御神籤 十枚目
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
静かな静かな旅館の一室。
身じろぎ一つの後、ようやくネロが目を覚ました。
青い眼のすぐ目の前にはなんだか複雑そうな茶色の眼。
それを知りながら、ネロはそっと微笑むと真上にある頬に手を伸ばした。
「おはよう。」
「…おはようございます。」
「ダンテとディーヴァは?」
「ネロが寝ていたので先にご飯とお風呂に行ってもらいました。」
「あっ、そ。
じゃあ俺たちも行くか。」
軽く起き上がったネロは起き抜けの体をしっかりと伸ばし、椅子にかけてあった自らのコートを手に取った。
が、いつまでたっても座り込んだまま、出かける準備を始めようともしない逢夏に視線を向ける。
するとおずおずと逢夏がネロの方へと顔を上げた。
「怒って、ない?」
「怒る?
あぁ…悪魔に俺を思いっきり殴れってけしかけたことをか。
ほんと、あんな短時間に結構器用だな、お前。」
「………。」
「んー、そうだな…。」
あっさり認めた逢夏にネロは何気なく言葉を返す。
怒っているわけではなさそうな声音に更に不安を煽られたのか逢夏は所在なさげに身を小さくした。
するとネロはそんな逢夏の目線に合わせるように膝を折る。
「怒って欲しい?」
「…分かんない。
そういうネロは、怒る気ないのね。」
「だな。
確かに痛かったんだけど…殴らせた理由はなんとなく分かってるし。」
苦笑したネロが起きた時のように逢夏の頬に手のひらをそっと当てる。
優しい温かさに一文字に結ばれた唇が緩み、委ねるように細められる眼を確認してネロは小さくうなづいた。
「うちの嫁にも困ったもんだな。
どれだけ言っても、どれだけ伝えてもすぐこうだ。
過去のお前なんてどうでもいいんだよ。
俺に重要なのは今の逢夏の気持ちなんだから。」
「…うんっ。」
「それとも何か、やっぱり比べたら向こうがいいって?」
「それはないっ!」
「なら問題ないだろ?
さてと……ん?」
大方、先ほどのくじでバレたくなかった秘密がバレていじけているのだろうとなんとなく予想してみれば、まさにその通り。
一緒に一歩進んだと思えば勝手に二歩後ずさって行くんだから世話の焼けるやつだなどと思いながら、ネロはふとベランダの方へと視線をやった。
「なぁ、逢夏。」
「はーい?」
「確かに怒ってはないんだけどさ。
もちろん、詫びくらいはしてくれるよな?」
「……?
ネロが望むなら?」
この後、逢夏は思った。
血は争えないということを。
-----------------------------------------
バタンとドアが開く音が聞こえ、パタパタと二人分の足音が部屋に響く。
楽しげな声とちょっとだけトーンが落ちた声と二つが少しの間部屋を満たしていた、かと思えば。
後者の方だったダンテが何かに気づいたらしい。
部屋を出た時には開いていたはずカーテンの方へ、足音を荒げながら向かうとぴったりしまっていたそれを思い切り開けた。
…すると
「よぉ。」
「ちょっとー、普通声くらいかけるのがマナーじゃないの?」
「黙れてめえら!
ひとを追い出しといて、てめぇらだけお楽しみなんてどうなってんだこら!」
ダンテの目の前にはベランダに備え付けてあった露天風呂。
案外広いそこで外を眺めるように湯の中で寄り添う二人にダンテが怒鳴った。
が、そんなことで一々驚く二人ではない。
二人してキョトンと顔を見合わせると首を傾げながら、やっぱり二人してダンテの方へと向いた。
「ダンテにも混浴の場所教えたげたじゃん。」
「他人がいるかもしれねぇようなところでディーヴァの裸晒させると思ってんのか!
涙を飲んで別々で入ったわ、このどあほ!」
「アホとか言うなって。
ま、確かにダンテの言う通りか…。
逢夏、もう少し考えてやれよ。」
ダンテの言うことに正当性を見出したか、ネロが逢夏を窘める。
「いやー…だってなんにせよ混浴入るとは思ってなかったし。
と言うか、涙を飲んだって…ディーヴァちゃん、混浴入るって言ったの?」
「ふぇ?
