ダイススロー 5回目
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
逢夏が意識を取り戻した途端、今度はネロがガラスの部屋の中に居た。
碌に言葉も交わせないまま
心中穏やかになりきれないまま
白い世界、白いテーブルの前にネロは立たされていた。
そんなネロの頭の中を駆け巡るのはただ
"本当は、どんな運だめしがきても最初から負けるつもりだったの。
今回は運よく上手くいっただけ…だから、ごめんね。
でも言わせて?
一番簡単って言ったって怪我をしちゃう可能性は十分あるよ。
そんなのディーヴァちゃんにさせるわけにはいかないよ。"
あの場でなんとか聞けた逢夏の言葉と
"自分が勝てば、ディーヴァの順が来なくて済む。"
という事だけ。
負ければ…何のために逢夏が命を張ったか意味がなくなる。
しかし、遠くから聞こえる逢夏の声に聞かされた運だめしの内容は無情なものだった。
「よりにもよってクラップスかよ…。」
愚痴をこぼしていると目の前には悪魔なのに白い影。
苛立っていることを知ってか知らずか、ちょこちょこと部屋の隅から歩を進め、時間をかけてここまで歩んできた悪魔は
にっこりと笑ってお辞儀をした。
「さっきの悪魔みたいに…どっかの誰かさんに似せてるつもりか?」
問いかけるも声を発することができないのか軽く首を傾げて応えた悪魔はテーブルの方を手で指示する。
示された通り、見てみるとそこにはダイスが2つ転がっていた。
それを確認すると毎回アナウンスする気なのか、頭上でまたあの忌々しい声が響く。
『クラップスを知ってるようで何より!
でも知らない未成年2人のために特別に説明するぞ。
クラップス。
カジノでとっても人気ゲーム、ルール少し難しいけどとても簡単。
最初、悪魔が2つダイスを振る。
7, 11が出ればその時点で悪魔の勝ち、2, 3, 12が出ればその時点で悪魔の負け。
それ以外の数字が出たら、お前がダイス2つ振る。
この時、さっき悪魔が出した目をポイントという。
ポイントと同じ目を出したらお前の勝ち。
7出したらお前の負け。
ポイント以外出したら、悪魔が振る。
この繰り返し!
でも、ダイスの目の勝ち負けは重要じゃないってことが一番大事!
一番大事なのは自分が勝つか負けるかどちらかを宣言すること。
それが当たったらお前の本当の勝ち。』
「はぁ?
ダイスを振ってポイントっつー目が出たらネロの勝ちなんだろ?
でも、そこが重要じゃねぇって…あ゛ー、くそっ…ややこしいな。」
「だからダンテにはやらせなかったんでしょ?
ね、逢夏。
…逢夏?」
「……ネロ。」
各々の心配をよそにゲームは悪魔の『スタート!』という声を以て唐突に始まる。
指示されるネロの宣言。
するとそうなって突然、喋れないと思っていた悪魔がにっこりと微笑んで逢夏に良く似た声で呟いた。
『ネロは本当に運がないよね。
こんなマス当てちゃうし、一番重要な3番目になっちゃうし…ね?
本当に…ツイてないよね。』
「…っるせぇ。
そんなの、俺が一番…分かってんだよ。」
でも…だとすれば、そんなに運がないと言うなら。
『ハゃぁく!宣言スルするぅ!』
「俺が………負ける。」
『負けぇル!
ソれディぁ!ダイス、フる!』
また微笑んだ悪魔はダイスを手に取り、2つ振る。
カラコロと音を立ててでた目は『6』。
『どうぞ?』
始終笑みを湛えた悪魔がダイスを手渡した。
------------------------------------
「ごめんね、ディーヴァちゃん。
でも…次、順番来ると思うから。」
「え、でも。
ネロ、あんなに頑張ってるのに!」
「頑張ったってダメな時はダメなんだよ。
ありゃ確実に負ける。
言いたかねぇが逢夏の所為だからな。」
「ダンテまで!?
