。どっか似てるからって、そんなところまでお前んとこのダンテと一緒だと思うなよ。
それくらいで逢夏はディーヴァ
に嫉妬するほど心狭くない」
「ほんとぉー?」
「……嫉妬するにしたって軽くだ。むしろダンテのが嫉妬すんだろ」
「あー、うん。ダンテはちょっとだけ心狭いからね」
じゃあお言葉に甘えて監督役お願いします、と2人でリフトに乗って初心者コースへ向かう。
乗っている途中でちらちらと雪が舞い始め、顔に氷の粒が当たって余計冷たい。
この雪の降りかた…吹雪に変わりそうだが、問題はどちらかといえば上級者コースの2人だろう。
こちら側より雪の降りかたが強そうな気がするが、大丈夫なのだろうか?
「この運勢はどの辺が大凶なんだろうな」
不安に思いつつも降り立った初心者コース。
スキー板を足に装着し直していれば、着いた早々ネロがぼそりと呟いた。
確かに未だ大凶という気がしない。前回の温泉旅行の余韻も手伝ってか、ウィンタースポーツのツアーパックのような感覚だ。
「うーん。それはこれからのお楽しみなんじゃないかな。前の常夏の運勢みたいに。常夏…うっ!頭が…!」
「おいおい無理に思い出すなよ」
自分で言っておきながら常夏のビーチ否、魔界の灼熱地獄を思い出したのか、頭を抱えるディーヴァ。
一番悲惨な目にあった本人が思い出すには、少々つらい運勢だったとだけ言っておこう。
ゴーーーー…。
その時とは正反対に暑さではなく寒さしか感じないこのゲレンデの中、突如その音は響いた。
地の底からやってきたような振動が伝わってくる。
「なんの音?地響き?」
「妙な気配や悪魔の気配はしないけど…地震か?」
悪魔に反応する右腕をネロがしきりに気にするので、ディーヴァも右腕の様子ばかりに気を取られていた。
そんな2人の横っ面に、パシッと叩きつけるように小さな雪のかけらが落ちてきた。
それも、ひとつではなく何個も。
「いたっ」
「な、なんだ…?」
かけらは徐々に大きくなり、かけらから塊へ変わり、当たると地味に痛い。
どんどんと地面の揺れる強さが大きくなっている。
「「ん?」」
と、2人が雪が落ちてきた方、上の方に振り向くと。
雪の壁が、板のようになってこちらへとものすごい勢いで滑り落ちてくるのが目に飛び込んできた。
地震よりひどい。これは………そう、雪崩だ!!
「な、雪崩ぇ!?」
「ボサッとすんな!こっちだディーヴァ!!」
「ひゃっ!えっえっ!?」
巻き込まれたら、ネロとて無事ではすまないかもしれない。死なないにしても、だ。
だがディーヴァだったら、何トンもの雪の重みで圧死という悲惨な最期を遂げる事間違いなしッ!
一巻の終わりが待っている。
ネロはディーヴァの手をぐいと引くと米俵のように担ぎ上げ、雪の斜面を大きく蹴り上げた。
グギッ!
ディーヴァはその際、足首を変な方向に倒した感覚があったが、素直に痛みを感じている暇などなかった。
***
ところ変わりまして、ネロ達が雪崩に巻き込まれる数分前のこと。
より激しく雪の降るスキー場の上部にて、ダンテと逢夏はウィンタースポーツを楽しんでいた。
「ちょっと飽きた」
が、ストックを放り出すと同時、逢夏は雪の上へ身を倒した。
……少なくとも、この瞬間までは心の底から楽しんでいたと断言できるだろう。
「そんな飽きるほど滑ってないだろうが。旦那がいないとやる気出ないってか?」
「ヤル気なんて出すわけないでしょ変態色欲大魔神」
「誰が変態色欲大魔神だ。誰が」
カタカナで言ってないという点にお気づきだろうか…?
