ダイススロー 17回目
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
命令の書かれた羊皮紙を今か今かと待つ4人。
向けられる期待の眼差しに答えるかのようにコマは羊皮紙を…けれどいつもと違い、空中に出現させた。
ひらりひらりと舞い落ちる羊皮紙は先に悪魔が形容した風の前の一葉のように
空を踊りながら奇妙な軌道を描いて逢夏の手へと落ちる。
くしゃくしゃではない、ぴしっと綺麗な紙に書かれた文字列に逢夏が目を通す。
…途端、逢夏の顔が驚愕に染まるのとコマが暗闇を纏わせたにやけ顔に歪むのは悲しいかな、同時。
悪魔の思った通り、"上げて落とす"戦法は非常に有効だった。
「どうした、逢夏?」
「……もしかしてさっきみたいな変なマス?
大丈夫、今度もダンテはどうにかするから!」
「ディーヴァ!?
そりゃ酷いぜ、ちょっとくらいサービスしてくれたっていいだろ?」
誰もが持ち得る感情が一部欠如した逢夏の"驚愕の顔"は他者には読み取りづらいものがあるのか
事の重大さを知らない3人の反応は呑気なものだった。
…のだが、聞き取りが難しいほどのか細く小さな声でようやく逢夏は呟いた。
「私たち…が、この世で…一番恐れること、…を体験。」
「俺達が?」
「この世で一番?」
「恐れることを…体験?
って、…そんなっ、嘘…。」
「嘘じゃない。
…ちゃんと、書いてある。」
誰しも必ず一つは持つ、この世で何よりも恐れている事。
誰かは昔の記憶を
誰かは今最も大切なものを
誰かはそのどちらをも
それぞれ3人は思い浮かべ、身を震わせた。
癒す術は無情な時間のみが持ち得る心の傷を抉ろうというマス。
もしやすると痛みは本物だが生き返る『終わりなき死』よりも…辛い体験。
そして命令の最後にはご丁寧にこう記されていた。
『恐れるとはただ単純に恐怖のことを指すのではない。
もちろん、純粋な恐怖で構築された世界を体験する事もあるだろう。
しかし…』
「しかし、恐れるものは人により異なる。
それは…悲しみに満たされた世界、耐えようのない苦しみに喘ぐことしかできぬ世界であるかもしれない。
この命令では体験するその者が"最も経験したくないと思っている"体験を"恐れている"体験とする。」
「…恐怖を感じない逢夏への対策も万全、ってことか。」
「皆、条件は同じってこと…?」
「うん…そうだね。
でもよかった、皆が苦しんでるのに私だけ…ってこともなさそう。」
「っ。
てめぇ、やりやがったな。」
『さァ?
ンじゃア、みぃンな、タぃケんぃテ来ルう!!
…おデ、タの死ミ!』
瓶を落とした時と同じ笑みを浮かべた悪魔はケケケと声を漏らして嗤い始め、杖を取りだす。
それを大きく一振り。
その途端、4人の視界は暗転した。
ぐるぐると深みに落ちていくような気持ち悪い感覚と共に、心の底…本能と呼べるものが拒絶する何かに近づいていく。
恐れるものが近づいてくるのではなく、自ら、抗う事も出来ないまま…近づいていく。
向けられる期待の眼差しに答えるかのようにコマは羊皮紙を…けれどいつもと違い、空中に出現させた。
ひらりひらりと舞い落ちる羊皮紙は先に悪魔が形容した風の前の一葉のように
空を踊りながら奇妙な軌道を描いて逢夏の手へと落ちる。
くしゃくしゃではない、ぴしっと綺麗な紙に書かれた文字列に逢夏が目を通す。
…途端、逢夏の顔が驚愕に染まるのとコマが暗闇を纏わせたにやけ顔に歪むのは悲しいかな、同時。
悪魔の思った通り、"上げて落とす"戦法は非常に有効だった。
「どうした、逢夏?」
「……もしかしてさっきみたいな変なマス?
大丈夫、今度もダンテはどうにかするから!」
「ディーヴァ!?
そりゃ酷いぜ、ちょっとくらいサービスしてくれたっていいだろ?」
誰もが持ち得る感情が一部欠如した逢夏の"驚愕の顔"は他者には読み取りづらいものがあるのか
事の重大さを知らない3人の反応は呑気なものだった。
…のだが、聞き取りが難しいほどのか細く小さな声でようやく逢夏は呟いた。
「私たち…が、この世で…一番恐れること、…を体験。」
「俺達が?」
「この世で一番?」
「恐れることを…体験?
って、…そんなっ、嘘…。」
「嘘じゃない。
…ちゃんと、書いてある。」
誰しも必ず一つは持つ、この世で何よりも恐れている事。
誰かは昔の記憶を
誰かは今最も大切なものを
誰かはそのどちらをも
それぞれ3人は思い浮かべ、身を震わせた。
癒す術は無情な時間のみが持ち得る心の傷を抉ろうというマス。
もしやすると痛みは本物だが生き返る『終わりなき死』よりも…辛い体験。
そして命令の最後にはご丁寧にこう記されていた。
『恐れるとはただ単純に恐怖のことを指すのではない。
もちろん、純粋な恐怖で構築された世界を体験する事もあるだろう。
しかし…』
「しかし、恐れるものは人により異なる。
それは…悲しみに満たされた世界、耐えようのない苦しみに喘ぐことしかできぬ世界であるかもしれない。
この命令では体験するその者が"最も経験したくないと思っている"体験を"恐れている"体験とする。」
「…恐怖を感じない逢夏への対策も万全、ってことか。」
「皆、条件は同じってこと…?」
「うん…そうだね。
でもよかった、皆が苦しんでるのに私だけ…ってこともなさそう。」
「っ。
てめぇ、やりやがったな。」
『さァ?
ンじゃア、みぃンな、タぃケんぃテ来ルう!!
…おデ、タの死ミ!』
瓶を落とした時と同じ笑みを浮かべた悪魔はケケケと声を漏らして嗤い始め、杖を取りだす。
それを大きく一振り。
その途端、4人の視界は暗転した。
ぐるぐると深みに落ちていくような気持ち悪い感覚と共に、心の底…本能と呼べるものが拒絶する何かに近づいていく。
恐れるものが近づいてくるのではなく、自ら、抗う事も出来ないまま…近づいていく。