ダイススロー 7回目
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もし空気に色がついたとしたら、きっと今このリビングは薄いピンクがかって見えることだろう。
そんな温かな……というより、有り体にしかしオブラートに包んで言うなら2人の世界が2つ存在している一室。
そこにヒタヒタと音にもなっていない足音が響いた。
「逢夏、ネロ、どうしたのだ。
いつもならそろそろ夕食の準備を始める頃だろ……う、!?」
前触れもなくリビングへとやってきたのはふかふかの尾を揺らす真っ白な猫。
入ってくるのはいいのだ、青い首輪から察するに飼い猫なのだろうから。
しかし、驚きに言葉を失ったのか何度も瞬きして見上げてくる青い眼差しと同じく忙しく瞬きを繰り返すエメラルドの眼差しがしっかりと交わった。
「ダンテ。
今…猫が喋った、よね?」
「あ、あぁ。
喋った、よな?」
「にゃ、にゃ~~~ん?」
「「今さらそんな猫のフリしたって遅いからな(ね)!?」」
ディーヴァとダンテに声を揃えて言われた白猫はさらに驚いたのか、猛ダッシュで逢夏とネロの元へ。
2人の足にすりすりと甘えるように体をこすりつけ、ごろごろと喉を鳴らすのは必死の猫アピールなのだろう。
けれど、悲しいかな。
ディーヴァもダンテもしっかりとこの耳で聞いたのだ。
「おい、ネロ!
なんだよその猫!?」
「あ?
あぁ…なんだよ、シャティか。」
「そんなに落ち着いてる場合じゃないよ!
その猫、さっき…!」
「喋ったでしょ?」
呆気らかん。
ネロと逢夏は当たり前と言わんばかりに同じ方向へと小首を傾げた。
「そう!そうなの!喋っ…え?」
「シャティは喋るよ。
だって、見た目は猫だけど悪魔だもの。」
「悪…魔!?」
「ダンテ、んな構えなくったってシャティはディーヴァを襲いやしねぇよ。
俺と一緒に逢夏を守ってくれてる、話のわかる悪魔だ。」
「話が分かるもなにも我は逢夏の守護獣であるからな。」
喋って良い雰囲気であるという事が分かるや否や、シャティという猫は人間で言えば胸に当たる部分を逸らしてふんぞり返った。
しかしそこに響く『くぅ…』と小さな腹の虫の鳴き声。
「…逢夏、我は食事の催促に来たのだが。」
「え?あ、もうこんな時間!?
ごめんね、ご飯にするから。
皆も疲れたでしょ?お夕飯にしようよ!」
手伝いをとディーヴァが声をかけたがすぐに出来るからと1人キッチンに消える逢夏。
取り残された3人と1匹はそれぞれ食事までとくつろぐ。
かと思いきや
興味津津に向けられる好奇の視線にシャティがゆるゆるとディーヴァを見上げた。
「我がそんなに物珍しいか?」
「だって、喋る猫なんて悪魔だとしても珍しいでしょ?
でもそれよりも…悪魔が、ご飯の催促?」
「それがどうした。
其方の様な天使も食事が必要な様に我も腹は減る。」
「そっか…え?今、…なんで?」
自己紹介する前だと言うのに白猫が発した『天使』と言う言葉。
何故分かる、ディーヴァが聞く前にダンテが口を開いた。
「おい、悪魔。
なんでお前、すぐにディーヴァが天使だって見抜きやがった。」
「悪魔ではない、シャティだ。
そんなもの匂いで分かる。
伊達に何千年と生きていたわけではないぞ。
…そう言うお前は…何故、ダンテの匂いがするのだ?」
怪訝に目を細めてダンテを睨むシャティ。
それにすぐさまネロが説明を入れると、納得したのか再び大きな目をくりくりとさせてシャティはダンテを見上げた。
「そうか。
しかし、天使を保護するなど苦労性は相変わらずのようだ。」
「苦労?はっ、んなわけねーだろ。
運命の赤い糸ってやつに導かれただけだっつーの!」
「……。
其方はディーヴァというのだな。」
「おい!話振っといて無視かよ!?」
呆れたと言わんばかりにダンテにそっぽ向いたシャティは今度はディーヴァのほうへ。
てこてこと歩むと、その足に前足をそっと乗せた。
「な、なに?」
「天使という身の上故、苦労が絶えぬだろうがこの男を信頼すればなんとかなるだろう。
まま信頼ならぬ性情の持ち主とはいえ今はまだまだだがいずれ腕も確かとなろう。」
「は、はぁ…。
とりあえず、ダンテを信頼してればいい…ってことだよね?」
「そう言う事だ。」
「てっめぇ…今小声でなにいいやがった…?
