ダイススロー 3回目
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白い世界が開けると、エメラルド色の双眸には古ぼけた丸太で組まれた家が映った。
辺りを見渡すと建物裏は畑、前にはちょこちょこと同じ様な作りの家々が立ち並ぶ。
どうやらこの家は農村の片隅に位置する家のようだ。
と、ディーヴァが状況確認をしていた時だった。
「ディーヴァ?
ディーヴァ!聞いているの!?」
「えっ?
あ、はい…?」
気が付くと真正面には女性が1人。
キイキイと金切り声でディーヴァの名前を呼んだその人はどこからともなく大きなバスケットを取り出した。
「はい?じゃないわ、しっかりなさい。
いい?絶対寄り道をしないでおばあちゃんの家に行くのよ?
おばあちゃんは病気なんだから、早くね?
あぁ…でも、バスケットの中にあるぶどう酒を割らないように。
パンを小鳥にあげてもだめよ?
ちゃんとおばあちゃんに届けなさい。
分かった?」
「う、うん…。
わか、った…。」
打ちつける様なマシンガントークになんとか返答をするとバスケットが手渡される。
バスケットは大きさの割に軽く、非力なディーヴァでも持てるほどで中身を見ると本当に病人に宛てたものなのだろうかと疑問になるほどの僅かな量の黒パンとブドウ酒が入っていた。
「そうそう。
最近悪さをする狼がいると聞いてね、青い屋根の家に住む猟師さんについてきてもらう様に頼んでおいたから。」
「猟師さん?」
「えぇえぇ、そうなの。
さぁ、行ってきなさい。」
「は、はーい。」
この物語の進行、なんと強引なことか。
さっきのマスに比べたら、比べ物にならないほど悪魔のやる気を感じない投げやりっぷり。
しかしそうこうしているうちに母親役はバタン!と音を立てて家の中に消えていった。
「それじゃ、えっと?
……やっぱり、そうだよね。」
ブドウ酒とパン入りのバスケットを持たされ、おばあちゃんの家に御使い。
この時点で既に分かっていたが、一応、ディーヴァは服装を見て自分の役割を確認することにした。
下からもちろん…
エプロンドレスの様な服の上に赤いフード付きのケープ。
すっかり赤ずきんの風体である。
では、赤ずきんとして振る舞うよりほかない。
まずは言われた通り青い屋根の家を目指すことにした。
……すると。
「「あ。」」
丁度開いた青い屋根の家のドア。
そこからは如何にも猟師と言わんばかりの格好をしたネロがいた。
------------------------------------
川のせせらぎを聞きながら、ディーヴァとネロが並んで歩く。
狼がいるなど嘘かのように静かな森、穏やかな道のりだった。
しかし…
いくら風景が良くとも、並んで歩いていると言うのにお互い一言も発さない静まりかえった状況をどうにかしたいと思うのが乙女の性である。
そんな訳で意を決してディーヴァが声をかけた。
「あの、ネロさ…」
「ネロでいい。
敬語とか堅苦しいから、やめやめ。」
「う、うん…そう、する。」
とは言われても、ネロはディーヴァが知るダンテより一歳年上、成人の身。
なんだか身構えてしまうのが正直なところである。
その結果…再び訪れる静寂。
さぁ、次は何を話すか。
話の話題を考えるディーヴァに今度はネロから声がかかった。
「なぁ、…気になってたんだけど。
ディーヴァはダンテのこと、好きなのか?」
「…え?えぇ!?なななな、何をいきなり!?
あたしが?ダンテを?
そ、そんな…べ、別に好きだけど好きじゃないなんてことは…!!!!」
「落ち着けよ。
ったく、嘘がつけない奴なんだな、ディーヴァは。」
カラカラと笑うネロはなんだか懐かしむ様な顔をして空を見上げていた。
何故そうまで笑うのか、どこに懐かしさを感じているのかそれはもちろんディーヴァに知る由もなく。
そこで…
「なんで好きだって分かったの?」
「感。
逢夏が自分の体質について説明してる時、なんか俺と逢夏を見比べた後にダンテと自分を見てたろ?
