ダイススロー 17回目
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ぼやけていた感覚は唐突に感じた肩への衝撃によってはっきりと覚醒した。
よたよたと絡まりそうになる足を引きずり、後ずさりしながら見た辺りは懐かしい屋敷のエントランス。
だと、…すれば。
ディーヴァのエメラルドの瞳に亡くした家族が映る。
「パパ…、マ…マ?
…お兄、ちゃん?」
「ディーヴァ、なにしてるんだ!
早く逃げろ!」
「待って!
お兄ちゃんっ、ダメ!」
先ほど肩に感じた衝撃は兄、ミシェルによるものだったのだと気付くのに時間はかからなかった。
再び肩を、けれど今度は優しく兄に押される。
逃げるんだ。
一瞬だけこんな非常時には似つかわしくないほどの柔和な笑みを見せた兄はディーヴァの体を階段の方へと向け、背を押した。
覚束ない足でふらふらとしながら階段ままディーヴァは走る。
その足でなんとか階段までたどり着き、手すりに手をかけた。
と、その時…振り返ったディーヴァの視界を染めた凄惨な赤、耳を劈いた声。
「いや…っ、いやぁぁぁああぁ!!」
ディーヴァは恐怖と悲しみに声を上げる。
しかし、"最も恐ろしい体験"の始まりにすぎなかった。
------------------------------------
目を覚ますと視界は黒色に染まりながらも僅かにその清廉さを保つ白に埋め尽くされた。
その白、シーツはすぐに取り去ることができた。
移り変わった光景はあの新月の夜から三日後の屋敷の部屋。
暗闇と孤独に支配された空間を認識した途端、ディーヴァの体は硬直する。
それと同時に
「ひっ…!」
バン!とドアを叩く…否、撲り破ろうと響く激しい音。
弱々しくも神々しい光を持った結界が悪魔の侵入をなんとか阻止している状況というのはすぐに分かった。
「助、けて…。」
これがあの時の記憶なら…
ディーヴァは目をつむり、胸の前で両手を組んでその時を…屋敷中に響き渡る銃声を待つ。
すると
ダンッ!ダダダッ!
待望の音が響き渡る。
その瞬間、顔を上げたディーヴァ。
あの時と同じように…、そうドアに歩み寄り、そっと聞き耳を立てて外の様子を伺った。
先ほどまでの手荒なノックが嘘のようにドアの前はシンと静まり返っていた。
ならば、出ていくのは今しかない。
徐ろにドアを支えに立ち上がり、意を決したディーヴァはノブを握る。
この視界を奪う暗闇から
この心を蝕む孤独から逃れるために。
ダンテとの再会を果たそう、と。
だが、ディーヴァは恐怖故、孤独故、トラウマに思考のほとんどを奪われたが故に大切なことを忘れていた。
これは"最も恐ろしい体験"をする命令の世界の中である事を。
ノブをまわしたその時、ドアの外でゴツリ、ゴツリとブーツが廊下の床を叩く音が聞こえた。
「え…?」
その音を聞き取り、ノブから手を離したと同時だった。
「きゃぁっ!!!…ぃ、ぐ…な、……な、に?」
ドアが凄まじい力で蹴破られ、ドアと共にディーヴァの体が壁へと叩きつけられた。
驚きと激しい衝撃と痛みに出現した翼がクッション代わりとなった所為か大した怪我は負わなかった。
が、目の前の光景にディーヴァは涙を浮かべる。
「ぅそ…ねぇ…ダンテ、嘘…だよ…、ね?」
いつの間にかすぐ目の前に立っていた人物は待っていたはずのダンテ。
しかし、そこにいるのはディーヴァの知る穏やかで軽妙な雰囲気を纏うダンテではなく
まるで獲物を見据える獰猛な獣のような眼差しを向ける…悪魔。
暗闇の中に灯る赤い双眸はディーヴァを舐めるように見、
薄い唇の端は丁度今夜の月のように鋭い弧を描く様につり上げられた。
ひしひしと身に感じる死の恐怖の前にディーヴァは一粒の涙を頬に流す。
その間にも音もなく伸ばされた悪魔の手はディーヴァの細い首に絡みつき
ディーヴァの声なき断末魔を楽しむかのようにゆっくりと力が込められていった。
よたよたと絡まりそうになる足を引きずり、後ずさりしながら見た辺りは懐かしい屋敷のエントランス。
だと、…すれば。
ディーヴァのエメラルドの瞳に亡くした家族が映る。
「パパ…、マ…マ?