なんで逢夏まで責めなくたって!」
「ディーヴァちゃん、いいの。
だって、ダンテのいってること当たってるもん。
ネロったら、追い詰められたらせっかくの勝負運も手放しちゃうくらい弱い人なの。
それを…分かってるのに追い詰めたのは私だから。」
言い終わった途端、カラカラコロコロという渇いた音が止まる。
ネロの番、ダイスの目は"6"だった。
碌に言葉も交わせないまま
心中穏やかになりきれないまま
白い世界、白いテーブルの前にネロは立たされていた。
そんなネロの頭の中を駆け巡るのはただ
"本当は、どんな運だめしがきても最初から負けるつもりだったの。
今回は運よく上手くいっただけ…だから、ごめんね。
でも言わせて?
一番簡単って言ったって怪我をしちゃう可能性は十分あるよ。
そんなのディーヴァちゃんにさせるわけにはいかないよ。"
あの場でなんとか聞けた逢夏の言葉と
"自分が勝てば、ディーヴァの順が来なくて済む。"
という事だけ。
負ければ…何のために逢夏が命を張ったか意味がなくなる。
しかし、遠くから聞こえる逢夏の声に聞かされた運だめしの内容は無情なものだった。
「よりにもよってクラップスかよ…。」
愚痴をこぼしていると目の前には悪魔なのに白い影。
苛立っていることを知ってか知らずか、ちょこちょこと部屋の隅から歩を進め、時間をかけてここまで歩んできた悪魔は
にっこりと笑ってお辞儀をした。
「さっきの悪魔みたいに…どっかの誰かさんに似せてるつもりか?」
問いかけるも声を発することができないのか軽く首を傾げて応えた悪魔はテーブルの方を手で指示する。
示された通り、見てみるとそこにはダイスが2つ転がっていた。
それを確認すると毎回アナウンスする気なのか、頭上でまたあの忌々しい声が響く。
『クラップスを知ってるようで何より!
でも知らない未成年2人のために特別に説明するぞ。
クラップス。
カジノでとっても人気ゲーム、ルール少し難しいけどとても簡単。
最初、悪魔が2つダイスを振る。
7, 11が出ればその時点で悪魔の勝ち、2, 3, 12が出ればその時点で悪魔の負け。
それ以外の数字が出たら、お前がダイス2つ振る。
この時、さっき悪魔が出した目をポイントという。
ポイントと同じ目を出したらお前の勝ち。
7出したらお前の負け。
ポイント以外出したら、悪魔が振る。
この繰り返し!
でも、ダイスの目の勝ち負けは重要じゃないってことが一番大事!
一番大事なのは自分が勝つか負けるかどちらかを宣言すること。
それが当たったらお前の本当の勝ち。』
「はぁ?
ダイスを振ってポイントっつー目が出たらネロの勝ちなんだろ?
でも、そこが重要じゃねぇって…あ゛ー、くそっ…ややこしいな。」
「だからダンテにはやらせなかったんでしょ?
ね、逢夏。
…逢夏?」
「……ネロ。」
各々の心配をよそにゲームは悪魔の『スタート!』という声を以て唐突に始まる。
指示されるネロの宣言。
するとそうなって突然、喋れないと思っていた悪魔がにっこりと微笑んで逢夏に良く似た声で呟いた。
『ネロは本当に運がないよね。
こんなマス当てちゃうし、一番重要な3番目になっちゃうし…ね?
本当に…ツイてないよね。』
「…っるせぇ。
そんなの、俺が一番…分かってんだよ。」
でも…だとすれば、そんなに運がないと言うなら。
『ハゃぁく!宣言スルするぅ!』
「俺が………負ける。」
『負けぇル!
ソれディぁ!ダイス、フる!』
また微笑んだ悪魔はダイスを手に取り、2つ振る。
カラコロと音を立ててでた目は『6』。
『どうぞ?』
始終笑みを湛えた悪魔がダイスを手渡した。
------------------------------------
「ごめんね、ディーヴァちゃん。
でも…次、順番来ると思うから。」
「え、でも。
ネロ、あんなに頑張ってるのに!」
「頑張ったってダメな時はダメなんだよ。
ありゃ確実に負ける。
言いたかねぇが逢夏の所為だからな。」
「ダンテまで!?
なんで逢夏まで責めなくたって!」
「ディーヴァちゃん、いいの。
だって、ダンテのいってること当たってるもん。
ネロったら、追い詰められたらせっかくの勝負運も手放しちゃうくらい弱い人なの。
それを…分かってるのに追い詰めたのは私だから。」
言い終わった途端、カラカラコロコロという渇いた音が止まる。
ネロの番、ダイスの目は"6"だった。