ダイススロー 13回目
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そろりそろりとベッドから抜けだした午前6時。
日もまだ昇り切らないこの時分にリビングへと足を伸ばしたのはもちろんというかディーヴァだった。
朝一番に話してみる。
言うのは易かったが、実行するとなると…夢にまで出てくるほど、ぐるぐる頭の中を駆け巡る会話のシミュレーション。
そんな状態で深く眠ることが出来る訳もなく、何度となく寝返りを繰り返し、結局起床を選択したのだが…。
静かで暗いリビング。
暖炉の火も落とされ、部屋を支配する寒さにディーヴァは身を震わせ、暖炉横に置かれているバスケットに声をかけた。
「シャティ、いる?」
「ネロと話があるって今はいねぇよ。」
「ひゃっ!!?
…だ、ダンテ…?」
1人と1匹かと思われたリビングはまさかのお二人様。
振り向くと大きなソファにどっかりと座りこんだダンテがそこにいた。
思わず腰を抜かして、へたり込むディーヴァ。
そんなディーヴァに
「え…。」
「なんだその意外そうな顔。
ほら、立てよ。」
ダンテの大きな手が差し伸べられる。
思わずその手に応えて手を伸ばす。
一度、触れかけたきっといつも通りの温かな手。
しかし…
『命令だとしても…少しの間だったとしても、あたしはこの手から温かさを奪ったんだ。』
『そのナイフを握っていた手でダンテに触れるの?』
『そんなの…まだ…。』
ストップをかけるフラッシュバックする記憶と恐怖と後悔。
ピタリと宙で止めてしまった手が行き場を求めて下ろされようとした時だった。
ダンテの手がディーヴァの手を掴む。
「捕まえた。」
「っ!
や、放し…!」
「放していいのか?」
「…!」
「本当に、放していいのか?」
言いかけた拒絶の言葉がダンテの疑問の声にかき消される。
本当?本当に?
本当は…放して欲しくない、よ?
…でも、…あたしは、離れていたい…の?
背中合わせの本心がこんがらがり、混乱する頭の中。
言葉に詰まっていると、ふと手が引っ張られた。
一時だけ広がる視界。
すぐさま狭まる視界。
頭の方で、静かで…でも確かな心音が聞こえた。
「なぁ、ディーヴァ。
昨日のこと…、昨日お前が思ったこと、考えたこと…全部話してみろよ。
そしたら、多分お互いすっきりするからさ。」
「…ダン、テ…っ。
………うんっ。」
抱きしめられた。
それだけなのに、魔法にかけられたかのように…言えなかったことが口をついて出てくる。
「ダンテが…ね、あたしの家族を殺したあの時の悪魔に見えたの。」
「あぁ。」
「あたし、ダンテの事…大好きなのにっ…。
…ダンテを…あの悪魔と同じ様に憎んで、…それで…ナイフでっ。」
「そうか。」
「ナイフの感触が…っ、刺した時に感じた重たさとか、血の温かさとか…、…まだ手から、頭から消えてくれないの。」
「…ごめんな。」
「こんな酷いことしたんだもの…。
あたし…、ダンテと一緒にいる資格なんてないって、思ってっ…。」
「思って…?」
「でも、ダンテと一緒に居たくて…でも資格がないんだものっ!居れないって…辛くてっ、つらくて…。」
「…つらいのはオレも同じだ。」
反論もいつもの軽妙な口調も言い回しもなく、ダンテはただディーヴァの言葉に相づちを打つ。
相づちを打つ度に、強く、けれど優しく抱きしめた。
「わるい…、ディーヴァ。
オレ、お前をこんなに傷つけてたんだな。」
「ううんっ、…悪いのはあたしなの。
ごめんなさい…、ごめんなさいっ…!」
「分かった。
分かったから、もう謝るな。
もう…泣くな。」
ダンテは軽く膝を折る。
そっと涙で濡れる冷たいディーヴァの頬に頬を合わせると頭の後ろに手を回した。
「怖い思いさせて、辛い思いをさせて…悪かった。」
小さく呟いた後、あやす様に…何度もエメラルドの髪を後頭部に沿わされた大きな手が撫でていた。
日もまだ昇り切らないこの時分にリビングへと足を伸ばしたのはもちろんというかディーヴァだった。
朝一番に話してみる。
言うのは易かったが、実行するとなると…夢にまで出てくるほど、ぐるぐる頭の中を駆け巡る会話のシミュレーション。
そんな状態で深く眠ることが出来る訳もなく、何度となく寝返りを繰り返し、結局起床を選択したのだが…。
静かで暗いリビング。
暖炉の火も落とされ、部屋を支配する寒さにディーヴァは身を震わせ、暖炉横に置かれているバスケットに声をかけた。
「シャティ、いる?」
「ネロと話があるって今はいねぇよ。」
「ひゃっ!!?