…お兄、ちゃん?」
「ディーヴァ、なにしてるんだ!
早く逃げろ!」
「待って!
お兄ちゃんっ、ダメ!」
先ほど肩に感じた衝撃は兄、ミシェルによるものだったのだと気付くのに時間はかからなかった。
再び肩を、けれど今度は優しく兄に押される。
逃げるんだ。
一瞬だけこんな非常時には似つかわしくないほどの柔和な笑みを見せた兄はディーヴァの体を階段の方へと向け、背を押した。
覚束ない足でふらふらとしながら階段ままディーヴァは走る。
その足でなんとか階段までたどり着き、手すりに手をかけた。
と、その時…振り返ったディーヴァの視界を染めた凄惨な赤、耳を劈いた声。
「いや…っ、いやぁぁぁああぁ!!」
ディーヴァは恐怖と悲しみに声を上げる。
しかし、"最も恐ろしい体験"の始まりにすぎなかった。
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目を覚ますと視界は黒色に染まりながらも僅かにその清廉さを保つ白に埋め尽くされた。
その白、シーツはすぐに取り去ることができた。
移り変わった光景はあの新月の夜から三日後の屋敷の部屋。
暗闇と孤独に支配された空間を認識した途端、ディーヴァの体は硬直する。
それと同時に
「ひっ…!」
バン!とドアを叩く…否、撲り破ろうと響く激しい音。
弱々しくも神々しい光を持った結界が悪魔の侵入をなんとか阻止している状況というのはすぐに分かった。
「助、けて…。」
これがあの時の記憶なら…
ディーヴァは目をつむり、胸の前で両手を組んでその時を…屋敷中に響き渡る銃声を待つ。
すると
ダンッ!ダダダッ!
待望の音が響き渡る。
その瞬間、顔を上げたディーヴァ。
あの時と同じように…、そうドアに歩み寄り、そっと聞き耳を立てて外の様子を伺った。
先ほどまでの手荒なノックが嘘のようにドアの前はシンと静まり返っていた。
ならば、出ていくのは今しかない。
徐ろにドアを支えに立ち上がり、意を決したディーヴァはノブを握る。
この視界を奪う暗闇から
この心を蝕む孤独から逃れるために。
ダンテとの再会を果たそう、と。
だが、ディーヴァは恐怖故、孤独故、トラウマに思考のほとんどを奪われたが故に大切なことを忘れていた。
これは"最も恐ろしい体験"をする命令の世界の中である事を。
ノブをまわしたその時、ドアの外でゴツリ、ゴツリとブーツが廊下の床を叩く音が聞こえた。
「え…?」
その音を聞き取り、ノブから手を離したと同時だった。
「きゃぁっ!!!…ぃ、ぐ…な、……な、に?」
ドアが凄まじい力で蹴破られ、ドアと共にディーヴァの体が壁へと叩きつけられた。
驚きと激しい衝撃と痛みに出現した翼がクッション代わりとなった所為か大した怪我は負わなかった。
が、目の前の光景にディーヴァは涙を浮かべる。
「ぅそ…ねぇ…ダンテ、嘘…だよ…、ね?」
いつの間にかすぐ目の前に立っていた人物は待っていたはずのダンテ。
しかし、そこにいるのはディーヴァの知る穏やかで軽妙な雰囲気を纏うダンテではなく
まるで獲物を見据える獰猛な獣のような眼差しを向ける…悪魔。
暗闇の中に灯る赤い双眸はディーヴァを舐めるように見、
薄い唇の端は丁度今夜の月のように鋭い弧を描く様につり上げられた。
ひしひしと身に感じる死の恐怖の前にディーヴァは一粒の涙を頬に流す。
その間にも音もなく伸ばされた悪魔の手はディーヴァの細い首に絡みつき
ディーヴァの声なき断末魔を楽しむかのようにゆっくりと力が込められていった。