大体、なんでそんな偉そうなんだよ!!」
「ダンテ、落ち着けよ。
言っとくけどな、シャティもそこらの悪魔に比べればまぁまぁやる方だからケンカだけは売ってくれるなよ。」
始終偉そうな口調の猫もどきにイライラとするダンテ。
そんなダンテを必死にネロが宥めるものの、あんな会話で何故か距離が近くなったディーヴァとシャティにダンテのストレスゲージは振りきらんばかり。
しかしそれも
「はーい、できたよー!
せっかく皆でボードゲームしてるんだから、それっぽくピザを焼いたよ!」
「ピザ!?
うわっ、しっかりオリーブ抜きだし!
逢夏!ディーヴァとリベリオンの次に愛してるぜ!」
「わー、美味しそう!
野菜もたくさんのってる!」
「ふふ、喜んでくれてなによりだよ。
2人とも食べざかりだもん、まだ生地のストックがあるから遠慮しないでね。」
「マジで!?よっしゃ、食うぜー!」
「あ、ダンテ!?
ちゃんと手洗って来なきゃダメだってば!
逢夏、キッチン借りるね?」
キッチンに向かったダンテとディーヴァを見送った逢夏はボードゲームをテーブルの端に寄せ、布巾で拭き始める。
ネロはと言えば、その横で一切れピザを取ると小皿に乗せてシャティへと寄越した。
「おい。
これ…こっちのダンテが来る様にって用意してたやつだろ。ダンテが怒るぞ。」
「新しく用意すれば良いでしょ別に。
それに"ダンテが食べたんだよ"って言えばどうにかなるよ。」
大丈夫。
ニコニコと笑って済ませる逢夏にネロはいつか食べ物の恨みの恐ろしさを思い出させなければと思うのだった。
そんな温かな……というより、有り体にしかしオブラートに包んで言うなら2人の世界が2つ存在している一室。
そこにヒタヒタと音にもなっていない足音が響いた。
「逢夏、ネロ、どうしたのだ。
いつもならそろそろ夕食の準備を始める頃だろ……う、!?」
前触れもなくリビングへとやってきたのはふかふかの尾を揺らす真っ白な猫。
入ってくるのはいいのだ、青い首輪から察するに飼い猫なのだろうから。
しかし、驚きに言葉を失ったのか何度も瞬きして見上げてくる青い眼差しと同じく忙しく瞬きを繰り返すエメラルドの眼差しがしっかりと交わった。
「ダンテ。
今…猫が喋った、よね?」
「あ、あぁ。
喋った、よな?」
「にゃ、にゃ~~~ん?」
「「今さらそんな猫のフリしたって遅いからな(ね)!?」」
ディーヴァとダンテに声を揃えて言われた白猫はさらに驚いたのか、猛ダッシュで逢夏とネロの元へ。
2人の足にすりすりと甘えるように体をこすりつけ、ごろごろと喉を鳴らすのは必死の猫アピールなのだろう。
けれど、悲しいかな。
ディーヴァもダンテもしっかりとこの耳で聞いたのだ。
「おい、ネロ!
なんだよその猫!?」
「あ?
あぁ…なんだよ、シャティか。」
「そんなに落ち着いてる場合じゃないよ!
その猫、さっき…!」
「喋ったでしょ?」
呆気らかん。
ネロと逢夏は当たり前と言わんばかりに同じ方向へと小首を傾げた。
「そう!そうなの!喋っ…え?」
「シャティは喋るよ。
だって、見た目は猫だけど悪魔だもの。」
「悪…魔!?」
「ダンテ、んな構えなくったってシャティはディーヴァを襲いやしねぇよ。
俺と一緒に逢夏を守ってくれてる、話のわかる悪魔だ。」
「話が分かるもなにも我は逢夏の守護獣であるからな。」
喋って良い雰囲気であるという事が分かるや否や、シャティという猫は人間で言えば胸に当たる部分を逸らしてふんぞり返った。
しかしそこに響く『くぅ…』と小さな腹の虫の鳴き声。
「…逢夏、我は食事の催促に来たのだが。」
「え?あ、もうこんな時間!?
