ダイススロー 6回目
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「おね、がい…やめて…」
「すみません、駅員さんはいませんか?
この人…この悪魔、痴漢です!」
こちらは、次の車両に移った逢夏とディーヴァである。
冒頭からわかる通り、2人は只今他の乗客から痴漢行為を受けていた。
この9号車にいたのは全員男だった。
2人がこの車両に入った瞬間、そこにいた者達は、一斉にこちらを食い入るように見つめてきた。
そのどれもが舐めるような視線であり、品定めをするようでとても居心地が悪かったのを覚えている。
あやしく感じた逢夏は、ディーヴァから離れず、お互い一緒にいようと固く手を繋いだ。
「俺、立つ。だから贄、こっち、座る」
空いている座席を探していると、気の優しそうな青年風の悪魔が声をかけてきた。
年の頃はネロや逢夏と同じくらいだと思われる。
アメリカという国ではこのように女性に席を譲る行為が日常茶飯事である。
レディーファーストの精神が豊かなのだ。
ただ、張り付けたような笑みが少し気になった。
逢夏は、先にディーヴァを座らせようと席を勧めたが、今まで手を握っていたはずのディーヴァがいない。
「ディーヴァちゃん!?」
「逢夏っ!」
後ろを振り返ると、ディーヴァは人ごみに紛れて、壁際に追いやられてしまうところだった。
慌てて向かおうとするも、席を譲った悪魔が決して通してはくれなかった。
「ちょっと…通してくれないかな?」
「ダメ。いいから、座る!」
仕方なく逢夏は座り込むしかなかった。
壁に押し付けられるように追いやられたディーヴァも、そこで何かおかしいことに気がついた。
周りを囲む男達のその視線に言い様のない気持ち悪さを覚える。
「あの…何ですか?」
だが、思った時にはもはや遅かった。
男達の手がディーヴァに伸ばされる。
その手は厭らしく太ももをゆっくりと撫で上げた。
ぞわり。
背中が粟立つ。
そしてその更に上に手が移動していくのがわかる。
そんなとこダンテにだって触られたことないのに…ッ
「ッ!」
恐怖で言葉を失うディーヴァ。
悪魔は抵抗しないディーヴァに気をよくしたのか、表を向かせると首筋を数回にわたりねっとりと舐めあげた。
その行為に気がついた逢夏が、今一度立ち上がろうとする。
だが、目の前の悪魔含め、周りの者達が逢夏を座席に縫い止めた。
「俺たち、贄、触る」
「どうせ悪魔なんでしょ?やめてちょうだい」
伸びてきた腕をつねりあげ、ピシャリと言い放つ。
それでも、逢夏の柔らかそうなバストをめがけ、悪魔は手を伸ばしてきた。
と、足に違和感が。
「ひゃっ!」
上半身にばかり気をとられていた。
その両足に悪魔がすりよって舐め回していた。
気持ち悪い。
蹴り飛ばしたい思いに狩られたが、絡めとられている足は動かせなかった。
周りはこんな男ばかり。
この車両自体、痴漢車両だったようだ。
痴漢行為に参加していない者も、皆こちらをニヤニヤしながら視姦していた。
一説にはアメリカには絶対に痴漢はいないという。
だからディーヴァは痴漢にあうのは初体験だった。
ディーヴァは涙を浮かべ、黙ったままじっと耐えている。
どうすればいいのか全くわからないのだ。
相手が人間ではなく悪魔なのは知っているはずだが、その恐怖ゆえ忘れているようだ。
「天使、大人しい、触りやすい。胸もおっきいし、触り心地イイ!」
「俺たち、天使に厭らしいこと、もっとする!」
逢夏は対処法も知っているが、ディーヴァはしらない。
だから逢夏と違い、大人しくて襲いやすいためか、悪魔がより集まっていた。
そして、悪魔の『胸』の一言が逢夏に突き刺さった。
ぐさっ!
今の逢夏に、胸の話はタブーである。
「すいませんね、胸…あんまりなくて…」
ネロの魔人化のようなオーラを背負って悪魔達にその視線を向けた逢夏。
表情は笑っているが、目が全く笑っていなかった。
怖じ気づいたらしい悪魔が、痴漢行為の手を止める。
逢夏はその隙に立ち上がると、ちょうどすぐそばに何故だか置いてあった外してあるポールを手に取った。
構えるのは学生時代に培った薙刀の構え。
どうせ悪魔が化けているのだ、遠慮することないだろう。
それにダンテがいない今、ディーヴァを助けられるのは自分だけ。
「あなた達、いい加減にしなさぁい!天誅!」
バキッ!
「ひでぶっ」
「あべしっ」
そばにいた悪魔を成敗する逢夏のお怒りに、他の悪魔…ディーヴァを囲んでいた奴等もだ…が、全員青くなる。
「俺たち、逃げる!」
「贄、こわい!」
この車両から痴漢…もとい悪魔は、文字どおり尻尾を巻いて逃げていった。
「全く、悪魔のくせに小心者ね!」
車内が静寂に包まれる。
逢夏は涙をこぼして隅にうずくまるディーヴァを抱き締めた。
「大丈夫?」
「逢夏…男の人こわいよ~」
これで男性恐怖症に陥りでもしたらダンテに怒られそうだ。
ポロポロ涙をこぼすディーヴァの背中をよしよしと撫でながら、逢夏は思った。
もうすぐ一周が終わりそうだ。
命令はこれにて終了だろう。
逢夏はほっとしながら頭上に掲げられた路線図を見るのだった。
「すみません、駅員さんはいませんか?