それにしても、カタカナにするだけでどことなく卑猥な響きに聞こえるのだから困ったものである。
「あー、新鮮味が足んない。このままストックなしで滑ってみようかなー」
そのうち飽きたからといってとんでもないことを言い出した逢夏。
細いスキー板だけでバランスをとって滑るのは、いくらなんでも無謀だろう。少なくとも人間にとっては。
「いや…危ねぇからストックなしってのはやめとけよ」
「冒険心が足りない男だねぇダンテ。
細めのスノーボードみたいでいいでしょ?より高度なテクニックが必要になるだろうしテンション上がる!」
「テンション上げんでいい!逢夏になんかあったらオレがネロに殺されるからほんとやめてねぇやめて?」
ここに来るまで、何かあるたびネロに潰されてきたダンテの頭。
そろそろ自身の残機の減り具合が気になるところだし、すぐ治るとはいえ何度も痛い目に合うのは勘弁願いたい。ゴールドぶちゃいくもないし。
が、一番の理由は、ネロに頼まれた以上逢夏が無茶するのを放っておくわけにいかないから。
「じゃあスノボとスキー板交換してよ」
「…なんで交換しなきゃならん。ディーヴァにスノボでカッピョイイとこ見せるんだから却下!だ!」
「もう見せたでしょ。いいじゃん少しくらい」
逢夏の手が伸びてきて、ダンテのスノーボードを掴む。振りほどこうとしても、その手はスッポンの如く離れることはなかった。
「サイズだってあるだろ。自分で下まで滑ってって交換してこい!」
「えー。トリックスター使ってはやく移動できるんでしょ。ささっと滑ってささっとリフトで戻って来てよ。
……あ!トリックスター使って滑れば当社比0.5倍くらいはかっこよく見えると思うわよ~」
「おお、マジでか!?
…っておい。0.5倍って魅力半分に下がってんじゃねーか!んな話に乗るかボケェ!」
「あらー気がついちゃった?」
「そら気がつくわ」
「ディーヴァちゃん置いてくほど速かったもんねぇ?恋人だってのに置いてけぼりじゃあ、どうしたって魅力下がるよねぇ?」
「うっ…………うるせぃっ!」
ボードの端っこを掴んだままの逢夏の、ぼそぼそ呟く言葉がダンテの心にグサグサと突き刺さる。
瞬間ダンテはボードを無理に引っ張って逢夏から離れ、すぐ近くのキッカーへ滑り出した。
「そういうのはトゥー抜けの720回転でも簡単にできるようになってから言えぇい!
エイサーイハラマスコーイ!!」
そう言ったダンテが上空へと飛び出し、華麗に4回転して着地してみせる。
掛け声は絶対流行らない感じだが100点満点!
「ふん、悪魔化すれば私だってそれくらい簡単です。スノボじゃなくてスキー板でだって出来るわよ」
「そりゃ悪魔の力使えば簡単にこなせるだろ…スキー板でやるのはどうかと思うが。
そういう悪魔パワー抜きで言ってんだよ」
ダンテが戻ってきて呆れ混じりに言うのを、逢夏は鋭い視線で睨んだ。
「アンタは魔人化なんかしなくたって元から半分悪魔の力持ってるんだから飛べるのは決まってるでしょ。この体力馬鹿。
その力どっか置いてくるか私に渡すかしなさいよ!不公平でしょ!」
「んな無茶な」
「だいたいこの銀髪と青い目!親子揃ってそっくりすぎるのよ~!!」
「うわなにをするやめ。ネロだって同じ銀髪碧眼だろーが!いだだだだはげる!!」
「はげろ!!
それとネロはいいの!ダンテと違って心や瞳が穢れてないし綺麗なんだから!」
「解せぬ。オレのどこが穢れてるっていうんだ…」
「全部よ全部。
ディーヴァちゃんのこと、いっつも不埒なこと考えながら眺めてる鼻の下伸ばしっぱなしのオトコなんて、穢れてるに決まってるじゃない」
スパーダに似ているダンテを嬉しくも悔しい思いの逢夏が、ダンテの髪の毛をむんずと掴み引っこ抜こうとする。いや、何本か抜けて毛根死んだ。
その上逢夏の言い分、辛辣辛辣ゥ!