ごめんね、ご飯にするから。
皆も疲れたでしょ?お夕飯にしようよ!」
手伝いをとディーヴァが声をかけたがすぐに出来るからと1人キッチンに消える逢夏。
取り残された3人と1匹はそれぞれ食事までとくつろぐ。
かと思いきや
興味津津に向けられる好奇の視線にシャティがゆるゆるとディーヴァを見上げた。
「我がそんなに物珍しいか?」
「だって、喋る猫なんて悪魔だとしても珍しいでしょ?
でもそれよりも…悪魔が、ご飯の催促?」
「それがどうした。
其方の様な天使も食事が必要な様に我も腹は減る。」
「そっか…え?今、…なんで?」
自己紹介する前だと言うのに白猫が発した『天使』と言う言葉。
何故分かる、ディーヴァが聞く前にダンテが口を開いた。
「おい、悪魔。
なんでお前、すぐにディーヴァが天使だって見抜きやがった。」
「悪魔ではない、シャティだ。
そんなもの匂いで分かる。
伊達に何千年と生きていたわけではないぞ。
…そう言うお前は…何故、ダンテの匂いがするのだ?」
怪訝に目を細めてダンテを睨むシャティ。
それにすぐさまネロが説明を入れると、納得したのか再び大きな目をくりくりとさせてシャティはダンテを見上げた。
「そうか。
しかし、天使を保護するなど苦労性は相変わらずのようだ。」
「苦労?はっ、んなわけねーだろ。
運命の赤い糸ってやつに導かれただけだっつーの!」
「……。
其方はディーヴァというのだな。」
「おい!話振っといて無視かよ!?」
呆れたと言わんばかりにダンテにそっぽ向いたシャティは今度はディーヴァのほうへ。
てこてこと歩むと、その足に前足をそっと乗せた。
「な、なに?」
「天使という身の上故、苦労が絶えぬだろうがこの男を信頼すればなんとかなるだろう。
まま信頼ならぬ性情の持ち主とはいえ今はまだまだだがいずれ腕も確かとなろう。」
「は、はぁ…。
とりあえず、ダンテを信頼してればいい…ってことだよね?」
「そう言う事だ。」
「てっめぇ…今小声でなにいいやがった…?
大体、なんでそんな偉そうなんだよ!!」
「ダンテ、落ち着けよ。
言っとくけどな、シャティもそこらの悪魔に比べればまぁまぁやる方だからケンカだけは売ってくれるなよ。」
始終偉そうな口調の猫もどきにイライラとするダンテ。
そんなダンテを必死にネロが宥めるものの、あんな会話で何故か距離が近くなったディーヴァとシャティにダンテのストレスゲージは振りきらんばかり。
しかしそれも
「はーい、できたよー!
せっかく皆でボードゲームしてるんだから、それっぽくピザを焼いたよ!」
「ピザ!?
うわっ、しっかりオリーブ抜きだし!
逢夏!ディーヴァとリベリオンの次に愛してるぜ!」
「わー、美味しそう!
野菜もたくさんのってる!」
「ふふ、喜んでくれてなによりだよ。
2人とも食べざかりだもん、まだ生地のストックがあるから遠慮しないでね。」
「マジで!?よっしゃ、食うぜー!」
「あ、ダンテ!?
ちゃんと手洗って来なきゃダメだってば!
逢夏、キッチン借りるね?」
キッチンに向かったダンテとディーヴァを見送った逢夏はボードゲームをテーブルの端に寄せ、布巾で拭き始める。
ネロはと言えば、その横で一切れピザを取ると小皿に乗せてシャティへと寄越した。
「おい。
これ…こっちのダンテが来る様にって用意してたやつだろ。ダンテが怒るぞ。」
「新しく用意すれば良いでしょ別に。
それに"ダンテが食べたんだよ"って言えばどうにかなるよ。」
大丈夫。
ニコニコと笑って済ませる逢夏にネロはいつか食べ物の恨みの恐ろしさを思い出させなければと思うのだった。