この人…この悪魔、痴漢です!」
こちらは、次の車両に移った逢夏とディーヴァである。
冒頭からわかる通り、2人は只今他の乗客から痴漢行為を受けていた。
この9号車にいたのは全員男だった。
2人がこの車両に入った瞬間、そこにいた者達は、一斉にこちらを食い入るように見つめてきた。
そのどれもが舐めるような視線であり、品定めをするようでとても居心地が悪かったのを覚えている。
あやしく感じた逢夏は、ディーヴァから離れず、お互い一緒にいようと固く手を繋いだ。
「俺、立つ。だから贄、こっち、座る」
空いている座席を探していると、気の優しそうな青年風の悪魔が声をかけてきた。
年の頃はネロや逢夏と同じくらいだと思われる。
アメリカという国ではこのように女性に席を譲る行為が日常茶飯事である。
レディーファーストの精神が豊かなのだ。
ただ、張り付けたような笑みが少し気になった。
逢夏は、先にディーヴァを座らせようと席を勧めたが、今まで手を握っていたはずのディーヴァがいない。
「ディーヴァちゃん!?」
「逢夏っ!」
後ろを振り返ると、ディーヴァは人ごみに紛れて、壁際に追いやられてしまうところだった。
慌てて向かおうとするも、席を譲った悪魔が決して通してはくれなかった。
「ちょっと…通してくれないかな?」
「ダメ。いいから、座る!」
仕方なく逢夏は座り込むしかなかった。
壁に押し付けられるように追いやられたディーヴァも、そこで何かおかしいことに気がついた。
周りを囲む男達のその視線に言い様のない気持ち悪さを覚える。
「あの…何ですか?」
だが、思った時にはもはや遅かった。
男達の手がディーヴァに伸ばされる。
その手は厭らしく太ももをゆっくりと撫で上げた。
ぞわり。
背中が粟立つ。
そしてその更に上に手が移動していくのがわかる。
そんなとこダンテにだって触られたことないのに…ッ
「ッ!」
恐怖で言葉を失うディーヴァ。
悪魔は抵抗しないディーヴァに気をよくしたのか、表を向かせると首筋を数回にわたりねっとりと舐めあげた。
その行為に気がついた逢夏が、今一度立ち上がろうとする。
だが、目の前の悪魔含め、周りの者達が逢夏を座席に縫い止めた。
「俺たち、贄、触る」
「どうせ悪魔なんでしょ?やめてちょうだい」
伸びてきた腕をつねりあげ、ピシャリと言い放つ。
それでも、逢夏の柔らかそうなバストをめがけ、悪魔は手を伸ばしてきた。
と、足に違和感が。
「ひゃっ!」
上半身にばかり気をとられていた。
その両足に悪魔がすりよって舐め回していた。
気持ち悪い。
蹴り飛ばしたい思いに狩られたが、絡めとられている足は動かせなかった。
周りはこんな男ばかり。
この車両自体、痴漢車両だったようだ。
痴漢行為に参加していない者も、皆こちらをニヤニヤしながら視姦していた。
一説にはアメリカには絶対に痴漢はいないという。
だからディーヴァは痴漢にあうのは初体験だった。
ディーヴァは涙を浮かべ、黙ったままじっと耐えている。
どうすればいいのか全くわからないのだ。
相手が人間ではなく悪魔なのは知っているはずだが、その恐怖ゆえ忘れているようだ。
「天使、大人しい、触りやすい。胸もおっきいし、触り心地イイ!」
「俺たち、天使に厭らしいこと、もっとする!」
逢夏は対処法も知っているが、ディーヴァはしらない。
だから逢夏と違い、大人しくて襲いやすいためか、悪魔がより集まっていた。
そして、悪魔の『胸』の一言が逢夏に突き刺さった。
ぐさっ!
今の逢夏に、胸の話はタブーである。
「すいませんね、胸…あんまりなくて…」
ネロの魔人化のようなオーラを背負って悪魔達にその視線を向けた逢夏。
表情は笑っているが、目が全く笑っていなかった。
怖じ気づいたらしい悪魔が、痴漢行為の手を止める。
逢夏はその隙に立ち上がると、ちょうどすぐそばに何故だか置いてあった外してあるポールを手に取った。
構えるのは学生時代に培った薙刀の構え。
どうせ悪魔が化けているのだ、遠慮することないだろう。
それにダンテがいない今、ディーヴァを助けられるのは自分だけ。
「あなた達、いい加減にしなさぁい!天誅!」
バキッ!
「ひでぶっ」
「あべしっ」
そばにいた悪魔を成敗する逢夏のお怒りに、他の悪魔…ディーヴァを囲んでいた奴等もだ…が、全員青くなる。
「俺たち、逃げる!」
「贄、こわい!」
この車両から痴漢…もとい悪魔は、文字どおり尻尾を巻いて逃げていった。
「全く、悪魔のくせに小心者ね!」
車内が静寂に包まれる。
逢夏は涙をこぼして隅にうずくまるディーヴァを抱き締めた。
「大丈夫?」
「逢夏…男の人こわいよ~」
これで男性恐怖症に陥りでもしたらダンテに怒られそうだ。
ポロポロ涙をこぼすディーヴァの背中をよしよしと撫でながら、逢夏は思った。
もうすぐ一周が終わりそうだ。
命令はこれにて終了だろう。
逢夏はほっとしながら頭上に掲げられた路線図を見るのだった。