次の瞬間には、その場はプラットホームから見慣れたリビングへと変わった。

いまだうつむいたままのディーヴァにそっとダンテが近寄る。

「ディーヴァ、オレも恐いか？」
「…ちょっぴり」

震える声音でディーヴァが言う。
その視線はまだダンテを見てはいなかった。

「オレはディーヴァが嫌がることは何もしない。…だろ？」

後ろからネロの一言が追加される。

「今は、な」
「ネロ、一言余計だ」

と、ネロをにらみつけるダンテの体に、小さな手が回された。

「ダンテッ！」

ディーヴァが抱きついてきたのだ。

ダンテはゆっくり腕を回すと、ディーヴァをしっかり抱きしめた。

それを見ていた逢夏とネロ。
ネロは逢夏に心配そうに聞いた。
その目はどこか体に異変がないか念入りにチェックしている。

「逢夏は大丈夫か？」
「ん、ちょっと触られて気持ち悪かったくらいだよ。
　思い切りつねってやったし、ぶっ飛ばしたから大丈夫！」
「さすが逢夏。よくやったな。
　でも無理すんなよ？」
「わかってる」

そして追加される逢夏の言葉にネロが焦ることになる。

「でも、私よりディーヴァちゃんの方が痴漢のターゲットには最適だったみたいよ？
　ふふふ…そりゃあ胸大きい方がいいに決まってるよね。
　私よりディーヴァちゃんの方が大きいもんね。
　抵抗もしなかったし、襲いやすいよね。
　どうせ私なんてさ、ブツブツブツ……」
「おい…逢夏…？」

やべえ。
ダーク逢夏降臨させちまった。

逢夏の周りに暗雲が立ち込め始めた。
冷や汗たらたらで、ネロは早口で口走る。

「逢夏。
　俺は胸だったら逢夏の胸にしか興味ないぞ！
　俺さえいればいいだろっ！？」
「…そっか。
　それもそうだね！！」

逢夏は非常にあっけらかんとしていた。
それを見てホッとするネロだった。

ふとダンテ達を見れば、消毒とかこつけたキスをしていた。

「俺達も消毒しとくか？」
「えっここで？」
「…２人が帰ってからゆっくりしようか」
「期待してますよ、旦那様？」