なんとなく、そうじゃないかなって。」
「あ、…そう。」
それはさすがにばれるだろう。
もう少し慎重になるべきだったのかも?と考え込むディーヴァ。
そんな彼女にネロは、今度は真面目な口調で話しかける。
「あと…、なんか昔の俺達に似てる気がしたからな。
ま、だからってわけじゃねぇけどさ、先輩として、一つだけ忠告しといてやるよ。」
「忠告?
なに?」
「素直になりたいなら、いつだって後悔しないように想いは言葉に、行動にすることだ。
っていっても、これが滅茶苦茶難しいんだよな。
…でも特にこの先一生悪魔に関わることになるんなら、絶対にそうすべきだ。
理由は…さっき経験しただろ?」
とそう言ったところで、徐ろにネロは背負っていた散弾銃を手に取った。
何事かとディーヴァが辺りを見渡すと気付けばそこには黒山の狼だかり。
先ほどまでの涼やかな風の音は獣の荒々しい息遣いに、緩やかな道は狼ばかりのキケンな道に取ってかわる。
ひっ…と息をのむディーヴァが僅かに後ずさりを擦るのと同時に形こそ狼のそれだが、気配は悪魔そのものの獣はじりじりと2人へと距離を詰めた。
それにネロはディーヴァの前に立つと銃を握っていない右手を回してディーヴァを自らの背に押し付ける様に軽く抱きしめる。
「ダンテに貸しが一つ、でいいよな?」
「そりゃあもう!意義なし!」
「OK!
じゃあ、ディーヴァが知ってるダンテより完璧なのを見せてやる。
…あ、惚れるなよ?」
「惚れないよっ!?」
「だよな、そうなったら俺も困る。」
『冗談。』と笑みを一つ、狼型の悪魔を目の前に震えていたディーヴァの頭をあやすようにネロは一度だけエメラルドの髪を撫でた。
辺りを見渡すと建物裏は畑、前にはちょこちょこと同じ様な作りの家々が立ち並ぶ。
どうやらこの家は農村の片隅に位置する家のようだ。
と、ディーヴァが状況確認をしていた時だった。
「ディーヴァ?
ディーヴァ!聞いているの!?」
「えっ?
あ、はい…?」
気が付くと真正面には女性が1人。
キイキイと金切り声でディーヴァの名前を呼んだその人はどこからともなく大きなバスケットを取り出した。
「はい?じゃないわ、しっかりなさい。
いい?絶対寄り道をしないでおばあちゃんの家に行くのよ?
おばあちゃんは病気なんだから、早くね?
あぁ…でも、バスケットの中にあるぶどう酒を割らないように。
パンを小鳥にあげてもだめよ?
ちゃんとおばあちゃんに届けなさい。
分かった?」
「う、うん…。
わか、った…。」
打ちつける様なマシンガントークになんとか返答をするとバスケットが手渡される。
バスケットは大きさの割に軽く、非力なディーヴァでも持てるほどで中身を見ると本当に病人に宛てたものなのだろうかと疑問になるほどの僅かな量の黒パンとブドウ酒が入っていた。
「そうそう。
最近悪さをする狼がいると聞いてね、青い屋根の家に住む猟師さんについてきてもらう様に頼んでおいたから。」
「猟師さん?」
「えぇえぇ、そうなの。
さぁ、行ってきなさい。」
「は、はーい。」
この物語の進行、なんと強引なことか。
さっきのマスに比べたら、比べ物にならないほど悪魔のやる気を感じない投げやりっぷり。
しかしそうこうしているうちに母親役はバタン!と音を立てて家の中に消えていった。
「それじゃ、えっと?
