ダイススロー 9回目
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2人の驚愕の声を聞き、一もニもなく駆けつけたネロによって事態が収拾されるまでに要した時間はたっぷり数十分だった。
「はぁ…。
寿命が縮まるかと思ったぜ…。」
「もう…、心臓に悪いよぉ。」
「お前ら、いくらなんでも驚き過ぎだ。」
呆れたようにため息をついたネロは放ってあったアルバムを大切そうに開いて2人に見せる。
「ほらっ、これがお前らの言うとおり、ここの世界のダンテだ。
て言っても、これだって1年前のダンテだけどな。」
「これが1年前…?
それじゃあ、今はこれより1年だけ歳をとってるってこと、だよね?
…信じられない。」
「……はっ、よく見りゃいい男じゃねぇか。
さすがオレだな。」
「言ってろ。
とりあえず、こっちじゃダンテと言えば右に出るものはいない最強のデビルハンター。
2年前まで俺はこいつの下で修行してたんだ。
修行っていってもなんにも教えちゃくれなかったけどな。」
何か質問は?
簡単に説明を終えたネロが首を傾げる。
それにはディーヴァが元気よく手をあげた。
「はいはい!
この周りの女の人は?」
「それは内緒だ。
多分これから会うだろうし、だったら知らない方が良いだろ?」
「そっか。
…でも…。」
心配そうに伏せたまつげを震わせるディーヴァ。
何を言わんとしているか気付いたネロは苦笑して首を横に振った。
「彼女とかじゃねぇから安心しろ。
本人達は腐れ縁だとか言ってたし、そんな雰囲気も一切なかったよ。」
「本当!?
よかった…。」
ほっと胸を撫で下ろしたディーヴァを見、再び訪れる質問タイム。
そこで黙っていたダンテが口を開く。
「じゃあ、せっかくだ。
お前と逢夏の馴初め聞かせろよ。」
「はぁ!?
な、馴初め!!?」
「あ!それ、あたしも聞きたい!」
突然の質問に顔を赤くして後ずさるネロ。
そんなネロにずいずいと間を詰めていくディーヴァとダンテ。
数秒して、仕方なしといった感じにネロはゆっくりと話出した。
「馴初めもなにも…、前に逢夏が説明した通りだ。
3年前に俺とこのダンテが依頼で出た先で悪魔に襲われてた逢夏を保護して…。
その頃から贄と主って関係の所為かお互い意識してた…らしいけど、とにかく元凶の悪魔をぶっ倒して、結婚した。
……そんだけ。」
「そんだけって、お前それじゃあ…」
「贄と主だから結婚した。
って聞こえるけど…?」
それじゃあ、贄と主という関係じゃなかったら結婚しなかったの?
ディーヴァが問うと案外簡単にネロは頷く。
「結婚しなかった。
というより、出来なかった。」
「出来ないって、…なんでだ?」
「逢夏は主が居ようが居まいが悪魔に殺されていたはずなんだ。
運よく俺みたいなのを主にして、こうやって生きてるわけだけど…」
「「だけど?」」
「贄は主から離れられない。
贄の本能らしくてさ、本心から主には絶対服従なんだ。
だから例えば、逢夏の主がここのダンテだったとしたら、逢夏はダンテの側を選んだはず。
俺には目もくれなかっただろうな。」
だけど。
ネロは苦笑して、俯きかけていた顔をあげた。
「実際にあいつの主は俺だ。
好きになったきっかけは"贄が欲しい"って悪魔としての本能だったのは認めるし
…白状すると、今だって逢夏は贄の本能の所為で俺の気持ちに応えさせられてる…俺を愛してると思わせられてる部分があるのも認める。
でも、きっかけとか贄の本能はともかく、俺は逢夏を愛してるんだ。
責任を感じたとか、そういうのじゃなく…。
ここに来てからずっと苦しんできたあいつを少しでも幸せにしてやりたい、あいつを出来るだけ笑顔でいさせたい、そう思ってる。
ま…結局、俺の一方的な感情を贄と主って関係を利用して押し付けてるだけって話なんだけど…
…って!?
あ~~~、くそっ!
言う気が無かったことまでいっちまったじゃねーか!」
ガシガシと乱暴に頭を掻いたネロは丸めて横に放っていたエプロンを握りしめるとキッチンの方にドタドタと駆け足並みの速度で消えていってしまう。
ただ、その前に
「忘れろ!
いいな、絶対忘れろよ!?」
顔を覗かせたネロがそう釘を差して今度こそキッチンに行ってしまった。
本日何度目か置いてけぼりを食らった2人はネロがいなくなったほうを見つめ
「…あいつ、オレより年上なのにスゲェ純真なのなぁ。」
「なんていうか…すごく一途なんだね。
ダンテも見習ってよね。」
「何言ってんだよ。
オレはいつだってディーヴァ一筋なんだぜ?」
「残念!一筋と一途は違いますー!」
ぶんぶんと音を立てて首を振ったディーヴァは開きっぱなしだったアルバムを閉じ、もう開けてしまわないようにと本棚に収めた。
もし聞く機会が再び有っても、もう聞かない方がいいのかもしれない。
これは大人になりきれていない自分たちにとってまだまだ遠くの話だったのだ。
そう、自分に言い聞かせながら。
ただそこで…カタンと収めようとしたアルバムの角が小さな瓶に当たる。
丸いそれはカーペットに落ちて転がるがディーヴァが難なく拾い上げた。
幸い瓶も中身も割れてはいないようで無事のよう。
けれど…
「これ、なんだろう?」
「ディーヴァ、どうした?」
「ううん!なんでもない!」
ダンテの声を聞き、瓶を元あった場所へとすぐさま戻した。
戻したはいい、……がしかし、あの瓶の中身、赤い破片から感じる嫌な悪寒にディーヴァは身を震わせた。
「はぁ…。
寿命が縮まるかと思ったぜ…。」
「もう…、心臓に悪いよぉ。」
「お前ら、いくらなんでも驚き過ぎだ。」
呆れたようにため息をついたネロは放ってあったアルバムを大切そうに開いて2人に見せる。
「ほらっ、これがお前らの言うとおり、ここの世界のダンテだ。
て言っても、これだって1年前のダンテだけどな。」
「これが1年前…?