「はー…
そういうのって健全男子はみんな考えてることだろ。つまり、健全男子であるネロだって充分に穢れているのだ!」
「私のネロは!穢れてなどいない!!」
逢夏は烈火の如き勢いで凄まじく猛り、肉体を一瞬の内に悪魔化させる。
叫び声は大きく辺り一面に響き渡り、近くにいたダンテの鼓膜を破る勢いであった。
「悪魔化すんな。そして耳元で叫ぶな」
ひゅるひゅる悪魔化を解いている逢夏を眺めていると、こっちに向かって大きく地響きしてくるのがわかった。逢夏の怒りが地震でも起こしかのようだ。
「…あと地震も起こすなよ」
「はあ?地震なんて起こしてませんけど」
「じゃあなんだってんだよこの地響きは!雪の下にナマズでもいるってか?」
そしてふいに頭上を見上げたダンテと逢夏は目を見開いた。
積もった雪が雪煙を上げ、雪崩となって落ちてきていたのだ。
「な、雪崩ぇーーー!?巻き込まれる!」
「くそ、こんなもんアグニの炎で溶かしてやる…!」
出来るだけ安全な方へ急ぐ逢夏と、迎え討つべく背中につるした武器へと手をやるダンテ。
しかし今の装備はスキーウェアだったりする。
「何バカやってるの!アンタ今魔具どころか武器何も持ってないでしょ!」
「そうだった!ギャーーー!」
一人逃げ遅れたダンテは、雪崩に巻き込まれ雪上に虚しい犬神家!ポーズを晒すこととなった。
2人が楽しそうに滑り降りてくる様子を見ながら雪うさぎを早々に作り終えると、ダンテと逢夏が3度目のリフトに乗り込んで消えたあたりで立ち上がる。
「せっかくだし、もう一回くらい初心者コース滑ってこようかな…」
「体調は大丈夫なのか?少しでも悪いなら、スキーは禁止だぞ」
心配性の父親に変身したネロが、ディーヴァの体調をこんなにも気にするようになってしまった。
思わず漏れる苦笑を顔に貼り付け、ディーヴァは首を振った。
「体調は悪くないよ。
雪山のおかげで随分涼んだし、お薬も効いてすっかりよくなったもの。ちゃんと酔いもさめたからヘーキ」
「なら別にいいけど、俺もついてくぞ。
ダンテにお前のこと任せとけって言った手前、1人にはできないからな」
保護者付きなのは別にいい。
下手くそである自分には、監督役がいた方が何かあった時安心である。
だが、ディーヴァが気にするのは。
「でも逢夏のことはどーするの?あたしとスキーしに行ったら逢夏嫉妬しちゃうかもよ?」
「あのなぁ…。どっか似てるからって、そんなところまでお前んとこのダンテと一緒だと思うなよ。
それくらいで逢夏はディーヴァ
に嫉妬するほど心狭くない」
「ほんとぉー?」
「……嫉妬するにしたって軽くだ。むしろダンテのが嫉妬すんだろ」
「あー、うん。ダンテはちょっとだけ心狭いからね」
じゃあお言葉に甘えて監督役お願いします、と2人でリフトに乗って初心者コースへ向かう。
乗っている途中でちらちらと雪が舞い始め、顔に氷の粒が当たって余計冷たい。
この雪の降りかた…吹雪に変わりそうだが、問題はどちらかといえば上級者コースの2人だろう。
こちら側より雪の降りかたが強そうな気がするが、大丈夫なのだろうか?
