ダイススロー 18回目
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再び某ラーメンの曲を披露した悪魔。
『ダぃイィち、ヵん門!
ほゥーらァーむぅビ、見るるるゥ!』
ホラームービーを上映するからお前ら見ろよ?
とのことらしい。
ホラー。
普段から悪魔を相手にしていたり、恐怖という感情が欠如した人間がここにはほとんど。
だから大丈夫…
かと思いきや、そういったものが大の苦手な人物が1人いる。
ディーヴァだ。
ホラーの一言を耳に入れたディーヴァの肩がはねる。
そんなディーヴァをよそにこの時逢夏は“あー、ラーメン食べたいなぁ…”などと見当違いなことを思っていたそうな。
悪魔によるとしゃべってもアウト、映画を見ないという選択肢もアウトらしい。
しかたないと思いながらリビングのソファに座って大人しくTVに向かう。
映画はすぐに始まった。
***
この映画、どっかで見たことあるのを合わせたパクリじゃん、と逢夏は思った。
この幽霊、井戸にいたくせにあんまり汚くないな。魔力で汚れでも落としてるのか?とネロは思った。
このポテトチップス、超絶美味ぇ!ダンテは思った。
そしてディーヴァはというと…
井戸から這い出しTVから出て登場人物を呪い殺す幽霊や、階段からなぞの『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛』という奇声を上げては四つん這いで襲ってくる幽霊に叫びだしそうになるのを必死で我慢していた。
パリパリとポテトチップスを貪り続けるダンテの袖口をつかみながら、だ。
さらにはまだ明るい昼間だというのに、リビングには一切の光がなく、暗闇と雷の音が時折響いていた。
ちなみに外は晴れ。
この空間だけがまるで隔離されたかのように暗いのだ。
悪魔は物理的に恐怖を与えてくるが、こちらからは精神的に恐怖を与えられる。
精神的にじわじわ遅い来る恐怖と、暗闇、そして雷。
ディーヴァ、恐怖のトラウマフルコース。
ダンテはポテトチップスを食べ、涙を浮かべるディーヴァを抱きよせあやし続けた。
大丈夫だ、そんな意味を込めて頭をポンポン叩きながらだが、今のメインはディーヴァよりもポテトチップスらしい。
ほどなくして映画は終わった。
ほっと胸をなでおろすディーヴァに、その手についた菓子の粉をはらいおとすダンテ。
それに首をゴキゴキならすネロ。
逢夏は大きく伸びをし、テレビを消そうと電源ボタンを押した。
…が、テレビは消えてくれなかった。
パッと画面が切り替わり、その画面には古ぼけた井戸が映り込む。
思わず「え?」と言ってしまいそうになるのを押さえこんで、4人の目は画面にくぎ付けになった。
まだ映画が続いているとでもいうのだろうか。
ディーヴァは1人、イヤな予感がぬぐい切れず顔を引きつらせた。
そんな4人の後ろから『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛』という映画の中で何度にもわたり聞いていた幽霊の声がしてくる。
とっさに後ろを振り返る4人。
そこにいたのは幽霊ではなく、前に相手した黒い悪魔が何匹か。
今回のは魔界産ではなく、いたって普通の黒い悪魔らしい。
ブゥーン!!
奴らが逢夏の方へとその羽を広げて飛んできた。
「…!?」
逢夏が声にならない叫びをあげる。
ここで声を発しては罰ゲーム行き…と逢夏のプライドが声を制御したのだ。
ネロは迫りくる奴らを丸めた新聞紙で軽くたたき落とし、ことなきを得た。
“あ、危なかった…ありがとネロ”
“うん、あたしも叫びそうになっちゃったよ”
“ディーヴァも虫は嫌いだもんな”
ネロは叩き落とした言うのもはばかれる黒くて憎い奴らを、新聞紙ごとゴミ箱へホールインワン!させる。
そして4人そろってTVに向き直った。
「「「!!!!」」」
とそこに映っていたのは井戸ではなく、映画の中でも登場していた井戸の幽霊…その顔のドアップだった。
ぎょろりとこちらを睨みつける血走った目がなんとも迫力満点。
今夜は悪夢決定だ!
ディーヴァの口が叫び声をあげる前段階…口を開け大きく息を吸い込んだ。
それを見たダンテはあわててその両手でディーヴァの口をふさぐ。
そうこうしてる間に幽霊はずるずるとTVから這い出してきた。
爪の剥がれ落ちた指でフローリングをひっかきつつ、ゆっくりとディーヴァの座っている方面へ近づいてくる。
それを見たディーヴァはとうとう泣き出してダンテに抱きついてしまった。
声は出さない、というかはダンテの手によって出せない。
“わわわ、うちのTV呪われちゃった!