…だ、ダンテ…?」
1人と1匹かと思われたリビングはまさかのお二人様。
振り向くと大きなソファにどっかりと座りこんだダンテがそこにいた。
思わず腰を抜かして、へたり込むディーヴァ。
そんなディーヴァに
「え…。」
「なんだその意外そうな顔。
ほら、立てよ。」
ダンテの大きな手が差し伸べられる。
思わずその手に応えて手を伸ばす。
一度、触れかけたきっといつも通りの温かな手。
しかし…
『命令だとしても…少しの間だったとしても、あたしはこの手から温かさを奪ったんだ。』
『そのナイフを握っていた手でダンテに触れるの?』
『そんなの…まだ…。』
ストップをかけるフラッシュバックする記憶と恐怖と後悔。
ピタリと宙で止めてしまった手が行き場を求めて下ろされようとした時だった。
ダンテの手がディーヴァの手を掴む。
「捕まえた。」
「っ!
や、放し…!」
「放していいのか?」
「…!」
「本当に、放していいのか?」
言いかけた拒絶の言葉がダンテの疑問の声にかき消される。
本当?本当に?
本当は…放して欲しくない、よ?
…でも、…あたしは、離れていたい…の?
背中合わせの本心がこんがらがり、混乱する頭の中。
言葉に詰まっていると、ふと手が引っ張られた。
一時だけ広がる視界。
すぐさま狭まる視界。
頭の方で、静かで…でも確かな心音が聞こえた。
「なぁ、ディーヴァ。
昨日のこと…、昨日お前が思ったこと、考えたこと…全部話してみろよ。
そしたら、多分お互いすっきりするからさ。」
「…ダン、テ…っ。
………うんっ。」
抱きしめられた。
それだけなのに、魔法にかけられたかのように…言えなかったことが口をついて出てくる。
「ダンテが…ね、あたしの家族を殺したあの時の悪魔に見えたの。」
「あぁ。」
「あたし、ダンテの事…大好きなのにっ…。
…ダンテを…あの悪魔と同じ様に憎んで、…それで…ナイフでっ。」
「そうか。」
「ナイフの感触が…っ、刺した時に感じた重たさとか、血の温かさとか…、…まだ手から、頭から消えてくれないの。」
「…ごめんな。」
「こんな酷いことしたんだもの…。
あたし…、ダンテと一緒にいる資格なんてないって、思ってっ…。」
「思って…?」
「でも、ダンテと一緒に居たくて…でも資格がないんだものっ!居れないって…辛くてっ、つらくて…。」
「…つらいのはオレも同じだ。」
反論もいつもの軽妙な口調も言い回しもなく、ダンテはただディーヴァの言葉に相づちを打つ。
相づちを打つ度に、強く、けれど優しく抱きしめた。
「わるい…、ディーヴァ。
オレ、お前をこんなに傷つけてたんだな。」
「ううんっ、…悪いのはあたしなの。
ごめんなさい…、ごめんなさいっ…!」
「分かった。
分かったから、もう謝るな。
もう…泣くな。」
ダンテは軽く膝を折る。
そっと涙で濡れる冷たいディーヴァの頬に頬を合わせると頭の後ろに手を回した。
「怖い思いさせて、辛い思いをさせて…悪かった。」
小さく呟いた後、あやす様に…何度もエメラルドの髪を後頭部に沿わされた大きな手が撫でていた。