「この運勢はどの辺が大凶なんだろうな」
不安に思いつつも降り立った初心者コース。
スキー板を足に装着し直していれば、着いた早々ネロがぼそりと呟いた。
確かに未だ大凶という気がしない。前回の温泉旅行の余韻も手伝ってか、ウィンタースポーツのツアーパックのような感覚だ。
「うーん。それはこれからのお楽しみなんじゃないかな。前の常夏の運勢みたいに。常夏…うっ!頭が…!」
「おいおい無理に思い出すなよ」
自分で言っておきながら常夏のビーチ否、魔界の灼熱地獄を思い出したのか、頭を抱えるディーヴァ。
一番悲惨な目にあった本人が思い出すには、少々つらい運勢だったとだけ言っておこう。
ゴーーーー…。
その時とは正反対に暑さではなく寒さしか感じないこのゲレンデの中、突如その音は響いた。
地の底からやってきたような振動が伝わってくる。
「なんの音?地響き?」
「妙な気配や悪魔の気配はしないけど…地震か?」
悪魔に反応する右腕をネロがしきりに気にするので、ディーヴァも右腕の様子ばかりに気を取られていた。
そんな2人の横っ面に、パシッと叩きつけるように小さな雪のかけらが落ちてきた。
それも、ひとつではなく何個も。
「いたっ」
「な、なんだ…?」
かけらは徐々に大きくなり、かけらから塊へ変わり、当たると地味に痛い。
どんどんと地面の揺れる強さが大きくなっている。
「「ん?」」
と、2人が雪が落ちてきた方、上の方に振り向くと。
雪の壁が、板のようになってこちらへとものすごい勢いで滑り落ちてくるのが目に飛び込んできた。
地震よりひどい。これは………そう、雪崩だ!!
「な、雪崩ぇ!?」
「ボサッとすんな!こっちだディーヴァ!!」
「ひゃっ!えっえっ!?」
巻き込まれたら、ネロとて無事ではすまないかもしれない。死なないにしても、だ。
だがディーヴァだったら、何トンもの雪の重みで圧死という悲惨な最期を遂げる事間違いなしッ!
一巻の終わりが待っている。
ネロはディーヴァの手をぐいと引くと米俵のように担ぎ上げ、雪の斜面を大きく蹴り上げた。
グギッ!
ディーヴァはその際、足首を変な方向に倒した感覚があったが、素直に痛みを感じている暇などなかった。
***
ところ変わりまして、ネロ達が雪崩に巻き込まれる数分前のこと。
より激しく雪の降るスキー場の上部にて、ダンテと逢夏はウィンタースポーツを楽しんでいた。
「ちょっと飽きた」
が、ストックを放り出すと同時、逢夏は雪の上へ身を倒した。
……少なくとも、この瞬間までは心の底から楽しんでいたと断言できるだろう。
「そんな飽きるほど滑ってないだろうが。旦那がいないとやる気出ないってか?」
「ヤル気なんて出すわけないでしょ変態色欲大魔神」
「誰が変態色欲大魔神だ。誰が」
カタカナで言ってないという点にお気づきだろうか…?
それにしても、カタカナにするだけでどことなく卑猥な響きに聞こえるのだから困ったものである。
「あー、新鮮味が足んない。このままストックなしで滑ってみようかなー」
そのうち飽きたからといってとんでもないことを言い出した逢夏。
細いスキー板だけでバランスをとって滑るのは、いくらなんでも無謀だろう。少なくとも人間にとっては。
「いや…危ねぇからストックなしってのはやめとけよ」
「冒険心が足りない男だねぇダンテ。
細めのスノーボードみたいでいいでしょ?より高度なテクニックが必要になるだろうしテンション上がる!」
「テンション上げんでいい!逢夏になんかあったらオレがネロに殺されるからほんとやめてねぇやめて?」
ここに来るまで、何かあるたびネロに潰されてきたダンテの頭。
そろそろ自身の残機の減り具合が気になるところだし、すぐ治るとはいえ何度も痛い目に合うのは勘弁願いたい。ゴールドぶちゃいくもないし。
が、一番の理由は、ネロに頼まれた以上逢夏が無茶するのを放っておくわけにいかないから。
「じゃあスノボとスキー板交換してよ」
「…なんで交換しなきゃならん。ディーヴァにスノボでカッピョイイとこ見せるんだから却下!だ!」
「もう見せたでしょ。いいじゃん少しくらい」
逢夏の手が伸びてきて、ダンテのスノーボードを掴む。振りほどこうとしても、その手はスッポンの如く離れることはなかった。
「サイズだってあるだろ。自分で下まで滑ってって交換してこい!」
「えー。トリックスター使ってはやく移動できるんでしょ。ささっと滑ってささっとリフトで戻って来てよ。
……あ!トリックスター使って滑れば当社比0.5倍くらいはかっこよく見えると思うわよ~」
「おお、マジでか!?