どうしようネロ!”
“買い替えないとな。
あーあ、また出費がかさむ…”
のんきにTVの心配という筆談をかわしていたネロと逢夏だったが、近づいているのはダンテとディーヴァの方面。
このままではディーヴァがかわいそうだと考え、行動に出た。
逢夏は自分の履いていたスリッパで、ネロはその悪魔の右手で思い切り幽霊の頭を殴りつける。
本当に幽霊だとしても呪われようが関係ない、悪魔関係の仕事についてるなんてすでに呪われているようなものだ。
それに加えTVから出てくるような幽霊、物理攻撃は通るはずと思ったのである。
バキィ!
ゲシゲシゲシィ!!
『ぷギュぅゥう!
ぃタイ!ゃあメぇテッ!』
ばさり、ヅラが落ちる。
幽霊の長い髪はカツラで、その正体はいつものダイスゲームの悪魔だったようだ。
頭の上にたんこぶをひっさげて、悪魔は涙目で転げ回った。
“またテメェかよ!
まあ…こういう映画見せたあとはそうくるとは思ってたけどな”
“ハンッ!
Gを登場させたのは逢夏も狙ってたようだが、映画はディーヴァを狙ってたんだろ。
よくもオレのディーヴァをこんな恐い目に合わせたな!
見ろ!気絶しちまってるじゃねーか!”
見ればディーヴァはすでに気を失ってしまっていた。
恐怖からというよりは、ダンテの手による酸欠が理由…といったところ。
“いや、それはダンテのせいだから”
“え、まじで?”
あわててぺちぺち頬を叩いて起こす。
目を開けたディーヴァに近づいた逢夏は、口元に『しー…』と指をやり紙に書いた文字を読ませた。
”ディーヴァちゃん、今のはただの映画。
TVから出て来た幽霊はいつもの悪魔の扮装だったの”
だからNo talking、おわかり?
ニコーと笑っていう逢夏は悪魔よりも、幽霊よりも恐ろしく見えた。
いかに恐怖が襲ってこようとも、ディーヴァは決して言葉は発しないと固く誓い、こくこくと頷くのだった。
『ダぃイィち、ヵん門!
ほゥーらァーむぅビ、見るるるゥ!』
ホラームービーを上映するからお前ら見ろよ?
とのことらしい。
ホラー。
普段から悪魔を相手にしていたり、恐怖という感情が欠如した人間がここにはほとんど。
だから大丈夫…
かと思いきや、そういったものが大の苦手な人物が1人いる。
ディーヴァだ。
ホラーの一言を耳に入れたディーヴァの肩がはねる。
そんなディーヴァをよそにこの時逢夏は“あー、ラーメン食べたいなぁ…”などと見当違いなことを思っていたそうな。
悪魔によるとしゃべってもアウト、映画を見ないという選択肢もアウトらしい。
しかたないと思いながらリビングのソファに座って大人しくTVに向かう。
映画はすぐに始まった。
***
この映画、どっかで見たことあるのを合わせたパクリじゃん、と逢夏は思った。
この幽霊、井戸にいたくせにあんまり汚くないな。魔力で汚れでも落としてるのか?とネロは思った。
このポテトチップス、超絶美味ぇ!ダンテは思った。
そしてディーヴァはというと…
井戸から這い出しTVから出て登場人物を呪い殺す幽霊や、階段からなぞの『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛』という奇声を上げては四つん這いで襲ってくる幽霊に叫びだしそうになるのを必死で我慢していた。
パリパリとポテトチップスを貪り続けるダンテの袖口をつかみながら、だ。
さらにはまだ明るい昼間だというのに、リビングには一切の光がなく、暗闇と雷の音が時折響いていた。
ちなみに外は晴れ。
この空間だけがまるで隔離されたかのように暗いのだ。
悪魔は物理的に恐怖を与えてくるが、こちらからは精神的に恐怖を与えられる。
精神的にじわじわ遅い来る恐怖と、暗闇、そして雷。
ディーヴァ、恐怖のトラウマフルコース。
ダンテはポテトチップスを食べ、涙を浮かべるディーヴァを抱きよせあやし続けた。
大丈夫だ、そんな意味を込めて頭をポンポン叩きながらだが、今のメインはディーヴァよりもポテトチップスらしい。
ほどなくして映画は終わった。
ほっと胸をなでおろすディーヴァに、その手についた菓子の粉をはらいおとすダンテ。
それに首をゴキゴキならすネロ。
逢夏は大きく伸びをし、テレビを消そうと電源ボタンを押した。
…が、テレビは消えてくれなかった。
パッと画面が切り替わり、その画面には古ぼけた井戸が映り込む。
思わず「え?」と言ってしまいそうになるのを押さえこんで、4人の目は画面にくぎ付けになった。
まだ映画が続いているとでもいうのだろうか。
ディーヴァは1人、イヤな予感がぬぐい切れず顔を引きつらせた。
そんな4人の後ろから『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛』という映画の中で何度にもわたり聞いていた幽霊の声がしてくる。
とっさに後ろを振り返る4人。
そこにいたのは幽霊ではなく、前に相手した黒い悪魔が何匹か。
今回のは魔界産ではなく、いたって普通の黒い悪魔らしい。
ブゥーン!!