……やっぱり、そうだよね。」
ブドウ酒とパン入りのバスケットを持たされ、おばあちゃんの家に御使い。
この時点で既に分かっていたが、一応、ディーヴァは服装を見て自分の役割を確認することにした。
下からもちろん…
エプロンドレスの様な服の上に赤いフード付きのケープ。
すっかり赤ずきんの風体である。
では、赤ずきんとして振る舞うよりほかない。
まずは言われた通り青い屋根の家を目指すことにした。
……すると。
「「あ。」」
丁度開いた青い屋根の家のドア。
そこからは如何にも猟師と言わんばかりの格好をしたネロがいた。
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川のせせらぎを聞きながら、ディーヴァとネロが並んで歩く。
狼がいるなど嘘かのように静かな森、穏やかな道のりだった。
しかし…
いくら風景が良くとも、並んで歩いていると言うのにお互い一言も発さない静まりかえった状況をどうにかしたいと思うのが乙女の性である。
そんな訳で意を決してディーヴァが声をかけた。
「あの、ネロさ…」
「ネロでいい。
敬語とか堅苦しいから、やめやめ。」
「う、うん…そう、する。」
とは言われても、ネロはディーヴァが知るダンテより一歳年上、成人の身。
なんだか身構えてしまうのが正直なところである。
その結果…再び訪れる静寂。
さぁ、次は何を話すか。
話の話題を考えるディーヴァに今度はネロから声がかかった。
「なぁ、…気になってたんだけど。
ディーヴァはダンテのこと、好きなのか?」
「…え?えぇ!?なななな、何をいきなり!?
あたしが?ダンテを?
そ、そんな…べ、別に好きだけど好きじゃないなんてことは…!!!!」
「落ち着けよ。
ったく、嘘がつけない奴なんだな、ディーヴァは。」
カラカラと笑うネロはなんだか懐かしむ様な顔をして空を見上げていた。
何故そうまで笑うのか、どこに懐かしさを感じているのかそれはもちろんディーヴァに知る由もなく。
そこで…
「なんで好きだって分かったの?」
「感。
逢夏が自分の体質について説明してる時、なんか俺と逢夏を見比べた後にダンテと自分を見てたろ?
なんとなく、そうじゃないかなって。」
「あ、…そう。」
それはさすがにばれるだろう。
もう少し慎重になるべきだったのかも?と考え込むディーヴァ。
そんな彼女にネロは、今度は真面目な口調で話しかける。
「あと…、なんか昔の俺達に似てる気がしたからな。
ま、だからってわけじゃねぇけどさ、先輩として、一つだけ忠告しといてやるよ。」
「忠告?
なに?」
「素直になりたいなら、いつだって後悔しないように想いは言葉に、行動にすることだ。
っていっても、これが滅茶苦茶難しいんだよな。
…でも特にこの先一生悪魔に関わることになるんなら、絶対にそうすべきだ。
理由は…さっき経験しただろ?」
とそう言ったところで、徐ろにネロは背負っていた散弾銃を手に取った。
何事かとディーヴァが辺りを見渡すと気付けばそこには黒山の狼だかり。
先ほどまでの涼やかな風の音は獣の荒々しい息遣いに、緩やかな道は狼ばかりのキケンな道に取ってかわる。
ひっ…と息をのむディーヴァが僅かに後ずさりを擦るのと同時に形こそ狼のそれだが、気配は悪魔そのものの獣はじりじりと2人へと距離を詰めた。
それにネロはディーヴァの前に立つと銃を握っていない右手を回してディーヴァを自らの背に押し付ける様に軽く抱きしめる。
「ダンテに貸しが一つ、でいいよな?」
「そりゃあもう!意義なし!」
「OK!
じゃあ、ディーヴァが知ってるダンテより完璧なのを見せてやる。
…あ、惚れるなよ?」
「惚れないよっ!?」
「だよな、そうなったら俺も困る。」
『冗談。』と笑みを一つ、狼型の悪魔を目の前に震えていたディーヴァの頭をあやすようにネロは一度だけエメラルドの髪を撫でた。