…っておい。0.5倍って魅力半分に下がってんじゃねーか!んな話に乗るかボケェ!」
「あらー気がついちゃった?」
「そら気がつくわ」
「ディーヴァちゃん置いてくほど速かったもんねぇ?恋人だってのに置いてけぼりじゃあ、どうしたって魅力下がるよねぇ?」
「うっ…………うるせぃっ!」
ボードの端っこを掴んだままの逢夏の、ぼそぼそ呟く言葉がダンテの心にグサグサと突き刺さる。
瞬間ダンテはボードを無理に引っ張って逢夏から離れ、すぐ近くのキッカーへ滑り出した。
「そういうのはトゥー抜けの720回転でも簡単にできるようになってから言えぇい!
エイサーイハラマスコーイ!!」
そう言ったダンテが上空へと飛び出し、華麗に4回転して着地してみせる。
掛け声は絶対流行らない感じだが100点満点!
「ふん、悪魔化すれば私だってそれくらい簡単です。スノボじゃなくてスキー板でだって出来るわよ」
「そりゃ悪魔の力使えば簡単にこなせるだろ…スキー板でやるのはどうかと思うが。
そういう悪魔パワー抜きで言ってんだよ」
ダンテが戻ってきて呆れ混じりに言うのを、逢夏は鋭い視線で睨んだ。
「アンタは魔人化なんかしなくたって元から半分悪魔の力持ってるんだから飛べるのは決まってるでしょ。この体力馬鹿。
その力どっか置いてくるか私に渡すかしなさいよ!不公平でしょ!」
「んな無茶な」
「だいたいこの銀髪と青い目!親子揃ってそっくりすぎるのよ~!!」
「うわなにをするやめ。ネロだって同じ銀髪碧眼だろーが!いだだだだはげる!!」
「はげろ!!
それとネロはいいの!ダンテと違って心や瞳が穢れてないし綺麗なんだから!」
「解せぬ。オレのどこが穢れてるっていうんだ…」
「全部よ全部。
ディーヴァちゃんのこと、いっつも不埒なこと考えながら眺めてる鼻の下伸ばしっぱなしのオトコなんて、穢れてるに決まってるじゃない」
スパーダに似ているダンテを嬉しくも悔しい思いの逢夏が、ダンテの髪の毛をむんずと掴み引っこ抜こうとする。いや、何本か抜けて毛根死んだ。
その上逢夏の言い分、辛辣辛辣ゥ!
「はー…
そういうのって健全男子はみんな考えてることだろ。つまり、健全男子であるネロだって充分に穢れているのだ!」
「私のネロは!穢れてなどいない!!」
逢夏は烈火の如き勢いで凄まじく猛り、肉体を一瞬の内に悪魔化させる。
叫び声は大きく辺り一面に響き渡り、近くにいたダンテの鼓膜を破る勢いであった。
「悪魔化すんな。そして耳元で叫ぶな」
ひゅるひゅる悪魔化を解いている逢夏を眺めていると、こっちに向かって大きく地響きしてくるのがわかった。逢夏の怒りが地震でも起こしかのようだ。
「…あと地震も起こすなよ」
「はあ?地震なんて起こしてませんけど」
「じゃあなんだってんだよこの地響きは!雪の下にナマズでもいるってか?」
そしてふいに頭上を見上げたダンテと逢夏は目を見開いた。
積もった雪が雪煙を上げ、雪崩となって落ちてきていたのだ。
「な、雪崩ぇーーー!?巻き込まれる!」
「くそ、こんなもんアグニの炎で溶かしてやる…!」
出来るだけ安全な方へ急ぐ逢夏と、迎え討つべく背中につるした武器へと手をやるダンテ。
しかし今の装備はスキーウェアだったりする。
「何バカやってるの!アンタ今魔具どころか武器何も持ってないでしょ!」
「そうだった!ギャーーー!」
一人逃げ遅れたダンテは、雪崩に巻き込まれ雪上に虚しい犬神家!ポーズを晒すこととなった。