奴らが逢夏の方へとその羽を広げて飛んできた。
「…!?」
逢夏が声にならない叫びをあげる。
ここで声を発しては罰ゲーム行き…と逢夏のプライドが声を制御したのだ。
ネロは迫りくる奴らを丸めた新聞紙で軽くたたき落とし、ことなきを得た。
“あ、危なかった…ありがとネロ”
“うん、あたしも叫びそうになっちゃったよ”
“ディーヴァも虫は嫌いだもんな”
ネロは叩き落とした言うのもはばかれる黒くて憎い奴らを、新聞紙ごとゴミ箱へホールインワン!させる。
そして4人そろってTVに向き直った。
「「「!!!!」」」
とそこに映っていたのは井戸ではなく、映画の中でも登場していた井戸の幽霊…その顔のドアップだった。
ぎょろりとこちらを睨みつける血走った目がなんとも迫力満点。
今夜は悪夢決定だ!
ディーヴァの口が叫び声をあげる前段階…口を開け大きく息を吸い込んだ。
それを見たダンテはあわててその両手でディーヴァの口をふさぐ。
そうこうしてる間に幽霊はずるずるとTVから這い出してきた。
爪の剥がれ落ちた指でフローリングをひっかきつつ、ゆっくりとディーヴァの座っている方面へ近づいてくる。
それを見たディーヴァはとうとう泣き出してダンテに抱きついてしまった。
声は出さない、というかはダンテの手によって出せない。
“わわわ、うちのTV呪われちゃった!
どうしようネロ!”
“買い替えないとな。
あーあ、また出費がかさむ…”
のんきにTVの心配という筆談をかわしていたネロと逢夏だったが、近づいているのはダンテとディーヴァの方面。
このままではディーヴァがかわいそうだと考え、行動に出た。
逢夏は自分の履いていたスリッパで、ネロはその悪魔の右手で思い切り幽霊の頭を殴りつける。
本当に幽霊だとしても呪われようが関係ない、悪魔関係の仕事についてるなんてすでに呪われているようなものだ。
それに加えTVから出てくるような幽霊、物理攻撃は通るはずと思ったのである。
バキィ!
ゲシゲシゲシィ!!
『ぷギュぅゥう!
ぃタイ!ゃあメぇテッ!』
ばさり、ヅラが落ちる。
幽霊の長い髪はカツラで、その正体はいつものダイスゲームの悪魔だったようだ。
頭の上にたんこぶをひっさげて、悪魔は涙目で転げ回った。
“またテメェかよ!
まあ…こういう映画見せたあとはそうくるとは思ってたけどな”
“ハンッ!
Gを登場させたのは逢夏も狙ってたようだが、映画はディーヴァを狙ってたんだろ。
よくもオレのディーヴァをこんな恐い目に合わせたな!
見ろ!気絶しちまってるじゃねーか!”
見ればディーヴァはすでに気を失ってしまっていた。
恐怖からというよりは、ダンテの手による酸欠が理由…といったところ。
“いや、それはダンテのせいだから”
“え、まじで?”
あわててぺちぺち頬を叩いて起こす。
目を開けたディーヴァに近づいた逢夏は、口元に『しー…』と指をやり紙に書いた文字を読ませた。
”ディーヴァちゃん、今のはただの映画。
TVから出て来た幽霊はいつもの悪魔の扮装だったの”
だからNo talking、おわかり?
ニコーと笑っていう逢夏は悪魔よりも、幽霊よりも恐ろしく見えた。
いかに恐怖が襲ってこようとも、ディーヴァは決して言葉は発しないと固く誓い、こくこくと頷くのだった。