それじゃあ、今はこれより1年だけ歳をとってるってこと、だよね?
…信じられない。」
「……はっ、よく見りゃいい男じゃねぇか。
さすがオレだな。」
「言ってろ。
とりあえず、こっちじゃダンテと言えば右に出るものはいない最強のデビルハンター。
2年前まで俺はこいつの下で修行してたんだ。
修行っていってもなんにも教えちゃくれなかったけどな。」
何か質問は?
簡単に説明を終えたネロが首を傾げる。
それにはディーヴァが元気よく手をあげた。
「はいはい!
この周りの女の人は?」
「それは内緒だ。
多分これから会うだろうし、だったら知らない方が良いだろ?」
「そっか。
…でも…。」
心配そうに伏せたまつげを震わせるディーヴァ。
何を言わんとしているか気付いたネロは苦笑して首を横に振った。
「彼女とかじゃねぇから安心しろ。
本人達は腐れ縁だとか言ってたし、そんな雰囲気も一切なかったよ。」
「本当!?
よかった…。」
ほっと胸を撫で下ろしたディーヴァを見、再び訪れる質問タイム。
そこで黙っていたダンテが口を開く。
「じゃあ、せっかくだ。
お前と逢夏の馴初め聞かせろよ。」
「はぁ!?
な、馴初め!!?」
「あ!それ、あたしも聞きたい!」
突然の質問に顔を赤くして後ずさるネロ。
そんなネロにずいずいと間を詰めていくディーヴァとダンテ。
数秒して、仕方なしといった感じにネロはゆっくりと話出した。
「馴初めもなにも…、前に逢夏が説明した通りだ。
3年前に俺とこのダンテが依頼で出た先で悪魔に襲われてた逢夏を保護して…。
その頃から贄と主って関係の所為かお互い意識してた…らしいけど、とにかく元凶の悪魔をぶっ倒して、結婚した。
……そんだけ。」
「そんだけって、お前それじゃあ…」
「贄と主だから結婚した。
って聞こえるけど…?」
それじゃあ、贄と主という関係じゃなかったら結婚しなかったの?
ディーヴァが問うと案外簡単にネロは頷く。
「結婚しなかった。
というより、出来なかった。」
「出来ないって、…なんでだ?」
「逢夏は主が居ようが居まいが悪魔に殺されていたはずなんだ。
運よく俺みたいなのを主にして、こうやって生きてるわけだけど…」
「「だけど?」」
「贄は主から離れられない。
贄の本能らしくてさ、本心から主には絶対服従なんだ。
だから例えば、逢夏の主がここのダンテだったとしたら、逢夏はダンテの側を選んだはず。
俺には目もくれなかっただろうな。」
だけど。
ネロは苦笑して、俯きかけていた顔をあげた。
「実際にあいつの主は俺だ。
好きになったきっかけは"贄が欲しい"って悪魔としての本能だったのは認めるし
…白状すると、今だって逢夏は贄の本能の所為で俺の気持ちに応えさせられてる…俺を愛してると思わせられてる部分があるのも認める。
でも、きっかけとか贄の本能はともかく、俺は逢夏を愛してるんだ。
責任を感じたとか、そういうのじゃなく…。
ここに来てからずっと苦しんできたあいつを少しでも幸せにしてやりたい、あいつを出来るだけ笑顔でいさせたい、そう思ってる。
ま…結局、俺の一方的な感情を贄と主って関係を利用して押し付けてるだけって話なんだけど…
…って!?
あ~~~、くそっ!
言う気が無かったことまでいっちまったじゃねーか!」
ガシガシと乱暴に頭を掻いたネロは丸めて横に放っていたエプロンを握りしめるとキッチンの方にドタドタと駆け足並みの速度で消えていってしまう。
ただ、その前に
「忘れろ!
いいな、絶対忘れろよ!?」
顔を覗かせたネロがそう釘を差して今度こそキッチンに行ってしまった。
本日何度目か置いてけぼりを食らった2人はネロがいなくなったほうを見つめ
「…あいつ、オレより年上なのにスゲェ純真なのなぁ。」
「なんていうか…すごく一途なんだね。
ダンテも見習ってよね。」
「何言ってんだよ。
オレはいつだってディーヴァ一筋なんだぜ?」
「残念!一筋と一途は違いますー!」
ぶんぶんと音を立てて首を振ったディーヴァは開きっぱなしだったアルバムを閉じ、もう開けてしまわないようにと本棚に収めた。
もし聞く機会が再び有っても、もう聞かない方がいいのかもしれない。
これは大人になりきれていない自分たちにとってまだまだ遠くの話だったのだ。
そう、自分に言い聞かせながら。
ただそこで…カタンと収めようとしたアルバムの角が小さな瓶に当たる。
丸いそれはカーペットに落ちて転がるがディーヴァが難なく拾い上げた。
幸い瓶も中身も割れてはいないようで無事のよう。
けれど…
「これ、なんだろう?」
「ディーヴァ、どうした?」
「ううん!なんでもない!」
ダンテの声を聞き、瓶を元あった場所へとすぐさま戻した。
戻したはいい、……がしかし、あの瓶の中身、赤い破片から感じる嫌な悪寒にディーヴァは身を震わせた。