えっと、うーんと…言った、かな?」
「あらま、それは失敬。」
ポッと頬を赤らめながら答えるディーヴァに意外そうな声をあげながらダンテに軽く詫びてみせる逢夏。
その後、とりあえず怒り冷めやらぬダンテにカーテンを閉めさせ、風呂から出て来たネロと逢夏にやっぱりダンテが噛み付いたのは言うまでもない。
身じろぎ一つの後、ようやくネロが目を覚ました。
青い眼のすぐ目の前にはなんだか複雑そうな茶色の眼。
それを知りながら、ネロはそっと微笑むと真上にある頬に手を伸ばした。
「おはよう。」
「…おはようございます。」
「ダンテとディーヴァは?」
「ネロが寝ていたので先にご飯とお風呂に行ってもらいました。」
「あっ、そ。
じゃあ俺たちも行くか。」
軽く起き上がったネロは起き抜けの体をしっかりと伸ばし、椅子にかけてあった自らのコートを手に取った。
が、いつまでたっても座り込んだまま、出かける準備を始めようともしない逢夏に視線を向ける。
するとおずおずと逢夏がネロの方へと顔を上げた。
「怒って、ない?」
「怒る?
あぁ…悪魔に俺を思いっきり殴れってけしかけたことをか。
ほんと、あんな短時間に結構器用だな、お前。」
「………。」
「んー、そうだな…。」
あっさり認めた逢夏にネロは何気なく言葉を返す。
怒っているわけではなさそうな声音に更に不安を煽られたのか逢夏は所在なさげに身を小さくした。
するとネロはそんな逢夏の目線に合わせるように膝を折る。
「怒って欲しい?」
「…分かんない。
そういうネロは、怒る気ないのね。」
「だな。
確かに痛かったんだけど…殴らせた理由はなんとなく分かってるし。」
苦笑したネロが起きた時のように逢夏の頬に手のひらをそっと当てる。
優しい温かさに一文字に結ばれた唇が緩み、委ねるように細められる眼を確認してネロは小さくうなづいた。
「うちの嫁にも困ったもんだな。
どれだけ言っても、どれだけ伝えてもすぐこうだ。
過去のお前なんてどうでもいいんだよ。
俺に重要なのは今の逢夏の気持ちなんだから。」
「…うんっ。」
「それとも何か、やっぱり比べたら向こうがいいって?」
「それはないっ!」
「なら問題ないだろ?
さてと……ん?」
大方、先ほどのくじでバレたくなかった秘密がバレていじけているのだろうとなんとなく予想してみれば、まさにその通り。
一緒に一歩進んだと思えば勝手に二歩後ずさって行くんだから世話の焼けるやつだなどと思いながら、ネロはふとベランダの方へと視線をやった。
「なぁ、逢夏。」
「はーい?」
「確かに怒ってはないんだけどさ。
もちろん、詫びくらいはしてくれるよな?」
「……?
ネロが望むなら?」
この後、逢夏は思った。
血は争えないということを。
-----------------------------------------
バタンとドアが開く音が聞こえ、パタパタと二人分の足音が部屋に響く。
楽しげな声とちょっとだけトーンが落ちた声と二つが少しの間部屋を満たしていた、かと思えば。
後者の方だったダンテが何かに気づいたらしい。
部屋を出た時には開いていたはずカーテンの方へ、足音を荒げながら向かうとぴったりしまっていたそれを思い切り開けた。
…すると
「よぉ。」
「ちょっとー、普通声くらいかけるのがマナーじゃないの?」
「黙れてめえら!
ひとを追い出しといて、てめぇらだけお楽しみなんてどうなってんだこら!」
ダンテの目の前にはベランダに備え付けてあった露天風呂。
案外広いそこで外を眺めるように湯の中で寄り添う二人にダンテが怒鳴った。
が、そんなことで一々驚く二人ではない。
二人してキョトンと顔を見合わせると首を傾げながら、やっぱり二人してダンテの方へと向いた。
「ダンテにも混浴の場所教えたげたじゃん。」
「他人がいるかもしれねぇようなところでディーヴァの裸晒させると思ってんのか!
涙を飲んで別々で入ったわ、このどあほ!」
「アホとか言うなって。
ま、確かにダンテの言う通りか…。
逢夏、もう少し考えてやれよ。」
ダンテの言うことに正当性を見出したか、ネロが逢夏を窘める。
「いやー…だってなんにせよ混浴入るとは思ってなかったし。
と言うか、涙を飲んだって…ディーヴァちゃん、混浴入るって言ったの?」
「ふぇ?
えっと、うーんと…言った、かな?」
「あらま、それは失敬。」
ポッと頬を赤らめながら答えるディーヴァに意外そうな声をあげながらダンテに軽く詫びてみせる逢夏。
その後、とりあえず怒り冷めやらぬダンテにカーテンを閉めさせ、風呂から出て来たネロと逢夏にやっぱりダンテが噛み付いたのは言うまでもない。